IS戦士電童   作:東風乃扇

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皆さんこんにちは!
東風乃扇です!

さて、学園祭のオリジル!
頑張って行きます!

ではでは!54話!心が踊るな!


第54話《学園祭の裏事情》

目の前で起きた爆発、それに反応した人はこの客席に居ただろうか?

いや、誰も居ない。

脈絡も無く起きた爆発で訳がわからずポカンと見ている者か、演出か何かだろうと思っている者が大半だ。

 

「うおっ!?なんだこりゃあ?」

 

「演出にしてはちょっと不自然だけど…。」

 

客席の一番前で見ていた銀河と北斗の2人は違和感を感じる。

まず、先程までは何もない一般人でも目で追える様に速度を落としていたISが急に速度を上げ始めたのだ。

また、打鉄とラファールの操縦者の顔が驚きで染め上げられているのがちらっと見えた。

 

「なぁ、北斗…あれ……何だと思う?」

 

「流れからすると、突如乱入してきた悪役に見えるけど。」

 

爆煙の向こうには何やら人影が見える。

 

「まさかこっちにまで来るなんて……。織斑くんも天野くんも居ないのにっ……。」

 

近くにあった入口から走って来た虚。

呟く言葉が銀河と北斗に入る。

 

「布仏さん、一体何が起きてるんです?」

 

「草薙くん、出雲くん…!」

 

虚の状況から騒ぎにしたくない事を読み取った2人は普通に話しかけるようにたずねる。

アリーナ内ではラファールと打鉄が現れた者に対して連携して攻め立てている。

 

「そんな顔して『何でも無いから楽しんでください』ってのは無しだぜ?」

 

「あの敵役はイレギュラーですよね?」

 

「……はい。」

 

他の人に悟られないよう平静を保ったように話を続ける。

 

「今年は織斑くん、天野くんを狙ったと思われるトラブルが多く発生しています。」

 

「あぁ、星夜の奴もそんなこと言ってたな。」

 

「決まりだからって詳しくは聞けなかったけど、トラブルが多いって言ってました。」

 

「当然、IS学園としても出来る限りの事をしてきました。それでも外部の人間が多く入る学園祭では小さな穴があります。」

 

「それに潜り込んだのがあれってこと?」

 

「そうでしょう。このまま撃退出来ればあくまでも演出の一環ですませることが出来ると思いますが…。」

 

虚の言葉が続かない事からあの2機のISでは難しいのだと察する2人。

 

「星夜とか専用機を持ってるんだろ?呼べないのか?」

 

「もしくはもっと機体を投入するとか。」

 

「天野くんは呼んだのですが他の専用機持ちは少し難しいですね。」

 

「設備に異常が出たって言って一般客を避難させるのは?」

 

「避難を始めたときに、相手がこちらを狙ったら終わりです。」

 

2人は思い付く事を聞いてみたがいいアイディアば出なかった。

虚がアリーナから通路に移動したので2人は着いていく。

 

「なぁ、何であいつらはこっちを襲ってこないんだ?」

 

「恐らく、相手側もあまり表沙汰にしたくないのだと思います。」

 

「たまたまお互いの意見が一致している訳ですね。」

 

「ですが追い詰められると何をするかはわかりませんが。」

 

「虚先輩っ!」

 

誰も居ない通路で話していると星夜が駆けつける。

 

「天野くん、事情は先程メールした通りです。」

 

「わかりました。あくまでも一般の方には悟られずに事件を終わらせるんですね?」

 

「えぇ、頼みます。」

 

「銀河、北斗…すまないがこの事は内緒にしてくれ。」

 

「わかってるよ。」

 

「安心しろって。」

 

「ありがとう。ちょっと礼儀知らずなやつを殴ってくる。」

 

星夜はそのまま走っていくのだった。

 

────

 

俺─天野星夜─は通路を走り、ピットへ向かう。

あくまでも演技としてやる以上はピットを通りアリーナに向かうしかない。

 

「皆、頼むぞ。」

 

待機状態の電童に声をかける。

正しくは中で待機してるデータウェポン達にだ。

ピットに着き、電童を展開しながらアリーナへ。

 

