IS戦士電童   作:東風乃扇

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皆さん!明けましておめでとうございます!
東風乃扇です!

新年最初の投稿ですが、正月特別編とかでは無いです。

そういうのはちょっと自分には難易度が高いです……。

では第59話!始めるデース!


第59話《新たな可能性》

キャノンボール・ファスト

ISを使った何でもありの高速レースは、亡国機業と思われる組織の乱入で中断となった。

 

「ねぇ、星夜。」

 

「なんだ?鈴?」

 

俺─天野星夜─は気絶しているセシリアさんを運んでいた。

 

「その、その子って……。」

 

鈴の言葉を継ぐ簪さんが、飛焔を見る。

 

「こいつは飛焔。本音さんのギャオちゃんと俺のブースター〈ヴァルハラ〉が合体して誕生した。輝刃と似たような感じかな?」

 

「そ、そうなんだ……。」

 

「今度は恐竜でバイクかぁ…ホント、バリエーション豊富ねー。」

 

「確かにね。よし、先生が居た、降りよう。」

 

アリーナの前に織斑先生達が居たのでそこへ降りる。

セシリアさんを担架に乗せ、後は医療班の人に任せる。

 

「お前達、よく戻った。」

 

「織斑先生…。」

 

機体を解除し、織斑先生の前に並ぶ。

 

「詳しい事は報告書に書け。今は医療班に従い検査、その後は追って指示する。」

 

「「「はい!」」」

 

俺、鈴、簪さんで返事をし、医務室へ行き、検査を受けた。

 

──

 

アリーナの医務室にて簡単な検査をし、特に異常は無かった。

比較的早く終わった俺はスバル、銀河、北斗とアリーナの近くにある公園で話していた。

 

「学園祭に続いて今回も助けられたな。」

 

「何言ってんだよ、当然だろ?」

 

「僕と銀河は最後に良いとこ取りしたみたいな物だし。」

 

「星夜の頑張りがあっての事でもあるぞ。」

 

自分がチケットを送ったスバルはともかく、銀河と北斗が来ていたのは正直驚いた。

俺が出ることは元々知っていたので、チケットの抽選に参加したが、高倍率な事もあり、落選。

せめて近くで応援しようと来てくれていた。

 

「会場の周りにも出店があるだろ?それだけでも祭りぽくってな。」

 

「実際銀河は星夜のレースが始まるまで、ずっと食べてたしね。」

 

「銀河らしい。」

 

「全くだ。」

 

はははっと笑い声が響く。

 

「あ、もしかして乙女ちゃんとかも居たのか?」

 

「あぁ、来てたけど、母ちゃんと一緒に避難して先に帰ってる。怪我なんかしてねぇよ。」

 

「そっか、よかった。」

 

出来る限りの事はしたが、被害が無かったわけではない。

 

「おーい!星夜ー!」

 

気がつけばそこそこの時間が経っていたようで、一夏がやって来た。

 

「ん?結構話し込んでたな。」

 

「4人揃うのは久しぶりだもんね。」

 

「なんかあったのか?」

 

「そろそろ帰るのかな?一夏、どうした?」

 

取り敢えず、一夏に確認をする。

 

「今日はもう帰っていいぞって言われたから、声かけに来たんだよ。」

 

「あぁ、わざわざ悪いな。じゃ、3人とも、またな。」

 

3人に挨拶して、別れようとすると、一夏が。

 

「なぁ、俺達はこの後、パーティーやるんだけど、折角だし来ないか?」

 

「「「「え?」」」」

 

突然の提案に驚く俺達だった。

 

──

 

「では!織斑一夏くんの誕生日を祝して!」

 

\乾杯!/

 

楯無先輩の合図で、全員が手に持ったコップを上げる。

現在、織斑家にて、一夏の誕生日パーティーだ。

 

元々参加予定だった俺達一年生専用機持ちと本音さん。それに加え、楯無先輩、虚先輩、黛先輩。

更に一夏の友人である、五反田兄妹、御手洗さん。

俺の友人の銀河、北斗、スバルだ。

セシリアさんは怪我があるが、日常生活には問題ないとの事で、参加している。

 

リビングだけでは足りず、隣の部屋も使って行われている。

 

「ホントに良かったのか?折角の誕生日パーティーなのだろう…。」

 

「僕はお店に来たことがあるから、顔見知りだけど…。」

 

