東風乃扇です。
ようやく原作の2巻が終わりそうですね。
それでは第27話!心の叫びを聞け!
学年別トーナメントの最中、異変は起きた。
ラウラ・ボーデヴィッヒのIS〈シュヴァルツェア・レーゲン〉が突然変化したのだ。
それを目撃した瞬間、俺―天野星夜―はセシリアさん、鈴と共に立ち上がり客席からアリーナを目指す。
「一体何なんだ?あれ?」
「溶けて気がつけば千冬さんの偽者だし!」
「セカンドシフトではありませんね!」
すでに警報が鳴り響き、一般生徒と来賓は避難を開始している。あれ?
「今回はハッキングされてないな。」
「ジャミングも無さそうね。」
「隔壁も降りませんし、設備もすべて機能してますわね。」
つまり、今回は今までの奴等ではない?
「とにかく急ごう。」
「相手が千冬さんの偽者なんて一夏は絶対許さないわ!」
「それ以前にあそこにいる方々は皆さんエネルギーが少ないはずですわ!」
施設に問題は無かったので障害なくアリーナに進む。
俺たちがアリーナに到着する。
一夏を取り押さえる箒さんとシャルルが居る。
一夏は白式を纏っていない。つまり、エネルギーが全部尽きたのか。
「どけよ!箒!邪魔をするなら―」
「いい加減にしろ!一夏!」
一夏の頬を叩く箒さん。
冷静さを取り戻した一夏。
「あれは…千冬姉のデータだ!それは千冬姉のものだ!千冬姉だけのものなんだよ!それを…!」
「やっぱり、一夏は千冬さんよね。」
鈴が言う。
「でも、それだけじゃない!あんな訳のわかんない力に振り回されてるラウラも気に入らねぇ。ISとラウラ、どっちもぶん殴らなきゃ気がすまない!」
そこは同意だな。
「あぁそれは俺も同じだ一夏、強さも、想いもわからない奴は1発殴ってやらないとな。」
「一夏、今のお前に何ができるのだ?白式のエネルギーも無いのだろう?」
「ぐうぅ…。」
箒さんに痛いところを突かれた一夏。
「ここには星夜達も居る。すぐ教師の鎮圧部隊も来る。」
一夏を説得する箒さん、一夏が心配なんだな。
「俺がやる必要はない、か?」
「そうだ。」
あの黒い暮桜はこちらから動かなければ反応はしないようだな。
「違うんだ箒、全然違う。俺が『やらなきゃいけない』んじゃない。俺が『やりたいんだ。』ここで引いたらそれは俺じゃない。織斑一夏じゃない。」
姉の誇りを守る。一夏はその為に…今、戦いたいのか。
「馬鹿者!ならばどうするのだ?エネルギーはどのみち―」
確かに…今の白式は装甲の展開すらできない。
「無いなら他から持ってくればいいでしょ?」
「シャルル…。」
シャルルが一夏に近づく。
「普通のISなら無理だけど、僕のリヴァイヴならエネルギーを移せると思う。」
その一言で一夏の顔が明るくなる。
「そうか!なら―」
「けど!絶対に負けないでね!」
シャルルにしては珍しく力強い物言いだ。
「ここまで啖呵きって行くんだ。負けたら男じゃねえよ。」
「なら、負けたら一夏さんのお召し物は明日から女子の制服ですね。」
「ここに証人が居るんだからね!」
セシリアさんと鈴も乗る。
「う……、いい、いいぜ!負けないからな!」
まだ軽いジョークを言う余裕はあるようだ。
黒い暮桜がこちらに向かって来はじめた。
「一夏、あの〈黒桜〉のトドメはお前に譲ってやる。それまで待ってろ。」
「そうね、そこでエネルギー移して待ってなさい。」
「必殺の一太刀をお願い致しますね。」
電童、ブルー・ティアーズ、甲龍を纏い前に出る。
黒桜は居合いの構えだ。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!!これがお前の望みか!?」
拳を突きだしながら叫ぶ。
黒桜の振った雪片とぶつかる。
側面に回り込んだブルー・ティアーズと甲龍から支援射撃が入る。
黒桜は1歩分だけ下がり射撃を回避する。
無駄は無い、確かに織斑先生みたいだ…けど、なぞるだけだ。
「そんな!物まねで!お前は満足なのかよ!」
「千冬さんは!もっと気高いわよ!」
「織斑先生を尊敬しているのなら!それはむしろ侮辱ですわ!」
鋭い斬撃が振るわれる。だが、軽く受け止める。
「技は!心をもって完成する!こんな形だけの技じゃ俺にはかすり傷もつかないぞ!」
2人は黒桜が逃げないように弾幕を張る。
今、俺は黒桜と弾幕のカーテンの中で決闘している。
「織斑先生に近づきたいのなら!織斑先生になるんじゃなくて!『ラウラ・ボーデヴィッヒ』として、横に立とうと思わないんだよ!」
「自分を見てもらいたいんだろ!?織斑先生のお陰で成長した自分を誉めてもらいたいんだろ!!」
いくら声をかけても黒桜に反応はない。
「この…バッカヤロオオオオオォォォォォォ!!」
右のストレートが黒桜の胸部に当たる。
その瞬間…ラウラ・ボーデヴィッヒの姿が見えた…。
―――――
……どこだここ?