「こちら電童、天野星夜ですっ!ここからは自分がやりますっ!」

 

『あ、天野くんですか!?お願いしますね!』

 

『打鉄、ラファールはエネルギーがもう無い、一度下がる。』

 

打鉄とラファールを使っていたのは先生なので速やかに入れ替る。

 

「敵は……。」

 

視界の中央に敵をとらえる。

 

「お前かっ!?スコール!!」

 

「やっぱり来たわね!さぁ、リベンジマッチよ!」

 

こちらが突きだした拳を向こうも拳で止める。

 

「何が目的かは知らないが、全力でやらせてもらう!」

 

「ふふ、楽しみましょう!」

 

至近距離での殴り合いが続く。

お互いに決定打を打ち込めず軽めのダメージだけが通る。

 

「なかなかやるようになったじゃないの。」

 

「立ち止まっている暇は無いからなっ!」

 

スコールは前と同じように遊んでるな。

本気なら尻尾を使わない筈がない。

目的は時間稼ぎかな?

 

「でえりゃあっ!」

 

「くっ!」

 

ハイパープラズマドライブを起動させ、フルパワーで殴る。

両手でガードしたスコールを数メートル後退させる。

体勢を建て直す前に追撃をかける。

 

「爆砕!重落下!」

 

「つうっ!!」

 

全力で脚を叩きつける。

しかし、スコールは旨く衝撃を逃がしたようでダメージは無さそうだ。

相手の頭上を押さえる形になったのでそのまま、各射撃武器を出して攻撃する。

 

「うおおおおぉぉぉぉっ!当たれぇっ!」

 

「プロミネンスコート、起動。」

 

スコールは炎の繭を作り出して防ぐ。

 

「やっぱり射撃じゃダメージは通りにくいか。」

 

「さぁ、掛かってきなさい!」

 

武器をしまい、そのままスコールとの格闘戦に移る。

 

「今日は逃がさないっ!」

 

「そう簡単に行くと思わないことねっ!」

 

スコールは炎を纏った腕で殴りかかってくる。

 

「そっちが炎なら、こっちは雷だ!」

 

ドライブユニットを回転させ、産み出したエネルギーを放たずに腕に纏わせる。

互いの拳が打ち合う度に大きな爆発が起き、閃光が走る。

 

「ふふ、楽しくなってきたわ。」

 

「こっちは楽しむつもりは無いっ!」

 

スコールが大きく尻尾を振るう。

後ろに跳び、回避する。

 

「私たちだけだと盛り上がりに欠けると思って…こんなのを用意したわ。」

 

スコールが指を鳴らすと、それに反応して俺の周りに何かが出現する。

 

「無人量産機かっ!?」

 

「『ソルジャー』よ、覚えておきなさい?」

 

クラス対抗戦、欧州合同演習で出てきた無人量産機だった。

軽く10機は居るな。

 

「ほら、悪の手先に囲まれて絶体絶命…分かりやすいでしょ?」

 

「とっとと終わらせるっ!」

 

強がってみたがこの数はヤバイかも知れない。

 

──

 

「おっ織斑先生っ!」

 

「どうしました?山田先生。周りに人が居るんだ。あまり騒がないように。」

 

真耶に呼ばれ千冬は振り替える。

学園祭の最中に大声を出していたのでそこを注意する。

 

「す、すみません。」

 

「とりあえず、場所を移す。話はそれからだ。」

 

「は、はい。」

 

人目に付かない物陰に移動する2人。

 

「何があった?」

 

「更識さんから『網にかかった』と報告がありました。」

 

「他には?」

 

「それとほぼ同時にアリーナの方にも襲撃が…今は天野くんが対応してます。」

 

「成る程、わかった。山田先生はそのまま予定通りに。私はしばらく外す。」

 

「わかりました。」

 

周りに聞こえない声で話をしたあと、千冬と真耶はそれぞれ歩き出す。

 

「恐らくあれは囮のはず、なら奴等の目的は──。」

 

独り言を言い、千冬は歩く。

 

──

 

アリーナにて多数の敵に囲まれた電童。

周りから一方的な銃撃を浴びせられている。

その光景を虚、銀河、北斗はピットから見ていた。

 