「別に気にしなくていいんじゃねぇの?本人が言ったんだし。」

 

最初、単にパーティーと聞いてたが、実は誕生日パーティーだったと知り、少し遠慮がちな北斗とスバル。

そして全く気にしないで料理を食べる銀河。

 

「まぁ、気にしなくていいと思うぞ。」

 

ちなみに、パーティーをやる前にそれぞれの自己紹介は済ましてある。

 

「あ、あの!今日はありがとうございました!」

 

スバルと俺の所へ蘭さんが来て、頭を下げる。

 

「いやぁ、蘭さんが無事で良かった。」

 

「あぁ、気にすることは無い、出来ることをしただけだからな。」

 

そのまま、しばらく会話をして、蘭さんは離れていく。

 

「よし!そろそろ渡しに行くか。」

 

皆が順番にプレゼントを渡して居たので、一通り終わったタイミングで一夏の元へ。

 

「一夏、改めておめでとう。」

 

「あぁ、ありがとうな、星夜。」

 

「まぁ、流れ的にわかると思うが俺からのプレゼントだ。」

 

そう言ってから、箱を渡す。

 

「おぉ、星夜のは何が入ってるか想像がつかねぇな。」

 

「じゃ、開けてみな。」

 

一夏は丁寧に箱を開ける。

 

「こ、これは!?」

 

箱から出てきたのは、1体の鳥型ペットロボだ。

 

「今度GEARから発売される新型モデルだ。ちなみに色は白式に合わせた専用色。非売品だぞ。」

 

「うおぉう。皆から色々貰ったけど、釣り合うお返しなんかできねぇぞ。」

 

「安心しろ、別にお返しが欲しくてやった訳じゃないぞ。」

 

「そうかもしれないけど、確か星夜は12月だったよな。ちゃんと考えておくぜ。」

 

「あぁ、楽しみにしてる。あ、一夏、そいつの初期設定は一通りしてあるけど、名前はまだ決まってないから早めに付けてやれよ。」

 

「あぁ、わかった。どうやるんだ?」

 

箱から説明書を出して、確認する一夏。

 

「簡単だ、そいつの目を見ながら『お前の名前は~』って言えばいい。」

 

「よし!じゃあお前の名前は…」

 

一夏は自分の手の上に乗せたペットロボを見ながら言う。

 

「白翼(びゃくよく)だ。」

 

「ストレートにつけたな。」

 

「分かりやすい方がいいだろ?」

 

「それもそうだな。それで設定は完了だ。細かいのは説明書読め。」

 

「あぁ、ありがとうな。」

 

白翼は一夏の肩に泊まる。

 

「大切にしろよ~。」

 

そう言ってから一夏から離れる。

 

「ん?北斗は?」

 

「あっちで眼鏡のねーちゃんと話してるぞ。」

 

銀河の指す方を見ると確かに北斗と虚先輩が話している。

 

「そっとしておこう。」

 

「そうだな。」

 

「なんで?」

 

いまいち理解できない銀河が首を傾げる。

俺とスバルで銀河の両肩を掴み、引きずる。

 

「皆~!人生ゲームをやるわ!人数多いからこのくじでコンビ作るわよ!」

 

その後は鈴が持ち込んだ色々なボードゲームで遊んだ。

 

──

 

「今日はありがとう。」

 

「あぁ、こっちも楽しかったぜ。」

 

楽しい時間はあっという間に過ぎた。

最後に一通りの片付けをして、解散だ。

北斗、銀河、スバルは少し家が遠いので、近くのバス停まで見送りだ。

3人を乗せたバスが見えなくなり、俺と一夏で歩き出す。

 

「あ~!やっぱり皆で楽しむのはいいな!」

 

「そうだな。しかし、なんか悪かったな。3人も参加させて。」

 

「だって、久しぶりに揃ったんだろ?だったら皆で楽しみたいなって。」

 

一夏なりに俺に気を使ってくれていたようだ。

 

「まぁ確かに多い方が盛り上がるしな。」

 

実際コンビでやった人生ゲームやモノポリーは、おおいに盛り上がった。

 

「ん?」

 

「どうした?星夜?」

 

ふと、目の前の十字路、その横の道に人の気配を感じる。

 

「誰だ?」

 

「ほう、平和ボケしている日本人にしては鋭いようだな。」

 

少し、強めに呼び掛けると、返事と共に2人出てきた。

 