なんか浮遊感がある…。
今、俺は…黒桜と戦闘していて……。
『なぜだ…?』
ボーデヴィッヒさんの声だ。
『なぜだ!?私は今!最強なのだ!なのになぜ!倒せない!!』
気が付けば目の前に鬼の形相のボーデヴィッヒさんがいる。
『前にも言いましたよ…。想いの無い力は破壊を産むだけだって。』
『必要ない!そんなものは!想いなど!心など!』
『信念も誇りもないただの剣に敗ける奴はいないよ。』
『力がすべて!すべてを壊せば!私が一番だ!ヴァルキリーだ!』
『あと…そろそろお前は黙れ…。』
目の前に居るボーデヴィッヒさんの偽者のを全力で殴る。
見事に顔に入り吹き飛ばされる。
『さて、ボーデヴィッヒさん…。』
後ろを見ると怯えたような顔をしたボーデヴィッヒさんがいた。
『あっちは外で暴れてるバカだろ?こっちが本当の君だね?』
『なぜ…わかった…。』
『あの黒桜が振るう剣には何も無かったから。』
『お前も…そんな顔をするのだな…。』
『そんな顔?』
『教官と…同じように…笑うのだな。』
『それは…きっと守る物があるから…かな?』
『守る…もの…?』
『あぁ…だから強くなれる。』
少し寂しそうな顔をする。ボーデヴィッヒさん。
『私には…何もないな。戦うことしかない。それが私の生まれた意味…。』
『じゃあ、まずは自分の誇りを取り戻そうか?』
『なに…?』
『あれ、ラウラ・ボーデヴィッヒとして暴れてるけどあんなのは君じゃない。』
先程殴り飛ばしたやつを指差す。
『昔、織斑先生に教えてもらったんでしょ?自分の力と誇りを…。ラウラ・ボーデヴィッヒとして、自分がどうしたいのか?どうありたいのか?あんなのじゃないでしょ?』
『そうだ…私は…教官のお陰で…自分を…。』
『だからさ、それを守ろう?あんなやつに任せないでさ。』
黒ボーデヴィッヒ(仮)は叫ぶ。
『もう手遅れだ!この体は私の物だ!そんな何もない空っぽな人形に返すものなどない!』
『残念だったな、ボーデヴィッヒさんは空っぽじゃないし人形でもない。』
『そうだ、私はあんな存在に成りたかった訳じゃない、ただ教官の側に、居たかったんだ。』
『だから織斑先生の中にある一夏が羨ましかったんだ。』
『そうだ、教官は何かあるとすぐに弟の話をしていた、あの人の中心だった…。だから嫉妬した。』
『でき損ないの人形がうるさい!とっとと消えてしまえ!』
『私は目の前に居る敵を倒す!それが私の生まれた意味だ!』
ボーデヴィッヒさんと黒ボーデヴィッヒはにらみ合う。
『ボーデヴィッヒさんには、生まれた意味より、生きる勇気を…。』
『生きる勇気…?』
『生きるってことは自分で選ぶこと。その結果を恐れず選ぶ勇気を持とう。』
『そうか…自分で選ぶこと…確かに今までの私は何も選んでなかったかもしれない。』
『織斑先生の横に居たいって選んだよ。』
『確かにな…ではもうひとつ選ぶとしよう。』
『なにを選ぶの?』
『教官から貰ったものを守りたい!そのために取り戻す!』
『わかった!手伝うよ!』
『私はお前の仲間に酷いことをしたぞ?』
『ラウラ・ボーデヴィッヒの本当の始まりはここからだよ。過去は関係ない。』
黒ボーデヴィッヒを指差す。
『さて、ボーデヴィッヒさんの誇りをかえしてもらうよ!』
『そうだ!私が私であるために!お前を超える!もう私自身からは逃げない!』
『『それが!ラウラ・ボーデヴィッヒの『自信』になる!』』
黒ボーデヴィッヒは叫ぶ。
『私は織斑千冬の技を覚えているのだ!最強の技を! 』
そんなことは関係ない。
『ラウラ!お前は織斑先生にはなれない!』
『あぁ、だから私はラウラ・ボーデヴィッヒとして!教官を超える!』
『『だから!お前を認めない!』』
俺達の周りを紫の光が包みんだ。
――――
「い…今のは…?」
「星夜!どうしたの!?」
「星夜さん!どうなさいました!?」
今のは一瞬の出来事だったのか?
