神を殺す、その日まで。 作: 紫水晶
「ん……朝、か……」
眠い。だるい。体にまだ疲れが残っているのを感じる。
明るい。魔石灯つけっぱなしで寝たんだった。眠い。
眼だけを動かして壁にかかってる魔石時計を見る。5時30分か。
「起きなきゃ……」
今日は服を縫って、短剣と胸当てを手入れして、訓練して、それからダンジョンだ。急がないと。
でもまずは、ご飯だ。
冷蔵庫から卵、豚肉、葉野菜、パンを取り出す。
「お腹減ったなぁー……」
まな板を布巾で軽く磨いて、葉野菜をぺりぺりと1枚1枚剥がしていく。
よく考えたら、最後に食べたのって昨日の朝だ。
昨日の夜は疲れて寝ちゃったからだけど、昼は……
「あぁ、ダンジョンに何も持っていってなかったんだっけ」
そんなことにも気付かないくらい緊張してたんだなぁ。
じゃあ、お弁当も作らないと。
「うん、材料に余裕はあるし、朝昼同じだけどサンドイッチでいっか」
フライパンに油をひいて、豚肉と卵を入れる。
塩コショウを軽くきかせて、強火でサッと炒める。
頃合いが良くなったのを見て火を止め、まな板でパンをスライスしていく。
スライスしたパンに葉野菜をひいて、さっき炒めた豚肉と卵を適度に入れ、その上に葉野菜を重ねてパンで閉じる。
「適当サンドイッチ完成ー」
だいたい4セット、てところかな。
2セットは今食べて、あとの2セットはダンジョンで食べよ。
「ん……旨い」
材料が前までやってたバイト先からの貰い物だけあって、料理がさほど上手じゃない僕の料理でも美味しい。
葉野菜が『デメテル・ファミリア』産、豚肉と卵、パンが『ヘカテー・ファミリア』産だったっけ。
「こんな神ばっかだったらよかったのになぁ」
そう思わずにはいられない。
神が下界に降りてきてから農業がすごく発達して食生活が豊かになったって父さんと母さんは昔言ってた。
と、そんなことはともかく。
「さて、早くやることを済ませなきゃ」
最後のサンドイッチの欠片を口に放り込み、水を飲んで押し流す。
よし、まずは服だ。
◆◆◆
「……難しい」
針と糸は引き出しの中にあった。かつての同居人が置いていったものだ。
見よう見まねで裂けた左腕の部分を端から交互に縫い合わせていったんだけど……
「なんか、ギュってなってるし」
無理やり布同士を寄せ合わせた感じが全面的に出てる。
たぶんこれ、左腕通すとき大変かもしれない。
ていうか、そもそも縫い目が汚い。
「……ま、まあいいよね。使うの僕だし、どうせまたすぐ破けちゃうし」
ちょっとした惨状に目を背けつつ、次の作業へ移る。
◆◆◆
「金属系の武具の手入れは、基本は汚れを拭いて、錆とかが出てきたら削り落とすってルドベキアさん言ってたな」
それに加えて砥石で研いだり防錆処置として油を差したりすると切れ味や耐久性が保たれるらしいが、そこまでするお金も技術もない。
ギルドで教えてもらったことをもとに、とりあえず昨日使った短剣と胸当ての手入れを始める。
魔石コンロを備え付けたキッチンを兼用している棚から布巾としてはもう使えないぼろ布を2枚取出し、1枚は冷蔵庫から水の入った容器を取り出して軽く湿らす。
「そろそろ水を汲みにいかないとな」
この家の裏側には井戸がある。以前にここに住んでいた人達の日常用水だったんだと思う。
やろうと思えば今からでも汲みに行けるが、家の出入りの回数を増やしたり家の周りをうろつく回数を増やすのは出来る限り避けたい。