「……っ!?」

 

「……なっ!?」

 

俺と一夏は驚きを隠せなかった。

後ろにいる男はバイザーで顔は解らない。

だが、前にいる女性の顔は…。

 

「ち、千冬姉………?」

 

そう、織斑先生を俺達と同じくらいの年齢にしたような顔つきなのだ。

実弟である一夏がそう言ってしまうのだから、似ているのだろう。

 

「違う……。」

 

笑いとも、怒りとも判断が出来ない表情で俺達、特に一夏を睨む。

 

「私は……私は………貴様だ!織斑一夏!」

 

「な、なに!?」

 

「どう言う事だ…?」

 

相手の意図がわからず、構えることしか出来ない。

 

「まぁ、そんなことはどうでもいい。」

 

彼女は、右手にハンドガンを持っていて、こちらに向けてきた。

 

「私は…織斑マドカ……私が私で在るために、お前を消す。」

 

「マドカ…?お前、サイレント・ゼフィルスの!」

 

驚く一夏を横目に、マドカと言う名前に対して思い当たる事があったので、口に出す。

そう、凰牙が一度、サイレント・ゼフィルスのパイロットをそう呼んでいたはずだ。

 

「そうだ。電童のパイロット…天野星夜。」

 

後ろに居た男がマドカの隣に立ち、ハンドガンを下ろさせる。

 

「邪魔をするのか?A。」

 

「ここでやりあっても面倒なだけだ。顔見りゃ十分だろ。」

 

マドカはAを見て、小さく舌打ちをすると銃を上着の中にしまった。

 

「次に会うとき、貴様の命を頂く、織斑一夏!」

 

「お前の命も貰うぜ?天野星夜!」

 

2人は後ろに飛び退き、死角に移動する。

 

「待て!」

 

「待ちやがれ!」

 

俺と一夏はすぐに追うが、そこに姿はなかった。

 

「織斑……マドカ…………。」

 

一夏は相手が名乗った名前を呟く……。

あの言い方、一夏や織斑先生と全く無関係では無いのだろう。

 

──

 

その日の晩、IS学園の寮に戻った俺は部屋で考えていた。

サイレント・ゼフィルスのパイロット達に会ったことは皆にはまだ伏せている。

理由としては、一夏が折角の誕生日パーティーに水を差したくないと言ったからだ。

 

「凰牙のパイロット……。」

 

恐らくあのAと呼ばれていた男が、凰牙のパイロットだろう。

つまり、3人目の男性操縦者だよな。

あいつはなんで俺を狙ってるんだ…。

 

「顔を見ればなんか解るかと思ったけど…。」

 

サングラス越しとは言え、記憶に無い。

でも、あいつは俺を狙っている。

 

「確かラゴウはあいつのデータウェポンみたいだし…。」

 

いくら考えても思考が行き詰まる。

 

「駄目だ。寝よう…。」

 

諦めて寝ることにした。

 

──

 

「えぇ!?」

 

「サイレント・ゼフィルスのパイロットに!?」

 

「あぁ、昨日の夜にな。」

 

月曜日の夕方。

織斑マドカという名前に関しては伏せ、全員に説明している。

学園にも報告済みだ。

 

「サイレント・ゼフィルスのパイロット…一体何が目的なんだろう。」

 

「織斑くん、何か思い当たる事は?」

 

「さぁ、な。」

 

シャル、簪さんの問いかけに対して短く返す一夏。

昨日のあの直後から、時折険しい表情をする。

何か引っ掛かるのか…?

 

「星夜さん、他には何も?」

 

「あぁ、昨日はただの顔見せって感じだったな。」

 

セシリアさんの問いかけに答える。

銃を向けらたが、ISを持ってる者には威嚇にもならない。

そんなことは百も承知だろう。

 

「兎に角、やつらは2人を名指しで宣言したのだな?」

 

「Mって奴が一夏。Aって奴が俺をな。」

 

「A……確か凰牙のパイロットだったか?」

 

ラウラが顎に手を添えて考える仕草をする。

 

「おい、お前達。」

 

急に織斑先生が声を掛けてきた。

 

「な、なんだ?千冬ね\スパーンッ!/」

 

「口の聞き方を気を付けろ。織斑先生だ。」

 

「す、すみません。」

 

いつものように出席簿で一夏を叩く。

その後、こちらを見渡す。

 

