SKY VALKYRIE & Silver Arrows 作:中井 修平
『チクショウ!間に合わなかったか!』
『エターナル!ヴァルキリーのグリペンが墜落した!』
『了解、救難チームを送る』
空中管制機エターナルの指示を受け、領空外から監視を行っていた機がいる。
クリップドデルタ翼、外側に角度の付けられた垂直尾翼、世界最強の灰色の猛禽。
F-22A"ラプター" この戦闘機の名だ。
『ミーティア
『了解、フリーダム、そっちは任せたぞ!』
『ライダー、心配すんな、すぐ終わらせる。ブレイク!』
2機のラプターは左右に旋回、F-16Cを追う。
ミーティア
アイスブルーのF-16Cは機体を上下左右にジンギングさせ、フリーダムから逃れようとするが、そうはいかない。
何しろ2次元式推力偏向パドルを備えた高機動機である上、戦闘機の世代も違う。
4.5世代戦闘機が、第5世代戦闘機に勝てるか?
答えは、場合によるが、今回は否であった。
必死に逃げるヴァルハラにピタリと付いて離さない。
HMDのレティクルのセンターにヴァルハラを捉え、ロックオン。
『FOX1』
サイドスティック式操縦桿のトリガーに指をかけ、機関砲を放つ。
毎分4000発の20mm砲弾が900mの距離を一瞬で詰め、主翼を噛み砕いた。
『FOX2』
フリーダムは追い討ちをかける。
サイドウェポンベイに格納されていたAAM-5"ゴールドアロー"短距離空対空ミサイルが発射され、M3の速度でヴァルハラに食いついた。
機関砲によって崩され、AAM-5が命中したヴァルハラは、その場で爆散した。
パイロットはミサイルの命中前にベイルアウトし、無事な様だ。
証拠に空中でパラシュートが開いているのが見える。
『ミーティア
『ミーティア
もう1機のラプターも無事格闘戦を制し、F-16Cを撃墜した。
『了解、こちらエターナル。もうすぐベイブホークが到着する、侵入から撤退まで上空で警戒待機しろ』
『ミーティア
『
そう言うと2機のラプターは、上空でぐるぐると旋回を始めた。
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ヘリのローター音が響く。
海面に叩きつけられた機体から、パイロット、アッシュ・ブルーを回収、収容した。
そのまま病院へと運ぶ。
近くにヘリポートのある大きな病院があった筈だ。
アッシュは機内の担架に乗せられていた。
ペイブホークの機内では、PJによる応急処置が素早く、それでいて丁寧に行われる。
腹部に刺さった破片、それから全身の打撲だ。
決して放送用語の"全身を強く打ち"ではない。
「アッシュ君!お願い目を開けて!」
ソエルがアッシュを起こそうとする。
「……ソエ……ル……?」
「アッシュ君!」
「こ……こは……?」
「ヨルジア空軍、パラレスキュー隊のペイブホーク機内だ、30分もしないうちに病院で本格的な治療が出来る」
ヒビキがアッシュの質問に答える。
「……ヘリを戻してくれ」
「何だと?」
「ヘリを戻してくれ……オレは死にゆく存在だ……なら……せめて……
アッシュのその言葉を聞いた瞬間、ソエルの感情が爆発した。
痛いほどアッシュの手を握り、言葉をかける。
「死なせてくれだなんて、言わないで!ヴァルキリーの皆と一緒に生きるの!私はまだ、アッシュ君と一緒に飛びたい!」
アッシュはそれを聞くと、少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに柔らかく微笑む。
ソエルが初めて見たアッシュの笑顔だった。
そしてアッシュは、ソエルにしか聞こえない音量で、ソエルに何かを言う。
ヒビキには、ヘリのローター音で聞こえない。
言い終えたアッシュは、ゆっくりと目を閉じる。
「アッシュ君……?アッシュ君……⁉︎アッシュ君⁉︎お願い目を開けて!」
「……大丈夫、バイタルは安定している。君みたいなガールフレンドの為にも、彼は一生懸命生きようとするさ」
その言葉を聞いても、ソエルは海水に晒され冷たくなったアッシュの手を握っていた。
……俺もこんな彼女欲しいよ……
ヒビキが少しだけ拗ねたのは内緒である
次回投稿は、6/27 12:00です。