「お、おいっ!何か無いのかよっ!?」

 

「さっき星夜と入れ替わりで出たラファールと打鉄は?」

 

友人である星夜がやられていて銀河と北斗の2人は虚に尋ねる。

 

「ラファールと打鉄はダメージが多く、出せません。他の専用機持ちも別の案件で動いています。」

 

「ちっくしょーっ!何も出来ないのかよ!俺はっ!」

 

「僕たちは星夜みたいにISは使えない…。あれ?データウェポンって奴を使わないのかな?」

 

「天野くんがデータウェポンを召喚しないのは強奪の可能性があるからかと…。」

 

何か出来ないかと銀河は周りを見る。

 

「2人供、ここに居たか。」

 

ピットの扉が開く、振り替えるとそこにはアルテアが居た。

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「てか、何でここに?」

 

「我々GEARスタッフも今の事態は把握している。2人に渡すものがある。」

 

そう言いながら銀河と北斗は差し出されたものを受け取る。

 

「えっと……。」

 

「こ、これは……?」

 

「GEOS格納型通信端末…『Gーコマンダー』だ。」

 

銀河は青、北斗は黒のGーコマンダーを手に取り見つめる。

 

「それには様々な機能があるが、今重要なのはGEOS転送機能だ。ドライブAを1回、LRを2回、LLを1回そしてenter!」

 

「Aを1、LRを2…」

 

「LLを1回…」

 

銀河と北斗は言われた通りに入力する。

 

「「enter!」」

 

2人がボタンを押すと同時に光に包まれる。

 

「こ、これは!?」

 

虚は目の前の光景に驚く。

銀河と北斗がまるでISを展開した様に見えたからだ。

 

「おおっ!」

 

「これは…GEOS…でも所々違うような…。」

 

2人は自分の身を包むGEOSを見る。

銀河は白と緑を基調としたGEOS。

北斗は青と赤を基調としたGEOS。

 

「これは君たち専用に作られたGEOSだ。HPD等、本来なら採用されていない装備も付いている。」

 

アルテアは説明を続ける。

 

「シールドエネルギーや装甲の自動修復等のISコアが由来の機能は無いが、電童と同じ部品を使っている。」

 

「じゃ、じゃあこれなら…。」

 

「僕たちも…。」

 

「そうだ。多少の不利はあるだろうが戦える。」

 

その言葉を聞き、虚は口を開く。

 

「待ってください!純粋な装甲しか無いのならIS相手には……。」

 

「あのピンチを切り抜ける助力にはなるだろう。」

 

「アルテアさん…。」

 

「ありがとう!」

 

2人はアルテアに礼を言い。ピットからアリーナに出るためのハッチへ近付く。

 

「布仏さん、ここを開けてもらえますか?」

 

「頼む!」

 

虚を見る2人。

 

「少々お待ちを…。今、天野くんは中央付近で戦っているので、カタパルトを使って飛び込んだ方が良いでしょう。」

 

近くのコンソールを操作し、ハッチを開ける虚。

同時に準備されるカタパルトに乗る。

 

「草薙くん、出雲くん、御武運を……。」

 

「すまないが私は他にやる事がある。ここを頼むぞ。」

 

「はい!」

 

「行ってくるぜっ!」

 

アルテアと虚に返事をして、開くハッチを見る。

 

「「1、2の3っ!!」」

 

カタパルトが動き、勢いよく飛び出す2体のGEOS。

 

──

 

スコールが量産機『ソルジャー』を呼び出してからは一方的な展開だった。

相変わらず単機の火力は大したことは無いが、それでも浴び続ける訳には行かない。

 

「くっ、流石にヤバイか…。」

 

「あら?データウェポンはどうしたの?」

 

距離を取られて全方位からの射撃。

スコールは余裕の表情だ。

 

「あからさまに対策をしてそうな奴を相手に使えるか!」

 

「それもそうね。」

 

兎に角、今はこの状況をどうにかしないと。

 

「ん?」

 

センサーに反応があり、そちらに視線のみを向ける。

ハッチが開こうとしているようだ。

 

「あら?増援ね。いつぞやの彼女かしら?」

 

当然、スコールもハッチが開いたことには気づいている。

誰が来たにせよありがたい。

 

「うおおぉぉぉぉっ!」

 

「はああぁぁぁぁっ!」

 

飛び込んで来た影は白と青。

シルエットからしてGEOSだ。

更にこの声は……!