「昨日の件については後はこちらでやる。不用意に掘り返すな。何気ない一言が情報の漏洩に繋がる時もある。」

 

「は、はい。」

 

どうやら俺達に釘を刺しに来たようだ。

 

「あと、オルコット。お前は本来なら謹慎処分になる事をしたのだ。それを忘れるな。」

 

「はい、申し訳ございません。」

 

市街地の上空で戦闘になった原因として、セシリアさんの無理な追撃が挙げられている。

事後処理が長引いているのは市街地の被害確認に、時間を割かれているからだそうだ。

 

「各自、報告書は出来次第、速やかに提出しろ。いいな。」

 

「はい。」

 

一通り伝える事を伝えたのか、織斑先生の目付きが少し柔らかくなる。

 

「所で、お前達はいつもこのメンツで食事してるのか?」

 

「そうですね。部活とかで抜けたりするのはありますけど、基本は専用機持ち全員が揃ってますね。」

 

「そうか、交流を深めるのもいいが、たまには広げるようにしろよ?」

 

織斑先生はそう告げると奥の席にいる山田先生の所へ向かった。

 

「先生から見て、俺達って固まり過ぎってことかな?」

 

「クラスの子から、『織斑くんを専用機持ちで独占しすぎ。』とか言われる。」

 

「あたしもそんな感じに言われるわね。」

 

簪さんと鈴が俺の言葉に頷く。

そう言われると、確かにクラスメイト達とも会話はするが、それこそ一言、二言位だ。

 

「専用機持ち以外だと……本音さんと虚先輩位か…………。」

 

確かにこれだと交友関係が非常に狭い。

 

「周りが女子しか居なくて、自然と知ってる奴としか話して無いな…。」

 

俺も一夏も、自分から話しかけるなんて、しないからなぁ。

女子の話題なんてわかないし。

 

「まぁ、少しは意識しよう…。」

 

周りに壁作っていいこと無いしね。

 

──

 

翌日の放課後、キャノンボール・ファストの際に破損した機体の修理が終わり、全員でアリーナに集まって居た。

理由は簡単だ、あの時に起きたいくつかの事を確認するためだ。

いつも通りGEARで井上さん達が調べてくはいるが、少しは自分達でも考えたい。

 

「ファイルロード!飛焔!」

 

まずは飛焔の確認だ。

俺のコールに合わせ、飛焔が通常形態で表れる。

 

「ふむ、これが飛焔か…。」

 

「輝刃と同じように、2体のデータウェポンの力を受けて、誕生したんだね。」

 

ラウラや簪さんが飛焔をぐるっと見渡す。

 

「えっと、この間はバイクみたいになってたけど他には?」

 

「通常形態とは別にバズーカと背部ブースターに別れる〈ブラスター〉、エアバイク型の〈スライダー〉、戦闘機型の〈ファイター〉だな。」

 

「飛焔に特殊能力は?」

 

「それは確認出来なかった。」

 

鈴と箒さんの疑問に答える。

 

「輝刃はユニコーンとレオだったけど、今回は?」

 

「恐らくはドラゴンとボアが反応した。」

 

あの時の事で、あの声の事だけは皆には言っていない。

俺自身、しっかりと説明出来る気がしないからだ。

 

「飛焔はこのくらいだね。次は…」

 

「輝刃の特殊能力だな。」

 

シャルが一旦区切る。

それに合わせて輝刃を召喚する。

 

「あいつを倒すときにどんな事が起きたんだ?」

 

当事者の一夏と箒さんに聞く。

 

「俺と箒で輝刃を持ち上げたら、いきなり輝いてな。」

 

「直後に私たちの機体のエネルギーが回復した。」

 

「〈絢爛舞踏〉じゃないの?」

 

「あぁ、私と一夏も最初はそう思ったが絢爛舞踏が発動した記録はなかった。」

 

簪さんが確認すると、箒さんは首を振った。

 

「あと、ファイナルアタックに違和感があったな。」

 

「違和感?」

 

「あぁ、あんまり使った事無いけど、やけに軽かった。」

 

「軽い?」

 

一夏の表現に首をかしげる。

 

「そう、なんか敵が柔らかすぎるって言うか…。」

 

「確かに、横から見ていても、具体的には言えないが違和感はあったな。」

 

ラウラが一夏の話を肯定する。

 

「とりあえず一度試して見よう。輝刃ドライブインストール!」

 

