東風乃扇です。
今回は戦闘だけですね。
さて、星夜達は無事、任務を終えることが出来るのか?
第37話、デュエル!スタンバイ!
アメリカ・イスラエル共同開発の軍用IS〈銀の福音〉が謎の機体に襲撃され、暴走。
それを止めるため出撃したIS学園1年生の専用機持ちだったが他の襲撃者も現れ、4つの戦いが始まった。
――
シャルロット&簪。
この2人の戦法は圧倒的弾幕で敵の動きを封じ、敵の苦手とする距離から攻撃をする。
単純ながらもこの戦法は非常に有効である。
同じ学年で言えば一夏やセシリアはそれぞれ得意な距離と不得意な距離がはっきりしているためこの2人との相性は悪い。
さらに今は敵を拘束する事が出来る2体のデータウェポンが居るため、戦況は有利に傾いている。
シャルロットのショットガン、簪の山嵐が敵の動きを予測し、未来位置へ射撃を行う。
鼻っ面にショットガンの散弾や大量のミサイルが飛んでくるので敵は旋回などして回避する。
そうすれば減速する、そのタイミングを狙ってデータウェポンからの攻撃または特殊能力が入り、動きが鈍る。
そこにシャルロットのアサルトライフル、簪の春雷が追撃をかける。
先程からこのような流れだ。
「よし、いい流れだね。」
「敵には体当たりとビーム砲以外に攻撃手段が無い?」
2人は戦いながらも敵を分析する。
「でも、この速度は驚異的だ。本当は支援機なのかも。」
「確かに…データウェポンに近い感じがする。」
結構こちらの攻撃が当たっているはずなのだがこの敵はダメージか入った感じがしない。
まるでその場で再生でもしてるのだろうか。
「なら、特殊能力は再生か防御かな?」
「うん、さっきから動きにダメージが感じられない。」
簪は話ながら自分の機体のステータスを確認する、山嵐の弾数、春雷の残りエネルギー、ブースト残量…。
「シャルロットさん!これ以上長引くとこちらが不利になるかもしれないから一気に決めよう!」
「そうだね。簪はクロックマネージャーで停めてくれる?そこにブルのファイナルアタックを入れるから!」
シャルロットの機体は手持ち式の弾薬兵装が多いためエネルギーの減りが他の機体に比べ少ない。
そのため、機体のエネルギー残量に威力が比例するファイナルアタックを高い威力で撃つことができる。
「ブルドライブ!」
「ボアドライブ!」
「「インストール!!」」
シャルロットはブルホーンを、簪はガトリングボアを装備する。
「まずは山嵐!」
「ショットガンはこれでラスト!」
先程までと同じように敵の動きを制限するため、山嵐で包囲し、ショットガンで鼻っ面を狙う。
敵は山嵐と散弾の間をすり抜けようとするため、比較的弾幕の薄いところに機首を向ける。
「回避軌道予測、クロックマネージャー!!」
簪は敵の減速に合わせて当てるため、クロックマネージャーを発動する。
敵にクロックマネージャーの光が当たる。
「最大停止時間2.5秒!」
「ブルホーン!ファイナルアタック!」
簪が停止時間を言い終わるよりも先にブルホーンに有りったけのエネルギーを送りながら瞬時加速を使い敵の懐に飛び込むシャルロット。
「はあああぁぁぁ!!砕け散れぇ!!」
右腕を振りかぶり、エネルギーを纏ったブルホーンを叩きつける。
直後、大量のエネルギーを叩きつけた敵は爆散する。
爆発が収まり、周辺を確認するも敵影は無かった。
「よし!敵機撃破!」
「本部!聞こえますか!?こちらはデュノア、更識ペアです!所属不明機に襲われましたが撃退に成功しました!!」
通信が回復した事を確認し、すぐに本部と連絡を取る。
『デュノア、更識、こちら本部。今すぐに攻撃チームの方へ向かえ、現在他のやつらとの連絡が取れん。』
「了解!デュノア、更識ペア直ちに攻撃チームへ合流し、援護します。」
『頼むぞ。』
2人は座標を確認し、攻撃チームの初期目標地点へ向かう。
2人が飛び去り、静まり返った後、水面からゆっくりと浮上する物があった。
「ふむ…元より足止めのつもりでしたが私のベクターを撃破するとは…。なかなかに楽しめそうですね。」
白い体を持つ細身の機体…その足元には《今、倒した敵》の姿があった…。
「我々の今回の役目はこれで終わり、後はラゴウと凰牙の仕事…戻りましょう。」
