日本人、ホグワーツでフラグを立てる   作:府七尾

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…………遅くなり申し訳ございません……

と、フォイが申しております。


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鼻をつくのは薬草のツンとした香り。

 

あと包帯やシーツの感触。

 

身体を動かしてみたけれども、かろうじて左手の指先が冷たいシーツを撫でるだけ。

 

シーツが冷たい……気持ちいい。

 

そうか、僕熱があるのか。

……熱?なぜだ?

 

今日は10月31日で、朝お墓に行って……。

たしかに少し冷えたな…だから熱が出たのかも。

 

ハロウィーンか……

 

……あ!ハーマイオニー達はどうなった?

 

 

そこで今まで瞑っていた目をパチリと開ける。

 

遠く、と言うよりも高い位置にある天井に、僕が寝ているベッドの周りを囲う白いカーテン。

 

つい最近もこの光景を見た気がしなくもない。

 

あの時は急いでいたので殆ど飛び出した形だったが……。

 

「~~~~~~!」

 

マダムポンフリーの驚いたような、でも医務室なだけあって抑えた声が聞こえた。

 

けれども内容は分からない。いや、理解が出来なかった、という方が正しいか。

 

それと同時に足音が幾つか聞こえる。

 

一つは、スネイプ先生のもの。

 

これは間違いない。

 

二つ目は、多分ダンブルドア。

そして最後のは……

 

そこまで考えていると、目の前のカーテンがシャッと開かれた。

 

「マクゴナガル……先生」

 

声を出してようやく気づいた。

 

自分が、女の姿に戻ってしまっていることに。

 

 

 

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ハーマイオニー視点

 

ナオが女子トイレから出ていった後、私は考えて、彼らが嫌い、と確かに言ってしまったけれど、それほど嫌いでは無いことに気づいたわ。

 

彼らのすることは事ある事に……何ていうか、幼いし、煩いし、寮の点数を下げるような事もするし、本当に迷惑の塊だと思ったの。

 

でも、それを見ていて羨ましいって感じたことも本当みたい。

 

……だから、まだまだ彼らの事、大好きにはなれそうにないけれど、仲直りして前よりも近づきたい。

 

ナオのお陰でそう思えた。

 

 

腫れた目を冷やして、ジャックオランタンが幾つも飾られている大広間に急いで行った。

 

デザートの甘い香りが胸いっぱいに充満して、少しの不安が溶け消えたような気がしたわ。

 

彼ら……ハリーとロンに謝った時、2人ともちょっぴり驚いたような顔してたわ。

 

それもそうね、私から謝ったんだもの。けど、どちらがが歩み寄らないといけないと思ったから、私は2人と仲直りしたいと思ったから、という理由を暗い顔をしていたハリーとロンに伝えたら、2人とも一生懸命謝ってくれて、パイを分けてくれたわ。

 

その時食べたパイは、とっても美味しくて、ナオとも一緒に食べたいと思ったの。

 

その時だったわ。ナオが大広間に居ないことと、クィレル先生が凄く慌て怯えた様子で大広間に駆け込んできたのは。

 

クィレル先生は、歪んだターバンもそのままに、フラフラとしながら校長先生の席まで辿り着き、テーブルにもたれかかって息が上がったまま言った。

 

「トロールが……地下室に……お知らせしなくてはと思って」

 

それだけ言うと、クィレル先生はバッタリと力が抜けたように倒れてしまった。

 

『トロール』という言葉を聞いて、大広間中が大混乱になったわ。

勿論私もビックリして、怖かった。

でも、それどころじゃなかった。ナオが大広間に居ないって事は、トロールのことを知らないって事。

 

それに、自惚れじゃないけど、きっとナオは私の事を心配して女子トイレまで来てくれてるはず。

 

もしも、トロールが地下室から出てきてナオの所まで行ったら?