輝刃をストライカー形態で装備する。

 

「ん~ステータスに変化は無いな…。」

 

本来、特殊能力が増えたのなら、装備した機体にその情報が流れるはずなのだが、それはなかった。

 

「まだ、何か足りないのかな?」

 

「やはり、星夜さんが居ないと駄目なのでしょうか?」

 

もしかしたら、一夏と箒さんに一時的に反応しただけなのかも…。

そう考え、輝刃を解除する。

 

「あとは…。」

 

「えぇ、わたくしですわね。」

 

今日、一番の気になる点だ。

俺がセシリアさんの所に駆けつけた時、遠目ではあるが、セシリアさんが纏っていたブルー・ティアーズは普段と違っていた。

最初はブルー・ティアーズがセカンド・シフトしたのかと思った。

だが、今セシリアさんが纏っているのは、今まで通りのブルー・ティアーズだ。

 

「私もうまく説明出来る自信はございませんが…。」

 

そう言いながらユニコーンを隣に召喚するセシリアさん。

 

「星夜さんは少し見られたかも知れませんが、あの戦いの中、ブルー・ティアーズは進化していました。」

 

「なに!?」

 

「で、でも今は!」

 

セシリアさんの言葉にラウラとシャルは驚きの声をあげる。

 

「そうです、今は戻っております。恐らく、あの時、私のブルー・ティアーズとユニコーンさんが合体していたのでは?と考えています。」

 

「えぇっ!?」

 

「が、合体ぃ!?」

 

セシリアさんの考えに皆、驚きを隠せない。

 

「普段は腕に装備する形で力をお借りしますが、あの時、機体の全てにユニコーンさんの力を感じました。」

 

横にいるユニコーンを優しく撫でるセシリアさん。

 

「きっと、私とユニコーンさんの『信頼』が更なる高みへと登った状態なのでは?」

 

「う~ん。」

 

「なるほど。」

 

話を聞いて、全員が軽く考える。

 

「データウェポン達のセカンド・シフトと言った所か?」

 

「そうかも知れんな。」

 

「ねぇ、セシリア、今は出来ないの?」

 

「一回試したのですが、正直、あの時は無我夢中だったので…。」

 

「まぁ、仕方ないよ。」

 

あの時はセシリアさんも傷だらけで危なかったし。

 

「だあぁ~っ!!わっかんねぇ!」

 

一夏が頭を掻くような仕草をする。

 

「まぁ、ここで考えて解るようなら、専門家は要らないわよね。」

 

「うん、そうだね。模擬戦、しようか?」

 

そんな様子を見て、鈴とシャルが話を切り替える。

その後は軽く模擬戦を行った。

 

──

 

放課後のIS学園、その職員室で千冬は自らの携帯を操作し、電話をかける。

その画面には『ベガ・アルクトス』と表示されている。

 

『もしもし?珍しいわね。貴女からかけてくるなんて。』

 

「あぁ、2つ頼みたいことがあってな。実は──」

 

千冬は自分の用件を速やかに伝える。

それを聞き、ベガは電話の向こうで静かに笑う。

 

『なるほど、面白そうね。』

 

「そこで、お前達に協力してもらいたい。」

 

『えぇ、わかったわ。細かい所はこちらで決めても良いのかしら?』

 

「あぁ、そちらに一任する。出来れば可能な限り内密にな。」

 

『ふふ、任せなさい。目処が付いたら連絡するわ。』

 

「頼む。」

 

それを最後に電話をきる。

 

「さて、これで少しは良くなるといいが…。」

 

千冬は携帯をしまいながら、職員室を後にする。

 

──

 

翌日、朝のSHRを行う教室。

 

「皆さん、少し急ではありますが、後日、専用機持ちの方々でトーナメント形式の模擬戦を行います。」

 

山田先生がクラスにしっかりとした声で伝える。

 

「えっと…つまり、俺達、専用機持ちがやるってことですか?」

 

一夏が山田先生に聞き返す。

 

「はい、織斑くん達一年生の8名だけでなく、二年生の更識さんとサファイアさん、三年生のケイシーさんのも含めた全員。11名で行います。」

 

やっぱこう聞くと今年の専用機持ちの多さは異常だな。

しかし、いきなりこんなのやるなんて、理由はやっぱり…。

 

「山田先生、今回のトーナメントの目的を教えて下さい。」

 