 

「銀河!北斗!」

 

「GEOS!?まさか持ち出して居たとはね!」

 

スコールもGEOSが来るのは予想外だったようだ。

 

「旋風!回転拳!」

 

「旋風!回転脚!」

 

射出時の勢いを使って、それぞれ1体ずつ攻撃して吹き飛ばす。

 

「星夜!助太刀するぜ!」

 

「倒せなくても、援護くらいなら!」

 

「頼む!」

 

周りは2人に任せてスコールに突撃する。

 

「いくぜ!…このチュウチュウ虫ヤロウ!」

 

「さて…いくよ!」

 

銀河と北斗はそれぞれ左右に別れて敵を引き付ける。

 

「GEOSの完成型かしら?まとめて貰うわよ。」

 

「そう言うのは『とらぬ狸の皮算用』って言うんだよっ!」

 

スコールはまだ手加減モードではあるようだが1対1に戻ったのはありがたい。

 

──

 

「せいっ!」

 

「はぁっ!」

 

2体のGEOSは電童を狙う敵を優先的に攻撃して、星夜が集中出来るようにしている。

 

「これって武器とかねぇのか!」

 

「あっても僕も銀河も使えないよ!」

 

なかなか敵を減らせない事に苛立つ銀河がぼやく。

現在GEOSに武装の類いは付いていない。

訓練も無しに使えるものでは無いのを2人は解ってはいる。

 

『草薙くん、出雲くん。聞こえますか?』

 

「布仏さんっ!?」

 

「聞こえてっけど、なにっ!?」

 

戦う2人の耳に虚からの通信が入る。

 

『こちらからサポートします。』

 

2人の視界にGEOSのステータスが表示される。

虚がピットから遠隔操作しているようだ。

そして、その中からひとつの項目がクローズアップされる。

 

「これって……。」

 

「必殺技ってやつか!」

 

『私が合図したらそのコマンドをインストールして下さい。それで相手は一掃できるはずです。』

 

「わかった!」

 

「わかりました!」

 

『まずは追い込みます。出雲くんは正面に居る敵をそのまま押し込んで下さい。』

 

「おうっ!でりゃぁっ!」

 

銀河は言われるままにソルジャー達を殴り、吹き飛ばす。

 

『草薙くん、そのまま前進して敵の中央に!』

 

「はいっ!」

 

北斗は脚のドライブユニットをタイヤの様に使い、姿勢を低くし、素早く移動する。

 

『出雲くんは草薙くんの真上を目指してジャンプです!』

 

「了解っ!」

 

GEOSのパワーアシストを活かして大きく跳躍する銀河。

 

『2人供!今です!』

 

「「SP1!コマンド!インストールっ!」」

 

虚の指示に合わせて2人は表示されていたコマンドを選択。

両腕のドライブユニットが高速で動き、エネルギーが溢れ出す。

 

「「閃光!雷刃撃!」」

 

両腕から巨大な閃光を放ちながら、回転する。

地上と空中で同時に放たれたエネルギーの刃。

ソルジャー達は避ける事が出来ず、ほぼ全てが爆発した。

 

「よっしゃぁっ!」

 

「うまくいきましたね。布仏さん。」

 

『まだ本命が残っています。気を抜かずに。』

 

2人は星夜の方を向き、走り出す。

 

──

 

「まさか、あの数を簡単に潰すなんてね… 。」

 

「俺達を甘く見るなよ!」

 

二つの閃光雷刃撃がソルジャー達を消した瞬間、スコールが呟いた。

 

「あっちも失敗したみたいね…。そろそろ帰らせてもらうわ。」

 

「逃がすかよ!今日こそ捕まえる!」

 

一瞬、通信でもしたのかスコールが突如として撤退をし始めた。

 

「あなただけならなんとでもなるのよ。」

 

「ちっ炎の鞭か!」

 

