IS戦士電童   作:東風乃扇

62 / 67
大変お待たせいたしました!
東風乃扇です!

モンハンワールドとか、スパロボXとかで投稿遅れました…申し訳ない…。


第61話《キズナ》

各モニターに映る映像を見て、千冬は…いや、その場に居たすべての者は驚きを隠せなかった。

 

「な、なぜだ…?」

 

「敵の電童が…データウェポンを……。」

 

星夜、鈴、セシリアの3人の前に立つ黒い電童は、確かにユニコーンドリルとレオサークルを装備していた。

 

「まさか…そんなはずは!?」

 

井上はコンソールを操作し、確認する。

 

「井上博士、わかりますか?」

 

「えぇ。」

 

千冬の言葉に答える井上。

 

「あのデータウェポン達は本物です。恐らくはウイルスで操られていると思われます。」

 

他のモニターに映る黒い電童を見る。

そこにもデータウェポン達を装備した黒い電童が居た。

一夏、簪の前に立つ敵はガトリングボア。

箒、楯無の前に立つ敵はドラゴンフレア。

シャルロット、ラウラの前に立つ敵はバイパーウィップ。

ダリル、フォルテの前に立つ敵はブルホーン。

 

「全てのデータウェポン達が敵に!?」

 

「しかし、輝刃と飛焔が見えません。あの2体を操る事は出来ないようですね。」

 

真耶の叫びに井上が冷静に答える。

 

「井上博士、こちらからデータウェポンを取り戻すことは?」

 

「難しいでしょう。ただでさえ、システムをあちらに握られているのですから。」

 

「くっ……!」

 

千冬は机を叩き、モニターを睨む事しか出来なかった。

 

───

 

俺─天野星夜─達は敵と睨み合う。

 

「鈴!セシリアさん!その黒い電童を頼む!俺は凰牙を!」

 

「わかったわっ!」

 

「なんとしても取り返します!」

 

「いっくぜえぇぇぇ!電童おおぉぉぉっ!」

 

凰牙が吠えると同時に巨腕のエネルギー砲を放つ。

 

「狙いが甘いっての!」

 

砲撃を避けながら、凰牙に接近する。

 

「そんなんで近づけるのかよ!」

 

凰牙は巨腕を大きく振る。

上に飛び、そのまま蹴りをお見舞いする。

 

「ぐおっ!」

 

「大振り過ぎたな!隙だらけだ!」

 

着地と同時にドライブユニットを稼働させ、出力を上げて疾風三連撃を叩き込む。

 

「疾風!三連撃!」

 

「ぐがっ!だが!」

 

凰牙は踏みとどまり、右腕を振るう。

それを後ろに避ける、凰牙はその場で横に回る。

横から、巨腕がラリアットの如く当たる。

まるで壁にぶつかったような衝撃で、吹き飛ばされる。

 

「ついでに貰っとけ!」

 

吹き飛んだ先を狙ってエネルギー砲を放つ凰牙。

 

「閃光!雷刃撃!」

 

俺はエネルギー砲をギリギリで避け、反撃する。

 

──

 

一夏達も戦っている相手がつけているものに気づき、動揺を隠せなかった。

 

「なっ!なんで!ボア!?」

 

「どうせ偽物だ!騙されるなっ簪!」

 

動揺する簪を鼓舞しながら、内心焦っている一夏は敵へと突撃する。

 

「うおおぉぉぉっ!」

 

雪片を振りかぶり、零落白夜を発動させる。

敵はボアから光を放つ、すると一夏の動きが止まった。

 

「織斑くん!?」

 

簪が声をかけるが反応が全くない。

敵は一夏に向けてガトリングを放つ。

 

「ぐおっ!」

 

ガトリングをもろに喰らい、吹き飛ぶ一夏。

 

「くっそ!いきなりなんだ!?」

 

訳が解らないと体勢を整えながら呟く一夏。

横から見ていた簪が声をあげる。

 

「織斑くん!今のは…クロックマネージャー!」

 

「なっ!?マジか!なんでだ!」

 

「解らない…もしかしたら奪われたのかも…?」

 