ラウラが手を上げ、質問する。

 

「はい、先日の〈キャノンボール・ファスト〉における所属不明機の乱入、今後のこのような事態に備え、各自のレベルアップを図るためです。」

 

「わかりました。ありがとうございます。」

 

ラウラが山田先生にお礼を言いながら手をさげる。

 

「詳しい内容は本日中、プリントにて配布しますので、しっかりと確認するようにしてください。では、朝のSHRを終わります。」

 

山田先生の言葉に合わせて日直が号令をかける。

 

──

 

午前の授業が終わり、食堂に行く。

今日は少し用事があったので、皆とは別だ。

 

「あっ!あまのんだ~。」

 

「あれ?天野くん1人?珍しいね~。」

 

「少し用事があってね。」

 

本音さんが俺に気付いて手を振ってくる。

一緒の机で食べていたクラスメイト達も反応する。

やっぱり専用機持ちはセット感覚があるみたいだな。

 

「天野くん!ここ空いてるよ~。」

 

「いいの?」

 

「いいよ~!」

 

「さ、座って座って!」

 

空いている席に座って飯を食う。

 

「天野くんもこの半年で変わったよね~。」

 

「そう?」

 

口の中の物を呑みこみ、返事をする。

 

「うん!だって2組の鈴ちゃんと付き合ってるじゃん!」

 

「だから!それは違うって!」

 

全力でツッコミを入れる。

 

「大丈夫大丈夫!皆わかってるから!」

 

テーブルに座る全員が良い笑顔でこっちを見る。

 

「いや!その顔はどう見ても楽しんでる顔だよね!?」

 

しかも本音さんも一緒になって笑ってる。

 

「だって、最近はうちのクラスに来るとすぐ天野くんの所に行くじゃん。」

 

「前は織斑くんだったけどね~。」

 

あ~。確かにそこは変わったな~。

 

「どうして天野くんになったのか気になるよね~?」

 

「いや、俺に聞かれてもわからん…。」

 

「何か心当たりは無いの?」

 

「全くない。あえて言うなら一夏の鈍感さのせいじゃないのかな?」

 

心当たりはホントに無いんだよなぁ。

 

「確かに言い出したのは織斑くんだよねぇ。」

 

こんな感じで他愛のない会話をしつつ食事をした。

 

──

 

午後の授業も終わり、教室でトーナメントに関するプリントが配られる。

参加者である俺達、専用機持ちは細かいルールが書かれた冊子だ。

 

「今回は個人のトーナメントとなります。」

 

「基本的なルールは公式戦と変わらないが、1つだけ加えさせて貰った。それが─」

 

\「『試合毎にデータウェポンを1体使用!?』」/

 

山田先生と織斑先生の言葉に続く形で俺以外の1組専用機持ちが声をあげる。

 

「そうだ。これに関してGEARから許可はとってある。天野も了承している。」

 

クラス全員が一瞬、俺を見る。

 

「試合を始める前にそれぞれに1体のデータウェポンさんをランダムで決め、使用していただきます。」

 

「装備するも召喚するのも自由だ。だが、収納するのは無しだ。常にデータウェポンを出すようにな。」

 

山田先生と織斑先生が軽く説明する。

 

「あの、これはどう言った意図で行われるのですか?」

 

ラウラが織斑先生に質問する。

 

「朝、山田先生が言ったように各自のレベルアップがトーナメントの目的だ。だか、それ以外にIS学園としては気になる事があってな。」

 

「それが、データウェポンですか?」

 

「今までの困難な状況において、それを覆して来たのは主にデータウェポンだ。しかし、データウェポンに関して解っている事が少なすぎる。」

 

織斑先生の言う通り、福音事件等はデータウェポン達が居なければ、俺達はどうなっていたのか解らない。

 

「でも、何で毎回ランダムなんだ?千冬姉。」

 

「織斑、口の聞き方に気を付けろ。様々なシチュエーションのデータを得るためだ。パートナー毎の違いを比べることも立派な情報だ。」

 

「トーナメント当日にはGEARのスタッフも来ます。機体情報の漏洩防止に関する要望等があれば、前もって教員の誰かに伝えるか、当日にGEARのスタッフの方に直接伝えてください。」

 

一通りの説明を終え、解散となる。

 

──

 

「皆、すまないが当日まで余りデータウェポンを使った練習は出来ないと思ってくれ。」

 

