東風乃扇です。
さて、突然の事態に混乱する会場、星夜達は切り抜けることが出来るのか?
第45話、レッツ!ゴー!
欧州合同IS演習会場にて爆発が起きる少し前…。
暗い部屋にて話し合う4人の人影があった。
その内の1人はかつてGEARジャパン本社を襲ったスコールだった。
「M…今回あなたの目標はイギリスのBT型の2号機〈サイレント・ゼフィルス〉の確保よ。」
「わかっている。」
「A…あんたはGEARのEOS…〈GEOS〉の確保よ…。最低でも1機、可能なら他にも持ってきなさい。」
「あぁ。」
「これに成功すればこちらの戦力が一気に増えるわ。特にM、それはそのままあなたにあげるから頑張りなさい。」
「では、行ってくる。」
MとAと呼ばれた人物は部屋から出る。
「おい、あのガキ2匹だけで大丈夫なのかよ?スコール。」
「あら?あなた、あの子たちが心配なの?」
「まさか、あいつ等がドジってこっちに火の粉が飛ばねぇか?」
「大丈夫よ。もし失敗してもアレが起爆するだけよ。」
「それもそうか。しかし、Aのヤツ、ISをぶっ壊して帰ってくるとはな。」
「まぁ、あの坊や達が相手なら仕方がないかも知れないわね。仮にも一度私を負かしたのだから…。」
「スコールが負けたってのが未だに信じられねぇけどな。」
「うふふ、私も人間よ、たまにはミスをすることだってあるわ。オータム、準備はいいわね?私達も行くわよ。」
「あぁ、早く暴れたくてウズウズしてるんだ。」
スコール、そしてオータムと呼ばれた人物も部屋から出ていった。
その少し後にこの部屋は跡形もなく吹き飛ぶのであった。
──
電童を纏って空に上がった俺─天野星夜─は周りを見渡す。
「爆発…爆弾か。きっと目を引き付けるための囮だよな。」
視界内のいくつか上がっている黒煙を見て考える。
パッと見た感じ爆発した場所はそれぞれ違う、距離も遠い。
当然火がついている以上は消火しなければならないが犯人はそれが狙いだろう。
「この騒ぎに乗じて火事場泥棒か?」
どのブースもそれぞれの国、企業の最先端技術が置いてある。
それはISの用な大型の物だけではない、細かな部品レベルの物もあるからそれを持ち出せるだけでもどれ程の損害になるかわからない。
「兎に角、怪しい動きをしてるヤツはいないか…。」
レーダー等を確認しながら空へ飛ぶ。今のところISや無人機等の襲撃は無さそうだ。
「なら、パニックの収拾が先だな。」
『星夜くん!そっちは大丈夫かい!?』
「吉良国さん、こっちは大丈夫です。IS等の敵影もありません!」
『わかった。さっきの爆発にジャマーか何かを仕込んでた見たいで少し通信の状態が悪い、いざとなったら自己判断で切り抜けてくれ!とりあえずは道の邪魔をしている物をどかして避難経路の確保を手伝ってくれ。』
「了解!」
ブースの近くの道で爆発の影響か夜間用の照明とかが倒れているので除去するのを手伝う為にそちらへ向かう。
──
「こちらラウラ・ボーデヴィッヒ、データウェポンで移動中だ、そちらの状況は?」
ラウラは冷静に部下たちに指示を出しながらブースへ進んでいた。
『こちらクラリッサ・ハルフォーフ、先程の爆発以降、特に動きはありません。私はISを装備し現在、隊長のシュヴァルツェア・レーゲンの護衛をしています。他の隊員は周辺の避難誘導に当たらせています。』
「了解した、私はドラゴンフレア、バイパーウィップと共に戻る、間違えて撃つなよ。」
『了解っ!』
(この混乱に乗じて何をする気だ…?時間を掛ければその分落ち着きを取り戻すし、重要な物の運びだしもされてしまうだろうに…。)
最初の爆発以外何も動きが無い敵を不気味に思うラウラだった。
「すまない、頼むぞドラゴン、バイパー。」
自分を運び、守るデータウェポン達に声をかけるラウラは自らの左目にある眼帯を取り、ヴォーダン・オージェを露にし敵に備える。
「何が来ようと打ち破るだけだ…。」
視界に入ったドイツエリアの愛機、シュヴァルツェア・レーゲンを睨み、ラウラは呟く。
