SKY VALKYRIE & Silver Arrows 作:中井 修平
何しろ持っている連載の書き溜めが尽きてきている上に裏事情も忙しく……あ、ハイ、すみません。
では本編をどうぞ!
ヨルジア空軍がアルメリアに帰投後、ヴァルキリーがワールドエンドへと着陸した旨の連絡がアヤナ大佐からなされた。
その後、ノワリー・エリオット少佐が撃たれ、我が海軍の輸送艦"しんとう"と病院へとリレーして治療を受けているようだ。
「そんな……少佐が……?」
ヨルジア空軍の共に戦った仲間は、ショックを隠せずにいた。
しかし、これは戦争だ。誰が死に、誰が生き残るかは最後までわからない。
空軍の皆は、何も出来ない無力感を味わうと共に、ノワリー少佐の無事を祈った。
先の戦闘で被害を被ったが撃沈には至らなかったゲオルギア海軍の艦艇達は、連合艦隊との距離が100kmを割った時、連合艦隊から
ヨルジア海軍が装備するSSM-2B"シーバスター"対艦ミサイルと、フライハイト海軍が装備するRGM-84"ハープーン"対艦ミサイルが、それぞれ艦艇の
既に大破漂流していた艦艇に突き刺さったミサイルは確実にトドメを刺し、空母4隻含む30隻近い敵艦隊を海中へと没せしめた。
同時に困ったのは敵海軍航空隊だ。
空母という帰る場所を喪った彼らは、親の仇とばかりに対艦ミサイルを発射した。
しかし、弾速は早くとも弾体は大きな対艦ミサイル"モスキート"の被害を受けた艦は皆無。
SM-6やSM-2の艦隊防空ミサイルによって、その防衛圏を突破したミサイルはRIM-4やESSMのシースパローによって、更に内側に入った対艦ミサイルはMk45 mod4 5インチ単装砲やOTOブレダ127mm速射砲、SeaRAMやCIWSの近接防空火器によって全弾が迎撃された。
そしてシェダル・フォーマルハウト率いるレジスタンスが武装蜂起し、両国間に発生した理不尽な戦争の原因を言及する。
問題は継戦派だ。
要するに、「6年前の復讐」にこじつけて大暴れしたい奴、、戦争によって得る利益にしがみつきたい奴ら、復讐だか何だか知らないが、本気でフライハイトを憎んでいる奴ら。
それは恐らく、フライハイトにも居るだろう。
良い例がオズワルド准将だ、彼の様な人物が率いる継戦派は、間違いなく戦争を続けようとする。
最悪、ゲオルギアと手を組んでまでも自らの利益の為に戦争を継続させようとするだろう。
今後は国軍の主力より、そう言った残党狩りの方へとシフトしていく事になるだろう。
しかし、それも終わりが近い、開戦から1週間経たず、ゴールが見えてきた、という感覚が、基地に広がっていった。
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フェルガド海軍基地へ到着した輸送艦"しんとう"から、軍病院へと移されたノワリー少佐の本格的な手術が始まっていた。
少佐はドッグタグを付けていなかった為に不明だったが、抜き取った血液を鑑定にかけ、血液型の特定が進んでいる。
ヴァルキリーが飛び込んで来るのが先か、鑑定結果が出るのが先か……
「……そう言えば装備一式持って来ちゃいましたね……」
マルクス軍曹が自分の装備に目を落とす。
元々CSAR任務がメインのPJは戦闘要員だ、その為常に銃器を携行している。
2人は最初、山岳への派遣を命じられていたが、出撃前に急遽変更、装備を換装出来ないままの参加となった。
OPS-CORE FASTバリスティックハイカットヘルメットに、CRYE G3コンバットシャツにコンバットパンツ。
その上に身につけている空挺用プレートキャリアのJPCのポーチには弾薬がみっちり詰まっている。
「……まぁ、装備を換装する間も無く投入されたからな……仕方ないだろ」
「ええ、まぁ……」
取り敢えず余計な装備となったJPCとFN SCAR-L Mk16アサルトライフルを身から外す。
そんな話をしている内に、廊下の奥から複数の足音が聞こえてくる。