勿論、空き家に勝手に住んでいる後ろめたさもあるけど、それよりも。
僕の目的の都合上、僕は出来る限り人と関わらない生活を送ったほうが良いから。
だから井戸の水を汲むのは2週間に1度、夜中に行うと決めている。
以前に水を汲みに行ったのは12日前。あと2日か。
そんなことを考えながら、短剣にべっとりとこびりついた血を濡らしたぼろ布で擦っていく。
でも、ゴブリンの血は1日近くたったせいか、完全に固まってしまっていてなかなか落ちない。
「はぁ……昨日やっておけばよかった」
思わず溜息と愚痴が出る。
これからは、その日のうちに手入れしよう。
そんなことをつらつらと考えながら、なんとかこびりついた血は落としきった。
とはいえ、こびりついている血こそ無くなったが、水気の含んだ血が短剣を濡らしている。
「よし、あとは乾拭きだ」
そのため僕は、あらかじめ準備していた濡れていないぼろ布で短剣の水気を血とともに拭き取っていく。
濡れたぼろ布で汚れを落としていたこともあって、数分も経たないうちに短剣はギルドから支給された時の輝きを取り戻した、けど。
「……これも、洗わなきゃかぁー」
湿らせたぼろ布と乾いたぼろ布、両方ともゴブリンの血を始めとした汚れを存分に吸っていた。
乾けば、かなりの臭いを放つことになるだろう。
「水汲みの期間を1週間にするか。いや、これについては他の水場でやるようにしよう」
洗濯まで含めるとなると、水場の近くでないと厳しい。
さて、次だ。
◆◆◆
「レッグホルスターに
ダンジョンに潜るための装備の確認終了。
……確認っていうほど数は多くないけどね。
「時間は、……7時30分か」
やっぱり装備の手入れが時間かかったな。とはいえ、ダンジョンに潜るのは9時からの予定。
1時間近く時間はある。
「よし、やるか」
◆◆◆
左足を後ろに、右足を前に。
体は半身で、腰を落とす。
右手に短剣を順手で握りしめ、腰あたりまで持っていき軽く引く。
「――――――ふぅ」
目を瞑り、深呼吸。
イメージするのは、昨日のゴブリン。
ゴブリンは、右腕を振りかぶって迫ってくる。
15m、10m、5m、3m――今!!
右腕を軽く左側へ捻るよう意識しつつ、右足を少し前に出す。
「――やぁっ!!」
右足が地面についた瞬間、地面を踏みしめて左側から右側へと右腕を思い切り振りぬく。
『ギィアァァァ…………』
僕の作り上げた幻のゴブリンは、僕が踏み込んで間合いを狂わされたのか、振りかぶった右腕を振り下ろすことなく絶命した。
「もう一回」
右足を後ろに、左足を前に。
体は半身で、腰を落とす。
右手に短剣を順手で握りしめ、胸元あたりで構える。
『キシャァァァーーーー!!』
狂ったような声を出すゴブリンに体が硬直しかける。けど。
「イメージに怖がっていて、上手くいくわけないだろ!!」
僕自身を叱咤して無理やり硬直を解く。
そして、右足を踏み出すと同時に上半身を左側に捻り――
「はぁっ!!」
捻りを開放するように左から右へと手首をしならせながら斬りつける。
ヒュン、と風切り音がしたそれは、偶像のゴブリンを真っ二つにした。
「もう一回」
左足を後ろに、右足を前に。
体は半身で、腰を落とす。
右手に短剣を順手で握りしめ、胸元あたりで構える。
左足を前に出し、地面を踏みしめると同時に右手の短剣を軽く振り上げ、
「せやあっ!!」
右上から左下にかけて斬り下ろす。
「もう一回」
左足を後ろに、右足を前に。
「少しずつ、少しずつ」
