IS戦士電童   作:東風乃扇

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皆さんこんにちは。

東風乃扇です!

さて、負けてしまった星夜達はどうするのか?

第38話、心に火を灯せ。


第38話《折れない心》

軍用ISの暴走、それの制圧に向かった専用機持ち達は敗北した。

 

気絶した一夏と箒、そして動かなくなったユニコーンを抱えて帰ってきた4人。

 

「では、エネルギーの補給が終わり次第、星夜たちの援護に向かいます。」

 

医療班に一夏と箒を預け、ユニコーンを技術班に預ける。

ラウラは千冬に自分のするべき事を伝える。

 

「あぁ、ボーデヴィッヒ、オルコット、デュノア、更識の4名は補給が完了次第すぐに―」

 

「織斑先生!!」

 

真耶が走ってくる。

 

「山田先生、何かありましたか?」

 

「今、海岸に気絶した凰さんを抱えたドラゴンフレアくんが!」

 

「凰が!?天野は一緒ではなかったのですか!?」

 

「くっ!織斑先生!我々はすぐに出ます!」

 

「わかった、無茶はするなよ!」

 

3人はすぐさま海岸へ走る。

 

「凰さんは機体のダメージが少し多いだけなので大丈夫そうですね。」

 

鈴の状態を確認し担架に乗せる教師達。

 

「ドラゴンフレア、戻ってきたところ悪いがすぐに星夜の所まで案内を頼むぞ。」

 

ラウラの言葉にドラゴンは頷く。

 

「しかし、凰と天野がこれほどの状態に追い込まれるとは…一体敵は何者だ。ドラゴンフレア、可能なら私の端末にデータを。」

 

ドラゴンは千冬の手元の端末に先程の交戦記録を送る。

 

「これが…凰牙。」

 

「やはりあれはデータウェポンだったのか。」

 

「あの速さで電童以上の攻撃力…恐ろしいですわね。」

 

「皆、いこう!星夜くんの所に!」

 

「お前たち、凰牙に会っても逃げることだけを考えろ、今は人命が優先だ。」

 

「「「「了解!」」」」

 

セシリア、簪、ラウラ、シャルロットは機体を展開し、即座に飛び立つ。

ドラゴンが先頭になりそれについていく。

しばらく飛ぶと映像の最後にあった小島に着く。

 

「ここか…。凰牙は居ないようだな。」

 

「あの砂浜、抉れてる。ここで戦ったみたいだ。」

 

「星夜さん!星夜さん!」

 

「聞こえてたら返事をして!!」

 

ジャミングは消えているようで星夜に対して通信で呼び掛けるが返事がない。

 

「こちらラウラ、現場に到着しました、敵は確認出来ず。これより天野星夜の捜索に当たります。」

 

『こちらは本部、了解した。それと篠ノ之と凰が目を覚ました。回復を待ってそれぞれ事情を聞く。気を付けろよ。』

 

「了解です。」

 

ラウラは通信を切る。

 

「ドラゴン道案内助かった。機体内に入って休んでくれ。」

 

ドラゴンは頷くと近くにいたセシリアのブルー・ティアーズの中にデータ化して入っていった。

 

「星夜くん、どこだろう?」

 

「もしかしたら海に落ちて潮に流された可能性もある。電童のコア反応を探そう。」

 

「ブルもお願いね。」

 

全員がレーダーの出力を最大にして探す。

10分ほど探すと海底に反応があった。

 

「この下のようだな。」

 

「慎重に行こう。」

 

「敵が待ち構えてる可能性があるからね。」

 

「星夜さん…。」

 

海の底に力なく倒れた電童とレオサークルを見つける。

 

「まさか…電童のこんな姿を見ることになるとはな。」

 

ラウラが海底から電童を引き上げた直後に呟く。

 

「そうだね、ボロボロになることは合っても勝つまでは絶対に立ち上がって居たから…。」

 

レオサークルを抱える簪が頷く。

 

「大丈夫だよ…星夜はきっと立ち上がるから…。」

 

