SKY VALKYRIE & Silver Arrows 作:中井 修平
街のあちこちで銃声が響いている。
コンテナに隠れながら、シェダル・フォーマルハウトは息を荒げていた。
「はぁ……はぁ……っ!」
すぐ側まで迫っているゲオルギアの憲兵隊の手から逃れるため、路地を奥へと走り出す。
「シャディー!走れ!」
そう叫ぶのは、手にFN FNCアサルトライフルを持つロイ・アンドリュー。
チェスト・リグに自動小銃を持ち、憲兵隊に向かって射撃を行う。
シャディー、と言うのはシェダルの偽名だ。
後方で銃声が弾け、その向こうでゲオルギア憲兵隊の悲鳴が上がる。
2つ目の遮蔽物まで後退した。
今度はシェダルが援護する番だ。
後退するロイ達の後ろから迫る憲兵に対しての射撃。
FNCを構える、呼吸を整えて狙いを定め、引き金を引いた。
バン!とビルに音が反響する。
弾丸は憲兵の足に命中して、撃たれた憲兵が悲鳴を上げて崩れる。
続いてその後ろにいた憲兵にも銃口を向け、引き金を引いた。
弾丸は肩に銃創を穿ち、反対側から貫通した。
ロイが率いるレジスタンスは8人、任務はテレビ局の制圧、もしくは破壊だ。
マスメディアと言うのは、情報の発信基地でもある。
報道の仕方によって、戦争結末を左右するどころか、国民感情を煽って自由自在に戦争を始めたり、終わらせたりも容易い。
テレビ局や新聞社の制圧は急務であった。
しかし、それを出来るだけのレジスタンスが居るし、特殊部隊が戦闘のノウハウを叩き込んで更に戦闘能力が向上しているのは紛れもない事実だ。
現にこうしてゲオルギアの憲兵隊も敵わない位に成長している。
憲兵隊の武装はPP-19やPP-2000、輸入されていたMP5など9mm口径の
一方レジスタンスは、密輸によって手に入れたFN FNC、IWI ガリルAR、そして武器庫を襲撃して手に入れたAK-47やAK-74等の自動小銃がメイン。
武装の優勢は明らかで、そんなレジスタンスを鎮圧する為に本格的な正規軍が投入されるのは時間の問題であった。
正規軍が市街地に入る前に、制圧を完了させなければならない。
仮に戦車を相手取らなければならない場合、こちらは劣勢確実だ、何せRPGしか無い。
しかも相手は第3世代MBTだ、RPG程度では確実に撃破出来る保証などどこにも無い。
こちらも越境したフライハイト・ヨルジア合同の機械化部隊が接近中で、それまで何とか持ちこたえればならない。
テレビ局に到着、当然ながら正門には憲兵が見張っているので近づけない。
そこで、ダイナミック・エントリーで突入する事になった。
ロイが背負っていたバックパックから爆薬を取り出した。
爆薬をコンクリート製の壁に円形に貼り付け、起爆装置にコードを繋げる。
起爆装置はシェダルに渡した。
離れろ、とロイは全員に合図。
「起爆!」
ロイがそう叫ぶと共に、シェダルが点火スイッチを押した。
貼り付けていた爆薬が爆発し、コンクリートの壁が音を立てて崩れ、円形に穴が開く。
「ゴーゴーゴー!」
警報装置がそこら中で鳴り響き、警備の憲兵が何事かと駆け寄ってくる。
レジスタンス達はその穴からテレビ局の敷地内へと雪崩れ込む。
素早く移動して壁に張り付き、裏口を探す。
辿り着いた裏口には敵兵がいて、何やら慌ただしそうだった。
「こちらR班、S1、援護してくれ」
『了解』
ロイが無線を何処かに繋ぐ。
すると、数秒の時間をおいて見張っていた憲兵の頭部が弾け飛んだ。
ビルの屋上を占拠したスナイパー部隊からの援護射撃だ。
800m程離れた場所から、ドラグノフSVD狙撃銃やG3SG/1等のマークスマンライフルによって4方が監視されている。
レジスタンスは正面を切って対抗する程の兵力は無いし、士気は高いが練度が伴っているとは言い難い。
そこで、レベルの高い射撃を行う選抜射手______マークスマンを多数配置する事で、不利をひっくり返そうとしているのだ。
『見張っていた憲兵2人を排除した、角にもう2人いて狙っている、射撃するから待て』
間を置いて、再び銃声。
悲鳴と共に角にいた憲兵が崩れ落ちて来る。
『……オールクリアだ、進め』
「了解、援護に感謝する」
裏口に辿り着き、全方位警戒陣形を取る。
「シェダル」
「了解!」
シェダルが背負っていた
狙うのは鍵と蝶番部分、装弾はドア・ブリーチング弾だ。
ショットガンはライフリングの無い
例えば対人用の9発の散弾の入った
ドン!