2人は困惑しながらも、2手に別れて黒い電童を攻め立てる。

 

「相手がボアなら!」

 

「兎に角クロックマネージャーを避ける!」

 

それぞれ、機動性を活かした動きで敵の攻撃を避けつつ戦う。

 

──

 

至近距離での爆発を受け、少し飛ばされアリーナに出る箒。

 

「くっ!楯無さん!!」

 

爆発に飲また箒は煙で周りが見えず、楯無に呼び掛けるが返事がない。

 

「むっ!まだ立っているのか!」

 

煙の先に見えた黒い装甲…相手の黒い電童が倒れていないと知った箒は、迷わず斬りかかる。

 

「なっ!なぜだっ!?」

 

箒の一撃を止める黒い電童、煙が晴れて見えた姿には大きな傷が見えなかった。

そして、反撃として左脚の蹴りを喰らう。

蹴りが当たった瞬間、箒は炎に包まれる。

 

「ぐっ!?」

 

すぐに距離を取りつつ、体勢を整える。

 

「ドラゴンフレア……だと?」

 

相手の脚についているドラゴンフレアを見つけた箒。

 

(まさか!周囲のナノマシンを無効化して、ダメージを減らしたのか!?)

 

ドラゴンフレアの持つ特殊能力を思い出し、敵のダメージが少ない理由を推理する。

 

「だが!ダメージが無いわけでは無かろう!」

 

ダメージで動けないであろう、楯無の事を考え、敵をこの場から離すことを優先する。

2振りの刀を用い、果敢に攻め立てる。

 

──

 

「喰らいなさい!」

 

「でりゃあ!」

 

双剣を振るい攻める鈴、その隙を埋めるようにフレキシブルレーザーで援護するセシリア。

そんな2人の連携を慌てることなく、止める黒い電童。

 

「ちぃっ!今のを避けるかぁ!?」

 

「鈴さん!落ち着いて!」

 

接近する鈴をファイヤーウォールで封じ、機械特有の反応速度でセシリアのレーザーを避ける。

一撃すらまともに入らず、鈴が声をあげていた。

 

「ハイパースキャンのお陰でセンサー類が強化されてる無人機ってこんなに面倒になるのね。」

 

「私たちが使ってる時以上の恩恵があるみたいですわ。」

 

黒い電童の右腕と右脚を睨む鈴とセシリア。

 

「レオ!あんた何簡単に使われてるのよ!」

 

「ユニコーンさんも!後でお説教ですわ!」

 

2人は叫びながら、攻撃を再開する。

 

──

 

「くそっ!」

 

「まだ…行ける!」

 

ボアを装備した黒い電童と戦う一夏と簪。

攻撃を避けた際に、視界にアリーナの床に水色の物が微かに映る。

 

「─っ!?」

 

この場で水色の物が、楯無のミステリアス・レイディであるのはすぐにわかった。

 

「簪!楯無さんを頼む!こいつは俺が押さえる!」

 

「え、あ、うん!」

 

一瞬、反応が遅れたが、簪は敵に対して数発のミサイルを放ち、その隙に楯無の元へ向かう。

 

「お前の相手は…!俺だぁ!」

 

簪を追わせないよう、一夏は敵に斬りかかる。

敵を一夏に任せ、簪はすぐにセンサーの感度を上げ、楯無を探す。

 

(──居た…!)

 

すぐにミステリアス・レイディの反応を見つけ、駆け寄る。

 

「おねぇ───」

 

簪の声が止まる。

そこには無惨にも、装甲の殆どが失われ何とか展開状態を維持しているミステリアス・レイディを纏った楯無だった。

本人にも何ヵ所かの傷が見え、気絶してるのかピクリとも動かない。

 

(う……うそ……ウソ……嘘………)

 

頭の中が混乱する。

目の前の事に対して理解が追い付かない。

立ち呆けていると、爆発音と共に一夏が飛ばされてくる。

 

「お、おり…むらくん……。」

 

一夏も気絶してるのか、返事がない。

大きな攻撃を喰らったのせいか、装甲にはヒビが入り、一部が欠けている。

簪は視線を一夏を飛ばした、黒い電童に向ける。

 

