SKY VALKYRIE & Silver Arrows 作:中井 修平
同時刻、タスクフォースが出撃した基地で作戦全体の指揮を執っていたディック・ハドソン少将も行動を開始した。
「ウィルキンス、明日の1030時、フライハイト空軍の上位将校を呼べ、全員だ。悪ガキには相応の仕置が必要だ、取りかかれ!」
「了解しました少将」
ハドソン少将が助手のニコラ・ウィルキンス中佐にそう指示。
明日、フライハイト空軍の上位将校が震え上がる様な事態が起こる。
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1030時、予定通り空軍の上位将校全員が集結する。
査問会の様なテーブル配置、少将は前方の上位将校に向かい、上位将校達はハドソン少将に対して1列に並んでいる。
「一体何の真似だね?ヨルジア陸軍のハドソン少将」
将軍の1人が「合同演習は昨日で終わった」と言わんばかりの嫌味ったらしい態度でハドソン少将に問い詰める。
「昨日の夜、貴方方上層部の軍がアルメリア空軍基地を襲撃しましてな、"エイル"を捕らえようとしていたので、ここへ参った次第です」
入れ、とハドソン少将が後ろに声を投げるとドアが開き、覆面の兵士が数人とウィルキンス中佐が入ってくる。
「……⁉︎グランツ博士⁉︎」
「我々はその情報を掴み、友軍の士気を乱す襲撃者を排除したところ、彼女達がいましたので捕獲しました」
整った顔を絶望で歪め、乾いた血が口元から一筋。
もう1人の白衣の男は、悔しさで顔を歪めていた。
「問題点は2つ、1つ目は空軍上層部が非人道的な人体実験の為に"エイル"を捕獲しようとするほど腐敗している事、2つ目は空軍上層部の兵士の練度が思ったより高くなかった事。今後フライハイト空軍の上層部が"エイル"を狙おうとした場合、我々は国を挙げて抗わせて頂く」
ハドソン少将の言葉に空軍上層部の将校が青ざめる。
ヨルジアは"マナ"の技術を持ってはいないが、それ以外では高い技術力と、フライハイト国とほぼ同レベルの軍力を持つ。
オーレアシア合衆国で配備されているF-22やB-2の開発に秘密裏に協力し、オーレアシア以外で唯一この2機種が実戦配備されている国だ。
そんな国と戦争をしたら_____互角に渡り合えるとは言え、どれ位の犠牲が出るかわからない。
もちろん、本気で侵攻してフライハイトを潰すというのはハッタリだが、強めに警告しないと、今度はまた何をやらかすか分からないというヨルジア大統領の判断だ。
大統領命令の警告は終わった、ハドソン少将は踵を返し、その部屋を出て行った。
残されたのは驚愕する空軍の幹部と、技術研究本部の哀れな科学者だけだった。
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仕事が終わり、車輌は軍港から。
人員はC-17ERグローブマスターⅢで。
ヘリは分解されてC-5Mに積まれたり、輸送艦に乗せられて帰国する。
C-17ERはシルバー・アローズやレンジャー隊員を乗せ、フライハイト国内の飛行場を離陸。
離陸してから30分後、機内にアナウンスが流れた。
『機長のタナバです。左手をご覧下さい、チーム・ヴァルキリーのエスコートでございます」
窓が見える場所の隊員が一斉に窓際に寄る。
すると、赤く染まったF-16C、アストライアが横へ並ぶ。
アストライアだけでなく、青緑色に染まったF-15Eストライクイーグル・シルフィードも居る。
ヴァルキリーのお見送りだ。
窓際に座っていたエドワーズやデリックは思わずその機体に見惚れる。
「あれは嬢ちゃんが乗ってる機体かな」
「さあな」
エドワーズは素っ気なくそう返し、窓からアストライアに向かって手を振る。
すると、それに気付いたアストライアが翼を降り、暫くして旋回していった。
チーム・ヴァルキリー、どうかご無事で。
また会えたらいいな、今度は覆面無しで。
そんな事を考えたエドワーズだった。
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今回の件でチーム・ヴァルキリーに下された処分は無かった。
今でもソエルは時々思い出す。
目出し帽から出た鋭い目とはみ出た銀髪、ちらりとだけ見えた銀の矢の徽章、蜘蛛の複眼の様な暗視装置を取り付けたヘルメット、黄土色の小銃を持った謎の部隊。
「シルバー・アローズ……」
「ソエル、CAPに上がるぞ」
「あ、はい!」
アッシュに呼ばれたソエルは立ち上がる。
1年、空を離れていたアッシュがヴァルキリーに復帰し、基地は何時も通りの時間を刻む。
白い雲が散らばる青い空。
世界樹ユグドラシルから放出される"マナ"に満ちたこの空を。
今日も
そんな
この時は誰も予想していなかった。
取り敢えず、ここまでで一区切りとします。
また描き上がり次第、次話を投稿しますので、暫くお待ち下さい。
なお、出来れば来週の金曜には更新したいと思っています。