「えぇ…星夜さんは心の強さを知っている方ですから…。」

 

暗い雰囲気の中、急いで旅館の方角へ飛んでいく4人だった。

 

――

 

星夜を連れて帰ってきた4人。

すぐに星夜は医務室として割り振られた旅館の一室に運ばれた。

レオサークルも先に回収されていたユニコーンの横に並べられている。

 

「お前たち、よく戻った。現在、我々の目標である福音を含めた敵勢力は全てロストしている。状況に変化があればまた指示する。それまでは待機しろ。」

 

千冬が淡々と指示をする。

 

「教官、一夏とユニコーンの容態は?」

 

「あぁ、一夏は命に別状は無い、ただ眠っているだけだ。いつ目覚めるかはわからん。」

 

その言葉に全員がほっとする。

 

「ただ、ユニコーンドリルに関してはわからん。」

 

「織斑先生!それは一体どうゆう事ですの!?」

 

千冬の言葉にセシリアが身を乗り出す。

 

「オルコット落ち着け。」

 

「セシリアさん、気持ちはわかるけど、落ち着いて。」

 

簪がセシリアを止める。

 

「データウェポンはISとは違う、それはお前たちも知っているだろう。よって今GEARにデータを送り、チェックをしてもらっている。」

 

「織斑先生、鈴と箒は?目が覚めたと聞いていますが。」

 

シャルロットがここに居ない2人の事を聞く。

 

「あの2人は先に待機室に行かせた。」

 

「わかりました。」

 

「現状、作戦中止の連絡は無い、よって福音が見つかり次第すぐに出撃することになるから各員はしっかりと身を休めておけ。」

 

「教官、その時に紅椿は出すのですか?」

 

ラウラは一番の懸念材料になる箒の事を聞く。

 

「あの状態では使い物になるまい。ただの的を戦場に送り込むつもりはない。他に何もなければ待機室に行け。」

 

全員が挨拶し、部屋を出る。

 

「山田先生…GEARから返事は?」

 

後ろに立つ悲痛な顔をする真耶に千冬は問う。

 

「非常に…危険な状態だそうです、このままでは侵食されて消滅の危険があると…。」

 

「打開策は?」

 

「データウィルスの為、ワクチンがあれば何とかなるかも知れないと…。」

 

「生徒を守るため、回避できたであろう攻撃を喰らった奴が消えるのをこのまま見ていろと?」

 

「GEARの方がこちらに来ても間に合わない可能性が…。」

 

「なら、こちらのスタッフと機材でできる限りやるか。」

 

千冬は大きなため息を吐く。

 

「天野に関しては?」

 

「機体もダメージが大きいですか本人の神経のダメージが深刻だそうです。」

 

「神経?」

 

「はい、それが敵の攻撃を喰らった際に各種センサー類から入る情報に膨大なノイズがのってしまい、脳が処理できなかったと思われます。」

 

「そうか…あいつらになんと伝えればいいか…。」

 

真耶から貰った飲み物を一気に飲み干し頭を冷やしても答えは出なかった。

 

――

 

待機室に向かう4人、部屋の戸を開けると鈴だけが居た。

 

「鈴さんだけ?箒さんは?」

 

簪が部屋を見渡しながら聞く。

 

「隣が医務室だからね、一夏の隣でショボくれてるわよ。」

 

鈴がイライラしながら答える。

 

「直接戦った鈴に聞きたい事がある…。」

 

ラウラが訪ねようとする。

 

「凰牙の事でしょ?素直に言ってラゴウってあの獣が付かなければ勝てたかもしれない。」

 

「たしかにドラゴンさんのデータを見る限り優勢だったようですが。」

 

「ラゴウは何か弱点とかありそうだった?」

 

「う~ん…見たところラゴウも格闘用みたいだから、簪とシャルロットが牽制するだけで戦い易くなるはずよ。」

 

鈴は自分が感じた事を素直に言う。

 

「問題はデータウェポンとしての特殊能力ですわね。」

 

「恐らくはデータに対するもののようだな。先程バイパーが使用不能になっている。」

 