「ゆる…さない!」

 

言うと同時に瞬時加速を使い、敵に接近し薙刀で斬り付ける。

何度か斬り付けるが、敵は薙刀の刃を掴み叩き折った。

 

「うわあぁぁぁっ!」

 

すぐに薙刀を手放し、荷電粒子砲を至近距離で放つ。

回避も間に合わず、喰らう黒い電童。

攻撃の反動で距離が開こうとするが、決して離さず何度も喰らわせる。

 

──カチリ──

 

しかし、エネルギーが底をつき、いくらトリガーを引いても反応が無い。

頭部が半壊した黒い電童が体勢を直し、簪に向く。

 

「これでっ!!」

 

叫びながらミサイルを展開し、放とうとする。

しかし、その瞬間簪は光に包まれる。

 

「クロッ──」

 

対象の時間を奪うクロックマネージャー。

それに当たったのだろう。

簪の意識はそこで止まる。

 

─ガギンッ─

 

意識が戻ったとき、目の前には黒い電童の一撃を受けとめる楯無の姿があった。

 

「おねぇ……ちゃん……。」

 

「大丈夫?簪ちゃん。」

 

ボロボロの装甲で何とか黒い電童を止める楯無。

 

「一夏くん!」

 

「はいっ!」

 

楯無の呼びかけに答え、起き上がった一夏が後ろから斬りかかる。

後ろから斬られ、ダメージが限界を超えたのか倒れる。

直後、楯無も膝をつく。

 

「─っ!」

 

「お姉ちゃん!?」

 

「楯無さん!」

 

一夏と簪は急いで、楯無の前に行き、顔を覗きこむ。

 

「だ、大丈夫よ…それよりもまだ敵は居るんでしょ?気を抜かないの。」

 

無理矢理笑いながら、周りを見る。

 

「一夏くんは箒ちゃんの方へ行って、結構ダメージが入ってると思うから2人なら大丈夫よ。……これを持っていきなさい。」

 

「はい……あっちか!」

 

一夏は楯無からなにかを受け取ると、すぐに箒の紅椿を見つけるとすぐに飛んでいく。

 

「簪ちゃん…。」

 

「お姉ちゃん……。」

 

「あなたは…星夜くんを助けに行きなさい。」

 

アリーナの中央で戦う電童と凰牙を見る。

凰牙は見たこともない大きな腕を使い、攻めているようだ。

 

「で、でも……。もう武器が……。」

 

簪は自分の機体が既にほぼ戦えない状態にあることを告げる。

薙刀は折られ、荷電粒子砲もエネルギー切れ。

わずかにミサイルが残っているだけだ。

 

「大丈夫よ。簪ちゃん…あなたなら、創れるわ。」

 

「えっ?」

 

「どんなに絶望的に見えても、星夜くんは立ち上がるわ。あなたが力を貸せば勝機も創れる。」

 

優しく微笑み、簪を抱きしめながら、楯無は口を開く。

 

「だから…大丈夫よ。自信を持ってね。」

 

「うん。行ってくる。」

 

簪は立ち上がると、星夜の居るアリーナ中央へと向かう。

 

「行ってらっしゃい。」

 

楯無は簪に声をかけるとその場にゆっくりと倒れる。

 

──

 

アリーナの中央で凰牙と殴り合いを続けて居たが、相手の新装備である、巨大な腕に押されていた。

接近時の圧倒的なリーチとパワー。

遠距離でも強力な弾幕にさらされる。

小回りが利かないようなので、何度か懐に入って殴る事は出来たがあまりダメージは与えられていない。

 

「そろそろ終わらせるかぁ!」

 

「やらせるかよ!」

 

凰牙が巨腕を構える。

 

「うおらっ!」

 

「ぐっ!」

 

こちらの足元を狙いエネルギー砲を放つ。

当たりはしなかったが、大きな隙になった。

 

「しまった!?」

 

「捕まえたぜぇ!電童っ!!」

 

そこを逃さず凰牙が接近してきて、巨腕に両サイドから潰すように掴まれる。

 