「え?何でだよ!?」

 

「やっぱりそうだよね。」

 

解散となった直後に俺の元へ来た、皆に向けて言った言葉に一夏が驚き、シャルが納得したような反応をする。

 

「一夏、今回のトーナメント参加者は?」

 

「えっと…俺達専用機持ちだろ?」

 

「そうだ。そのなかで不公平な部分があるのは解るか?」

 

「ん……??」

 

シャル、ラウラに言われ、考える一夏。

 

「そうか、楯無先輩以外の二年生と三年生にいる専用機持ちは、星夜やデータウェポン達を知らない。」

 

「あ……。」

 

箒さんが気付き、一夏もハッとする。

 

「そう、だから二年生のサファイア先輩と三年生のケイシー先輩が優先的に練習しないと、今回のトーナメントが成立しないんだ。」

 

「では、星夜さんはそちらのコーチに?」

 

「あぁ、最低でも各データウェポンの特性を教える事になってる。」

 

セシリアさんの質問に答える。

 

「そうか、上級生に対する指導とは中々難しいと思うが頑張れ。」

 

「ありがとう、じゃそういう訳で。」

 

「おう、頑張れよ。」

 

「鈴や簪にはこちらから伝えておくよ。」

 

一夏達に別れを告げ、早速データウェポン達とアリーナに向かう。

 

──

 

アリーナ。

そこで俺の前には2人の専用機持ちが立っていた。

 

「はじめまして、2人目の男性操縦者。天野星夜です。よろしくお願いします。」

 

「二年のフォルテ・サファイアっス。よろしくっス。」

 

「三年のダリル・ケイシーだ。よろしくな。」

 

今まで接点が全く無かった2人だが、今回の変則トーナメントに参加するため、データウェポンの事を教える事になった。

 

「じゃあ、まずはデータウェポンがどんな物か説明をさせてもらいますね。」

 

「おう、頼む。しっかし固いな~一年生。」

 

「別にウチらはタメ口でも気にしないっスよ~。」

 

こうして、先輩2人には各データウェポンの特徴の説明と実機での確認や模擬戦をして教えていった。

 

──

 

GEAR本社、データウェポン研究室では井上が端末を操作していた。

 

「う~ん。なぜ今回は飛焔は目覚めたのか…。そして、オルコットさんのブルー・ティアーズ…これは……。」

 

一心不乱に今回の事件で起きた現象の映像を見て、各データと見比べ、考える。

 

「調子どうかね?井上くん。」

 

「おや、社長。ここまで来るとは珍しいですね。」

 

そんなとき、部屋に社長である渋谷が入ってきた。

 

「今回は今まで以上に特殊だ。気になる事は多い。だが、それで体を悪くしたら本末転倒だぞ。」

 

渋谷は井上の肩を軽く叩く。

 

「あはは、そうですね。しかし、興味深いデータが多すぎます。何せ今回は前提条件が揃ってないのに起きているのですから。」

 

「そうだね。」

 

2人はモニターを見る。

 

「話は変わるが織斑千冬からの提案…君はどう思う?」

 

「私は悪くない提案だと思いますよ。今後、より激しくなることを考えれば必要でしょう。」

 

「うむ。負担ばかりで申し訳ないが、そちらの方も頼むぞ。」

 

「はい、任せて下さい。今回は報告会は向こうも忙しいと思うので、星夜くん達にはレポートで渡しましょう。」

 

「あぁ、任せるよ。」

 

渋谷は差し入れの入った袋を渡すと部屋を後にした。




はい、今回はここまで。
原作とは違ってタッグであって、タッグでは無い…そんな感じです。

原作だと中心になってた簪関係もすでにほぼ片付いてるので、原作要素が薄いです。

ご意見、ご感想等はお気軽にどうぞ!

───

ダ「喰らえっ!ドラゴンファイヤー!!」
フォ「なんのっ!グラビティアイスシールドっス!!」
ダ「へへっ!使えば使うほど楽しくなってくるな!データウェポンって奴は!」
フォ「そうっスね!それじゃ次の奴行くっスよ!」
ダ「よし!次は…!キバッ!」
フォ「こっちは…!ヒエン!」
ダ「ドライブインストールッ!」
フォ「ドライブインストールっスよ!」

次回!IS戦士電童
第60話《専用機持ちトーナメント》

ダ&フォ「「ファイナル!アタック!」」
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