少しずつ、身に着けていく。
体は半身で、腰を落とす。
◇
◇
◇
◇
「もうこんな時間か」
8時50分。
あのあと僕は1時間、幻のゴブリンを斬り続けた。
一昨日の訓練とは違って、昨日実際に戦ったゴブリンの幻影を斬り続けたんだ。少しは効果がある、と信じたい。
「さて、十分休んだし、そろそろいこう」
今日は17時くらいには帰りたいな。ギルドにも行きたいし――
あの茜色の空をまた見たい。
「――よし、行くぞ」
目の前にあるのは、塔。
塔の地下にあるのは、ダンジョン。
塔に向かう数多の冒険者に紛れて、ダンジョンへと足を踏み入れた。
◆◆◆
「シャアッ!!」
「うわっ!!っと」
モンスターの右腕から繰り出される大振りの爪による引っ掻きに対し、右腕から遠ざかるようにモンスターから見て左側へと飛び込むことで回避する。
ゴロゴロ、と2回ほど前転して立ち上がり、即座に振り替えるとモンスターは爪を振り切った体制のままこちらを見ていた。
左足を後ろ、右足を前に出して腰溜めに短剣を構えると、モンスターはこちらに体を向けて右腕を下げる形で半身になった。
目の前にいるのは、ゴブリンに良く似た体格のモンスター。
犬頭であり、ゴブリンよりも獣性が強い分僅かではあるが身体能力が高い。
犬頭から繰り出される牙や爪は鋭く、引っ掻きやかみつきを直接叩き込まれたら昨日のゴブリンの時のように無事では済まないだろう。
しかも、モンスターの右腕の爪は、他の部位と比べて大振りであり鋭さも高そうだ。おそらく、ギルドで聞いた異常発達部位だろう。
モンスターの名前はコボルト。ゴブリンと並び、ダンジョンの最上層に出現するモンスターだ。
昨日のゴブリンよりも強いだろう。
でも、昨日よりも恐怖は感じない。体も動いてくれた。
それなら、いけるはず。
「決めてやる……!!」
コボルトとの距離は、10mくらい。構えもできてる。
今朝訓練したように、襲いかかってきたところを斬りつける!
「ガアアアッ!!」
コボルトが襲い掛かってくる。
右腕は体の後ろに隠すように引いている。たぶん、射程範囲に入った瞬間に大振りを繰り出す腹積もりだろう。
でも、刃渡り50cmの短剣を振るう僕のほうがリーチは長い。
7m。5m。3m――
「――やあっ!!」
右足を前に出し、地面を踏みしめて左側から右側へと右腕を思い切り振りぬく。
コボルトの右脇腹から真っ二つに切り裂くべく手首をしならせた、その瞬間、コボルトと目があった。
笑っている、そう感じた。
「――なっ!?」
僕が振り切った剣は、確かにコボルトには当たった。
だけど、実際は真っ二つに切り裂くどころか薄皮1枚切った程度。
前を見ると、3m程後方にジャンプしただろうコボルトが着地していた。
(避けられた!?)
たぶん、短剣を構えている僕に対してコボルトは警戒し全速力で襲いかかってこなかった。
だからこそ、僕が斬りかかる直前にコボルトは後ろに跳ぶだけの余力を残せたんだ。
(マズイ!?)
僕は今、完全に短剣を振り切った状態。
対し、後ろに跳んで着地したコボルトはすぐさま僕へと右足を踏み出した。
あと一歩、左足を踏み出すと同時に右腕を、異常発達した大きく鋭い爪を振り下ろすだろう。
短剣を振り切った体制に無理に力を入れ、体を起こし強引に右腕を引き戻す。
僕の左頭上から、爪が降ってくるのが見える。
爪と僕の間に割り込ませるように、右腕を必死に動かす。
(間に、合え!!)
ガキィィン!!