「ハッハッハッ!このままボロ雑巾にしてやるよ!」

 

「ぐっああぁぁぁぁっ!」

 

メキッという音と共に、身体全体を締め付けられる。

巨腕のパワーは圧倒的で、電童の装甲もいつまで持つかわからない。

 

「アーッハッハッハッ!苦しめ!苦しめ!」

 

勝利を確信した凰牙は笑いながら、攻撃を続ける。

次の瞬間、凰牙に大量のミサイルが降り注ぐ。

 

「星夜くんを!やらせない!」

 

「ちぃっ!打鉄弐式だと!?」

 

「今だっ!」

 

攻撃を喰らい、怯んだ隙を逃さず全力で手を振り払う。

敵の拘束から逃れ、やって来た簪さんと合流する。

 

「簪さん、ありがとう。」

 

「ごめんね、遅れた。」

 

2人で並び、凰牙を睨む。

 

「ふんっ!お得意の絆とやらは壊れてるがなぁ!?」

 

凰牙は馬鹿にするような言い方で、挑発してくる。

 

「創るよ…。」

 

「あん?」

 

小さく、ハッキリと言う簪さん。

 

「何度壊されても!何度でも創る!諦めずに!」

 

「ウルセェんだよ!!」

 

簪さんの言葉に凰牙は苛立ちを隠さず、攻撃してきた。

巨腕のパンチを避ける。

 

「そうだ!俺たちは絶対に諦めない!勝利を掴んで見せる!」

 

「あなたに見せてあげる!これが私の『創造』だ!!」

 

簪さんの呼びかけに答えるかのように、ガトリングボアが隣に現れる。

 

「打鉄弐式!プラグイン!ガトリングボア!」

 

ボアが強い光となり、簪さんの打鉄弐式を包んで行く。

 

「こ、これはっ!……セシリアさんと同じ!?」

 

「な、なんだ!?こりゃあっ!?」

 

何が起きているか解らず、叫ぶ凰牙。

俺の頭のなかにはキャノンボール・ファストの時に起きた現象が浮かび上がる。

その考えを肯定するように、打鉄弐式に変化が訪れる。

全体的に軽装だった、各装甲に翠の追加装甲が表れた。

腕にチェーンガン、肩には小型の荷電粒子砲が増え火力が上がったのは誰が見てもわかるだろう。

アンロックユニットは大型化し、ミサイルの装填数や機体の推進力を強化してあるのだろう。

ヘッドギアにはボアの頭部を模した飾りが付いている。

 

「打鉄弐式……刻創(こくそう)!!」

 

光が収まり、ボアの牙を模した刃を持つ薙刀を構えながら、簪さんが名乗りを上げる。

 

「何だが知らねぇがっ!これで消えちまいなぁっ!」

 

巨腕にエネルギーを送り、大出力で放つ凰牙。

俺は即座に回避するが、簪さんは正面から受ける。

 

「簪さん!?」

 

「はっ!これなら新型だろうと──なんだと!?」

 

爆煙が消え、そこにいる簪さんの打鉄弐式・刻創には傷は一つもなかった。

 

「今度は……こっちの番だ!」

 

お返しとして、無数のミサイルを放つ。

ミサイルは様々な軌道を描き、凰牙を襲う。

 

「ぐおぉぉぉっ!」

 

「まだまだぁっ!」

 

「このまま一気に!」

 

ミサイルを喰らい、怯んでる隙に飛び込む簪さん。

それに合わせこちらも飛び込む。

 

「はあぁっ!」

 

「爆砕!重落下!」

 

凰牙を正面から斬り付ける簪さん、その頭上を飛び越える形で爆砕重落下を喰らわせる。

 

「ごふっ!」

 

「もう一撃!」

 

吹き飛んだ凰牙に対し、簪さんが合計4門の荷電粒子砲を向ける。

 

「星夜くん!」

 

「ああっ!合わせる!」

 

簪さんからの問いかけに答えながら、両腕のドライブユニットを高速で回転させ、エネルギーを貯める。

 

「「閃光!!」」

 