シェダルが引き金を引き、1発のドア・ブリーチング弾を撃ち出す。
弾丸はドアの鍵を打ち壊し、粉々に砕け散る。
シェダルは照準を変え、蝶番へと狙いを移す。
ドン!
ポンプアクション・ショットガンであるM870のフォアエンドを1度引き、次弾装填。
ドン!
3発目、ドアは完全に破壊され、開け放たれたドアからレジスタンスが中へと流れる。
向かうのは局長室と、スタジオ。
内部にまで憲兵が浸透していなかった為、たどり着くのは容易だった。
ドアは呆気なく開いた。
「なっ、何だね君達は⁉︎」
「レジスタンスだ。放送しろ、この街は陥落した」
ロイは局長にそう告げた。
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カメラの前に立ったのはシェダルだった。
「テレビの前の皆さんに告げます。この市街は陥落しました。そして、この愚かな戦争に憂いている皆様、どうか、貴方方の持てる道具を持って、この戦争を始めた根源であるゲオルギア政府に、徹底抗議しましょう」
シェダルの演説は続いている。彼はレジスタンスのリーダーだったのだ、彼の影響力は絶大である為、すぐに国内の他のレジスタンスも武装蜂起するだろう。
ロイはその演説を聞きながら、放送スタジオの警備を続けた。
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一方、リュート・デビットらのレジスタンスグループはと言うと……
「起爆!」
ズドン!
爆薬を用いて、ゲオルギア駐屯地側の橋を次々と爆破していく。
ゲオルギア陸軍の駐屯地側の橋が全て落とされれば、街の反対側へと回らなければならない。
そして、それまでにはフライハイト・ヨルジア合同の機械化部隊が到着するので、確実に交戦になる。
こういった
橋が使えないと解ったゲオルギア軍も馬鹿ではない……いや、馬鹿であって欲しかったが、実際にはそうはいかない。
30機もの攻撃ヘリを投入し、レジスタンス殲滅を図ったのである。
10機のMi-28ハヴォックとMi-24ハインドDが襲いかかる。
「伏せろ!」
その言葉と同時に、全員が伏せる。
近くにロケット弾や12.7mmガトリング機関銃、30mm機関砲が着弾する。
「いいか!手近な建物に走るんだ!」
「了解!」
返事を返すと、彼らは散り散りに走り出す。流石に狭いビルの路地にはヘリは追っては来れない。
橋の爆破に当たっていた全ユニットが一旦集合し、あるビルのあるフロアに移動する。
そこには______大量の武器弾薬が積まれていた。
FN FNCにIWI ガリルAR等の小銃やグロック19やM92Fなどの拳銃、そしてそれぞれの弾薬や弾倉は勿論の事、RPG-7対戦車ロケット弾やC4爆薬、カールグスタフM2無反動砲等の重火器もあった。
その中で彼らが手にしたのは、1つのコンテナ。
コンテナを開けて彼らが手に取ったのは"FIM-92Cスティンガー"。ギネスブックに記載される程命中率の高い携行地対空ミサイルである。
そのスティンガーが合計で20発、残りのレジスタンス達はRPG-7を手に取った。
そして再び市街へと浸透していく。
ビルの屋上、路地等に展開していく。
リュートは自分の持つスティンガーをMi-28ハヴォックに狙いを定め、シーカーオープン、ロックオン。
引き金を引くと数瞬のタイムラグの後、ロケットモーターによってスティンガーが発射された。
ロケットモーターを切り離し、白い煙を曳いて突き進んでいったスティンガーは、ハヴォックのメインエンジンに命中、空中で爆散する。
それを皮切りに次々と市街から対空砲火が上がり始めた。
スティンガーは狙った
それでも流石というか、数発が外れる。
RPG-7射手が次弾を装填している間に、他のレジスタンス達が小銃を対空射撃する。
5.56×45mmNATO弾の弾幕がヘリのエンジンやコックピットに集中し、黒煙を上げ始める。
動きが鈍くなったヘリに対して、止めのRPG-7が撃ち込まれた。
こうしてヘリは全機撃墜、増援に間に合ったフライハイト・ヨルジア合同機械化部隊が敵の戦車隊を迎撃し、市街を制圧したのだった。
次回更新は出来れば10月1日にしたいです……と言うのは戦争終了パートに入っていくので、戦闘シーンがなくなります。
非戦闘シーンを書くのが苦手な自分……更新が1日や2日遅れるかもしれません……すみません。