SKY VALKYRIE & Silver Arrows 作:中井 修平
「作戦が司令部より通達された」
ブリーフィングルームとなっている部屋で、アヤナ大佐が声を上げる。
「我ら第2任務飛行隊は、ワールドエンド防衛に就く。ブルームーン隊とミーティア隊は先行、スワロー隊は援護、バイパー隊は対艦攻撃に。それからチーム・ヴァルキリーの支援もこの隊が行う事になっているわ」
そして、この作戦にはQRFも投入される。
第1海兵師団
第2海兵師団
第1空挺旅団
第2空挺旅団
第3レンジャー連隊
この5つの
3個歩兵連隊、2個機甲連隊、2個砲兵連隊、1個航空隊、1個高射連隊、2個後方支援連隊。この部隊がフライハイト陸軍と共同で最終防衛ラインを構築する。
特に重要視されるのは国境付近の3つのポイントだ。
第0師団、そして第1海兵師団はこの3つのポイントの防衛支援に回る。
そして各地に展開しているヨルジア空軍も行動を開始。
先程のアヤナの説明通り、第2任務飛行隊はワールドエンドへ向かう。が、ワールドエンドへ向かう航空隊は第2任務飛行隊だけではない。
F-2Aを改修し、対レーダーミサイルの運用能力を得たF-2J"コヨーテ隊"から8機。
戦闘爆撃機F-15EJ"マスタング隊"6機。
そして電子戦担当のEA-18G"シャドウ隊"4機。
18機が上空で合流する手筈になっている。
また第1、第3任務飛行隊は、国境付近の防衛ポイントの航空優勢確保に向かう。
第1任務飛行隊はF-15CJを中核をなし、第3任務飛行隊はF-2AやF-35Aが中核となる。
地上部隊の支援は"空の魔王"閣下率いる"アヴェンジャー隊"が参戦するという。
そして補給と整備の問題上、本国からここまで直接来るのがB-2AやB-1Bの爆撃機部隊だ。
海軍も黙ってはいない。
作戦開始時刻と同時にゲオルギアの軍事施設にトマホーク巡航ミサイルを叩き込む。
それだけでなく、空母"しょうかく"からの航空隊も攻撃、そして洋上の航空優勢確保に回る。
遠征打撃群は、ワールドエンドに向かい上陸、既に上陸しているゲオルギア軍を叩く。
「以上、何か質問は?」
質問の為の挙手は上がらない。
「
「「「「おう!!」」」」
そして作戦2日前、アルメリアを飛び立ったのはチーム・ヴァルキリー。
ヴァルキリーの機体は艦載機運用の為の強化と改修が施されており、空母での運用も可能。
フライハイトの空中給油機は別働隊に回され、手一杯になる為。ヴァルキリーは空母からの作戦となる。
基地に残された他の部隊が手を振って見送る。
色とりどりに輝くヴァルキリーの機体は滑走路を走り、空へと舞い上がって行った。
===========================
もちろん、ヨルジア陸軍も作戦が近づくにつれて慌ただしさを増していく。
高射部隊のTHAAD地対空ミサイルが防衛ラインより内側に配備され、弾道弾及び敵性航空機の警戒に当たる。
市街地の開けた場所にはフライハイト空軍のMIM-104パトリオットが展開し、都市防空を担う。
その都市の外縁を取り囲むようにヨルジア軍のPAC-3が配備された。
PAC-3はどうしても射程距離が短い為、局地防衛用になる。だからこの様な措置を取ったのだ。
防衛ラインにはフライハイト軍の戦車部隊______第3世代
これらは国境を超えてくるゲオルギア軍を迎撃する為に配備された。
因みに、この側方より迂回、敵を分断して撃滅せよ。との命令を受けたのがヨルジア陸軍第0師団だ。
展開している戦車は、フライハイト主力戦車であるレオパルト2A4に良く似たシルエット______90式戦車、そして追従するのは89式装甲戦闘車だ。
フライハイトもヨルジアも、何故戦車に装甲車が追従するのか?という疑問に触れておこう。
それは「歩戦共同」という、テストがあれば必ず出そうな戦闘ドクトリンがあるからだ。
歩戦共同は、火力と防御力に劣る歩兵部隊が戦車の支援を受け、視界と小回りに劣る戦車部隊が歩兵の支援を受けると言う「現代における戦車運用の基本」と言っても良いドクトリンである。
もしこれが崩れ、速力に勝る戦車だけが戦闘して突撃してしまえば、第4次中東戦争時のマンドラー機甲師団の悲劇を繰り返す事になる。
歩兵と戦車が共闘する事で、双方の生存率はより高くなるのだ。
戦場において、「絶対無敵、完全無欠」は存在しない。何かしらの弱点を有している。
戦車は、走攻守の揃った一見無敵に見えるが、車体が大きく小回りは効かず、死角も多い。
一見弱そうに見える歩兵も、どの兵科にも無い柔軟性と機動力を誇る。
それが「歩戦共同」、もっと言えば「諸兵科連合」の考え方だ。