「あんた、いきなり黒桜と一緒に固まったのよ!」
「星夜さん!なにを!?」
黒桜に触れている右腕がずるりと黒桜の中へ入る。
まるで水飴の中に手を突っ込んだみたいだ。
中で手がなにかに触れる、ボーデヴィッヒさんだ。
「うおおぉぉぉ!」
そのままボーデヴィッヒさんをつかみ、引っ張り出す。
中から裸のボーデヴィッヒさんが出てくる。
まだ意識があったのかこちらを見つめていた。
彼女を抱えあげ、後ろに跳ぶ。
「一夏!想いの力!見せてやれ!」
一夏を呼ぶ。
「ああ!わかった!」
右腕と雪片のみを展開した一夏が黒桜に向かって直進する。
いつもの雪片と違い、最低限のエネルギーで日本刀のような刃を形成していた。
居合いの構えをとり、黒桜からの袈裟斬りを弾く。
「そんなのは…ただの真似事だ!」
そのまま構えを直し、真っ直ぐに断ち切った。
真っ二つに為った黒桜。
俺が抱えるボーデヴィッヒさんを見ながら一夏は言った。
「まぁ、ぶっ飛ばすのは勘弁してやる。」
これで終わった…。
そう思っていたがそれは違った。
割れた黒桜が再び形を変えた。
今度は生身の織斑先生とボーデヴィッヒさんを型どったような形だ。
今度は剣術もなにもない、ただ殴りかかってくるだけのようだ。
「うわぁ!なんだこれ!」
完全にエネルギーが尽きた一夏を2体は狙うが間一髪でそれをよけた。
セシリアさんと鈴がそれぞれを接近戦で止める。
「一夏はボーデヴィッヒさんを頼む!シャルルと箒さんも。」
「ああ、わかった!」
「気を付けろ奴等、なにをする気かわからんぞ。」
「ボーデヴィッヒさんは任せて、星夜。」
気を失ったボーデヴィッヒさんを一夏達に預ける。
さっきの黒ボーデヴィッヒがまだ暴れてるのか?
