日本人、ホグワーツでフラグを立てる   作:府七尾

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「ハセガワ」

 

スネイプ先生の呼ぶ声に思わず身体が反応する、が振り向かないぞ。カメラの恨みは結構ある。

 

「.........」

 

僕らは今、島で1泊した後に再びロンドンの街へと来ていた。

 

あ、1泊と言っても、僕はスネイプ先生に回収されたのとは別のカメラを使い、徹夜で書庫の本を読んでいるスネイプ先生を盗撮していただけなので、実際にはただ2人とも徹夜をしただけだ。

 

今日は先生も授業の準備があるから夕方にはホグワーツへと帰らなければならない。

 

「ハセガワ」

 

ピク、

 

先生が再び僕の名を呼ぶ。

そのベルベットボイスは、聞き飽くこの等無く、むしろ録音して目覚ましにしたいが、まだ僕は振り向

 

「ロンドンに、用事があったのではないのかね」

 

くしかないよな、うん。

 

「...忘れてました。もう店はチェックしているんです。先生は何処かのカフェでお茶でもどうぞ...きっと時間がかかるので」

 

あーもう、スネイプ先生にとられた(回収された)カメラの事が気になり過ぎてハーマイオニーへプレゼント買うのをすっかり忘れそうになっていた。

 

そう、ハーマイオニーの誕生日は次の木曜日。9月19日だ。

 

「...いや、我輩も同伴させて頂こう」

 

「今から行く所、マグルの店ですよ?」

 

「この辺りはマグルしかおらんだろう」

 

「それもそうですね...行きましょうか」

 

「ふんっ」

 

あぁ、やっぱり締めは言葉じゃないんですね。

 

 

...カランカラン...

 

扉を開けることでベルが軽い金属音をたてる。

 

そこは、魔法を一切使っていない店、所謂マグルの店だ。細々した雑貨から家電、本と様々な物が揃っている。

木造で、柔らかく落ち着いた雰囲気のある店内には優しいジャズピアノの音色が流れている。

 

 

うわ...好きだな、こういう店。

 

たまたま覗いたグリフィンドールの女子生徒が読んでいた雑誌にこの店の事が乗っていたから、人気なのかと思って来てみたが、予想以上に好みだ。

 

 

ハーマイオニー、何が喜ぶかな...

 

彼女はマグル出身だし、ホントはダイアゴン横丁で買っても良かったけれど、それこそ変なものを買ってしまいそうだから早々にその案は僕の中では消えてしまった。

 

文具...は、今は羽ペンと羊皮紙しか使わないしな。このシャーペンとか、書きやすそうだけど...どうせこれから嫌でも羊皮紙に慣れなきゃいけないし、要らないだろう。

 

 

大体、僕は一方的に彼女のことを知っていたけれど、彼女にとってはまだ出会ったばかりの同級生、位にしか感じていないのでは...

 

「あ、先生は...」

 

そういえば、さっきから先生の声がしない。何処のコーナーに居るんだろうか。

 

文具には居ないし...家電何て興味無さそうだな。食料品...?

 

一角の空間に出来たコーナーにスネイプ先生は居た。

マグルの店という事もあり、目立つのが面倒なので、僕らは今ローブを外した格好だ。ヤナギ君は漏れ鍋に預けた。

 

僕はホグワーツの制服だから、まぁ普通に制服にしか見えないわけだが、スネイプ先生は...ギリギリセーフかな。うん、少し浮いてるっちゃあ浮いてるけれど、季節感が。

 

まだ秋に近づいたとはいえ、暑さが残る9月。スネイプ先生の様ながっちり長袖の服を着るには少々暑苦しい。

 

まぁ、そこが先生のお美しいところだが。

 

 

僕は先生が何を見ているんだろうと思い、少し離れたところから棚を見る。

 

瓶に詰められた...薬草?、な訳ないな。いくら何でも薬草なんか置いてるはずない。...いや、でも先生が見ているんだからその可能性もありうるな。

 

薬草って漢方みたいにマグルも使うのだろうか。

 