──
「ブル、ボア、もう少しだからお願いね。」
シャルロットはブースに急ぎながらも周りにもしっかりと目を向け、敵からの襲撃に備えた。
空を飛んでいる為、移動は問題ないが周りからもよく見えるから狙撃される可能性もある。
「デュノア社のブースから盗るものは無いと思いたいけど…。」
デュノア社は実権を今は亡き本妻が握っていた為大した成果は上がってなかったし、最近も建て直しが優先だったからそこまで開発とかは無いので実は大した展示をしていない。
「だからって油断して痛い目は見たくないよね。」
デュノア社のブースが視界に入る。
「よし、見えてきた…。」
デュノア社のブースにそのまま飛び込む。
「シャルロット!お前のリヴァイブでうちのブースは最後だ!」
「わかりました!」
近くにいたスタッフに言われ、すぐさま愛機、ラファール・リヴァイブ・カスタムIIを装備する。
「皆さんも早く避難してください。」
「あぁ!シャルロットも気を付けろよ!」
デュノア社のスタッフに見送られ空へ飛ぶ。
「こうなると…GEARブースに行って星夜に合流した方がいいかな?」
ハイパーセンサーを使って周囲を調べながらシャルロットは呟く。
──
「くっ!イギリスのブースが一番遠いなんて!」
ユニコーンの背中にて独り言を言うセシリア。
「ブルー・ティアーズはともかく、サイレント・ゼフィルスはまだ完成したばかりだと言うのに…。」
そう、ブルー・ティアーズの2号機であるサイレント・ゼフィルスは最近になって完成したばかりでまだパイロットが未登録なのだ。
「まさかとは思いますが急ぎませんと。」
セシリアは胸の中に広がるざわめきを無理矢理押さえる。
「よし、見えてきましたわ。」
ようやく見えてきたイギリスのブース。
そこでは調度サイレント・ゼフィルスの運び出す準備をしていた。
「セシリア嬢!ブルー・ティアーズは問題ありません。ゼフィルスを運び出すので周りへの警戒をお願いします!」
「かしこまりましたわ!」
すぐさまブルー・ティアーズを装備し、飛び上がるセシリア。
ハイパーセンサーに入ってくる大量の情報を処理する。
次の瞬間、近くの柱が爆発し、スタッフたちの方へ倒れそうになる。
「させませんわ!」
咄嗟にセシリアが倒れそうになる柱の下に潜り込み支える。
「くっ!このままでは…。皆さん!早く!」
野外ライブ等で使われるような沢山の鉄パイプを組み上げて作られた柱は大きく近くに人が居るため、下手に下ろすことが出来ない。
この時、サイレント・ゼフィルスを運んでいたスタッフ達は当然ながら視線が全て柱に向かっていた。
「ぐあっ!?」
「ぐふぇっ!?」
いきなりスタッフが2人、殴り飛ばされた。
「えっ?」
セシリアは柱を支えたまま、センサーを使い意識をそちらに向ける。
そこには覆面を着けた少女が立っていた。
「頂くぞ…。」
覆面の少女は残りのスタッフも格闘で圧倒する。
「や、やらせませんわ!」
柱を支えたままではあるがセシリアはブルー・ティアーズからビットを射出し、覆面の少女を取り囲む。
ユニコーンとレオも威嚇する。
「これ以上狼藉を働くなら撃ちますわよ!?」
「ふん、この程度で止まると?」
威嚇としてビットの銃口には軽くエネルギーが溜まっているがそれを笑って返す。
「これでも撃てるのか?」
近くにいたスタッフを持ち上げ盾にする。
人質を傷つけずに撃ち抜くことはまず無理だろう。
仮に覆面の少女だけを撃てたとしても人質の至近距離をレーザーが通り、少なくても火傷を負わせてしまうだろう。
「なっ!?卑怯な…。」
「甘い…。」
セシリアが戸惑っている間にサイレント・ゼフィルスに覆面の少女は近づき、装備する。
「なぜ!?サイレント・ゼフィルスにはロックがあるはずなのに!?」
「この程度のセキュリティで最高機密のISを守れると思っているのか…傑作だな。」
サイレント・ゼフィルスには現在、パイロットがいないのでセキュリティをかけて簡単には使えないようにされていた。
