SKY VALKYRIE & Silver Arrows 作:中井 修平
ある日のテレビのニュースで、信じられない臨時ニュースが流れていた。
「ゲオルギアがフライハイトに宣戦布告だと⁉︎」
突如としてゲオルギアがフライハイトに宣戦布告、理由は6年前の大戦の復讐だと言っているが、詳細は不明だ。
フライハイトでは緊急会議が開かれ、またヨルジアでも大統領以下首脳陣の会合が開かれた。
いくら大統領命令であんな事になったとはいえ、古くからの友人であるフライハイトに危機が迫っているのは確かだ。
宣戦布告より4時間後、ヨルジア連邦共和国は軍の派遣を決定。
フライハイトの友軍として集団的自衛権を行使する為、共に宣戦布告を受理した。
宣戦布告より6時間後、正式に大統領より軍の派遣命令が下された。
それと同時に、まずヨルジア国内で動きがあった。
命令より72時間以内に作戦行動が可能な5つの
ヨルジア軍最大のQRF、海軍海兵隊の第1海兵師団と第2海兵師団。
機動力を最大限に引き出し、真っ先に敵地に降下する陸軍第1空挺旅団と第2空挺旅団。
対テロ戦争開戦より重要性が見直され、オペレーション・ゴング以降、大隊から連隊へと規模が拡大された第3レンジャー連隊。
この5つのQRFが作戦の要である。
作戦名は_____Operation
北欧神話における最終戦争の名を冠した作戦の概要は次の通り。
①フライハイト国内に攻め込むゲオルギア軍の殲滅。
②国境より押し返し、尚もフライハイトに攻めこもうとする事態が複数回あった場合、ゲオルギアの政治中枢を攻撃する。
③ヴァルキリーと共同でゲオルギアが狙っていると思われる大陸、ワールドエンドに根付く世界樹ユグドラシルの防衛。
③については不透明な部分が多すぎる為、あくまで暫定的だ。
何しろ、ユグドラシルが根付くと言われる大陸ワールドエンドがあると思われる場所には濃い霧が立ち込め、方位も狂う為入ったらまず出ては来れない。
霧が晴れればそれでいいが、ワールドエンドを覆う霧が晴れると世界が崩壊すると言われているのだ。
科学が発達した現代にそんな事は無い、という意見も出ているが、考古学者によれば、紀元前からの文献と世界の文明の歴史から、ワールドエンドの霧が晴れる度に、大文明が必ず崩壊している。
現在のところ、最後に晴れた記録は395年。1600年近く霧が晴れたと言う文献は無いが、第1次、第2次世界大戦時には、ワールドエンドの沿岸が洋上から観測出来るほど霧が薄くなった記録がある。
つまり、ワールドエンドの霧が晴れるという事は、世界秩序の崩壊を意味するのだ。
軍の派遣が決定した次の日、イザナギ軍事施設やフィミニア軍港より、海兵師団をのせた遠征打撃群が2個艦隊、空母打撃群が1個艦隊が出発した。
空軍も行動を開始、各飛行隊から4機程の空軍機が派遣される事になった。
空軍機は、フライハイト各地の基地を間借りする感じで分散して配備される。
もちろん、アルメリアも例外では無い。
先遣隊としてQRFである第3レンジャー連隊と軍用車両を乗せたC-17ER輸送機が6機、ハートホード空軍基地を離陸、ケノランド空軍基地からF-15CJ 4機の護衛を受けつつアルメリアを目指した。
アルメリアに派遣される事になった戦力は、F-22A 8機、F-2A 8機、F-15CJ 8機の計24機だ。
駐留に関しては、フライハイト大統領以下、航空団司令や基地司令、飛行隊長などの了承も降りている。
そして忘れてはならないのが、QRF以外の陸軍と海軍。
機動力が重視されるQRFは戦闘継続能力が低いと言わざるを得ない。主力部隊に戦闘継続をバトンタッチする前に投入される先兵の為、主力部隊が来なければ士気も落ち、補給物資も底を尽きて各個撃破されてしまう。
陸軍では緊急に各兵科を招集、第0師団として編成した。
3個歩兵連隊、2個機甲連隊、2個砲兵連隊、1個航空隊、1個高射連隊、2個後方支援連隊。
そういった各兵科を混合した部隊を諸兵科連合と言い、これが1個師団分派遣される事となる。
そしてこれに関しても、やはり許可を得た場所での駐留になる。
更に、長年の友好国であるラベリア共和国やフランデンベルク連邦共和国に声をかけたところ、喜んで協力してくれるといい、直接ゲオルギア連邦を叩いてくれるらしい。
フライハイトは再び、戦火に包まれていく。
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「今日ですねぇ……」
ソエルが格納庫から空を見上げる。
ラジオからはゲオルギアの宣戦布告を告げるニュースが流れており気分が沈むが、この基地にとってそれ以上のニュースがあった。
ゲオルギアの宣戦布告を受け、ヨルジアが援軍に駆けつけてくれるのだ。
ヴァルキリーのメンバーは、1度ヨルジア軍の部隊と接触した事がある。
オペラはじめとした空軍上層部の部隊がアルメリアを強襲した際に、アルメリア基地"解放"の為に飛来したのだ。
「俺たちはこの後CAPに上がるから、その後位かな」
「まぁ、そうだろうな。帰って来たら顔合わせ出来るって訳か、楽しみだな」
アッシュが珍しく「楽しみ」と口にする。
「珍しいな、アッシュがそんな事を口にするなんて」
「そうだな、俺を落とした奴を落としたんだ。どんな奴かあってみたいよ」
アッシュは1年前、F-16Cに撃墜されている。
そのF-16Cを撃墜したのは、ヨルジア空軍の戦闘機だったからだ。
アッシュのグリペンとアレックスのストライクイーグルが牽引車にトーイングバーで連結されて格納庫より引き出される。
「でも、こんな時にCAPなんて……危険じゃないですか?」
ソエルが心配そうに2人に問いかける。
ゲオルギアが宣戦布告したタイミングでCAP、ソエルは嫌な予感がしていた。
「そんなに心配しなくたって大丈夫だ。眉間のシワが誰かさんみたいに増えるぞ」
アッシュはそう言いつつ自機へと歩いていく。
脳波融合制御システム作動、機体がエメラルドグリーンに発光していく。
精鋭部隊ヴァルキリーに施された機体の仕掛けだ。マナの技術を持つフライハイト空軍はこの様に脳波リンクを使い、ゲオルギアの様な多数の機体を少数の機体の質で圧倒する。
管制塔からの指示、滑走路までタキシングする。
スロットル開放、速度に合わせてエレベータ・アップ。
あっという間に小さくなっていく機体を、ソエルは地上から不安げに見つめていた。
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