「ジャンケンのグーチョキパーを全て合わせれば超強くね⁉︎」という発想で大体合っている。
その諸兵科連合である第0師団の編成も完結、何時でも出られる状態。
後は、作戦の発動を待つだけだ。
===========================
中央海洋上でも、作戦の準備が進められていた。
第1空母打撃群、旗艦であるCVN-21"しょうかく"を中心に輪形陣を組むのは。
イージスシステムを搭載した巡洋艦"アーク級"の2番艦、CG-142 "ノア"
同じくイージスシステム搭載型の駆逐艦"みらい級"1番艦DDG-182"みらい"と7番艦DDG-188"あさかぜ"
"オラシオン級"4番艦、DDG-174"ムスタング"
巡航ミサイル母艦として建造された"たかやま級"3番艦DDG-163"いぶき"
艦隊の対潜担当、高い潜水艦対処能力を持つ"トール級"6番艦DD-136"エイギル"
加えて以下の第一遠征打撃群。
全通甲板、そして強襲揚陸艦には珍しくアングルド・デッキを備えた遠征打撃群旗艦LHA-06"はつかり"
キエフ級の様な外見を持つヘリ揚陸駆逐艦LPDDH-201"やくも"
見た目は完全にサン・アントニオ級のドック型輸送揚陸艦LPD-51"ジーク・フリート"
護衛のイージス艦CG-144 ポセイドン、DDG-176 グレムリン、DDG-189 いなば
巡航ミサイル母艦のDDG-162 ふじなみに対潜担当DD-131 トール
そしてFCS-3Cレーダーを備え、個艦防空能力の高いDD-191"アレックス"、"DD-151 あかつき"DD-157"しののめ"
そしてほぼ同じ編成の第2遠征打撃群も、洋上で陣形を組み、フライハイト海軍の航空母艦"エインヘリヤル"を待っている。
戦いの火蓋が切って落とされるまで、あと少し______
====================================
ゲオルギア連邦某所。
ここは民間施設を装い秘匿された、言わば"セーフ・ハウス"だ。
敵国内部で活動するスパイや特殊部隊は、こう言うセーフハウスを拠点に活動する。
その地下にあるのは______実弾射撃演習場。
奥行きは200m以上あり、薄い金属板で出来た人型の
その地下に響いているのは、怒号と銃声だ。
「実弾射撃!撃て!」
ダン!ダン!ダン!
10人程が横並びになり、自動小銃______FN FNCを構えて引金を引いている。
ゲオルギア国内で活動する、反政府レジスタンスの面々だ。
それを指導しているのは、ヨルジア陸軍特殊部隊、"シルバー・アローズ"のA中隊に所属する、リュート・デビット准尉と、アルメリア解放戦にも参加したロイ・アンドリュー軍曹だ。
「引金は"引く"より"絞る"感じだ、それから、標的は最後まで両目でしっかり見ろ!」
良く銃を撃つ際、片目を瞑る人も多いが、実際には両目とも開ける。
照準を合わせるのは片目だが、標的を確実に見るために両目は開けるのだ。
そして、引金は"絞る"。
急激に引金を引くと"
「もう1度だ!
ダン!ダン!ダン!
本来軍人は、こうしたフルオート射撃は好まない。
何しろ反動は強くなるし、そのせいで着弾はバラつき精度は落ちる為、弾薬が無駄になる。
しかし、数発毎にトリガーを切る"指切りバースト"と言う射撃方法なら、弾薬は無駄になりにくい。
各員が指切りバーストで数発毎に射撃していく。
と、リュートは1人のレジスタンスに目をつける。
顔に大きな火傷の跡がある人物______シェダル・フォーマルハウトだ。
リュートはシェダルに声をかける。
「遅いなぁシェダル、そうじゃない」
そう言われたシェダルはFNCの構えを解き、リュートを振り向く。
リュートは指先で約200m先の標的をなぞる。
「銃口で
そうアドバイスをし、見てな、と言ってシェダルからFNCを借りる。
ダダダン!ダダダダン!ダダダン!ダダダダダダダン!
横並びの金属板の標的3〜5枚に、5.56×45mmNATO弾が音を立てて次々と穴を開ける。
それを見た周りのレジスタンスから感嘆の声が上がる。
リュートはシェダルにFNCを返しながらもう1つアドバイスする。
「的も移動してるもんだから、照準が追っつかねえと当たらねぇぞ。更に自分も移動してる場合は、その振動と移動速度も加味して照準しろ」
「な、なるほど、ありがとうございます」
こうしてレジスタンスは、銃器の扱い方や射撃テクニックを身につけていく。
出番は、もうすぐだ。
各部隊の登場兵器や各艦の名称、スペックなどは、大変恐縮ですが、"小説家になろう"様に自分が掲載している「別世界の現代戦 〜ヨルジア連邦共和国」を参照して頂ければ……