コンコンコンコンコンコンコンコ...
「っち、なんだ......ハセガワか」
ドアをノック(超連打)したらスネイプ先生が物凄く不機嫌そうに扉を開けた。舌打ち絶好調っすねー。
舌打ちの回数数えよっかな。
「スネイプ先生、僕の荷物は何処ですか」
「ああ...、入りたまえ」
スネイプ先生に促されて部屋のソファに座る。
先生の杖ひと振りでテーブルに紅茶セットが出てくる。
1口紅茶を飲んで、一旦落ち着く。
「先生、僕の荷物は...」
「そこに置いてある」
先生が示した方に目を向けると、何だか置いてあるっていうよりも、とりあえずそこに放っておきました感があるのですが...ほら、あのトランクなんか倒れてるし。
「校長が、ハセガワが女だと分かったからにはあのまま寮に住まわせるわけにはいかない、と仰ってな」
「はぁ...」
何だか『校長』の所を強調したように思わなく無いけど。
「それで、僕はどこに行けば」
「知らん」
即答っすか。そうですか。
僕としては先生のこの部屋の隣に住みたいですけど。
「ハセガワのクディッチの件で伺った時に校長が夕食後に校長室に来るようにと仰っていたぞ」
「え、そういう事は早く言ってくださいよ」
ギロリ、と睨まれた。そんな瞳も素敵!いや、むしろ睨まれたい!
僕は早々に立ち上がり、部屋を後にしようと扉の方に行く
(紅茶勿体ないけど!先生の紅茶めっちゃ美味しいけど!...あ、そうだ)
「先生、直ぐに戻ってくると思うので紅茶冷めないようにして下さい」
「...こんなもの、幾らでも淹れ直してやる」
(な、な、な、なんか今、ツンデレのデレの片鱗を見た気がする!このまま押せ押せでいったらいつかはデレも...!?)
とか思いつつ軽い足取りで校長室に向かう。
ガーゴイル像の前に立ち、合言葉を唱える。
コンコン
「ダンブルドア先生、ハセガワです」
「お入り」
今度は常識のあるノックをして入室の許可をもらう。
骨董品なのか、高級金なのか、ガラクタなのか、よく分からない物が沢山飾られている校長室に僕は少し興奮した顔で入った。
僕の顔を見て、ダンブルドアは目をキラキラと耀かせている。
「ダンブルドア先生!部屋の件ですが!」
「っふぉっふぉ、分かっておる」
僕が最後まで言い切る前にダンブルドアはまるで赤毛双子の様な悪戯っぽい顔で微笑み椅子と紅茶を出してくれた。
その後、僕とダンブルドアは時間も忘れ、何処の部屋にするか、話し合った。遂には、ダンブルドアがホグワーツのどこにでも新しく部屋を造ると言い出し、そこから間取りやインテリアの話に広がっていった。
「...では、お願いします」
「任せておれ。...ほぅ、もうこんな時間かの」
ダンブルドアが壁に掛かっている時計に目をやったので、ボクもそちらを見ると、何と消灯時間を既に2時間ほど過ぎていた。
「どれ、ワシがセブルスの部屋まで送るとしよう」
荷物がスネイプ先生の部屋にあるので、戻る場所はそこになる。
「あ、大丈夫です。僕、これでも護身術には長けているので」
「そうかの...、気をつけるんじゃぞ」
「はい。ありがとうございました」
そう言って僕は校長室を後にする。
巾着袋をローブのポケットから取り出し、その中から透明マントを出して頭から被る。
校長室から寮へ降りる途中、ふと夕食の時の会話を思い出し、トロフィー室に向かう事にした。
行った事は無いけれども、何となくは場所が分かるので、少し迷いながらも僕は沢山のトロフィーやら盾やらが並んだ部屋に辿りついた。
「まだ来てない...か」
どうやら少し早かったようで、ハリー達はまだ来ていなかった。
パサリと透明マントを床に落とし、トロフィーを眺めていく。
少し埃をかぶってしまっている物から、輝いている最近の物まである。
その中に、見知った名前を見つけた。
【クディッチ優勝杯 グリフィンドール 最優秀選手 チェイサー ジェームズ・ポッター】
へー、ハリーのお父さんかぁ。年代を見ると、最終学年のものらしい。
「ん?」
そのトロフィーの後ろにも隠れるようにしてトロフィーがある事に気が付いた。
コツッ
足音がして、トロフィーから目を離し扉の方を振り返る。
するとそこには、フォイだと思って杖を構えていたハリーとロン、それに嫌そうな顔をしているハーマイオニーだった。
「あれ、ナオ?」「本当だ、フォイはどうしたの?」「え!?ナオですって!?」
3人がそれぞれ驚いたような声を上げる。最後のハーマイオニーのは驚き過ぎやしないか?