ラウラは仮想ディスプレイにバイパーのステータスを表示する。

 

「大丈夫なの?」

 

シャルロットが尋ねる。

 

「ユニコーンやレオ程ではないが武装化等は難しいな。バイパーが言うには人に例えると風邪になったような感じだそうだ。」

 

「つまり、バイパーは死ぬほどではないけど立って歩くのは辛いって感じ?」

 

「あぁ、あっちの2体は重症を負ってるから解らないだろうが…。」

 

「ちょっとごめんね、本音を呼んでくる。」

 

「本音さんを?どうして?」

 

「本音は元々整備科希望で、データウェポンに関しても井上博士達に色々聞いてたみたいだから何か解るかも。」

 

そう言って簪は部屋を出た。

 

「色々と大変なことになってるね、かんちゃん。」

 

千冬に許可を取り、宿の部屋で待機していた本音を呼んだ簪。

 

「どうにか出来そう?」

 

「仮に敵の攻撃が破壊プログラムなら、バイパーの方でそのデータを解析すればワクチンが作れるかも。」

 

「布仏、ここにある機材は好きに使え、ユニコーンドリルとレオサークルを頼む。」

 

「了解しました、織斑先生。」

 

本音は千冬に返事をしてユニコーンとレオに接続されたコンピューターのもとに向かい、作業を始める。

普段ののほほんとした雰囲気のは全くなく、真剣な眼差しでディスプレイを見つめる。

 

「本音、必要なものはある?」

 

簪は本音に訪ねる。

 

「こっちは大丈夫だからかんちゃんは休んでて、また出撃するんでしょ?」

 

「布仏の言う通りだ、更識は休め、こちらは教師がバックアップに回る。それと今、GEARとホットラインも繋がった。先方のスタッフにも意見聞き、作業を続ける。」

 

「わかりました、本音、お願いね。」

 

「任せて。」

 

本音は簪の言葉に振り向かずに答える。

簪は部屋から出ていった。

 

「布仏、バイパーは問題無いのか?」

 

「はい、バイップの言う通り人で言えば風邪をひいた感じで、このままでもそのうち回復します。」

 

「どうしてこんなにも違うのだ?」

 

「ユニユニとレオっちは敵が自分の意思で注入したけど、バイップは噛んですぐに放したからそこまで酷くはならなかった見たいです。」

 

「なるほど、毒を注入されたのと舐めただけなら舐めた方が幾分は平気と言うことか。布仏、後を頼む。必要な物があれば近くの教員に言え。」

 

「わかりました。」

 

作業をする本音と技術スタッフを残し、千冬は部屋を出て、会議室に向かう。

 

「山田先生、ボーデヴィッヒ達から報告のあった所属不明の船は?」

 

「はい、すぐに海域封鎖担当者を向かわせましたが確認できませんでした。」

 

「なら、やつらの船か…?」

 

「今回の襲撃…織斑先生は何が目的だと思いますか?」

 

「ラゴウのテスト辺りが妥当でしょう。しかし、それを考えるのは我々の仕事ではない。」

 

「生徒達を無事に帰すことですね。」

 

「そうです。既に2人倒れてしまいましたが…。」

 

「織斑君、天野君……。」

 

「しかも、データウェポン達が居なければさらに被害が増えていたかもしれん。」

 

「これ以上は…。」

 

「えぇ…絶対にやらせん。」

 

千冬は各種情報が映されるディスプレイを睨む。

 

――

 

待機室にてセシリア、簪、鈴、シャルロット、ラウラは円陣を組み、話し合っていた。

円陣の中心にはデータウェポン達が居る。

 

「現状、僕たちが使えるデータウェポンは…。」

 

シャルロットは視線をデータウェポン達に向ける。

 

「ドラゴンフレア、ガトリングボア、ブルホーンの3体だ。」

 

ラウラがそれぞれを指差し確認しながら言う。

 

「クラッシュレイ、クロックマネージャー、オートプレッシャー…。拘束系能力が2つ、ラウラさんのAICも含めれば3つもありますわね。」

 