だが、目の前にいる少女はロック等なく、まるでそれが専用機であるように装備した。
「では、頂いていく。」
「お待ちなさい!」
サイレント・ゼフィルスが空へとんだ瞬間を狙いビットからレーザーを発射する。
「見え透いた手だ…。」
一瞬後ろに向かって瞬時加速をするサイレント・ゼフィルス。
さも平然と高等技術の瞬時加速を後ろに向かって行った。
そのまま飛び込んできたユニコーン、レオも取り出したナイフで巧みに捌く。
「えっ!?まだファースト・シフト前の機体で!?」
あまりの事のにセシリアは驚く。
「代表候補生もこの程度か…つまらん。」
サイレント・ゼフィルスはセシリアに向け、ライフルを放った。
しかし、その攻撃がセシリアに当たることはなく、セシリアが支えている柱の上部に当たる。
「柱が…ですが!やらせませんわ!」
先端の方が下に落下しそうになるがそれを全てのビットで破壊し、被害の無い小さな破片にする。
サイレント・ゼフィルスはビットを射出し、ユニコーンとレオに牽制として数発放つ、いくつかは下にいる人たちに当たるコースだった為ユニコーンはファイヤーウォールを展開して守る。
その隙にサイレント・ゼフィルスは飛んで行ってしまった。
「サイレント・ゼフィルスを逃がすわけには…。」
周りの人が居なくなったのを確認し、支えていた柱を下ろす。
「素直に飛んでいったとは思えませんが。」
セシリアはユニコーンとレオを連れてサイレント・ゼフィルスが向かった方へ飛ぶ。
──
「兎に角!GEOS関係の物を優先的に運び出して!」
今回のイベントでGEARジャパンのリーダーとして来ている吉良国が指示を出していた。
「GEOSの1号機と2号機はそのままコンテナを閉じて、3号機と4号機は速やかにトレーラーに載せて!」
展示用に出されていたGEOSは展示台を兼ねていたコンテナを閉じてすぐにキャリアに載せれば運び出せるが実演用のGEOSが先程までアイドリング状態で待機していたのだ。
「これかぁ…GEOSってやつは。」
「だっ誰だ!」
吉良国は後ろからいきなりきた拳を避ける。
「くっ!ここまで接近されるなんて!」
吉良国は突然現れた人物を睨む。
顔は覆面で隠しているが体格や声からして男であることはわかる。
「これでも喰らっとけ!」
そう言って謎の男は何かを投げる。
次の瞬間、辺りが光りと爆音に包まれる。
フラッシュグレネードで視覚と聴覚を封じられ、瞬く間にスタッフ達が殴り飛ばされる。
「じゃあ、貰っていくぜ。」
「ま、まて…。」
男はそのままGEOSに乗り込もうとする。
「やらせるか!」
そこに電童が飛び込んでくる。
「ちっ!電童か!でもなぁ!お前の相手はあいつだ!」
男が言うと同時に電童に向かい複数のレーザーが飛んでくる。
「試運転に付き合ってもらうぞ!電童!」
「ブルー・ティアーズ!?いや、違う!2号機のサイレント・ゼフィルスか!」
突如現れた敵に電童が身構える間に男はGEOSを装備する。
「行かせるか!輝刃!」
輝刃がGEOSに向かい飛び込む。
「けっ!お前にやられるかよ!」
GEOSは輝刃の飛び込みに合わせて大きく後ろへジャンプする。
「ほらよ!」
着地した先に倒れていたGEARスタッフを掴み上げ、輝刃に向けて思いっきり投げつける。
輝刃は飛んできたスタッフの衝撃をうまく逃がしながら背中で受け止める。
「ここは欲張っても無駄か…あばよ!」
GEOSは一目散に走り出す。
「逃がしませんわ!!」
GEOSの目の前にブルー・ティアーズのレーザーが降り注ぐ。
「けっ!もう来やがったか!」
「サイレント・ゼフィルスだけでなくGEOSまで…許しませんわ!」
セシリアがユニコーンとレオと共にGEOSに対して構える。
「許さねぇならなんだってんだ!?」
「倒させて頂きますわ!」
「セシリアさん!GEOSを頼む!こっちはゼフィルスを止める!」
「お任せくださいませ!」
「適当に遊んだら帰るぞ!M!」
「了解だ!A!」