スコールは両手に出した炎の鞭を振るう。

少し距離を取って避ける。

 

「これはサービスよ!受け取りなさい!」

 

両手から小さい火の玉を大量にばら蒔くスコール。

 

「この程度の炎ならっ!」

 

それを無視して飛び込もうとする…がすぐに電童がデータを解析し、警告する。

瞬間的に反応して大きく離れる。

 

「なんだ!?このエネルギー反応は!?」

 

「ふふっ!そうよ!避けて正解よ!」

 

スコールが笑うと同時に小さい火の玉は大爆発を起こした。

 

「ぐっ!」

 

恐らくは圧縮した炎を投げつけたのだろう。

直撃したらただではすまない。

 

「じゃあね、これはお土産よ。」

 

スコールがそう言うと同時にアリーナのバリアを突き抜けて巨大な何かが落ちてくる。

 

「こいつはっ!?」

 

『エネルギー反応大!天野くん!気を付けて!』

 

虚先輩から通信が入る。

落ちてきた物が立ち上がる。

赤いボディに銀の手足、右肩にはキャノン砲らしきものがついている。

 

「いつぞやの戦闘機怪獣の仲間かっ!」

 

この出鱈目な感じはそうだろう。

恐らくスコールが撤退時の妨害用に前もって待機させていたようだ。

スコールは入れ替わる様にバリアに空いた穴を通って行ってしまった。

 

\ギシャアァァァッ!/

 

「お、おい!星夜!なんだありゃあっ!?」

 

「デカイ!20m近くあるっ!?」

 

戦闘機怪獣の事は当事者のみしか知らないから当然だが、銀河と北斗が驚く。

 

「銀河!北斗!こいつらを使え!」

 

2体のデータウェポンをそれぞれの前に召喚する。

 

「おう!」

 

「わかった!」

 

銀河の前にレオサークル、北斗の前にユニコーンドリルが現れる。

 

「レオ!」

 

「ユニコーン!」

 

「「ドライブ!インストール!」」

 

レオとユニコーンをそれぞれ装備して構える。

 

「このデカブツは危険だっ!気を付けろよ!」

 

「見りゃわかるっ!」

 

「でも、逃げるわけには行かない!」

 

『皆さん、敵が動きますっ!』

 

肩に付いたキャノン砲を構え、こちらを狙ってくる。

銃口に光が溜まっている所からレーザーキャノンのようだ。

 

「当たるかよ!」

 

横に避けると同時に一筋の閃光が走る。

避けたレーザーがアリーナのバリアに当たり、眩い光を放つ。

 

「うおっと!」

 

「な、なんて火力だ!」

 

初めて見る敵の力に驚く銀河と北斗。

 

「虚先輩!増援は無理そうですか?」

 

『お嬢様が織斑くんと一緒にそちらに向かってます…が距離的に少し難しいかも知れません。』

 

「了解!」

 

「覚悟しやがれっ!デカブツヤロー!」

 

「行くよ!」

 

3人でそれぞれの方向から飛び込む。

 

「まずは…俺からだっ!」

 

主兵装と思われる肩のレーザーキャノンに向かって各射撃武器を放つ。

 

「くらえっ!」

 

「でりゃぁっ!」

 

銀河と北斗もそれぞれデータウェポンを使い、攻撃しているがあまり効果は無いようだ。

 

「おいっ!これ効いてるのかよ!?」

 

「まるで蚊に刺された程度にしか反応しないよ!」

 

「兎に角、脚を狙ってくれ!」

 

チクチクとやって来る俺達に嫌気がしたのか敵は腰から大量のミサイルをばら蒔く。

 

「あぶねぇ!」

 

『草薙くん、ファイヤーウォールを!出雲くんもその後ろに!』

 

「は、はい!」

 

「おっとと!」

 

ミサイルの爆煙に紛れ、一気に近づく。

 

「爆砕!重落下!」

 

肩のレーザーキャノンを真ん中から凹ませる。

 

「よし!まずはひとつ!」

 

「負けてらんねぇ!飛翔!烈風波!」

 

銀河が飛翔烈風波を放ち、敵の姿勢を崩す。

 

「続けて喰らえ!レオ旋風脚!」

 

