1・2時間目 【魔法史】/【妖精の呪文】
3・4時間目 【魔法薬学】/【魔法史】
ま、適当です。
それじゃ廊下すれ違うわけないだろ、とかは無しで。
1·2時間目の授業を終えて次の授業の部屋へと移動する時、グリフィンドールの集団とスリザリンの集団が廊下ですれ違った。
「ったく、何なんだよ、ハーマイオニーの奴」
ロンが小さく、とは言い難い声で悪態つくのが聞こえる。
「だから、誰だってあいつには我慢出来ないって言うんだ。全く悪夢みたいなやつさ」
その時、丁度彼の後ろの方から早足で追い越す人が居た。
ハーマイオニーだ。
ロンにぶつかるも、俯きながら人混みの中を駆けて行った。
「見たか?グレンジャーのヤツ泣いてたぞ滑稽だ……な……?ナオ?」
「……」
「ヒィッ」
勿論ロンにぶつかりながらもグリフィンドールの集団から離れたハーマイオニーはスリザリンの横も通る訳で。
ハーマイオニーの顔を見たフォイが何か言うが、僕は何も答えなかった。
隣を過ぎていくグリフィンドールの集団。
中でも、まだグチグチ言っているロンは目立っていた。
「いまの、聞こえたみたい」
フォイ同様ハーマイオニーの顔を見たハリーがロンに言う。
ロンはそれがどうした?と少し肩を上げて言い、続けた。
「それに、誰も友達がいないってことはとっくに気がついているだろうさ」
人混みの先に居るだろう、もう見えなくなったハーマイオニーの方向を目で見ながらロンは言った。
ハリーはその隣で追いかけようか迷っているようだが、結局はロンと一緒に次の授業に行こうとしていた。
「……」
「あっ、ナオ?」
僕はスリザリンの集団から抜けて無言でロンの目の前に出る。
「ナオも聞いてくれよ、ハーマイオニーのやつがさ、自分が出来るからって「ロン」…?何さ」
彼の目の前に来たことにより必然的にロンとハリーは足を止め、廊下には僅かな人とザワザワとした雑音だけが残された。
「君は……君はもっと優しい人だと思っていたよ」
やっと口を開いたかと思えばいきなりの言葉にロンとハリーは少したじろぐ。
「な、何だよ突然」
「君は、寮でこんな子を見たことないか。どこか固い笑顔、寂しそうな眼差し、時折見せる遠い目。こんな子の周りには誰がいる」
遠い故郷を思い出す者
母の料理を恋しむ者
沢山居るだろう
「そりゃ友達だろ」
「じゃ、その友達はどんな子だろう」
「どんなって…?」
寂しい気持ちの子を一緒に前に向かって歩いてくれるのは大抵が、慣れている子。
例外もいるがそれは殆どが魔法界出身。
「此処に家族がいる人だ。兄弟がいる子は心に余裕が出来る、だがひとりっ子やマグル出身の子達には頼れる人が居ない。では誰に頼れば良い?」
「……友達」
「ああ、そうだ。友達だ。此処での友達は家族を意味する。……前にハリーが言っていた。ホグワーツが家の様だと」
「う、うん」
「ロンにはパーシー、フレッド、ジョージ、それにハリー達が居る。ハリーもロン達や皆が居るだろう。でも、ハーマイオニーは?誰を友達だと、家族だと思っていたと思う?」
「っ、そんなの」
「居ないというのか?」
「……」
黙り込んだロンとハリーを冷たく見据え、刻み込ませるように言う。
「君達だ」
「「!!」」
「少なくとも、ハーマイオニーは君たちの事を家族だと思っていたはずだ。そして、僕も君たちを家族だと思っているしハーマイオニーも勿論家族だ。…そりゃ、喧嘩もするし、仲違いだってよくあると思うよ。だって家族なんだから。……でもいつだって最後は仲直りをして一緒にパイを食べる。そうだろ?」
「う、うん……でも」
まだ納得しきれていないロンだが、心まで言葉が浸透するのは時間の問題だろう。
「さて、僕はハーマイオニーの所に行くかな。……仲直りしたければ、何時でも行ってあげればいい。家族の大切さを分かる人なら、尚更ね」
「……」
「気持ちの整理がついたら来るといい。僕とハーマイオニーはもう両想いだ」(君たちも!早くそうなればいいね)
それだけ良い残して僕は授業に行かずに女子トイレの場所を探していた。
後ろでロンが素っ頓狂な声を上げているとも知らずに。
────────────────
「ナオとハーマイオニーって……」
「付き合ってんのかな……」
「「いやいやいや」」
「と、取り敢えずちゃんと考えよう」
「そうだね……」
「考えてから謝りに行かないと、ちゃんと仲直りできない気がするから」
「僕も、ハーマイオニーとちゃんと仲直りして、友達に、家族になるよ!」
「よし、そうと決まればハーマイオニーの分まで授業受けよう!」
「うん!」
────────────────
怪獣グリフィンの大きな石像の前を通り、トイレを探す。
「ふう、熱くなりすぎたかな…らしくないや。何様だって感じだよな。……少し言いすぎたかも…あんなに喋ったのはいつぶりだろうか、喉が痛いな」
もしかしたらまだこっちには来ていないかも、とも考えたが1度来てみることにした。
授業開始間近になり廊下には誰も居ない。
あー、次の授業何だっけ……
サボることになった授業を思い出す。
「魔法……薬学……」
バシィッ
一瞬今からダッシュで地下牢に行けば間に合うだろうかと考えた自分を殴る。
駄目だろ。あんだけロンたちに言っておきながらスネイプ先生の授業受けに行くとか。
(スネイプ先生の美声を聞けないのも残念だけど、調合を見て回る時の足音も聞きたいけど、細やかな指摘をする時に僅かにピクリと動く指先を見て内心ニマニマしたいけど、今は友情を取らなければ!マイエンジェルが泣いているのだ!!)