セシリアが能力を確認する

 

「シャルロットさん達、パッケージをインストールしてたみたいだけど終わったの?」

 

簪が装備を確認しながら訪ねる。

 

「うん、防御特化パッケージ〈ガーデン・カーテン〉。ファイヤーウォール程ではないけど防御に自信はあるよ。」

 

シャルロットは笑いながら答える。

 

「私も砲撃特化〈パンツァー・カノーニア〉だ長距離での砲戦なら負けん。」

 

ラウラも続いて答える。

 

「攻撃特化パッケージ〈崩山〉、ファイナルアタックには負けるけど。継戦火力はなら負けないわ。」

 

「鈴さん、それは比べるのが間違っておりませんこと?」

 

セシリアが鈴の言葉に突っ込みを入れる。

 

「そうなると、ボアはラウラさんが付ける?」

 

「いや、クロックマネージャーの射程距離を考えると使いこなせん。一番相性の良い簪が引き続き使うべきだな。」

 

「うん、解った。」

 

「欲を言えば僕はユニコーンを使いたかったけどね。」

 

「そのユニコーンとレオ…ついでに一夏の分は福音と凰牙をぶん殴らないとね。」

 

鈴が拳を握る。

 

「鈴さん、星夜さんの分は?」

 

セシリアが鈴を見ながら聞く。

 

「あれは勝手に起きて殴りに来るでしょ?だから私たちが勝手にやっちゃダメじゃない。」

 

さも当然といった感じで鈴は答える。

 

「本当に鈴って星夜と付き合って無いの?」

 

シャルロットが疑惑の眼差しを向ける。

 

「なに?付き合ってる事にしてほしい?」

 

余裕の笑みをこぼす鈴。

 

「「鈴さん!」」

 

セシリアと簪の声が重なる。

 

「あたしは星夜を信じてるだけよ。」

 

「話を戻すか、ドラゴンとブルは誰が付ける?」

 

ラウラが脱線した話の軌道修正をする。

 

「ドラゴンは中距離、ブルが近距離だね。」

 

簪が2体のデータを出して答える。

 

「シャルロットが使わないならあたし、ブル使って良い?」

 

「僕はかまわないよ。」

 

「ありがと。」

 

「ドラゴンはどうしようか。セシリアさんが付けると邪魔になるし…。」

 

「じゃあ、ドラゴンは僕が使うね。」

 

「よし、基本陣形を確認しよう。まず、私が〈パンツァー・カノーニア〉にて遠距離からの狙撃。」

 

「私は〈ストライクガンナー〉の速度を活かした一撃離脱の遊撃ですわね。」

 

「私は中距離での牽制を行うよ。」

 

「僕は中距離での防御だね。」

 

「そしてあたしはぶん殴る。」

 

円陣の中央のデータウェポン達もやる気を示すためかそれぞれポーズをとる。

 

「あとは福音か、凰牙が見つかるのを待つだけだね。」

 

「そうですわね。」

 

「今、ドイツの副官と連絡を取り、ドイツ軍の衛星も使っている。時間の問題だろう。」

 

「さらっとすごいことやってるよね、ラウラさん。」

 

「日本では使えるものは親でも使えと言うらしいからな、それを見習った。」

 

「ちょっと違うような…。」

 

――

 

ここ…どこだ?

 

俺―天野星夜―は気がついたら草原みたいな所に立っていた。

 

確か臨海学校中に軍用ISの暴走を止めるため出撃するから警備に出て、凰牙と戦ったところまでは覚えてるんだけど。

 

「鈴…無事かな。」

 

パートナーの安否が気になるが今の俺には腕にあるはずの電童も無い。

 

「しかし…何も無いな…。」

 

まわりは見渡す限りの草原だ。

風も日差しも程よくこのまま昼寝でもしたいくらいだ。

 

「まさかここが死後の世界って訳じゃないよな。」

 

とりあえず適当に歩き始めた。

 

「結構色々居るな。」

 

大した距離は歩いていないが気がつけば色々な生き物が居た。

 