それぞれが構え、飛び込む。
──
「クラリッサ、私はGEARのブースへ向かう、やはりあそこが一番怪しい。」
「了解です、こちらも避難と処理が終わり次第すぐに向かいます。」
「すまない、頼むぞ。」
部下達にこの場をまかせ、ラウラはドイツエリアのブースから飛び立つ。
『星夜!セシリア!ラウラ!誰でもいいから聞こえる!?』
ラウラの耳にシャルロットからの通信が聞こえる。
敵の通信妨害のせいか少しノイズが混じっている。
「シャルロットか!?どうした!?」
『今、ISに襲われてて、救援頼める!?』
「わかった!すぐに向かう!」
コアネットワークを使い、シャルロットの位置を確認して真っ直ぐに向かう。
「シャルロットが救援を呼ぶなど…どれ程の敵だ?」
シャルロットは強い、優れた戦術眼、高速切替等の操縦技術、さらに今はブルとボアと言った強力なデータウェポンまでいる、そのシャルロットが戦闘中に通信をしてまで救援を求めた。
「急がねば…バイパードライブ!インストール!」
バイパーウィップを装備し加速して、シャルロットの元へ急ぐ。
「見えた!シャルロット!援護する!」
シャルロットと空中戦をしている敵に向かって肩のリボルバーカノンを発射する。
元々威嚇として放った物なので当たることを期待はしていない。
「ラウラ!気をつけて!」
「シャルロットが救援を呼ぶなど並みでないのはわかる!」
「へっ!追加か!いいぜ…遊んでやるよ!」
相手のISは8つの特徴的な装甲脚を付けた機体。
それぞれの脚は独立稼働し、先端に見える銃口から弾幕を張ることが出来るのが予測できる。
「成る程、下の人々を守りながらとなるとなかなか骨が折れるな。」
「うん、それに本人も技量がすごく高い、国家代表クラスだよ…。」
「ほれ、ペット共々掛かってこい!このオータム様が駆るアラクネに勝てるならなぁ!!」
顔を隠してはいるが敵の名前はわかった。
「こいつの目的はどうあれ、とっとと倒す!」
「ブルドライブ!インストール!ボアとドラゴンは牽制と下の人たちに被害が出ないようにお願い!」
ラウラとシャルロットはオータムと名乗った敵に向かって飛び込む。
「いくら手数が多かろうと!」
ラウラはイリュージョンフラッシュを使い多数の分身を作り出す。
今、敵から見たら大量のシュヴァルツェア・レーゲンが囲んでいるように見えるだろう。
「これならば防げまい!」
ワイヤーブレードとバイパーを射出し、攻撃する。
「うぉっ!?これは驚いたぜ!」
当たる直前に全ての装甲脚を操り、直撃コースの物だけを的確に弾く。
「今度はこっちだ!」
その隙を狙い、シャルロットが後ろからオートプレッシャーを使い引き寄せる。
「なっ!なんだぁ!?」
何もないところでISが引っ張られる。
まず体験したことが無いだろう状態だ。
「喰らえ!」
シャルロットは敵の背中に向かい、ブルのヒートホーンを叩きつける。
「この程度!見え見えなんだよ!」
振り向きながら回転蹴りを入れ、シャルロットの右腕を弾く。
さらにはシャルロットに向いている4本の装甲脚から弾丸が発射される。
「あぶない!」
咄嗟にシールドを構え、防ぐ。
「ほぉ、お前、なかなか器用だな!」
「反撃する余裕まであるなんて…。」
ラウラとシャルロットは今、目の前にいる敵の技量に純粋に驚きを隠せずにいた。
初見でイリュージョンフラッシュからのワイヤーブレードの乱撃を直撃コースのみとはいえ防ぎきり、オートプレッシャーで体勢を崩したはずなのにそれを意に介せず反撃までしてのけたのだ。
「データウェポンのアビリティを初見で対応しきった…。」
「しかもこの人…絶対本気じゃない…。」
「当然だろ!私は遊びに来てんだからな!流石にデータウェポンにはビックリしたがなかなか楽しめるな!」
あっはっはっと楽しそうに笑うオータム。
「ほらほら!もっと楽しもうぜ!」
そう言うや否や全ての装甲脚から弾丸をバラ蒔く。
「はぁっ!!」
ラウラがバイパーを振り回し防ぐ。
「当たれっ!」