脚に付けたレオのサークルカッターを起動させ、銀河が飛び込む。

敵は頭を銀河の方に向ける。

 

「駄目だっ!ファイヤーウォール!」

 

北斗が何かに気づき、銀河の前に割り込んでファイヤーウォールを展開する。

次の瞬間、敵は口を開き、その中からレーザーを放った。

レーザーはファイヤーウォールに当たり霧散する。

 

「銀河!突っこみ過ぎ!」

 

「すまねぇ北斗!」

 

『皆さん、アリーナのバリア発生装置が過負荷の為、異常が発生しています。早めの決着を。』

 

虚先輩からの通信を聞き、確認すると確かにアリーナのバリアが不安定になっている。

 

「わかりました!」

 

「どうする?星夜!」

 

「俺が奴を止める!その隙に2人でファイナルアタックだ!」

 

体勢を立て直そうともがく敵に残っている射撃武器を全て叩き込む。

怯んでる間にガトリングボアを召喚する。

 

「ボアドライブ!インストール!」

 

ボアを装備しクロックマネージャーを起動する。

 

「クロックマネージャーッ!」

 

敵を全力で停止させる。

対象がデカイからかいつもよりエネルギーの減りが早い。

 

『草薙くん!出雲くん!今です!』

 

虚先輩の通信に合わせ、2体のGEOSが四肢のドライブユニットを全力で稼動させ、エネルギーをデータウェポンに送る。

 

「レオサークルッ!」

 

「ユニコーンドリルッ!」

 

「「ファイナル!アタック!!」」

 

レオサークルから放たれた光輪は敵の四肢を切り落とし、ユニコーンドリルから放たれた螺旋状のエネルギーが敵の中心を貫く。

 

\グゴアァァァァッ!/

 

前と変わらず大きな爆発を起こし、四散する。

 

「敵の撃破を確認!」

 

「これで終わりなのか?」

 

「そう…みたいだね。」

 

『はい、周辺に敵性反応はありません。そのままピットに戻って下さい。』

 

周りで見ていた人たちはあくまで演出と思ってくれたようだ。

 

「銀河、北斗。ありがとう。」

 

「いいってことよ。」

 

「うん、僕達がやりたくてやったことだから。」

 

そんな事を口にしながらピットに向かい歩く。

 

──

 

IS学園の地下にある特別区画。

ここは教師達でも入れる者は一握りである。

 

(さすがに…ここまで来ない…か?)

 

その区画の通路に立つ千冬。

その手にはISが使うブレードが握られていた。

 

「おやおや、弟さんが大変な目に合ってるのに、こんな所で油を売っていてもよろしいのですか?」

 

通路の影から現れたのは白いスーツを着たスキンヘッドの男性だった。

 

「貴様…何者だ。部外者がここにこれる筈は無いのだがな。」

 

千冬はスーツの男を睨み付ける。

 

「あぁ、そんなにセキュリティも固くなかったので大した物は無いのかと思いましたよ。」

 

IS学園の中で最も厳重にセキュリティをかけてあるこの区画、散歩感覚でこれる場所では無い。

 

「そう思うならとっとと出ていって貰おうか?」

 

「いえいえ、私にも事情がありましてね。」

 

敵意を隠さず睨み付ける千冬。

 

「貴様らの事情など知らんな。それ以上進むのならそれ相応の覚悟をしてもらうぞ。」

 

「ふむ、ISを持たない貴女が?」

 

話ながらも歩みを止めない男に向かい、千冬は手に持ったブレードで切りかかる。

 

「この程度ですか…。」

 

「な、なに!?」

 

千冬が振るったブレードをいつの間にか持っていた如意棒の様な武器で止める男。

 

「いかに世界最強と謳われても、ISありきですか。」

 

「ぐっ!」

 

男は棒を軽く振るい、ブレードを弾く。

 

「もう少し、出来ると思ったのですが。」

 

「貴様…。」

 

ギリッと音がするほど強く奥歯を噛み締める千冬。

力を込め、ブレードを縦に振るう。

 

「今日は貴女の相手をするために来た訳では無いんですよ。失礼。」

 