あまりの衝撃に思わず、目を瞑ってしまった。
まるで馬にでも突っ込まれたかのような、衝撃。
ガリガリガリ、と土が削られる。衝撃に対して僕が踏ん張った結果だ。
聞こえたのは、金属音。
なんとか、間に合った。
目を開けてみると、右腕を振り切った大勢のコボルトが5m先に見えた。
(爪の攻撃に僕の短剣の防御が間に合った。受け止めきれずに5m程下げられたけど、何とか踏ん張れたのか)
短剣に目を向けると、僅かに刃の欠けた姿が目に入る。このくらいなら問題ない、はずだ。
今がチャンスだ。
「――あああああぁぁぁーーーーーー!!」
今のコボルトは、さっきの僕と同じで無防備だ。
しかも、あのコボルトの右手は異常発達部位で、その分重く引き戻すのに時間がかかると思う。
2歩、出来る限りの速度で踏込み、3歩目。
左足を前に出し、右手を振り上げて思い切り踏みしめる。
コボルトは、想定以上に力を込めて腕を振り切ってしまったのか、体勢は崩れたままで右腕も引き戻せていない。
いける。
右手を、短剣を右腕もろともコボルトの左肩から右脇腹へと振り下ろす。
「グオオオッ!?!?」
コボルトは断末魔を上げつつ、僕の目の前で灰になっていく。たぶん、魔石も一緒に斬っていたのだろう。
モンスターの核が魔石である以上、魔石を破壊もしくは除去すればどんなモンスターでも死ぬとされている。
コボルトが灰となっていくその中で、右手の爪だけは灰にならずに残った。
やはり、あれは異常発達部位だったのだ。
「……やった」
でも僕は、そんなことより僕の右手にある短剣に目を向けていた。
出来た。
昨日のように力技ではなく、技でモンスターを殺せたんだ。
他の人からしたら、どうでもいいことかもしれない。
剣を握って3日目のやつが何を、と思うかもしれない。
でも、そんなことはどうでもいいし、僕にもなんでこんなに嬉しいかわからない。
いや、わかるけどわからない。
ただ。
練習したことが上手くいく、それがこんなに嬉しいなんて思わなかった。
それだけの話。
「……次はもっとうまくやるぞ」
今の戦い、1回目の斬撃は相手の動きをしっかり把握できていなかったために、失敗した。
もっと、相手の動きを見て行動しよう。
「あ、ドロップアイテム拾わないと」
少し落ち着いた僕は、目の前のドロップアイテムに意識を向ける。
ドロップアイテム。
魔石を除去したモンスターは、たまにこうして体の一部を残すことがある。
これは今回のコボルトのようにそのモンスターの中で異常発達した部位であり、魔石を失ってなお独立する力が備わっている、らしい。
これらは換金しても良いし、武器や防具の材料にもなるらしい。
そして、大体の場合はそのモンスターの魔石より高く取引される。
「コボルトの爪、か」
勿論、第1層でとれたドロップアイテムの価値なんてたかが知れてる。
ただ、なんか、自分が苦戦した相手からもぎ取った戦利品みたいな感じがして、うれしかった。
◆◆◆
「あ、茜色の空だ……」
僕がダンジョンから出てきたとき、空は昨日と同様に茜色だった。
茜色の空には、茜色を映えさせる薄橙の雲、うっすらと見える白い月もわずかに見えた。
うん、やっぱり綺麗だ。
「っと、ギルドに行かなきゃ」
広場の時計に目を向ければ、17時30分を指していた。少し遅くなったけど、2日目にしては良いほうじゃないかな。
ギルドへの道に目を向ければ、僕と同じ考えなのかたくさんの冒険者が歩いていた。
「行こうか」
疲労している体にもうひと頑張りだと喝を入れて、ギルドへの道を歩く。
◆◆◆
「――キミは今まで、ダンジョンに潜っていた、てことで良いのかな?」
今、目の前でニコニコと音に出そうなくらいの笑顔で尋ねてきたのが僕の担当アドバイザーであるフリージア・ルドベキアさん。
青みがかったの黒色の長髪をツインテールに纏めており、透き通った緑玉色の瞳を中心に整いすぎないほどに整った顔立ちをしている人間だ。
非常に引き締まった体をしており、ギルドの制服である黒色のスーツが彼女の体の美しさを一層引き立たせていた。
そんな美人さんが笑顔で僕に語りかけてきているのに、僕が感じているのは恐怖だった。
怖い。絶対怒ってる。
