SKY VALKYRIE & Silver Arrows   作:中井 修平

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空対艦戦闘の開幕

『出番だぜ!気合入れろ!』

 

『『『Roger(了解)!』』』

 

敵の増援殲滅に向かうミーティア隊のヒロキ・カザカミ中尉が仲間に気合を入れ直す。

ミーティア隊のミサイルの残弾は、AIM-120D-6が2発と、副兵装庫(サブ・ウェポンベイ)にAAM-5"ゴールドアロー"が4発。

 

ヨルジア空軍のF-22Aは、副兵装庫(サブ・ウェポンベイ)の改良によって、片側に2発のAIM-9X、もしくはAAM-5"ゴールドアロー"が収納出来る様になっている。

 

『レーダー・コンタクト、敵増援確認、MiG-29Kが8機、方位2-2-4、相対速度900kt(ノット)で接近中』

 

『たった8機で増援か……』

 

ミーティア02、TACネーム・ライダーがそう呟く。

しかし8機とは言え、油断すれば死にかねないのは事実だ。

 

『たった8機でも油断するなよ、そもそも俺達に喧嘩を売った時点で手加減は不要だ、全力で当たれ』

 

『『『Roger(了解)』』』

 

敵との交戦まで10nm(マイル)、そろそろ向こうのレーダーに映ってもおかしくない。

こちらはステルスだが、ステルスはレーダーで「見えない」訳では無い、あくまでレーダー反射面積を小さくする事でノイズとして処理され、「見えにくい」レベルだ。

 

しかし敵のレーダーの精度は良くなかったらしく、5nm(マイル)手前で慌てた様に編隊が乱れる。

 

ミリタリー推力のまま、敵編隊とヘッドオン。

 

『ミーティア01、交戦(エンゲージ)!』

 

『ミーティア02、交戦(エンゲージ)!』

 

『ミーティア03、交戦(エンゲージ)!』

 

『ミーティア04、交戦(エンゲージ)!』

 

一瞬ですれ違った。

ヒロキ中尉は半ロールを打って操縦桿を引き、高度を速度に替えて追跡を開始。

 

敵機は上昇に移ったらしく、キャノピー越し、頭上にMiG-29Kが見える。

するとMiG-29Kは急減速、背面でコブラ機動を使い、機首を下に向けた状態で急加速して追ってきた。

 

あれが出来る、という事は、間違いなくあいつはエースだろうな……

 

ヒロキ中尉はそう思いながら操縦桿を引く。

エレベータ・アップ、それと同時に自動で推力偏向パドルが動き、機動性を高める。

上昇、後に右旋回して背面の状態で降下、水平飛行(レベルオフ)へ。

右のラダー・ペダルをほんの軽く踏み、機体を僅かに横滑りさせる。

 

MiG-29KはGSh-30-1 30mm機関砲を撃ってきた。

巨大な砲弾は、敵側から見ると水平で直線に飛行するヒロキ中尉(フリーダム)機の左へと流れて行く様に見えるだろう。

 

敵機がエルロンを切って修正を図る、その瞬間、ヒロキ中尉はラダーを踏むのを止めた。

敵の速度と距離、高度を素早く確認、一瞬だけスロットルを絞り、操縦桿を思い切り引く。

感圧サイドスティックの操縦桿は折れる事無く圧力をセンサーで捉え、電気信号に変換。その信号が光ファイバーを通じエレベータへ送られて実際に動かす。

 

引いた瞬間にフルスロットル、推力を戻す。操縦桿は引き続けたままだ。

機首が縦回転、進行方向と逆を向き、MiG-29Kのコックピットと相対する。つまり、空中でF-22AとMiG-29Kが向かい合っている状態だ。

 

MiGのパイロットが驚きの表情を浮かべているのが、酸素マスクとヘルメットの下に見える様だった。

 

ヒロキ中尉は向かい合う一瞬前に引金を引いていた。

機関砲カバーが開く一瞬のタイムラグ、その間に敵機にM61A2の砲口が向き______火を吹いた。

 

20mmの暴風はMiG-29Kの背面を穴だらけにし、少しの間を置いて敵機が小爆発した。

 

ヒロキ中尉は、東側戦闘機Su-27"フランカー"シリーズのお家芸である"クルビット"機動中に、MiG-29に機関砲を浴びせたのだ。

 

墜ちていくMiGを尻目に、もう1機を探す。

 

『こちらミーティア02!ケツを取られた!』

 

Roger(了解)こちらミーティア01、援護に向かう!』

 

右旋回、MiG-29Kに後ろを取られているミーティア02を見つけた。

 

『ミーティア02、そいつは俺に任せて新しい奴を追え、そいつを落とすからミサイルに気をつけろ』

 

Roger(了解)

 

