SKY VALKYRIE & Silver Arrows   作:中井 修平

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フォース・リーコン

森の中を一定の間隔を保って少しずつ進んでいくフォース・リーコン。

その中で、二つ縛りにした短い銀髪がヘルメットから覗く影がある。

 

クリスタ・ヘイへ。階級は曹長。

 

陸軍内で1・2を争う天才狙撃手だ。

若干20歳で特殊部隊"シルバー・アローズ"の狙撃隊に抜擢された事からもその実力が伺える。

そして彼女は特殊部隊になるのに必要な徽章___特殊空挺徽章を持っていた。

 

彼女はPVS-31暗視装置の右目側だけを跳ね上げ、周囲の様子を伺う。

腕のホルダーに入っている地図とGPSで現在地を確認、進む。

 

フライハイトとゲオルギアの国境付近にある不審な施設の偵察が今回の任務だ。

衛星からの写真、グローバルホーク無人偵察機からの映像、秘密裏に浸透しているJFIAの工作員や"パラミリ(パラ・ミリタリー)"からの情報。

それによると、その人の出入りや電力消費等、明らかにおかしい部分が幾つか見受けられた。

 

草に足を取られないように気をつけながら慎重に進む。

 

と、前方に何かが見えた。

暗視装置越しに見えるそれは、ゲオルギアの特殊部隊だった。

この辺りは国境監視隊の管轄だが、明らかに格が違う。

特殊部隊を配備してまで警備する物があるという事は、かなり近い。

そのうち監視塔も見えてくる、距離は400m、殺れない事も無いが、ここで発砲して何かしらの定時報告が無ければ悟られる。

 

監視塔は見逃し、先へ進む。

 

再び何かを発見。

 

「止まれ、何か見えた」

 

茂みに隠れつつ警戒する。

数は2人、身なりから察するに……民間人?いや、作業着はフライハイト空軍の物だ。となると空軍の関係者、かな。

 

「曹長、接触しますか?」

 

「いや、まだ。でももしあの2人が攻撃された場合、反撃出来る様に」

 

「了解」

 

無音声の隊員の問いに無音声でそう答え、監視を続行。

暫くすると、2人は茂みから出てきた男に連れられ進んでいく。

 

「追う」

 

「了解」

 

暗闇に溶け込み、フォース・リーコンが動き出す。

2人はそのまま男に連れられて洞窟へと入っていく。

一般人からしてみれば意味の分からないハンドサインを出し、進め、と指示。

洞窟に入り、暫くすると開けた場所に抜ける。目の前を空軍関係者の2人が歩いて行った。

 

う〜ん、とクリスタは記憶の引き出しを漁り、情報を探し出す。

何か見覚えあるんだよなぁ〜、あの2人……何だっけ……

おかしいな、絶対どこかで見た事が……

そんな事を考えていると、前を歩く隊員が止まれの合図。

 

ゲオルギア連邦国境監視隊の兵士が見張っている。

すぐさま木の幹に隠れ、狙いを定める。

 

「国境監視第三部隊だ。……なんだって?レジスタンスの奴らが暴れている?」

 

どうやらゲオルギアの反政府レジスタンスが暴動を起こしているらしい。

その兵士はすぐさま周りにいる兵士を招集、増援に向かっていった。

 

撃たなくて済んでほっとする。

 

すると、空軍関係者がゴソゴソし始めた。何やら携帯電話を取り出して何かをしているようだ。

 

観察を続けていると、2人の背後から2人の人物が姿を現す。

 

「(あれは……)」

 

現れたのはノワリー・エリオット、チーム・ヴァルキリーの隊長だ。

もう1人は確か……メアリィ・ローレンツ。

 

「(ヴァルキリーか、でも何でこんな所に)」

 

言い争う彼らを見つめつつ、彼らを迂回して先へ進む。

すると、外界と施設を隔絶する金網が見えてきた。

 

特殊作戦軍から報告であった施設、エイルを生み出した場所、"アーク"だ。

 

フェンスの向こう側の開けた空き地に戦闘機が2機駐機しているのが見える。

傷だらけのF-15Eストライクイーグルと、無傷のJAS-39Eグリペンだ。

 

「(あれ……ヴァルキリーの戦闘機だ……)」

 

「どうします曹長、曹長が支援してくれれば、突入も可能ですが」

 

「いや、私達の任務はあくまで偵察だ。本格的な戦闘を仕掛ける事は無いよ」

 

照明が点いている為、暗視装置は役に立たない。電源を切って跳ね上げる。

そう、今回の任務は偵察だ。施設を観察し、出来るだけの情報を持って帰る。

 

ガサ、と後ろで何かが動いた。

 

全員が振り向くが、茂みから出て来たのは1匹の兎だった。

ほっと息を吐くが、その後ろから明らかに人間の物の足音が近づいて来る。

 

6人は素早く茂みに隠れ、やり過ごす。

 

どうやら追いついてきたチーム・ヴァルキリーの様だった。

彼らとの距離は100m以上離れている為会話は聞こえないが、何やら話している様子だ。

 

その瞬間、木陰から、茂みから、兵士が一斉に飛び出てくる。

クリスタ以下6名は咄嗟に銃口を向け、セーフティを解除、引き金に指をかける。

 

飛び出た兵士が持つサブマシンガン、H&K UMPのサイドレイルに取り付けられたレーザーサイトがヴァルキリーを照射する。

 

「……っち!ダメだ、射線上にヴァルキリーが……盾になってる……!」

 

リーコン隊員が苦言を吐く。

恐らくゲオルギアの特殊部隊であろう兵士とリーコンの間にヴァルキリーが入り、迂闊に撃てない。

下手に動けば発見される、今回の任務が失敗に終わらせる訳には行かない。

 

止むを得ず引き金にかけた指を外し、安全位置へ持っていく。

 

クリスタも苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべ、事の推移を見守る。

 

兵士達はヴァルキリーを囲み、何処かへと連れ去る。

目で追って行くと、どうやらこの施設の中に連れて行かれた様だ。

 

「くそッ……ダメだ、撃てない」

 

部下の1人が悪態をつく。

どうやら任務の終了は、ヴァルキリーが出て来るのを待つしかなさそうだ。




パラミリは情報局付の軍事行動部隊です。
準軍事組織とも言えます。
例:"ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり"コミックス第3巻のCIAパラミリ

フォース・リーコン
海兵隊の武装偵察部隊。
空挺・潜水・上陸と何でも行うが特殊部隊ではなく、あくまで偵察部隊。しかし、戦闘能力は極めて高い。
SOCOM(特殊作戦コマンド)隷下では無く、あくまで海兵隊の一般部隊。
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