廊下を歩いていくと見えたのは鍵穴に鍵が付きっぱなしの扉。
これだ
そこで始業の鐘が鳴る。
丁度いい、これで誰も来ない。
僕はハーマイオニーがいるかもしれないトイレ内へと堂々と足を踏み入れた。
ヒック…ヒック…スン、…ヒック
静かに聞こえるしゃっくりと鼻をすする音。
居る。
一つだけ扉が閉まっているドアを見つけ、その前に立つ。
「……だれ?」
掠れた声がドアの向こう側から聞こえる。
「ハーマイオニー、僕だよ」
「っ!?此処は女子トイレよ!何してるのよ!」
はは、そりゃそうか。男子が女子トイレに入ってきたんだからな。
「んー、今は授業中だし、誰も入ってこないと思うよ。…それに、僕がハーマイオニーに話がしたかったんだ」
「……ヒック……」
中から聞こえるしゃっくり。
「泣けばいいさ、今はね」
ドアに手を置いて話しかける。
未だに聞こえる嗚咽を感じながらただそこに立ち、待つ。
どれ位経っただろうか、暫くして声がした。
「……ナオ?そこにいる?」
それは少し落ち着いたようにも感じた。もう震えた掠れている声ではなくなっていつもの彼女の声を取り戻していた。
「ああ、居るよ……。ねえ、ハーマイオニー。ロン達の事、嫌い?」
「き、嫌いよ!あんな、陰口を平気で言うような人!」
食い気味で帰ってきた返事は若干哀しみも込められていた。
僕は少し汚いと思いながらも、腕を組み、ドアに寄りかかった。
ギィ
木の軋む音がする。
「そっか……僕も嫌いだな」
「でしょ「そうやって陰で人の事を『嫌い』って言う人は」……へ?」
木製のドアはヒンヤリとしていて気持ちがいい。
金が鳴る。
3時間目が終わったのだ。
「だってロン達は陰で悪口を言う、そしてハーマイオニーは此処でロン達を嫌いと言う。こんなの、お互い様じゃないのか?どちらもお互いに嫌な事をしているんだ。そうだろ?」
「そう、だけど……でも、あっちが初めに」
ハーマイオニーは小さいながらもハッキリとした声で返す。
「どちらが初めか、それは関係ないと思うよ。……僕はハーマイオニーの親でも何でもないし、偉く言える立場じゃない。だけど、……っ」
廊下から声がする。急いで隣の個室に入る。
入ってきた生徒は直ぐに出ていった。
また金が鳴る。
何気にスリリングな事をしてるよな。
「だけど、何?」
「僕はロンの事も、ハリーの事も、それにハーマイオニーの事も好きだよ。今まで出会った同世代の中で1番大切だと言ってもいい。命に変えても守るとも言い切れる」
「、どうして?」
この1枚の板の向こうにはハーマイオニーがいる。
まるでそれが僕らとハーマイオニーの間に立っている壁のようにも思えた。
けれどこんなのは所詮脆い木の板だ。少し蹴ったら壊れる。
きっと僕らの壁も直ぐに壊れる。
そして、新しく架け橋が創られるだろう。
「好きな気持ちに、理由何ているのかい?」
「……」
「気持ちの整理がついたら謝るといいよ、それに目も冷やせばいい」
「……」
返事は無い、けどハーマイオニーは賢い子だから、分かってる筈だ。
「独りで、考えてみるわ」
「そうだね、……これだけは憶えておいて、僕はいつだって君の味方だ」
「ありがと、ナオ……」
静かにドアを開けて廊下へと進む。
「夕食はパンプキンパイだよ」
「夕食までにはケリをつけるわ」
「ああ、そうしてくれ」
それだけ言うと、僕は誰も居ない廊下を歩き、地下を目指した。
今行ったら丁度調合の途中だなーと考えながら。
おっかしぃなー、31話でトロールの所まで行く予定が…