それぞれの砲口からエネルギーが放たれると、同時に両腕を突きだし、こちらも放つ。

 

「「乱舞塵!!」」

 

「うあああぁぁぁぁぁっ!」

 

凰牙は何とか巨腕を合わせ、防御の姿勢を取る。

爆発に飲まれ、その中から出てきたのは肩を残し、無惨に壊れた巨腕とボロボロになった凰牙だった。

 

「くそ…!何でなんだよ!」

 

凰牙は巨腕をしまいながら声を荒たげる。

 

「何で何時も!お前らばかりっ!!」

 

こちらを睨んでいるのか、殺気を感じる。

その気迫に俺と簪さんは動けずにいた。

しかし、その沈黙も長くは続かなかった。

周りの戦いも決着がつき、大きな爆発が起きる。

 

「星夜!こっちはやっつけたぞ!」

 

「後は凰牙!お前だけだ!」

 

一夏と箒さんが、それぞれ刀を構えて凰牙を囲む。

 

「待たせたわね!星夜!」

 

「ここから逃げられると思わない事ですわ!」

 

鈴もセシリアさんも駆け付け凰牙の包囲に加わる。

 

「あぁ、ムカつく!そうやって見せつけるのか!!お前はぁっ!!」

 

凰牙はその場で閃光雷刃撃を放つ。

不意打ちに近い形ではあったが、全員当たらずにすんだようだ。

距離を放した事を確認した凰牙は足元にボールのような物を投げつける。

対IS用フラッシュグレネードだ。

 

「逃がすかっ!」

 

予想していた俺はすぐに飛び込み、凰牙を掴む。

 

「くそっ!放しやがれ!」

 

凰牙は俺を放そうと顔面を殴ってきた。

 

「ぐっ!このぉっ!」

 

お返しとして殴り返す。

お互い、ボロボロの状態だった為か、頭部の一部が欠ける。

 

「やっと顔を──」

 

俺はそこで止まった、なぜなら凰牙の欠けた頭部から見える人物の顔を知ってるからだ。

 

「どうした?見たかったんだろ?喜べよ…?」

 

「な、なぜ……。」

 

顔の一部しか見えないが、確実に俺と同じ顔だとわかった。

 

「ラゴウッ!」

 

「ぐあっ!」

 

驚きで止まっていた隙に、凰牙はラゴウを呼び出す。

呼び出されたラゴウは俺を突き飛ばすと、すぐに凰牙に装着される。

ラゴウのスピードで一気に離脱された。

 

「星夜さん!」

 

「大丈夫!?」

 

「あぁ、機体にダメージはあるけど、身体は大丈夫…皆は?」

 

動揺を抑えつつ、皆に確認をとる。

 

「全員、似たような状態だな。」

 

「ここに居ないラウラやシャルロット、先輩逹は大丈夫だろうか?」

 

一夏と箒さんが周りを見ながら言う。

電童の周りにデータウェポン達が出てくる。

 

「データウェポン逹は、解放されたみたいね。」

 

俺の周りにデータウェポン達がやって来たのを見て、鈴が肩の力を抜きながら言う。

データウェポン逹は全員、頭を下げてきた。

恐らく、敵にやられていた事の謝罪だろう。

 

「全員無事でよかった。でも、後で井上さんに調べてもらわないとな。」

 

先程の戦闘で見なかったブルやバイパーが居るし周りから音も振動も無いので、恐らくラウラ逹も勝ったのだろう。

ふと、簪さんの方を見る。

既にボアとの合体は解除され、打鉄弐式に戻っていた。

 

「皆、大丈夫見たいね。」

 

「お姉ちゃん!」

 

「楯無さん!」

 

少しふらつきながら、楯無先輩がこちらに来た。

簪さんや一夏が駆け寄る。

 

「あぁ、私は大丈夫よ。ちょっと頭がくらくらする位よ。」

 

「それはダメなやつです!」

 

「せめて座ってて!」

 

強がる楯無先輩を簪さんと一夏が座らせる。

 

「もう…心配性なんだから…。」

 