「い、いえ。昨日の夕方に一度帰ってきました」
「そう。じゃあなんで、ここに来なかったのかな?」
疲れたからです。忘れていたからです。
そう正直に答えてよいのだろうか。
「勿論、冒険者にダンジョンから帰る度に必ず報告に来なければならないなんて規則はないよ?でもね、初めてダンジョンに潜ったときくらいは報告に来てほしかったかな。ましてやキミは12歳のこどもで、ファミリアのパーティにも加わらずに一人でダンジョンに潜るんだから」
そう言ってくれるルドベキアさんの表情から、笑顔が徐々に失われていくのが分かる。
ここまで言われて、ようやく僕にもわかった。
ルドベキアさんが怒ってたのは、それだけ心配してくれてたんだ。
「――昨日来なかったから何かあったのかと思ったよ」
疲れたとか、忘れたとか。
そんなしょうもないことで目の前の人にこんなに心配をかけて。
涙を瞳に浮かべながら想いを告げてくれるルドベキアさんに、猛烈な罪悪感と羞恥心が僕の中で生まれた。
「ごめんなさい」
謝ろう。正直に伝えよう。
「昨日はモンスターとの戦いに必死で、ダンジョンから出てきた時にはもうルドベキアさんへ報告するということ自体がとんでしまっていて、すごく疲れていて、帰ってしまいました」
みっともないけど、なんだそりゃって思うだろうけど、それでも伝えよう。
「今朝、起きた時にギルドへ報告しなきゃって思ったんですけど、今日ダンジョンに行ってからでいいや、て思って今来ました。心配かけて、ごめんなさい」
改めて口に出すと、なんて身勝手な考えだろう。
これじゃ、とても許してもらえないだろう。
ルドベキアさんの顔を見るのが怖くて、顔を上げられない。
「……本当は、怒らなきゃいけないんだけどね」
はあー、とため息が僕の頭上から聞こえた。
そうだよね、やっぱり怒ってるよね。
「顔をあげて、サクラ君」
そう言われて、恐る恐る顔をあげてルドベキアさんを見る。
すると、彼女の表情に怒りはなかった。え?
「サクラ君自身が深く反省しているようなので、今回の件は1つ罰を荷すことで不問とします」
「……いいん、ですか?」
「今回はダンジョンから帰ったら報告に来るように、て言わなかった私も悪いから」
いや、常識的に考えてダンジョン初日で報告に来ない人なんていないでしょ。
……僕が言えたことじゃないけど。
「で、罰なんだけど――私のことをこれからは名前で呼ぶこと!」
「え?」
名前?なんで?
「名前で呼ぶような関係になれば、少しは私のことパートナーとして意識してくれるでしょ?」
そう言うルドベキアさんは、ふふんとでも擬音の付きそうな笑顔で僕に笑いかけてくる。
でも、彼女の瞳の奥に少しの不安や寂しさが見えた、気がした。
(少しでも、頼りにしてほしいんだ)
12歳で初心者のこどもに頼られないっていうのは、忘れ去られてたっていうのはアドバイザーとして凄い悔しいことだと思う。
だから、ルドベキアさんなりに距離を縮めようとしてくれたんだ。
少しでも親しみやすいように、相談できるように。
そこまでしてくれるのはたぶん、僕が所属しているのが、あのファミリアだから。
「……分かりました。これからもよろしくお願いします、フリージアさん」
「うん!よろしくね、サクラ君!!」
僕が名前で呼ぶと、フリージアさんは今日一番の笑顔で受け入れてくれた。
僕はそれを見て心がズキンと痛むのを感じつつも、話を進める。
「じゃあ、昨日と今日の報告をしますね」
「うん、じゃあまずは――」
フリージアさんからの質問に答える形でダンジョンでの出来事を報告しながら、思う。
僕はいずれ、こんなに優しく親しみをもって接してくれる人を――。
(いや、今はまだ、考えなくていいことだ)
「サクラ君?」
「あ、すみません。ええと――」
いずれその時が来るまでは。
フリージアさんの好意に甘えよう。
サクラ・ヒース Lv.1
所属:???
種族:
職業:冒険者
到達階層:1階層
武器:短剣(ギルド支給品)
防具:胸当て(ギルド支給品)
所持金:1800ヴァリス
力 :I 0
耐久:I 0
器用:I 0
敏捷:I 0
魔力:I 0
≪魔法≫
【 】
【 】
≪スキル≫
【 】