何だか気になってしょうが無いので近づいて行くと、漸くそれらの正体が分かった。

 

「茶葉だ...」

 

何十個もの瓶に詰められた茶葉はその用途、作用、酸味、香り、等に振り分けられて綺麗に棚に陳列されていた。

なるほど、紅茶好きの先生が気になる訳だ。

 

ちら、と先生の顔を見てみると、幾分か楽しそうに見えたのは気のせいでないといいな。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて、帰りますか」

 

誰に言うとでもなく、ポツリと大通りの雑踏に掻き消される声で呟く。

 

店から出た僕の手には店のロゴマークがお洒落に印刷された紙袋が2つ。1つは手のひらサイズのもの。もう1つはそれよりも半分くらいの小さいもの。

 

ちなみに先生も1つ袋をもっている。

結局何か茶葉を買ったらしかった。お会計してる所をバッチリ確認したからね。

 

 

 

少し歩き、路地裏へ入った所でローブを着て先生の姿くらましで僕達はロンドンを後にした。

 

 

 

あ、今日のこれってデートじゃね?

 

そう気がついたのは、大広間でフォイと夕食を食べている時だった。

 

カシャンッ

 

「ナオ...?どうかしたのか?」

 

「いや、手が滑っただけだよ」

 

「本当に?僕にできる事があれば言ってくれよ?」

 

フォイは、あの飛行訓練の日から過保護だ。過保護というよりは、離れたくないが為に世話焼きというかお節介というか...

 

フォイって

 

「可愛いね...」

 

「そう可愛い...へ?な、何言って」

 

「それに美しいよ...君は」

 

僕はフォイのサラサラとした髪を優しく撫でる。

このプラチナブロンドの髪も、色素の薄い瞳も、透き通るような白い肌も本当に、綺麗だ。

 

いつ嫁に行っても問題ないだろう。嫁、じゃなくて婿か?フォイ家の当主か。

 

 

 

「なっ、な、なっ...」

 

 

その時、大広間には夕食を食べる為に沢山の生徒がいて、勿論家柄と見た目で目立つ2人の会話は聞かれていた。

 

「おい、次はマルフォイが標的か?」

「じゃあこの間のって、ハセガワがスネイプを...?」

「え、黒王子ってやっぱりソッチの...」

 

 

いや、違います。断じて違います。

けれどあれじゃん?美しいものって愛でたくなるじゃん?

 

「ドラコって名前も、ラテン語で竜や蛇を表す...まさにスリザリンにピッタリの美しい名前だよ」

 

「あ、あぁ...」

 

あと、すっごくからかいたくなる。

 

 

「...だからさ...、そろそろぬいぐるみ抱きしめて寝るの、辞めたら?女々しいよ」

 

僕はフォイの髪を撫でていた手を最近降ろした前髪に隠れている将来広くなるであろうデコをパシンとデコピンした。

 

恐らく傍から見れば、口説き落としていたのにも関わらずいきなり貶した様に見えただろうが、これは全て僕の本心であり、心優しいアドバイスである。

 

知ってた?フォイって何時も明るいブラウンのテディベア抱いて寝てるんだよ?もう女々しいの何のって...プークスクスッ

終いには寝言で『ママ...』て言ってたし。

あれか、外ではお母様って言ってるけれどうちの中じゃママに甘えたい只の甘えん坊主だったのか。

 

「ナオっ!」

 

デコの痛みか大勢の前で暴露されたのが恥ずかしいのか涙目でこちらを見るフォイ。

 

...やっぱりフォイは嫁に行くべきだわ。

 

「フォイ、暫く僕は君たちとは違う部屋になるんだ。だから僕が戻った時にはぬいぐるみ卒業しときなよ?分かったかい?」

 

「え、」

 

「フッ、...泣き虫なのも、直した方が良いよ...」

 

僕はそう言って食べかけの夕食を残して大広間を後にした。

 

その時にグリフィンドール生諸々が爆笑したのは廊下に響いて来たので分かった。

 

...おい、パーシー・ウィーズリーの声まで聞こえるぞ、監督生...。

 

 

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