足元にいる機体に合図を送り、シャルロット達が向かった方とは別の方角へ飛び立って行った。
――
ラウラ&セシリア
一夏の援護を行っていたセシリアとラウラは予想通りに現れた獣型の敵と対峙していた。
「ぐっ!?こいつ、何者だ!バイパーの加速についてくるだと!?」
「こちらは手数が普段より少ないのに…。」
今のセシリアの機体ブルー・ティアーズは全てのビットを封印し、スラスターとして使うことでスピードを上げた〈ストライクガンナー〉だ。
そのため攻撃はストライクガンナー用の大型ライフル〈スターダストシューター〉のみのため、手数が普段よりも少ない。
敵とインファイトを繰り広げるラウラ。
敵の爪と牙を右のプラズマ手刀と左のバイパーで弾く。
タイミングを計ってワイヤーブレードを射出するが掠りもしない。
「ちぃっ!!」
離れた瞬間にセシリアがライフルを撃ち込むも敵は飛び上がり回避した。
「ユニコーン!」
ラウラの合図と共にファイヤーウォールを展開したままユニコーンが突撃する。
\グガアァァ!?/
赤い壁に叩きつけられるような形になる獣。
そのままユニコーンがラウラの方へ敵を運ぶ。
「喰らえ!クラッシャーファング!」
左腕を振りかぶり叩きつける。
同時に腕に装備したバイパーが牙をもって噛みつく。
しかし、次の瞬間バイパーが強制解除される。
「バイパー!?どうした!?」
突然の事態にラウラは左手を見る。
しかし、戦闘の最中その一瞬は命取りとなる。
\ギシャアァァ!!/
その隙を見逃さずラウラに爪と牙を突き立てようと体勢を立て直した獣が襲いかかる。
「やらせませんわ!」
飛びかかる敵をセシリアの一撃が吹き飛ばす。
「すまない。セシリア。」
「それよりもバイパーさんは?急にどういたしましたの?」
「わからん。やつに噛みついた途端に解除された。」
ラウラがステータスを確認するとバイパーウィップ機能不全の表示が出ていた。
「もしかしたらそれがあの敵の特殊能力かも知れませんわね。」
データウェポン達の持つ特殊能力かも知れないと2人は結論付け獣を見据える。
「いざと言うときに使えんと困るからユニコーンはセシリアがしまっておけ。」
「そうですわね。ユニコーンさん、ブルー・ティアーズのなかに。」
セシリアの指示に従いブルー・ティアーズに入るユニコーン。
「とにかく…あいつの攻撃はヤバいな。」
「そうですわね。直接接触は可能な限り避けるのが無難ですわね。」
2人は獣に対し、射撃を主体に攻め始めた。
だが先程と異なりバイパーによる加速もユニコーンの援護も無い状況ではこちらが当たらないようにするので手一杯だ。
「なんとか…しなければ。」
「ラウラさん、7時の方角の海面に船がありますわ!?」
セシリアに言われてそちらに少しだけ意識を向ける。
そんなには大きくないが確かに船が居る。
「なんだと!?確か教師陣が海域を封鎖しているはずでは!?」
「公式にこの海域全体に対して放送をかけた筈ですのに…。」
つまりは公には出来ない船…密漁、密入国、敵の偽装船…これらが可能性としてはある。
「怪しすぎる。だが手を出してこないなら今は無視する。可能なら後程対処する。」
「えぇ、データ収集の為の船の可能性もありますからね。」
敵と戦いながらも可能性を考えた2人はそれを放置するしか無かった。
「しかし、あの位置だと一夏達と近い、警告しなくては…!」
「そうですわね。一夏さん!近くに不審船あり!気を付けて下さいな!」
――
一夏&箒
福音と対峙する一夏と箒、2人は左右から敵を挟むように動き、それぞれ斬撃を与えていく。
流石に大きな攻撃は当たらないようだが相手も防御や回避に集中しているのか先程のような射撃は鳴りを潜めている。
(さっきと違ってユニコーンは居ない。しっかりと避けないとな…。当たったらその分、零落白夜の時間が減っちまう。)
「一夏!私が動きを止める!その隙に!」
「わかった!箒、頼むぞ!」
(とにかく今は倒すことだけを考える!)
雪片弐型を握りしめる。
[La…………♪]
まるで歌うかのようなマシンボイス。
福音は箒に向け、大量のエネルギー弾を発射する。
「ふん!甘いぞ!その程度では当たらん!!」
敵からの攻撃を紙一重で避けて空裂を振るう。
至近距離から放たれたエネルギーを避けるため、強引な軌道を描く福音。
(今だ!)