 

そこまで考えて、みるみるうちに自分の顔が青くなるのを感じた。

 

「…どうしよう……」

 

「ハーマイオニー?怖いのは分かるけど、寮に戻らなきゃ」

 

固まった私にハリーが声をかけてくれた。

 

「ハリー、ロン!……ナオ、大広間に居なかったわ!もしかしたら私がいた場所にいるのかもしれない!」

 

一瞬固まった2人だけど、私が言ったことを理解したら、今度は血みどろ男爵みたいに真っ青な顔になった。

 

「大変だ!」

 

「見に行こう!」

 

グリフィンドールの列からそっと抜け出して私がいて女子トイレまでやって来た。

 

「っ、酷い臭いね」

 

「ああ、ここにトロールが居ることは確かみたいだ」

 

 

ヴァァァァァ----

 

唸り声みたいなトロールの声の後にバキバキバキッと物が壊れる音がした。

 

私達は顔を見合わせて、一斉に女子トイレに走った。

 

「ナオ!」

 

 

----------それからは、まぁ……あっという間だったわ。

 

ナオがトロールを倒すのも。

 

私達を守るためにナオが怪我するのも。

 

ハリーとロンは、トロールにやられた傷で倒れたと思ったみたいだけど、近くにいた私は分かったわ。

 

ナオは一時的に魔力を制御する事が出来なくなっていた。そんな時にあんなに大きな魔法を使ったことにより、魔力の反動が弱ったナオの身体を襲ったのだと。

 

物音から気づいたのか、あの後直ぐに先生方が駆けつけてくださった。

 

マクゴナガル先生は、私達にどれほどに危険なことをしたのか叱って下さった。

 

クィレル先生は……、うん。何でここに来たのか分からないくらいトロールから離れて扉の影に居た。

 

1番驚いたのは、スネイプね。

 

怪我をした生徒に駆け寄るのは当たり前だとは思ったわ。

 

けれど、マクゴナガル先生のお話の途中に聞こえてしまったの。

 

スネイプが。あの陰険スネイプが、

 

「ナオ」

 

と呼んでいるのを。

 

そちらに顔を向けたら、マクゴナガル先生に注意されて、それ以上様子を見る事は出来なかったわ。

 

暫くマクゴナガル先生にこうなった理由を説明していると、黒い布に包まれたナオを抱えたスネイプがこちら……入口の方へと歩いてきた。

 

黒い布……だと思ったら、いつもスネイプが着ていた見た目以上に上質そうなローブだったわ。

 

 

そのまま通り過ぎるのかと思ったら、ローブに包まれたナオが、そろりと手を出してきた。

 

その手は、血に濡れていてとても罪悪感を感じたけれど、ナオが力を振り絞って今伝えないといけない事があるのだと思った。

 

そしたら、

 

掠れたような声で小さく聞こえたのは

 

「君は……パイを……食べますか?」

 

………………パイ?

 

パイ、ってデザートに出てきたパイの事?

 

なんて頭にハテナを沢山浮かべていたら、ロンが簡単に説明してくれた。

 

 

友達……家族……仲直り……パイ……

 

 

ナオがそんな事を言っていたなんて。

 

「ええ、食べるわ。勿論よ。ナオが元気になったら4人で食べましょう?」

 

「ああ、とびっきり甘ーいやつをね!」

 

「だから、ナオ。安心して。……ありがとう、ナオ」

 

私は血で濡れているナオを手をそっと握った。

 

 

 

 

 

 

……どうしてだろう?

 

 

その、ナオの手に違和感を感じてしまったのは……

 

 

 

 

ナオを抱えたスネイプの後ろ姿を見送っている時、私の頭にはそれしかなかった。

 

 

あの手……とても…………

 

 

 

ううん、きっと気のせいよ。

 

 

その場は、私がトロールを倒そうと考えた、と嘘をついてハリーとロンの分がグリフィンドールに加点されて解散となった。

 

勿論、スリザリンにも加点はされたようだった。

 

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