全員が身体を落ち着かせると、施設のコントロールが戻ったのか、照明がつく。

そして、アリーナのハッチが開き、医療班の先生達が来た。

その場で簡単な診察をし、傷の深い人から順番に医務室へ行くことになった。

 

──

 

比較的、傷の浅かった自分は治療を受けた後、井上さんと会っていた。

 

「私も映像を見ていたが、やはり今まで以上の力を備えているね。」

 

「はい、基本的にはそれぞれの機体を強化してる見たいです。」

 

井上さんは俺が渡した電童のデータを見ながらはなす。

 

「あとはこれを任意で発動できるか、だね。」

 

「機体が治り次第、簪さんと話して試してみます。」

 

「うん、頼むね。う~ん…。」

 

電童のデータを見ていた井上さんが唸る。

 

「どうしました?」

 

「いや、機体のダメージが思ったよりあってね。これは一度本社の方でオーバーホールを兼ねて全面的に直した方が早いな。」

 

「そうですか、すみません。」

 

「いや、星夜くんが謝ることじゃないよ。壊れた物は直せるけど、人はそうはいかないからね。」

 

「そうですね。」

 

電童を腕から外し、井上さんに渡す。

電童を受け取ると代わりに井上さんが俺の手にあるものを置いた。

 

「これは…。」

 

「何があるかわからないからね。保険だよ。」

 

そう言われて手の中の物を見る。

銀河や北斗達が持つ〈G─コマンダー〉だ。

 

「GEOSですか…?」

 

「えぇ、何もないよりはいいでしょう。」

 

「ありがとうございます。」

 

お礼を言いながら上着にしまう。

 

「あと、データウェポン逹も預かります。今回のウィルスがどの様な経路で感染させられたのか、もう完全に無くなったのか見ますので。」

 

「ぜひ、お願いします。」

 

井上さんに頭を下げる。

 

「井上博士、少しよろしいでしょうか?」

 

織斑先生がやって来た。

事後処理で忙しいのだろう、少し疲れが見える。

 

「えぇ、平気ですよ。」

 

「あ、じゃあ自分はこの辺で。」

 

なんの話をするかわからないので念のため、2人に挨拶をしてからその場を後にした。

しかし、井上さんと何を話すんだろ?

 

──

 

星夜が廊下の向こうへ消えると、千冬は口を開く。

 

「今回の件、私は内部からの手引きが合ったと考えています。」

 

千冬は真剣な眼差しで話す。

 

「なるほど、強固な壁も内側からなら容易く崩れる…と?」

 

「えぇ、しかもそれはGEAR側ではなく、こちら側です。」

 

「そうですか。」

 

「ですが、そちらにも可能性は…。」

 

「わかっています。その辺りはアルテア君達がどうにかするでしょう。」

 

「そうですね。あの2人なら……。」

 

「あぁ、そう言えばこれを…。」

 

井上が思い出したようにポケットからメモリを取り出す。

 

「ベガ君が君に渡してくれ、と。」

 

「ありがとうございます。」

 

千冬はそれを受け取り、ポケットにしまいながら礼を言う。

 

「では、今回の報告書は近い内に。」

 

「えぇ、お願いします。」

 

2人は短い挨拶をし、それぞれの場所へ向かう。

 

──

 

「あ、一夏大丈夫そうだな。」

 

「星夜か、お前も大丈夫そうだな。」

 

医務室の前に備え付けられた椅子に座っている一夏を見つけた。

何ヵ所か包帯は見えるが動くぶんには問題なさそうだ。

 

「あぁ、骨とかには異常は無いって。」

 

「入院の必要は無いけどあちこち痛い。他の皆はもう少しかかるって先生が言ってたぞ。」

 

「そんなにひどいのか?」

 

「あぁ、楯無さんが絶対安静だって。」

 

「やっぱりか。」

 

あの人、あの時一番フラフラしてたもんな。

周りに誰も居ないことを確認しながら、俺は携帯を操作し、一夏にメールを送る。

 

「ん?」

 

「静かにな。」

 

メールに気づいた一夏に小さい声で話す。

 

『凰牙のパイロットは俺と同じ顔だった。

この事は誰にも言わないでくれ。』

 