ミーティア02(ライダー)機を追っているMiG-29Kの後方に気付かれない様に接近、2nm(マイル)の距離を取る。

 

まだ奴には気付かれていない。

HMDのレティクルを短距離ミサイルに切り替え、サークルとボックスが現れる。

サークルの中に敵機を2秒捉え、ボックスが敵機をロック、サークルも小さくなってボックスの中に入る。

ロック完了の音が耳元で鳴る。

 

『FOX2!』

 

副兵装庫(サブ・ウェポンベイ)からAAM-5(ゴールドアロー)が飛び出した。

 

AAM-5に襲われたMiG-29Kはようやくミーティア01の存在に気付き、フレアを撒くが、AAM-5は機体の摩擦熱とフレアを熱を識別、MiG-29Kを正確に貫いた。

 

『スプラッシュ・ツー』

 

『こちらミーティア02、スプラッシュ・ツーだ』

 

『ミーティア03同じく』

 

『ミーティア04、2機撃墜』

 

これで上空はクリアだ、航空優勢は確保、あとは水面スレスレに飛ぶ"青い影"に任せる事にした。

 

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中央海上空、高度80ft(フィート)(24m)の低空。

この低空には、海面の反射でレーダーが届かない。

 

そのレーダーに届かない低空を、12機の機影がゲオルギア連邦海軍艦隊に向かって猛進していた。

 

F-2A"バイパー・ゼロ"、コールサイン"バイパー"。8機。

F-15EJ"ストライク・イーグル"、コールサイン"ランサー"。4機。

 

先頭を飛ぶF-2Aのパイロットは、リョウ・ヒロサキ大尉、TACネーム"マック"。

 

そのF-2Aの主翼の下には、実弾塗装の施されたミサイルが幾つもぶら下がっている。

その内の2発は鋭く尖った大きい弾体。

 

ASM-3"トライデント"、まだ実戦配備が決まってから日の浅い新型対艦ミサイルだ。

 

このミサイルは、ロケットエンジンで一定速度まで加速した後、ラムジェットによって巡航する"インテグラル・ロケット・ラムジェット"という方式を取っている為、速度がM(マッハ)3以上と速い。

その上ミサイル自体がステルス性を持つため、探知されにくく、パッシブレーダー誘導方式にも切り替えられる為、接近にも気付きにくい。

 

しかし、今回の作戦には生産が追い付かず、20発しか持ち込めなかった。

内の16発をこの"バイパー隊"が搭載している。

 

F-2Aが搭載している4発の対艦ミサイルの内の2発がそのASM-3(トライデント)、あと2発はASM-2"シーバスター"だ。

 

後続を飛ぶF-15EJストライクイーグルは、GBU-24ペイブウェイⅢレーザー誘導爆弾を満載している。

 

『バイパー01より全機へ、旋回して0-4-5に進路を変更する』

 

Roger(了解)

 

リョウ大尉はそういうと操縦桿を捻り、現在取っている0-1-0から旋回、500kt(ノット)(約940km/h)でゲオルギア艦隊へと進路をとる。

 

どうやら衛星からの情報によれば、指揮艦1、空母4、巡洋艦8、駆逐艦16の大艦隊らしい。

どうやら決戦仕様の様だ。

 

『長距離対水上レーダーに多数の艦影あり、SIFに応答無し。敵艦と判断。鯨を沈めるぞ』

 

Roger(了解)

 

長距離レーダーの艦影の菱形の光点が、灰色から赤に変わる。

 

敵艦までは100nm(マイル)(186km)、既にASM-3(トライデント)の射程圏内に入っている。

 

『バイパー・リーダーより各機へ、トライデントの誘導方式をパッシブレーダーに切り替えろ。発射準備だ』

 

HOTASを操作し、ミサイルの誘導方式を切り替える。

パッシブレーダーにする事で相手にレーダー波を照射しなくなる。

その為、敵艦にミサイルが見つかりにくくなる上、ミサイルは敵艦のレーダー波を勝手に拾って飛翔する。

迎撃は極めて困難になるだろう。

 

『……バイパー01、トライデントBRUISER(ブルーザー)!』

 

ブルーザーのコールと共に、リョウ大尉は操縦桿のボタンを押す。

 

主翼の3番と9番のパイロンから、ASM-3トライデント高速対艦ミサイルが発射される。

 

ロケットモーターで白い煙を曳きながら推進力を得て、ロケット燃料を燃やし尽くして加速したところでラムジェットエンジンに点火。

 

バイパー隊の他の全機も、ASM-3を発射する。

 

16発の海神の槍(トライデント)は、音速の3倍を超える勢いで敵艦隊へと向かっていった。




明後日の26日から御殿場に入り、27日の陸上自衛隊富士総合火力演習に行ってきます!<(`・ω・)

次回の更新は8/27の12:00です。
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