隙が出来た瞬間、一夏は敵の懐に飛び込み雪片弐型で斬りつける。
左腕の一部を落とす福音。
今までの攻撃と違い、しっかりとしたダメージが入った。
[左腕、ダメージレベル上昇、機能低下]
「このまま終わらせる!」
『一夏さん!近くに不審船あり!気を付けて下さいな!』
セシリアから通信が入る。
言われてレーダーを確認すると確かに海面に船が一隻居る。
「一夏!そんなのは放っておけ!どうせ犯罪者の類いだ!」
「関係の無い奴だったらどうするんだよ!」
「今はこいつに背を向けられる状況か!?」
[対象危険度再設定、排除]
福音が広範囲攻撃を行う。
敵の攻撃を避けるため距離を取る一夏。
いくつかの弾が謎の船に向かうのが見えた。
「ちくしょう!」
瞬時加速を使い、エネルギー弾の先回りをする。
零落白夜でエネルギー弾を消す。
今のでエネルギーがそこをついた。
展開していた雪片弐型が閉じていく。
光を放たなくなった雪片弐型を構える。
「まだだ…!気持ちまで折れちゃいない!」
「一夏!なぜあんなやつらを助けた!?」
箒が近づいてくる。
「箒…俺は守るって決めたんだよ。だから、守れるやつは全部守る。それは譲らねぇ、例え千冬姉でもな。」
「ここでやつを逃がすほうがもっと被害が出るとわからんのか!?」
「零落白夜が使えなくなっただけで負けるかよ!」
[対象、エネルギー低下、危険度低下、殲滅]
福音が羽から大量のエネルギー弾をこちらに向けて放とうとする。
「箒!とにかく今は上に!流れ弾があっちにいかないようにするぞ!」
「仕方あるまい。」
2人は上昇する。
2人に向けて大量のエネルギー弾がばら蒔かれる。
距離があるためそれなりに弾には間隔があるため、なんとか小さいダメージですむ筈だ。
『一夏さん!コア・ネットワークを通じてユニコーンさんをそちらに送りますわ!』
『ファイヤーウォールで時間は稼げる筈だ!』
「セシリア!ラウラ!そっちは大丈夫なのか!?」
『やつとデータウェポンは相性が悪いようでな。そちらに送る。』
「わかった!助かる!来い!ユニコォーン!!」
一夏の呼び掛けに答えてユニコーンがセシリアの元から送られてきて、一夏達の前に出る。
「頼むぞ、ユニコーン!」
一夏の言葉に合わせてユニコーンはファイヤーウォールを展開し、まっすぐ福音に向かって進む。
[敵、障壁展開、強度計測]
「うおおぉぉ!」
ユニコーンと共に飛び込んだ一夏が福音を斬る。
しかし、今度は腕で止められてしまった。
「ちっ、堅いな…。」
「まだ!私がいるぞ!」
そう言い福音に飛び掛かり、2本の刀で斬りつけようとする箒。
振りかぶった瞬間、全身の展開装甲が閉じた。
さらには刀が光となって消えていってしまった。
具現維持限界(リミット・ダウン)…ISのエネルギーが少なくなり、機体を展開できなくなることだ。
今はまだ機体は展開出来ているが一撃でも喰らえば機体の強制解除は避けられない…。
ここは戦場だ、学園のアリーナで気を失うのとは訳が違う。
[敵、排除]
「箒ぃぃぃ!!」
箒に向かい飛び込み、抱え込む一夏。
そのまま福音から離れるように飛ぶ。
当然、ユニコーンは2人を守るためにファイヤーウォールを展開する。
……だが。
\グオオォォォ!/
ユニコーンに真横からセシリア、ラウラと戦っていたはずの獣が噛みつく。
ファイヤーウォールは1面にしか展開できない為、この奇襲に対処出来なかった。
「なっ!ユニコーン!!」
ユニコーンの首を2つの頭が噛みつく、メキメキと音を立てるユニコーンの装甲。
少しずつファイヤーウォールが薄くなっていく。
「一夏!今は少しでも離れろ!」
「ユニコーンさんを離しなさい!!」
獣を追いかけてきたセシリアとラウラがユニコーンを助けるため狙いをつける。
獣はユニコーンをセシリアとラウラに向かって放り込む。
ラウラが受け止める。
ユニコーンの目がいつもの緑の輝きを失い、黒くなっていた。
「ぐっ!ここは一旦退くぞ!」
「一夏さん!後ろです!」
[敵、障壁解除、攻撃再開]
「ぐあああぁぁぁ!!」
獣に意識を向けていた一夏は福音の事を忘れていた。