「やぁ、フォイなら来ないらしいよ。僕が変わりに伝えようと思ってね」
別に頼まれても無いけど、これが一番納得できそうな言い訳だと思う。
「ほら、やっぱり来てないじゃない」
ハーマイオニーが2人をせめる。
「ハリー、来てご覧よ」
「?どうしたの?」
急に呼ばれたハリーは構えていた杖を下ろして僕に駆け寄る。それに続いてロンもハーマイオニーに小言を言われながらもついてくる。
僕は3人が僕のそばに来たことを確認して、一つのトロフィーを指をさして示す。
「...わぁ、これ僕の父さんの?」
「そうみたいだね」
先程見つけたトロフィーをハリーに見せてやりたかったのだ。
「ハリーの箒の才能は、父さん譲りなんだね」
ロンがそうハリーに声を掛けた。
「あら...ナオの才能も、お父様譲りなのかしら...」
「え?」
突然そう言ったハーマイオニーに、僕は気の抜けた声を出してしまった。
「どうしてそう思うんだよ」
「だって、これ...」
ロンが少しきつく聞く、それにハーマイオニーは今見ていたトロフィーの影になっている後ろのトロフィーをゆびさした。
僕が、さっき見ようとしていたものだった。
【クディッチ優勝杯 スリザリン 最優秀選手 シーカー ユウイチロウ・ハセガワ】
「ユウイチロウ...この人、ナオのお父さんなの?」
ハリーが僕に聞いてきたので、それに答えようと口を開きかけた時、隣の部屋から物音と共に声がした。
「そこにいるのは誰だ!!」
「げっ、フィルチだ」
ロンが顔を歪めて言う。
「しっ!」
慌てる3人に僕は唇に人差し指を当てて静かにするようにいう。
「この部屋か...」
フィルチの足音が近づく。
3人をなるべく近くに寄らせた後、巾着袋から透明マント(特大)を取り出す。
透明マントを4人で被り、そのままじっとしておく。
ガチャ...
「誰かそこにいるのか?」
フィルチが愛猫のMrsノリスを連れてトロフィー室に入ってきた。
「Mrsノリス、誰かいるか?」
その猫は鼻をヒクヒクさせて部屋中を歩き回り、ある所で止まりにゃあと鳴いた。
ある所とは、僕がこの部屋に来る時に校長室から被ってきた透明マントを脱ぎ捨てた場所だ。
「む、透明マント...やはり生徒が居ったのか...」
フィルチとMrsノリスは、僕の落とした透明マントを手にトロフィー室を出て行った。
.........
「よし、もう良いだろう...」
特大サイズの透明マントを脱いで、巾着袋に仕舞う。
「ありがとう、ナオ」
「助かったよ」
ロンとハリーが胸をなでおろして言う。
「でも、何故Mrsノリスも居たのに私たちのことを気づかなかったのかしら?」
「確かに...匂いとか、分からなかったのかな?」
Mrsノリスは猫だから、人間よりも嗅覚に優れていて、同じ部屋に居たら分かるはずだが、それが無かった。その事にハーマイオニーは疑問に思ったのだろう。
「ちょっとだけ、細工をしただけさ」
僕はそう言って杖を見せる。
3人はそれで納得したようだ。
実際には、今何かしたのではなくて、元々透明マントに匂い&気配を消す魔法を掛けておいただけだ。
「さぁ、フォイも来ないんだし、寮に帰ろう」
「そうだね」
「だから罠だって言ったんじゃない」
「うるさいなー、フィルチに見つからなかったんだから良いだろう?」
「良くないわ!あなた達のせいで私の稼いだグリフィンドールの点数が下げられるんだわ!」
「君は点数と退学のことしか考えてないんだな」
ロンとハーマイオニーがそれぞれ言い合っている。この2人、将来くっつくのかー、そう考えたらケンカするほど仲がいいって言うふうに見えてきたな...
「喧嘩なら、寮の談話室でしようか。此処だと、フィルチ以外の人にも見つかるかもしれないしね」
そう言って、トロフィー室から廊下につながる扉を開けた。
開けて、閉めた。
なんか
スネイプ先生が廊下に居るんですけど!