「これ以上…誇りを…汚すなよ…偽者野郎が…。」
鈴はともかく、セシリアさんは接近戦は苦手だ早く援護しないと。
「セシリアさん!下がって。」
「はい!星夜さん!お願いしますわ!」
入れ替わり織斑先生の偽者と殴り合う。
「彼女はもう!違うんだよ!お前なんかの力では強くなれないって知ったんだ!」
「自分で自分を信じるって!織斑先生と並ぶって決めたんだよ!『自信』を取り戻せたんだよ!だから邪魔するな!」
先程と同じ紫の光が溢れ出す。
光は俺と鈴が戦っている織斑先生とボーデヴィッヒさんの偽者に体当たりをして吹き飛ばす。
そこには紫の蛇が居た。
「いくぞ!バイパーウィップ!」
バイパーウィップは相手を威嚇するような仕種をする。
俺はバイパーに向けて手をかざす。
「ファイルセーブ!!バイパーウィップ!!」
紫の光が電童の胸部に格納される。
「バイパードライブ!インストール!!」
左腕にバイパーウィップが装着される。
偽者2体が立ち上がる。
「セシリアさん!鈴!下がって!」
「わかりましたわ!」
「星夜!決めちゃえ!」
2人は俺より後ろに下がる。
「はぁっ!」
俺が敵に向かい飛び込む。
その瞬間周りは目を疑っただろう。
「えぇ!?なにあれ!」
「電童が!増えましたわ!」
今、電童は周りから見たら8体に増えたのだ。
4体ずつ、偽者を取り囲む。
左手を振るうとバイパーの頭部が射出される。
バイパーの頭部と本体の間にあるワイヤーには電気が流れる。
そのまま再度左手を振るう。
ワイヤーがしなる。バイパーの牙と電気の鞭によるダメージが蓄積される。
最後に偽者を1ヶ所に集める。
そして分身は消える。
「バイパーウィップ!!」
左手を持ち上げバイパーをカウボーイの投げ縄のごとく振り回す。
四肢のドライブユニットが全力で稼動する。
エネルギーはバイパーに送り込まれる。
「ファイナル!アタック!!」
莫大なエネルギーを纏ったバイパーを叩きつける。
その場に巨大な雷が落ちたかのような音がして偽者を爆発させた。
「ふぅ…。終わったか…。」
これで今回の件は終わったかな…?
敵が完全に居なくなったので電童を解除しながら考えていた。
――――
「うぅ…ぁ……。」
保健室で目を覚ましたラウラ。
「気がついたか?」
いきなり声をかけられた。この声は…。
「織斑…教官…一体…なにが?」
「全身に無理な負荷がかかったことで筋肉疲労と打撲がある。しばらくはじっとしていろ。」
千冬にやさしく声をかけられた。
「なにが…起こったのですか…?」
激痛を無視して上半身を起こすラウラ。
その金と赤の瞳で真っ直ぐに見つめる。
「一応…重要案件で機密事項だがな……。」
千冬はゆっくりと話す。
「VTシステムは知ってるな?」
「ヴァルキリートレースシステム…過去のIS操縦者の動きをトレースするシステムです。」
「そう、IS条約で研究、開発、使用のすべてが禁止されている。それがお前のISにつまれていた。」
「…………。」
ラウラは口を閉ざす。
「巧妙に隠されていてな。操縦者の精神状態、機体のダメージ、操縦者の願望の条件が揃うと発動するようになっていた。」
「あの時の私が…望んだから…。」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」
いきなり大きな声で呼ばれ驚く。
「はっはい!」
「お前は誰だ?」
「わっ…私は先程までは空っぽで何もありませんでした…。」
「ほぅ、なら今は?」
予想外の答えが来たのでそのまま続きを促す。
「私はラウラ・ボーデヴィッヒです!いつか教官と並び、そして…超えて見せます!」
力強く宣言するラウラ。
千冬の知るかつての彼女を超えていた。
「そうか…。私を超えるか…。楽しみにしているぞ。この3年間…お前がどう悩み、成長するか見させてもらうぞ、小娘。」
「はい!見ていてください!」
千冬は席をたち、ベットから離れる。
そしてドアに手をかける。そのまま思い出したように喋る。
「ああ、それからな、お前は私にはなれないぞ、アイツの姉はこう見えて心労が絶えん。まぁそんな事はもう言わないか。」
ドアを開き外へ出ていってしまった。
数分後この部屋にはラウラの笑い声が響いていた。
はい、こんな感じで救出です。
一応ラウラは一夏ともあそこで会話しています。
バイパーってバイザー凰牙のイメージ強すぎぃ。
あの分身って純粋な加速で作ってるのだから凄いよね。
残すはブルホーン!誰が覚醒させるのかな!?
半分くらい予想つくけど!
ご意見、ご感想はお気軽にどうぞ。
――――
シャ「なんとかなって良かったよ。」
星「そうだな。ボーデヴィッヒさんも少し休めば平気だってさ。」
シャ「でも、バイパーは何に反応したんだろう?」
星「あぁ、今回はいまいち分からない…?」
シャ「それはGEARの方で調べてもらうしかないか。」
星「そうだな。」
シャ「トーナメントはこのあとどうするんだろ?」
星「1日目の第一試合だったからなぁ。」
シャ「先生からお話があるかもね。」
星「まぁまずは報告書だ…。」
次回!IS戦士電童
第28話《デュノア社の影》
シャ・星「「ついにそちらも決着が!?」」