一夏に向かって射撃をいれる福音。
箒を守るため、その攻撃を全て背中で受ける一夏。
わずかに残っていたエネルギーシールドは一瞬でつき、白式の装甲が砕け、そのまま海へ落ちる一夏。
(あっ…せめて…箒だけでも…リボン…燃えちまったな…。)
一夏が庇った為、最小限のダメージすんだ箒、呆然とする彼女はただ一夏と、一緒に落ちるだけだった。
「いっ一夏ああぁぁぁっ!!」
「一夏さあぁぁんっ!!」
[新たな敵の接近を確認、機体状況確認、戦域からの離脱を優先]
仲間がやられ叫ぶ2人、その2人を無視して獣と福音はそれぞれ飛び去る。
『攻撃チーム!聞こえる!こちらはデュノア、更識ペア。状況は!?』
『攻撃チーム!聞こえていたら返事を!!』
シャルロットと簪が飛んでくる。
「こちらはラウラ!一夏とユニコーンがやられた!」
「箒さんもエネルギー切れですわ。目標は逃げられましたの!一夏さんが海に落ちたのでこれから引き上げますわ。」
『えっ!一夏とユニコーンが!』
『すぐにそちらに行くから待ってて!』
シャルロットと簪が合流し、すぐに海から一夏と箒を引き上げた。
引き上げた2人は気絶しているようだった。
「こうなると星夜達が心配だ。」
「だけど、このまま行ったら足を引っ張るだけだよ。」
「行けても誰か1人だけ…。」
「私のストライクガンナーでしたら…。」
『駄目だ!許可できん。』
「教官!?なぜです!?」
敵が離れたおかげで通信が回復したようだ。
『仮に援護に行けたとして、戻る途中に敵からの攻撃があったらどうする?ボアやブルだけでは対処できまい。まずはそちらの負傷者を連れてこい。その後、救援に向かえ。』
「わ、わかりました。」
「攻撃チーム並びデュノア、更識ペアはすぐに本部へ戻ります。」
『あぁ、頼むぞ。こちらは負傷者の受け入れ準備を進めておく。』
倒れた仲間を抱えてもと来た方角へ周囲を警戒しながら戻るのだった。
――
俺―天野星夜―は鈴と共に凰牙と睨み合っていた。
「いい加減あんたの名前くらいは知りたいものだな!」
「同感!頭部装甲吹っ飛ばして顔を拝ませてもらうわよ!」
鈴と同時に左右から凰牙に斬りかかる。
しかし、本当にこいつは何者なんだ?
所属も目的もわからないしな。
凰牙は鈴の方へ飛び込む。
双天牙月の斬撃を潜り込むように避け、腹に向けて拳を入れようとする。
そこに横からレオが飛び込む、レオの攻撃を回避するため後ろに下がる凰牙。
そのまま後ろから俺が切り込む。
「はあぁぁ!」
凰牙は即座に回転蹴りを行い、タクティカル・アームズの腹に踵を当て、弾く。
「相変わらず反応がでたらめだな。」
「衝撃砲も普通に避けるし、やになっちゃうわね」
しかし、何度も攻撃をしているがあいつからは今回はあまり仕掛けてこない。
「もしかしてこいつ、時間稼ぎが目的か?」
「つまりは一夏たちに何か仕掛けてるかもって事ね。」
そう考えるとここでちんたらやり合う訳にもいかないな。
「「一気に決める!」」
「ドラゴンドライブ!」
「レオドライブ!」
「「インストール!」」
俺がドラゴンを鈴がレオを装備する。
「喰らえええぇぇっ!」
鈴が一気に凰牙との距離を詰める。
「レオ!旋風脚!!」
レオのカッター部が凰牙の胸部装甲の一部を削る。
「もう、一回!」
あげた足をそのまま降り下ろす。凰牙は体をひねり回避する。
「こいつも喰らえっ!」
至近距離からの衝撃砲を叩きつける。
さすがの凰牙ももろに喰らったらしく勢いよく吹き飛ぶ。
「火龍!重落下!!」
ドラゴンを装備した状態で爆砕重落下を決める。
当然当たるときにはゼロ距離でドラゴンの炎を喰らわせる。
そのまま海面へ落ちる凰牙。
海に大きな水柱がたつ。
「まだ…終わってないわね。」
「あぁ、全部しっかり軽減してやがる。」
多少はダメージが入っているようで海面から出てきた凰牙には所々に焦げなどが見える。
「ふっ…ふはははっ!!」
いきなり凰牙が笑った。
「何がおかしい!?」
「やっと声出したと思ったら笑い声!」
「お前を!倒せる!」
いきなり俺を指差す凰牙。
