短いです。
『異性モドキ』を解いたことで、僕の身体は重くなる。
やっぱり、この魔法を解いたら魔力が余る。だるいなぁ。
早く魔法をかけ直して、体調の悪さから解放されたい…と思いつつ、そうなるように促した2人の男を見る。
ダンブルドアは「やはり」という何か確信を持った顔をして目を輝かせている。スネイプ先生は「……っな!?」と表情には出さないが、絶句している様子。
(そのピクリと動いた眉が麗しいです!)
僕の姿はそれ程までに重要な事なのだろうか?
この世界の親には悪いが、僕の容姿は別に珍しくともなんともない。親……?
何だろう、単語を思い浮かべるだけなのに、この妙な寒気は……。前まではこんなこと無かったのに、おかしい…、あの夢を見たからか?するとなんの繋がりが?
もしも、…もしもあの夢が夢では無かったら…
「……ワは、…なのですか?」
スネイプ先生の重低音で我に返る。どうやら、この短時間に外の音を聞き取ろうとしない程考え込んでいたようだ。
変な憶測を立てたせいか、じわりと滲んだ汗でシャワーしたばかりだというのに魔力の余りすぎによる身体の重さも重なりかなり気分が悪い。
きっと顔色は頗る悪いだろう。
なんとか顔を上げてスネイプ先生の方を見る。
「では…、あの二人の…」
「そうじゃ、あの二人の子供じゃよ」
ダンブルドアとスネイプ先生が勝手に納得している。
「ダンブルドア先生、説明していただいてもよろしいでしょうか?…その前に」
ホルダーから杖を取り出す。まだスネイプ先生は警戒していたが、今度は杖を構えてこなかったので、『異性モドキ』を解いたことで警戒水準がマシになったのだろう。
ダンブルドアも別に止めようとしてこなかったので、堂々と魔法を使う。
杖を向けるのは、自分。正確にいうと、自分の周り30cm以内。
きちんと頭の中でイメージをして。
「我を守り賜え」
わざと日本語で、呪文を唱える。
『異性モドキ』の変わりの常時掛かる魔法だ。
プレテゴの全身バージョン…みたいな。
魔力を出来るだけ込めて分厚いバリアを張る。そうすることで、魔力過多による体調不全が幾分かよくなる。
「さ、説明を…」
「ふむ。また興味深いのぉ。さすがはあの二人の子じゃ…」
「その『二人』というのは誰ですか?」
いや、薄々気がついている。恐らくは…
「貴様の両親だ。Ms.ハセガワ」
スネイプ先生が答えた。
『両親』という言葉に、また気味の悪い汗が出て背中を流れる。まるで心臓を捕まれたのように苦しくなる。せっかくスネイプ先生に『Ms.』って呼んで貰えたのに、そのうれしさよりも、この妙な感覚の方が勝っている。
「…僕…私は、気づいたらある島で暮らしていたので、その…知りません」
自分の口からその単語を言いたくなくて、ごまかして言った。
「そうじゃの…、どこから話そうかの…ーーーーー…ーーー」
ダンブルドアがゆっくりとだが、しっかりと要点を捉えて話していく。始まりは、僕が生まれる前。
ーーーーーーーーーーーーーーー
日本に、二人の男女がいた。
男は裕一郎という日本人、女は花という日本人とフランス人のクウォーター。
花は日本のマホウトコロで学び、裕一郎はイギリスのホグワーツ魔法魔術学校で学んだ魔女と魔法使いであり、裕一郎は卒業後、死喰人となり、花は日本で暮らしていた。
ある日、家の倉で羊皮紙を見つけた花は、そこに書かれていた事を確かめるために渡英。
2年の歳月をかけてホグワーツ魔法魔術学校の校長、アルバス・ダンブルドアへと行き着いた花はダンブルドアから話を聞き、心を打たれる。
何か役に立ちたい花は、ダンブルドアへ自ら頼み、死喰人へスパイをする。
そこで死喰人の裕一郎と出会う。
裕一郎は、ホグワーツ魔法魔術学校入学後、スリザリン寮に入寮する。そのまま、仲間と共に死喰人になるが、その自分に納得していなかった。
その2年後新しく死喰人となったダンブルドアのスパイの花と出会い、一目惚れする。
裕一郎の熱烈なアピールにより、二人は8年後に結婚。死喰人から足を洗い、日本に逃亡する。
更に2年半後、二人はある事情により、生まれたばかりの娘をマホウトコロの校長百合子へ預けて再び死喰人の元へ。
そして、花と裕一郎は帰らぬ人となり、残された一人娘はマホウトコロの校長を辞めた百合子に、ダンブルドアの魔法がかかったイギリスの島で育てられた。
それが、後にホグワーツ魔法魔術学校に入学する、長谷川 直である。