馬、猪、龍、ライオン、蛇、牛…。

 

幻想的な生き物も居る気がするが気にしない。

そんな中を迷うことなく真っ直ぐ歩いていく。

まるで引き寄せられるように…。

 

――

 

旅館の一室。

医務室に割り振られたその部屋には2人の男性が寝かされている。

織斑一夏と天野星夜。

この2人は全身に包帯が巻かれている。

 

(私のせいだ……。)

 

ずっと一夏を見ていた箒…。

今日の自分の行いを頭の中で省みる。

 

(私が…しっかりとしていなかったから…。)

 

姉に頼み込み、自分専用のISを貰った。

しかもそれは世界最強のISだと言われた。

一夏と一緒に居たい…。

ただそのためだけに貰った物。

だけど力を手に入れた人間はそれを使いたくなる。

 

(私は…どうしていつも…。)

 

手に入れた力を制御出来ずに溺れる…。

箒はこれが初めてでないことを理解していた。

 

(中学の頃の剣道もこうだった…。)

 

剣道の大会で優勝した事もあったでもその時の自分は酷く醜かった…。

何故なら心の中では自分より下のものたちを見下していたのだ。

武道を嗜む身の者であればそれがどんなにしていけないか解ることだ。

 

(周りにもあれほど言われたと言うのに…)

 

今日は朝の模擬戦の前から浮かれていると言われ、否定した。

作戦前も周りが支えようとして居たのに拒否した。

戦闘中も冷静に見極める事を弱腰だと馬鹿にした。

 

(それがこの様か……。)

 

目の前の一夏を見る。

3時間は過ぎたが目覚める気配はない。

一夏はこんな自分をかばって傷を負ったのだ。

もしかしたら一夏の横で寝ている星夜も元を正せば自分が失敗したせいで傷を負ったのかも知れない。

 

(こんな私には…専用機を…いや、ISを使う資格など…。)

 

そんな考えをしていると突然部屋の戸が開く。

 

「まったく。まだ居たの?」

 

鈴が入ってきた。

箒は全く動かなかった。

 

「なに?分かりやすく落ち込んで『私、反省してまーす。』ってアピール?」

 

箒は反応しない。

 

「最低でも一夏とユニコーンがやられたのはあんたの責任よ。」

 

鈴はそのまま続ける。

 

「星夜は優しいからラゴウがこっちに来たことはあんたのせいじゃ無いって言うだろうけど。そっちの戦線が崩れなければラゴウをこっちに呼んだ時点で福音はどうにか出来たんじゃないの?」

 

鈴が部屋に入ってから箒は微動だにしていない。

 

「なにか言うことは無いの?」

 

「わ…私は…。」

 

やっと箒が口を開いた。

 

「もう…ISを使わない…。」

 

「あんたはそんな軽い気持ちで専用機を貰ったのか!?」

 

鈴は箒の頬を思いっきり叩く。

元々力を入れていなかった箒はそのまま倒れる。

 

「一緒に訓練が出来ないから、一緒の時間を増やしたいから専用機を貰った!?それだけでもふざけてるのに調子に乗って周りに迷惑かけるだけかけてそのまま逃げるの!?」

 

鈴は箒の胸ぐらを掴み、持ち上げる。

 

「あんたねぇ…専用機持ちを何だと思ってる?あたしだけじゃない!セシリアも!ラウラも!シャルロットも!簪も!」

 

鋭い目付きで箒を睨む。

 

「国中の奴らが切磋琢磨してるなかで一番になって!色んなもの背負ってんのよ!」

 

虚ろな眼のする箒を怒鳴り続ける。

 

「それを…あんたは気まぐれで貰って!怖くなったら捨てる!?そんなわがまま通ると思ってるのか!?」

 

「力を持ったなら!その責任を果たしなさいよ!それに!1度負けたから何だってのよ!?」

 

「私が…戦ったら…。」

 

「ちっ!あんたの事をね!星夜はずっと評価してたのよ!」

 

「えっ…?」

 

予想もしたことがない言葉を言われた箒。

 