どうやら戦乙女達が見舞いに来たようだった。
「隊長の容体はどうなんですか!?」
その内の1人、小柄な女性パイロットが焦ったように2人に問いかける。
その問いにはマルクス軍曹が答えた。
「……ヘリの中と手術室に運ぶ最中に2回、心肺停止状態になりましたが、電気ショックと胸骨圧迫、人口呼吸で持ち直しました。胸部盲管銃創、弾丸は肋骨を砕いて体内で止まってます。現在医師が弾丸と肋骨の破片の摘出手術を行ってますが……医師曰く、弾丸だけで無く肋骨の破片が内蔵を傷付けている可能性があるので……成功率は60%位だそうです」
マルクス軍曹に問いかけた小柄な女性パイロットが小刻みに震え始める。
誰も望まぬバッドエンドを想像したのか、血の気が引いていくのが分かるようだ。
別のパイロットが女性パイロットの肩に手を置く。
ヒビキ曹長はこの2人は見覚えがあった。
1年前、墜落した機から救出したアッシュ・ブルーと、その付き添いだったソエル・ステュアートだ。
アッシュはソエルの肩に置いた手をするりと下に滑らせ、手を握る。
「さっきも言ったよな?隊長は絶対に死なないって。オレたちが諦めたらそこで終わりなんだよ」
「アッシュ君――」
そんなやり取りを目の前で見せられたヒビキ曹長は不謹慎ながら内心「(リア充爆発しろ)」と思ったが、2人の後ろでは別の感情が爆発していた。
病院の壁をガンガンとアレックスが殴っていた。
彼の拳は擦りむけ、血が滲んでいる。
「アレックス!止めなさい!」
「血が出てるじゃないか!止めろって!」
もう1人の女性パイロット______メアリィとリゲルの制止によって壁を殴るのを止めた。
どうやらワールドエンドに行くと言い出したのは彼らしい。
責任を感じているのだろう。
ヒビキ曹長は自分の持つファーストエイド・キットから治療道具を取り出し、治療を行う。
ヒビが入っているかどうかを確認、どうやらヒビは大丈夫な様だ。
消毒液を浸したガーゼを当て、包帯で巻いて縛る。
「責任を感じているのか?」
その問いに、アレックスは答えない。
ヒビキ曹長は治療しながら言葉を続けた。
「余り気負うことは無い、どうしようも無いことだ」
「でも……もし俺が違う判断をしていたら……」
「ああだったらこうだったらは意味無ぇ、これは仲間が前に言っていた事だが……後で考える時間はたっぷりある、誰が死んで誰が生き残るか分からない、お前のせいじゃ無い、戦争なんだ……ノワリー少佐が死ぬかどうかも分からない、希望を持て」
ヒビキ曹長がそう言うと、アレックスは口をギュッと締め、気丈に頷いた。
その間にフレット軍曹がヴァルキリーのメンバーに問いかける。
「ノワリー少佐ですが、ドッグタグを付けていなかった為血液型がわかりませんでした、リンゲル液とショック・パンツでは限界があります。輸血を行いたいのですが、誰が少佐の血液型が分かる方はいらっしゃいますか?」
フレット軍曹の問いに答えられるヴァルキリーは居なかった。誰も彼の血液型を知らないらしい……
誰も答えないと思ったが、クラッド大佐だけが答えた。
「A型だ、彼は息子だ。私の血を使ってくれ」
「私もA型です!私の血も……!」
「わかりました」
ソエルも同じ血液型のようだ。
と、そのタイミングで医師が手術室から出てきた。
「出血が酷く輸血が必要です!エリオットさんの血液型は……」
フレット軍曹がクラッド大佐とソエルを指す。
「この2人がノワリー少佐と同じ血液型です、献血もするようです」
「分かりました!こちらへ!」
そう言うと医師は、クラッド大佐とソエルを連れて別室へと案内する。
ヒビキ曹長もアレックスに喝を入れ終わる。
PJが出来る事はここまでだ。
その場に残された彼等に敬礼をして、装備一式を持って立ち去る。
決まった事では無いが……ノワリー少佐は死なない、PJの2人はそんな気がした。
次回の更新ですが、10日後を目処に投稿したいと思いますので、良かったらまた是非、よろしくお願い致します。