SKY VALKYRIE & Silver Arrows   作:中井 修平

22 / 35
ゲオルギア艦隊の終焉

ポイントに到達した、ヨルジア海軍航空隊とフライハイト海軍航空隊のF/A-18Fも攻撃態勢に入る。

その内のヨルジア海軍航空隊の1機には、空軍基地を爆撃したカンタ・タカハシ中尉と、スズネ・シンガイ中尉が搭乗していた。

 

『ラフライダー1-1より各機へ、発射ポイントに到達、各自発射後は離脱せよ』

 

『了解』

 

スズネはハープーン対艦ミサイルに火を入れる。

目を覚ました"銛"が、鯨を沈める為に発射される。

 

『ラフライダー2-4、BRUISER(ハープーン発射)

 

いつも通りフラットな声で発射をコールしたスズネは、搭載していたハープーン2発を投下、完了後はカンタ中尉が機体を操り、離脱にかかる。

フライハイト海軍航空隊のF/A-18Fも、同様にAGM-84ハープーンを発射した。

海軍航空隊の仕事はここまで、必要に応じて第2波として出撃するが、後はハープーンが上手く敵に到達するのを祈るだけだ。

 

===========================

 

敵は正面、そして進路左側から来る20数機と判断したゲオルギア艦隊。

 

しかし、その指揮艦のCICはパニックに陥りかけていた。

 

「味方空軍の被害甚大!」

 

「増援に向かわせた|MiG-29Kラーストチュカ》も、全滅した模様……!」

 

「敵機!1-2-0から20機以上!こちらに向かって来ます!距離140km!」

 

Кит(キート)Скат(スカト)から艦載機を上げろ!」

 

Да(了解)!」

 

鯨、エイの名を冠したゲオルギアの航空母艦からMiG-29Kが次々と発艦していく。

スキージャンプ勾配を蹴り、上昇していくMiG-29K、しかし、連合軍の狙いはそれだった。

 

更に別の2隻の空母からは、Kh-31Aクリプトン対艦ミサイルを2発搭載した身重のMiG-29Kが発艦していく。

 

 

その瞬間、CIC員が悲鳴を上げた。

 

 

「⁉︎レーダーに反応!対艦ミサイル接近中!数は……12……16!高速接近中!」

 

「低空を飛行!捕捉が遅れました!」

 

「対空戦闘!」

 

「だ、Да (了解)!」

 

8隻のキーロフ級巡洋艦、16隻のウロダイⅡ級駆逐艦から、3K95キンジャール(SA-N-9ガントレット)ミサイルが発射された。

 

この対空ミサイルは短距離ミサイル、つまり、それ程発見が遅れたということだった。

 

「CIWS!迎撃始め!」

 

「衝撃に備え!」

 

AK-630 30mmCIWSが火を噴き、迎撃を開始。

指揮艦のCIC員がそう叫び、誰もが指揮艦に来る衝撃に堪えようとしたが______

 

速過ぎる上、ステルス性を持つASM-3"トライデント"は、1発も迎撃されなかった。

 

ミサイルはM3という高速で飛翔し、指揮艦を完全に無視、それどころか空母や巡洋艦も無視し______駆逐艦だけを正確に貫いた。

 

外周を囲む駆逐艦の全艦が一斉に沈黙する。

 

「ボスゴロフ、ベーレンベルグ、イザルコ、スティナス、デクルカプリストル大破!戦闘不能!」

 

「アルテナイ、マレーリャ、グラフィーナ、エウゲーキャ、喫水線下に破口!浸水している模様!沈没は時間の問題です!」

 

「クラーヴジャ、カチューシャ、アレクセイ以下多数が総員退艦命令を発令!」

 

「ば、馬鹿な……!」

 

ウロダイⅡ級は我が国最新鋭、それに防空能力も高い駆逐艦だぞ……!その防空網を突破して……!

 

「ミサイル第2波が来ます!方位1-2-0より80発!飽和攻撃です!」

 

これを狙ってか……!