男が棒を横に振るい、ブレードを弾く。

それだけでは終わらず衝撃波が千冬を飛ばして壁に背中から叩きつける。

 

「かはっ!」

 

「おや?まだ立ち上がれますか。」

 

体中に走る痛みをこらえて立ち上がる千冬。

 

「貴女なら、力量の差を理解していただけると思ったのですが。」

 

「くっ!」

 

先程までと違い、しっかりと構える男。

千冬もブレードを構える。

 

「ならば仕方ありません。消えてもらいましょう。」

 

男が一歩踏み出そうとする、その瞬間。

 

「がっ!!」

 

「なっなんだ!?」

 

男が宙を舞う。

まるで何かに殴られた様に。

 

「やはり、ここに居たか。」

 

千冬にとって聞き覚えの声が聞こえる。

気がつくと千冬の目の前に電童の様なシルエット。

GEOSが立っていた。

その腕にはバイパーウィップとブルホーンが装備されている。

 

「アルクトスか!!」

 

「あぁ。」

 

「くっ…!あなたまで来るとなると流石に分が悪いですね。」

 

GEOSを使った一撃を生身で受けたにも関わらず男は立ちあがる。

 

「貴様…人間では無いな。」

 

「えぇ、当然。」

 

アルテアからの問いに普通に答える男。

 

「この場であなたと戦うのは、私としても得策ではありません、退かせて頂きましょう。」

 

「ま、待てっ!」

 

「逃がさん!」

 

男が後ろに飛び下がる。

千冬とアルテアはそれを追う。

 

「させませんよ!」

 

男はどこからか取り出したラグビーボールの様なものを投げつける。

 

「むっ!下がれ!」

 

「爆弾か!?」

 

それが何かすぐに察した2人は後ろに下がり、GEOSの後ろに千冬が回る。

ドンッと大きな音を立てて爆発する。

通路は炎と煙で埋め尽くされる。

 

「大丈夫か?千冬。」

 

「くっ…!逃がしたか…。」

 

視界が晴れる頃には男は姿を消していた。

 

「助かったのは確かだが…何故ここに居る?アルクトス。」

 

「お前と同じ様に、この特別区画に侵入を企てる者に心当たりがあってな。」

 

GEOSを解除しながら話をするアルテア。

 

「鍵はデータウェポンで解除したのか?」

 

「あぁ、緊急処置だ。奴は以前GEARチャイナ調査時に現れた。その時も重要区画に平然と入り、各情報を消されてしまった。」

 

「なんだと!」

 

「亡国機業でも特別な立場とそれ相応の実力を備えている。」

 

「GEARも奴を追っている。何か判れば連絡しよう。」

 

「わかった…。」

 

そのまま歩いていくアルテアを追うように千冬も特別区画を歩く。

 

「GEOSはデータウェポンを使えるのか。」

 

「これは市販品とは異なる特別品だがな。バイパーウィップ、ブルホーンありがとう戻ってくれ。」

 

Gーコマンダーに入るバイパーウィップとブルホーン。

 

「GEARは…どこまで知っているんだ?」

 

「そちらの轡木学園長とGEARの西園寺会長は旧知の仲らしい。我々が思っているよりも裏で色々と繋がっているようだな。」

 

「そうか…。」

 

「安心しろ。私もベガも君の味方だ。それだけは信じて欲しい。」

 

「あぁ信じている。」

 

2人が通常区画に戻る頃には学園祭の終了を知らせるアナウンスが廊下に響いていた。




今回はここまで!
いかがでしか?
今回は大分冒険して見ました!

今回の敵は電童第1話に出てきた機獣〈オービトン〉のイメージです。

ご意見、ご感想はお気軽にどうぞ!

────

銀「なぁ北斗。」
北「なに?銀河?」
銀「これって返さなきゃダメなのか?」
北「えっと…返さなきゃダメじゃないかな?」
銀「でもよ、アルテアさん俺達用だって言ってたじゃん?」
北「確かに言ってたね。でも、これって一般人の僕たちが持ってて平気なのかな?」

次回!IS戦士電童
第55話《後片付け》

銀「返せって言われたら渡せばいいか。」
北「後でアルテアさんに聞いてみるよ。」
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