メールを見て、一夏は驚いた顔でこちらを見る。

 

「俺達、自分の知らない所で何かに巻き込まれてるのかもな。」

 

「どう言う事だよ…それ。」

 

俺と凰牙パイロット、一夏とマドカ。

この間には何があるのだろうか…。

 

「ごめん、先に部屋に戻ってる。みんなには大丈夫だって伝えておいてくれ。」

 

「あ、あぁ。気を付けろよ…。」

 

一夏に挨拶して、部屋に向かって歩く。

その後、部屋に戻った俺は疲れからか、飯を食べることなく寝た。

 

──

 

その日の夜。

IS学園地下のある部屋に、撃破されたISの残骸が集められていた。

 

「織斑先生、今回の黒い電童…以前現れた無人機と同系列の物と思われる部分が見つかってます。」

 

「山田先生、コアは?」

 

「はい、撃破された全5体の内、3つ回収されました。」

 

千冬からの質問に答える真耶。

回収されたコアが3つ並んで置いてあった。

 

「ふむ…政府には全部破壊されたと伝えろ。」

 

「え…?」

 

千冬の言葉に真耶は驚いた表情を見せる。

 

「ここ最近、亡国機業のせいでISを失った国がいくつあると思う?その中にフリーのコアを出して見ろ、余計な混乱を生み、最悪の場合は戦争になるだろう。」

 

「で、ですが…。」

 

千冬のしようとしている事は、IS学園を危険にさらす事に繋がるかも知れない。

そう思うと真耶は少し表情が固くなる。

 

「ふっ、私を誰だと思っている?これでも元世界最強だぞ。」

 

千冬は明るく言葉を続ける。

 

「学園の1つくらい守って見せるさ。」

 

──

 

朝、目覚ましが鳴る前に目覚める。

 

「ん……あのまま寝ちゃったか……。」

 

机で倒れた状態で寝てしまっていた。

余程着かれていたのだろうか?

 

「少しダルい気がするけど…少し動かした方がいいよな…。」

 

日課である朝のトレーニングをするため、着替え、顔を洗ってから外へ出る。

 

「あ~やっぱり所々痛むな…。」

 

軽くジョギングしながら身体の状態を確認する。

身体中あちこちから痛みを感じるが、激しく動かなければ大丈夫そうだ。

 

「おはよう、ラウラ。」

 

広場のベンチで座るラウラを見かけたので挨拶をする。

が、ラウラが珍しく上の空の様で返事がない。

 

「おーい?ラウラ?」

 

「うわぁっ!?な、なんだ…星夜か、驚かすな……。」

 

本当に珍しい…ラウラがここまで隙を見せるなんて。

 

「大丈夫か?なんか上の空だったけど」

 

「だ、大丈夫だ…少し疲れが残ってるだけだ。」

 

「そっか、昨日は凄かったもんな。」

 

「ほぼ1人で凰牙の相手した星夜ほどではないさ。そろそろ部屋に戻るか。」

 

「あぁ、気を付けろよ~。」

 

「星夜もな…あまり身体を動かすと怪我に響くぞ。」

 

ベンチから立上がり、ラウラは行ってしまった。

 

「なんか…無理してないか…?」

 

ラウラの事だから大丈夫だとは思いたいが、しばらく様子を気にしよう。

 

──

 

今日は本来、休日だったが、昨日の事件もあり、教師達も後処理に追われている。

朝食を食べ終わった頃、山田先生が俺の部屋に来た。

 

「天野くん!」

 

「山田先生、どうしました?」

 

「取り調べです!」

 

「あ、事情聴取ですか?」

 

「はい!特に天野くんは他の人達より時間がかかると思います!」

 

まぁ、覚悟はしていたが…。

 

「えっと…予定はどれくらいで?」

 

「3時間は覚悟するように。と織斑先生が言ってましたよ。」

 

「わかりました…。」

 

取り調べ室になっている生徒指導室に向かった。




今回はここまで、次は早めに投稿したいと思います!

ご意見、ご感想等はお気軽にどうぞ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。