 

ゲオルギア海軍の提督は奥歯を噛む。防空艦を潰された以上、防空能力に穴が空くのは仕方がない。

 

しかしキーロフ級も優秀な防空能力を持つ、それらが主体となり、迎撃を開始した。

 

 

===========================

 

『バイパー・リーダーより全機へ、初弾トライデント全弾命中、駆逐艦多数が大破!上出来だ、次、シーバスターの発射準備。発射後は離脱、いいな?』

 

『『『Roger(了解)』』』

 

今度はレーダーを作動させる。

ASM-2"シーバスター"は、ターボファンエンジンで巡航する対艦ミサイルである。

誘導方式は従来と同じであるが、海軍で主力のハープーン対艦ミサイルよりも弾速が速く、射程距離も長い。

 

『バイパー01、シーバスターBRUISER(ブルーザー)

 

8機のF-2Aが、再びASM-2を発射する。今度はASM-3の時のような白い煙は出ない。

 

発射後、F-2Aは海面スレスレを旋回して離脱。

F-15Eはそのまま進入を試みる。

 

『バイパー・リーダーよりランサー・リーダー、俺達が囮になる、艦隊に止めを刺せ』

 

『了解、任せろバイパー!』

 

ランサー隊のF-15Eは、アフターバーナーに点火、あっという間に音速を超え、ゲオルギア艦隊へと迫っていった。

 

===========================

 

ボゴォン!

 

キーロフ級巡洋艦の1隻が、海面から跳ね上がる。

 

跳ね上がったキーロフ級は竜骨(キール)をヘシ折られ、船体の中心から轢断した。

 

ヨルジア海軍の潜水艦の仕業である。

 

きりしお型1番艦"きりしお"は、魚雷の命中を確認すると、すぐさま自慢の足で深海へと潜っていった。

 

撃沈されたキーロフ級の穴を埋めようと、後方にいた同型艦が前へ出て来て迎撃を開始する。

 

しかし、それも長くは続かなかった。

 

ヨルジア海軍航空隊が発射したハープーン対艦ミサイルが襲い掛かってきた。

キーロフ級が迎撃出来たミサイルは16発、24発が6発の4グループに分かれ、4隻のキーロフ級に集中的に命中した。

 

現代艦に珍しく装甲を持ったキーロフ級でも、6発の対艦ミサイルが一気に襲い掛かって来るのは流石に対応しきれなかった。

 

ミサイルのVLSに命中したハープーンによって3隻が大破・戦闘不能、武装の殆どを喪失し、1隻は当たりどころが悪く、撃沈に追い込まれる。

 

そこへ追い討ちをかけるように、F-2Aが発射したASM-2"シーバスター"の16発が殺到する。

 

展開していたキーロフ級の殆どが撃破された方向からの襲来の為、迎撃出来たのは僅か1発。

 

残りの15発は3つのグループに分かれ、海軍航空隊の発射したハープーン同様、キーロフ級の武装を薙ぎ払った。

 

===========================

 

『ランサー・リーダーより各機へ、シーバスター及びハープーン命中を確認、こちらも攻撃に移行する!』

 

Roger(了解)

 

アフターバーナーを焚き、M1.4で飛行していたランサー隊のF-15Eが攻撃態勢に移る為に高度を上げる。

狙いは勿論ゲオルギア艦隊、満身創痍の艦隊に止めを刺すのだ。

 

眼下には煙を上げ、傾斜を増していくゲオルギア艦隊が見える。

その上空を飛行しつつ、後部座席に座る兵装システム士官(WSO)がレーザーを照射。

 

『ランサー01、Bombs away(爆弾投下)!』

 

コールと共に、F-15Eから2発の2000ポンドレーザー誘導爆弾が投下された。

 

爆弾は先頭のシーカーでレーザーの反射波を捉え、動翼を調整して直撃コースへ、重力に従い落ちて行く。

 

2発のペイブウェイⅢが空母の甲板に命中、狙い通りだ。

何故ゲオルギア空母の甲板を狙ったか?

理由は、ゲオルギアの空母は、甲板に艦対艦ミサイルのVLSが仕込まれているためだ。

この後、フライハイトとヨルジア海軍は対水上戦闘を始める。その攻撃がスムーズに行えるようにだ。

 

『ランサー02、Bombs away(爆弾投下)

 

『レーザーオン!』

 

次弾がウィングマン機から投下、再び別の空母の甲板に命中した。

 

ランサー隊が全ての爆弾を投下した後に、無傷な艦は残っていなかった。

 

一方、フライハイトとゲオルギアの地上国境でも、戦闘が始まろうとしていた。




次回の更新は8/30 12:00です!
今日は総火演に来てます!凄い……

次回・戦車戦!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。