「あいつは勝敗じゃなくて、どんなやつが相手でも、性能に差があっても、正面から臆さずに立ち向かえる強い心があるってさ。…それも見込み違いだったようだけど。」

 

「星夜が私を…。」

 

「心が負けた臆病者は要らないから待機してろって千冬さんが言ってたわよ。」

 

「ど…どうしろと言うのだ!」

 

箒が怒りを纏った言葉を放つ

 

「どうしろ?大事なのは箒がどうしたいかだよ?」

 

シャルロットが入ってきた。

 

「私が…どうしたいか…だと?」

 

シャルロットの言葉を繰り返す箒。

 

「そうだ、結果を怖れず、選ぶ。それが自分を作り出す。」

 

ラウラも入ってきた。

 

「一人で出来ることは高が知れてる。だから、手を取り合って、助け合う。」

 

「クラスメイトや友人を信じ頼る事は弱さではありませんわよ。」

 

専用機持ち達が揃って箒を見る。

箒は腑抜けて居た体に力を入れ立ち上がる。

 

「私は…戦う!戦って今度こそ勝つ!敵に!何よりも己の弱い心に!」

 

闘志を燃やした眼差しを前に向ける。

 

「決まりね。」

 

鈴が笑う。

 

「シュヴァルツェ・ハーゼから報告があった。ここから30Km程離れた沖合に目標を確認。ステルスモードには入っていたが光学迷彩は持っていないようだ。」

 

ラウラが告げる。

 

「さすがはドイツの特殊部隊。良いタイミングだね。」

 

「まずは織斑先生に報告だね。」

 

「では、参りましょうか。」

 

全員が医務室から出ていく。

 

「先に行ってるわよ。早く来ないと見せ場がなくなるからね。」

 

鈴は部屋を出る前に寝ている2人に静かに告げた。

 

――

 

「既に知っていると思うが、先程ドイツ軍のシュヴァルツェ・ハーゼより情報提供があり、福音の所在が判明した。」

 

作戦会議室に千冬の声が響く。

 

「また、福音以外は現在確認されていない。だがこれと交戦すれば出てくるのは確実だろう。」

 

メインディスプレイには福音、凰牙、ラゴウのデータが映し出される。

 

「だが、今回の目標はあくまでも福音だ。凰牙に関しては無理に撃破する必要はない。福音のパイロットの回収、ならびに機体の回収、出来なければ破壊だ。」

 

千冬は箒を見る。

 

「篠ノ之、行けるのか?」

 

「はい!行かせてください!」

 

千冬と箒は目を合わせる。

 

「ふん、その目なら平気だろう。」

 

「作戦内容はお前たちから提出された物で構わん。好きにやれ。」

 

「了解!」

 

「やられたデータウェポン達は布仏が中心となって対処している。今は気にするな。」

 

「かしこまりましたわ。」

 

「では、これより、作戦を始める。全員の帰還を以て作戦は完了とする!総員準備にかかれ!」

 

千冬の言葉で全員が動き出す。

雪辱を晴らすために。




と言うわけでここまで。

鈴が全力ヒロインしてる。

セシリア~簪~このままだと星夜取られるぞ~。

ご意見、ご感想はご自由にどうぞ!

――――

箒「私は…心が弱かった…だが!」
鈴「弱さを認めて向き合えた?」
箒「あぁ…皆…すまなかった。そしてありがとう。」
セ「道を間違えたなら、正しい方へと導いて差し上げるのが仲間と言うものです。」
箒「全力で戦う。もしかしたらまた足を引っ張ってしまうかもしれない。」
簪「大丈夫、ひとりじゃないよ。」
箒「私は勝手に一人だと思い込んでいたみたいだな…。」
ラ「かつての私もそうだった。だが、確かに皆と繋がっている。」
箒「仲間との繋がりか…。」
シャ「そう、これが『友情』ってやつだよ。」

次回!IS戦士電童
第39話《輝く刃は皆と共に》

箒「皆!行くぞ!」
「「「「「オー!!」」」」」
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