シャルロットはオータムの下に回り込み、アサルトライフルを乱射する。
「当たるかよ!」
ひらりと回避するオータム。
「ここじゃあ思うように戦えない…。」
「シャルロット、通常兵器展示エリアに上手く誘い込むぞ。あそこなら人的被害は少ないはずだ。」
ラウラに言われ、シャルロットは地図を確認する。
確かにあそこなら元々戦車や戦闘機などを置くために広いスペースを取っている。
置いてある戦車や戦闘機は壊れるかも知れないが人が傷付くよりいいだろう。
「そうだね。」
2人はそれぞれ武器を構えて、オータムを誘導するように戦い始める。
できる限り、オータムより高い位置をとるようにし、射撃も下に行かないようにする。
ドラゴンやボアも火炎とガトリングで援護する。
「ほらほら!そんな及び腰じゃあ私は倒せないぜ!?」
「はぁっ!」
ラウラが格闘戦をしかけ押し込むたと思えばシャルロットが射撃で牽制し、引き込む。
オータムの性格か格闘戦を多様する傾向にあるので誘導は思っていたよりスムーズに出来た。
(よし、通常兵器展示エリアまであと少しだ。)
(通常兵器展示エリアに出たらAICで止める。それで決めるぞ。)
(了解。)
2人はプライベートチャンネルで会話をする。
ISのセンサーを使い目的地までの距離を確認しつつ戦いを続ける。
「こんのおぉぉ!」
ラウラのワイヤーブレードがオータムの装甲脚に絡み付く。
そのままワイヤーを振り回し、オータムを通常兵器展示エリアに放り投げる。
「なかなかやるじゃねぇか!」
吹き飛ぶオータムはすぐさま体勢を建て直し、ラウラに向けて全ての装甲脚から弾丸を放つ。
「当たるものか!」
もう周りは気にしなくていいのでバイパーの力で加速し避ける。
さらにはそのまま分身で囲み、全方位からAICを発動し拘束する。
「ぐっ!これがAIC…厄介だな。」
「シャルロット!」
「これで終わりだ!」
AICの拘束を解こうともがくオータム、ラウラは逃がすまいと全神経を集中させる。
シャルロットは左腕のシールドをパージし、グレースケールを展開、オータムの腹に押し当てる。
「ここで盾殺しかよ…。確かにこれなら終わるなぁ…。」
オータムの呟きを無視してグレースケールのトリガーを引こうとするシャルロット。
しかし次の瞬間。
「ぐあぁっ!」
「うわぁっ!」
シャルロット、ラウラ、ドラゴン、ボアが爆炎に包まれた。
──
「サイレント・ゼフィルスもGEOSも返してもらうぞ!」
「出来るものならやってみろ!」
「徹底的に叩かせて頂きますわ!」
「返り討ちにしてやるよ!」
サイレント・ゼフィルスとGEOSの強奪…その第一段階は成功しているだろう。
このまま逃げられる訳には行かない。
サイレント・ゼフィルスの懐に飛び込む。
「旋風!回転拳!」
「BT型だから格闘が出来ないと思ったら大間違いだ。」
こちらが拳を振るよりも早く身を屈め、腕の下に潜り込むサイレント・ゼフィルス。
「貰った!」
逆手に持ったナイフをこちらの腹に当てようとする。
「まだだっ!」
咄嗟に膝を上げて弾く。
「ビットを使う暇を与えるものか!」
そのまま拳と脚を使い、貼り付く。
この状態ならビットは使えないはず。
「ビットを併用出来ないと?なめられたものだな。」
サイレント・ゼフィルスのパイロット─Mと呼ばれていた少女は呟く。
「なにっ!?」
次の瞬間、俺は目を疑った。
Mは俺と格闘戦を繰り広げながら6つのビットを制御しているのだ。
イギリスで一番ビットに対する適性が高いセシリアさんだってここまでは出来ない。
「思考の並列処理、長く続かないはず!」
「果たしてそうかな?」
しかし、このMって奴こちらの格闘を軽く防ぎやがる。
やっぱりこんなところからISを盗もうとするくらいだから並みではないと思ったが。
輝刃たちデータウェポンはサイレント・ゼフィルスのビットで牽制されて援護にこれそうにない。
こいつの動き、本当に初めてなのか?まるで長年使った専用機ようだぞ!?
