SKY VALKYRIE & Silver Arrows   作:中井 修平

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第3レンジャー連隊

ゼルサットの市街地には、15機のヘリコプターが向かっていた。

CH-47を特殊戦用に改修したMH-47Gが2機。

OH-6に人員輸送のベンチシートキットを取り付けたMH-6Mリトルバード強襲ヘリが6機。

そしてM134ミニガンを搭載し、黒く塗装されて特殊部隊用の改造を受けたMH-60Mブラックホーク汎用ヘリコプターが6機。

もう1機は、前線司令部用のEH-60だ。

 

上空では援護の為、AC-130Uスプーキーガンシップが旋回している。

もうレギュラスの様な悲劇を出さない為に、司令部も本気を出した。

 

MH-60Mブラックホークに搭乗しているバリー・フレス曹長は、降下チーム1つの指揮を執る事になっている。

身につけたLBT-6094Aプレートキャリアのポーチには、弾薬の詰まった弾倉が6本、胸のポーチには拳銃の弾倉が2本。

 

ACHを被り、手に持った小銃______M4A1 BlockⅣ MWSの具合を確かめる。

 

Torijicon(トリジコン) ACOGを覗き込み、正常に作動しているか確かめる。

 

バリー曹長はキャビンドアから外を見た。

レンジャー部隊が行うのは、この街からゲオルギア軍を追い出す掃討作戦だ、1兵たりとも敵兵士をこの街には残さない。

 

MH-6Mリトルバードが狙撃兵を乗せ、4人1分隊の狙撃分隊がビルの屋上に降下し、狙撃ポイントを確保する。

 

続いて市街地に浸透するようにMH-60Mブラックホークからレンジャー隊員が降下。

 

バリー曹長はその先鋒を務めた。

 

「ロープ!」

 

彼がそう叫ぶと、キャビンドアから2本のロープが下される。ファストロープ降下だ。

器具を使わずに降下するファストロープ降下は、着地後に器具を外す必要が無い為、降下後の展開が早い。

 

両手と脚で降下する為安全性は若干落ちるが、何度も訓練を繰り返したレンジャー隊員達はなんの危なげも無く全員が着陸した。

 

『こちらエイベル4-1、分隊(チョーク)降下!警戒に入る!』

 

『エイベル4-2、分隊(チョーク)降下、援護する!』

 

『エイベル4-3、分隊(チョーク)降下、敵狙撃手の警戒に入る』

 

『こちらエイベル4-4、分隊(チョーク)降下、警戒を援護する』

 

先に降下した4機のMH-60Mブラックホークが離脱、ガナー・ドアに搭載しているM134Dミニガンにて援護を行う。

 

銃床(ストック)根元のチャージングハンドルを引いて離し、初弾装填。

 

接近を察知した敵兵士の車輌がどこからともなく走り始め、建物から敵兵士がワラワラと出てくる。

 

「お出ましだ!歓迎しろ!」

 

セレクターレバーを動かし、セーフティを解除、セミオートマチックへ。

降下した分隊員は12名、8人の通常分隊に衛生兵、汎用機関銃手とその助手、選抜狙撃手(マークスマン)を加えた12名だ。

 

その12名の自動小銃、分隊支援火器、擲弾発射機(グレネードランチャー)汎用機関銃(GPMG)、マークスマンライフルが一斉に火を噴いた。

 

あちらは装甲車でこちらをもてなす、こちらからは弾幕のお返しだ。

 

こちらの擲弾兵、ノア・クリストフが放った40mmグレネードが軽装甲車に直撃して吹き飛ばし、ピックアップトラックに重機関銃を載せた即席テクニカルの運転手の頭を選抜狙撃手(マークスマン)がブチ抜く。

 

そして汎用機関銃(GPMG)(ガナー)分隊支援火器(SAW)手が撃った銃弾は装甲車の表面をガンガン叩き、装甲車を降車した歩兵がレンジャーの弾丸に貫かれバタバタと倒れていく。

 

すると、CP(コマンドポスト)からの通信が入る。

 

『こちらエイベル4-5!4-6と共に降下したいが病院の屋上の対空砲に阻まれていて近づけない!対空砲を潰してくれ!』

 

「了解!」

 

バリーはそう言うと、分隊を率いて病院へと向かう。

大きな赤十字を掲げた病院は国際条約により攻撃してはいけない決まりがある為、爆撃が出来ない。

そこに対空砲を設置するとは、考えた……というか卑怯だな……

 

3ブロック程徒歩で移動し、外階段を駆け上がる。

5階建の病院の屋上に、確かに高射砲が設置されている。

こりゃ爆撃も出来ないわな……

 

病院の敷地内で敵と交戦、特殊部隊には敵わないかもしれないが、精鋭を名乗るだけあって一般兵とは比べ物にならない機動と射撃精度を見せる。

 

外階段を屋上まで上がり、ターゲットを確認して味方にハンドサイン、「3カウントで高射砲に射撃する」

 

指でカウントを取り、一斉に階段を飛び出す。

 

ターゲットの高射砲は50m程先、ACOG短距離スコープの上部に取り付けているマイクロダットサイトで狙いを定め、引き金を絞る。

 

M4A1アサルトカービンの銃口から5.56×45mmNATO弾が弾け、音速の3倍で敵へと突き刺さる。

 

マークスマンがM110を射撃、ライフルマンより更に高い精度で高射砲の砲手を始末した。

 