「やっぱり俺が目的か。」
「まぁ分かりきってたし。」
「だが、簡単に消したらつまらないからな!お前の大切なものから消してやる!守れなかったと後悔しながら消えろ!」
今度は鈴を指差す。
「あんたがあたしを倒す?出来ると思ってるの?」
「そもそも俺達を倒すつもりかよ。」
2人で構える。
「お前らだけじゃねえんだよ!聖獣持ちは!来い!ラゴウ!!」
凰牙が手をかかげる。
次の瞬間ドス暗い影の中から福音を襲った獣が現れた。
「ラゴウドライブ!インストール!!」
ラゴウと呼ばれた双頭の獣が吠えると黒い影になり凰牙を包む。
「これが俺の『憎悪』!!」
凰牙の両腕には双頭を模したナックルガードに似た物、両足には巨大な爪、背中には白い巨大な翼。
正に悪魔と呼ぶにふさわしい姿だった。
「『憎悪』…何を憎んでるんだかな。」
「星夜のと比べて暗いわね~。他には『絶望』とか『孤独』とか?」
「貴様らとの力の差…思いしれ!」
「来い!『憎悪』なんぞに負けるかよ!」
「私の『勇気』を思いしれ!」
ラゴウをまとった凰牙がこちらに飛び込む。
まっすぐ進んでくるのでこちらから正拳突きを叩きこむ。
しかし、それは残像だった。
「なっ!?」
「全然遅えよっ!」
「がぁっ!?」
「ぐうぅっ!?」
右から喰らったと思ったら下から、左から、後ろから、次々と攻撃を一方的に喰らう。
気がついたら近くの小島に鈴と共に叩きつけられた。
「まずは…お前からだ!」
上空から鈴に向かって蹴りをいれる。
「かはっ!!」
「り…鈴…!」
そのまま鈴を踏みつける体勢の凰牙。
脚に着いたラゴウの爪がメキメキと音を立てて装甲に食い込む。
「ぐっ!あぁぁっ!!」
「はっはっはっ!!やっぱりお前らじゃ話にならねぇな。」
凰牙は腕を振り上げる。
鈴は先程の踏みつけで絶対防御が発動したのか気絶している。
「これで終わりだ!!」
腕を降り下ろすその瞬間、レオが凰牙を突き飛ばす。
「ちっ、邪魔すんな!!」
鈴の上から凰牙が退いた。
「ドラゴン!鈴を頼む!」
ドラゴンを呼び出す。
ドラゴンは鈴を掴むと一目散にもと来た方角へと向かう。
「ふん!逃がしたか…まぁいいか、あれはおまけみたいなもんだ。」
こちらを向く凰牙。
こちらはなんとか立ち上がる。
「まだ、負けてない……。」
「そうだ、これから負けるんだよ!」
凰牙は両腕のラゴウの口にエネルギーを送り込む。
黒いエネルギーが溜まる。
恐らくは…ラゴウのファイナルアタック。
「くっ!?レオ!行くぞ!」
咄嗟にレオを装備する。
こうなったらファイナルアタックで打ち消すしかない。
四肢のドライブユニットが最後の力を振り絞るがごとく無理矢理回転し、出力を上げる。
「レオサークル!!」
「ラゴウ!!」
「「ファイナルアタック!!」」
右脚のレオから放たれた光輪のエネルギーはラゴウから吐き出されるドス黒いエネルギーに軽くかき消される。
そのままエネルギーの濁流に飲み込まれた。
「ぐぅっ!ああぁぁあぁ!?」
頭の中にまるで虫が巣くったような感覚。
脳みそだけがぐちゃぐちゃにされてるみたいだ。
エネルギーの濁流が収まった時、俺は吹き飛ばされ、海に落ちていった。
はい!!今回はここまで!
オリジナル?な凰牙どうでしょうか?
あいつは絶対凰牙専用のデータウェポンだって最初は思ってました。
ご意見、ご感想はお気軽にどうぞ!
――――
束「ん~、やられちゃったな~。」
?「束さま、どうかされましたか?」
束「お、くーちゃん。」
?「先程からモニターを見てられますから。」
束「いっくんとデータウェポンの主がやられちゃった。」
?「……本当ですか?」
束「まぁ回収は出来たみたいだから大丈夫だよ。」
?「そうですか。」
束「気になる?」
?「はい。」
束「でも、くーちゃんが出るにはまだ早いしその必要もないよ。」
?「なぜ?」
束「この程度で心まで折れてたらこの先やっていけないからね。」
?「確かに、『絶望』を知ってなお『希望』を産み出せる心…。」
次回!IS戦士電童
第38話《折れない心》
束・?「「彼らは…どうする…?」」