「電童…倒せないが負けるほどではないな」
「その予想を覆してやる!」
嫌な予感しかしないが兎に角こいつを逃がさないようにしないと。
──
「当たりなさい!」
「それで当たるかよ!そんなガタガタの照準でな!」
GEOSはセシリアが放ったレーザーをギリギリで回避する。
GEOSにもセンサー類は載っているがISのハイパーセンサー程ではない、それでもGEOSを奪った男は完全に見切ってギリギリの所を避けた。
相手の言う通り今、セシリアはサイレント・ゼフィルスの見せているビットの動きを見て動揺していてそれがビットの動きを鈍らせている。
「こいつでどうだ!?」
GEOSは右腕のドライブユニットを稼働させる。
「喰らえっ!」
飛翔烈風波を最小のエネルギーで発動し、単発の空気弾として放つ。
「くっ!?」
セシリアも最小限の動きで避け、すぐにライフルの銃口を向ける。
GEOSは当然ながら飛行能力の無いパワードスーツだ。
空を飛んでいる以上は攻撃手段は限られるのでやられることは無い、そうセシリアは考えていた。
「この調子ならすぐにエネルギーも尽きるはず、それまで耐えれば…。」
GEOSのエネルギーが尽きればあの機動力も無くなるのでそこを突いて破壊するなり捕獲するなりすればいい、そのあとは星夜と一緒にサイレント・ゼフィルスの追撃をして今回は万事解決。
(そう、落ち着いてやれば…。)
例え、今初めて使ったはずの少女にビットの制御能力で劣っていたとしても焦ってはいけないと自分に言い聞かせるセシリア。
「そろそろ時間か…行くぞ!M!」
「了解した!A!」
GEOSがサイレント・ゼフィルスに呼び掛ける。
「逃げる気か!」
「逃がしませんわ!」
即座にそれぞれの相手に飛び込む。
「やれ!ラゴウ!」
サイレント・ゼフィルスの言葉に2人は身構える。
\グオォォンッ!/
サイレント・ゼフィルスから臨海学校の際、苦戦させられたラゴウが飛び出してきた。
「くっ!」
「危ない!」
猛スピードで襲いかかって来た爪と牙を何とか避ける。
「ラゴウドライブ!インストール!」
その隙を狙いサイレント・ゼフィルスがラゴウを装備する。
凰牙が装備した時とは違い、手足には爪が、ラゴウの頭部は両肩に付いている。
さらにはビットにも小さなラゴウの翼のような物まで付いている。
「ラゴウのデストラクションウィルス…再び喰らって見るか?」
ビットにチャージされる光が先程までは蒼白い光だったのに対し今は禍禍しい黒い色になっていた。
「まさかビットにあの力が!」
「ユニコーン!」
星夜は咄嗟にユニコーンを装備し、ファイヤーウォールを展開する。
「喰らえ!」
ビットから黒い光放たれる。
セシリアやデータウェポンも星夜の後ろに回ったので全てをファイヤーウォールで防げたがその隙にGEOSを掴んだサイレント・ゼフィルスが飛んで行く。
「流石にGEOSを抱えたままじゃ遅いか!」
「星夜さん!追いかけましょう!」
まだ見えるサイレント・ゼフィルス達の背を追いかける2人。
その先にある通常兵器展示エリアに何があるか知らぬまま…。
はい、今回はここまで。
オータムとか強すぎたかな…?
原作でも結構な技量を持ってるみたいだしいいか(適当)。
ラゴウは元気です。
前回書き忘れましたがGEOSは量産型GEARのイメージでお願いします。(回想で壊されてる奴しかいなかったけど。)
ラウラとシャルはどうなったのか?
果たして通常兵器展示エリアに何があるのか!
お楽しみに!?
──
M「目標は予測通りこちらを追撃している。」
A「ふん、こんな見え透いた罠にかかるとはな。」
M「それほどこれが大切なのだろう。」
A「俺らだけでもやれたけどな。」
M「アレのテストも兼ねているのだ仕方ないだろう。」
A「全く、めんどくせぇ。」
M「よし、見えたな。」
A「精々楽しませてもらうとするか。」
次回!IS戦士電童
第46話《罠》
M・A「「これで終わりだ。」」