全員の火力を集中させ、高射砲の兵士は20秒以内に一掃させられた。

 

「クリア!」

「クリア!」

「クリア!」

 

「オールクリア!」

 

「CP、高射砲クリア、後続の制圧部隊を投入してくれ」

 

『了解、こちらも高射砲の沈黙を確認した。後続を降下させる、隣のマンションの屋上へ移動して援護してくれ』

 

「了解!」

 

病院屋上の高射砲をクリアすると、街の要点にMH-60MブラックホークやMH-47Gチヌークで新たにレンジャー隊員を降下させていく。

 

バリー達はCP(コマンドポスト)の命令通り、隣のマンションの屋上に移動。

病院より低い3階建のマンションの屋上を確保し、上層から敵へと射撃していく。

 

汎用機関銃手(GPMGガナー)分隊支援火器(SAW)手、選抜狙撃手(マークスマン)擲弾手(グレネーダー)が撃ち下ろし、分隊長、無線兵を兼ねた副官、2名のライフルマンが屋上に上がってこようとする敵を射撃しね援護する。

 

『こちらCP、5分で車輌部隊が街に入る』

 

CP(コマンドポスト)からそんな通信が入る。

ゼルサット市街地の奪還は近い。

誰もがそう思い、実際その通りになった。

 

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オリバー・メイトランド曹長が指揮する車輌部隊が、ゼルサット市街地へと接近していた。

 

96式装輪装甲車 7輌

82式指揮通信車 1輌

16式機動戦闘車 2輌

87式偵察警戒車 4輌

01式対戦車戦闘車 2輌

 

対RPG用のスラットアーマーを取り付けた16輌のコンボイが市街へと続く幹線道路を走る。

ヘリから降下した兵員数と比べれば少ないが、それでも16式機動戦闘車と87式偵察警戒車、01式対戦車戦闘車を投入した事で桁外れの火力を発揮する。

 

市街地に入った途端、装甲車を銃弾がガンガンと叩いた。

96式装輪装甲車のシールド付きの銃座に装備されたブローニングM2重機関銃で反撃する。

 

放たれる12.7×99mmNATO弾は迫り来る敵兵士を薙ぎ払う。

1933年に正式採用されて以来、変わらぬ信頼性を誇るM2重機関銃の銃声は味方を安心させ、敵を恐怖に陥れる。

 

「敵のBMP出現!その後方にT-80Uだ!排除しろ!」

 

『こちらMCV01、了解』

 

『こちらAT、了解』

 

BMP-3、100mm低圧砲を持つゲオルギアのIFVだ。

車輌部隊を排除しようと前方に各4輌が展開している。

前方を走る96式装輪装甲車と82式指揮通信車が右折、後方にいた16式機動戦闘車が姿を表す。

 

好機と見たBMPが100mm低圧砲を発砲。

発射された徹甲弾は16式機動戦闘車の砲塔に吸い込まれ______鈍い音を立てて弾かれる。

コンポジション・アーマーの砲塔は同程度の口径の砲ならモノともしない。

 

ズドン!

 

お返しとばかりに轟音と共に16式機動戦闘車の105mm砲を射撃する。

高性能なFCSの補正によって、スリッピング・バンドを装着されたAPFSDS(翼安定装弾筒付徹甲弾)は、容易くBMPの装甲を貫いた。

 

走りながら装填手がAPFSDSの再装填を行う。

車長の号令と共に、次弾が発射された。

 

M1128ストライカーMGSやAMX-10R、チェンタウロ等の似た装甲車はあるが、それらが装備しているのは105mmでも低反動砲だ。

低反動砲は文字通り反動が小さく、軽い車体でも反動を吸収出来るが、代償として威力が低くなっている。

 

しかし、16式機動戦闘車が装備するのは正規規格、第2世代主力戦車(MBT)の主砲と同口径・同威力の戦車砲なのだ。威力は比べ物にならない。

 

2回目の斉射でBMPは全て破壊された。

続いて敵側のT-80Uが発砲。

125mmのAPFSDSが16式機動戦闘車の砲塔に突入するが、角度が浅く弾かれる。

 

16式機動戦闘車はもう1発のAPFSDSをT-80Uに叩き込む。

音速の4倍にも達する砲弾は見事命中したが、装甲は貫徹しなかった。

 

2輌の16式機動戦闘車は左折、迂回する。

その後ろに隠れていた01式対戦車戦闘車が、87式対戦車ミサイルを発射した。

重戦車すら簡単に破壊する対戦車ミサイルは、見事T-80Uの装甲の薄い上部を貫通した。

 

2輌の射撃で2輌のT-80Uが破壊され、鉄屑と化す。

 

残り2輌の内1輌は、迂回して来た16式機動戦闘車の集中砲火を喰らった。

流石のT-80Uも、2発3発と立て続けにほぼ同じ部位に105mmAPFSDSが命中すれば耐えられない。

 

最後のT-80Uは、車輌部隊から降車したレンジャー隊員の持つFGM-148ジャベリン携行対戦車ミサイルによって破壊された。

 

敵の虎の子の戦車を全滅させた第3レンジャー連隊は、市街地の制圧の速度を上げていった。

 

そして3時間後、ゲオルギアの国旗が立っていた支柱には、フライハイトとヨルジアの国旗が掲げられていた。




次回投稿は、9/27 12:00です。
書き溜めが底を尽きてきたので、ちょっと執筆速度を落とします、申し訳ありません。
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