仮面ライダー鎧武・鎧武を目指す者と戦いの歌姫達 作:にゃはっふー
響達は驚き、その戦士を見た。
なにも言わず、ただ立ちつくし、マリアはその頬に撫でる。
「ごめんなさい、できれば自分の意志で力になって欲しかったけど」
「テメェラッ」
クリスが銃弾をばらまくが、戦士がすぐに片腕を向ける。
銃弾が全て空中で止まり、握りしめると共に粉々に砕け散った。
「剣っ!?」
「って、ものすごいデスッ!?」
クリスの攻撃を止めた剣はなにも言わず、切歌は剣の力に驚く。
マリアはその様子を見てほほえみながら、
「彼女たちの相手、お願いするわ」
それに静かに頷き、剣を虚空から取り出す。
「・・・剣・・・さん・・・」
響は信じられず、剣を見るが、剣は一言、
「装者は・・・俺が守る・・・」
そう言った途端、紅い閃光になり襲いかかる。
「なにが起きているッ、剣くん剣くんッ」
剣に何度呼びかけても返答はなく、突如武器を取りだし、響達に襲いかかる。
敵側の装者は距離を取り、三人と剣の戦いを見ているが、その手に持つ武器はどれも見たこともない。
『弦十郎ッ』
「その声は、紘汰くんかっ!?」
司令室が驚き、顔を上げる。虚空から紘汰の声がこだまする。
『いまロックシード、ヘルヘイムの気配を感じたが、いったいそっちで何が起きてるッ!?』
彼はいま極アームズと言うコアを無くし、安易にこちらの世界と関わることはできない。
察することはできても、詳しい事態が分からないようだ。
「いま剣くんが、敵が持っていたギアロックシードを纏って、響くん達と交戦中だッ」
『ロックシードッ!? 敵ってライブでテロ宣言した子だよなッ。くそっ、なにがどうなってやがるッ』
紘汰もわからない事態に、オペレーターが剣の使う武器の形状など、詳しく説明する。
それを聞き、紘汰はますます困惑する。
『フェムシンムの武器っ!? その剣は『グロンバリャム』だとっ!?』
それは紘汰はよく知る男が使っていた武器であり、それが何を意味するか分からない。
『いますぐに剣を止めるんだッ。一定のダメージなら、変身は強制的に解かれるッ、剣を助け出すにはそれしかないッ』
「くっ、難題だな・・・みんな聞こえたかッ!?」
『みんな聞こえたかッ!?』
通信機から弦十郎の言葉を聞き、装者達は難しい顔をする。
「って言われてもな・・・」
「我々が剣に勝つか・・・」
実際三人で模擬戦はしていた。だが、剣との戦いは、三人でやっと勝てるか勝てないかくらいであり、響は剣の異変に動揺している。
(いや、不覚にも私たちか・・・)
苦笑する翼。クリスも同じことを思っていた。
「立花ッ、気持ちは分かる。だが、剣の目を覚まさせるには、やるしかないッ」
「おうともっ、いくぞバカッ。彼奴の目を覚まさせるッ」
クリスは歌い、翼が迫る。
響は叫びそうになるが、その伸ばす手が止まる。
「剣さん」
そして剣と剣がぶつかり合った。
「剣ッ、本当に意識がないのか、返事しろ剣ッ」
片手剣だけで自分の剣撃を防ぎ、剣はなにもアクションをせず、身体を最大限最小の動きだけで対処している。
飛んでくるクリスの弾幕もまた、紅い閃光になり、別の場所に光速移動していた。
「ちっ、ロックシードの能力は、ハンドル押したりブレード倒さないと発動しないんじゃなかったのか無職神ッ」
短く舌打ちするクリス。剣はいま三日月斧を振るいながら、それを投げたりと、無知数の攻撃方法する。
「確かに、ロックシードの力はそれで発動する・・・」
「ならまだ本気じゃねぇのかよ・・・」
二人は驚きながら、いまだグロンバリャムを構える。
その際、ノイズがわき出てきた。
「なんデスかこれっ!?」
三人は剣のスペックに驚いている間、ノイズが現れ、それに驚く。
マリアも険しい顔になり、それを睨む。
「ドクターね、彼が関わっているのは分かっていたけど」
それに仕方ないと思いながら、
「私たちと来なさいッ」
その言葉に聞くように、紅い光になり、三人を連れて行く剣。
「待って、剣さん。剣さんっ」
響の声は届かず、彼女たちを連れて、その場から離れる。
司令室はいま沈黙していた。
その後、現れたノイズは響達装者によって撃破されるも、剣が敵に拉致、また洗脳されてしまうという事態に陥っていた。
そして、
「・・・!?」
司令室にクラックが出現し、そこから顔を出さず、紘汰と舞が現れた。
「すまない、これ以上の干渉はいまはできない」
「いや、元々極アームズ復元のため、しばらくは干渉しないと聞いていたから、仕方ないことだよ」
弦十郎がそう言うが、紘汰は極アームズを直すため、一時期干渉せず、声だけ届けていたが、いまはそう言っていられない。
「紘汰さん、極アームズは」
「まだ完全に修復はできないよ響ちゃん。だから俺達はまだ、干渉できない」
沈痛な静寂が来る中で、弦十郎だけは冷静にモニターを見る。
「ギアロックシード・・・」
ギアロックシード。現在は、オレンジと蒼い薔薇の二つしかなく、あの戦い後回収されている。
だが、いまザクロがあり、それを見つめる紘汰。
「間違いなくヘルヘイムの果実だ。だがなぜだ・・・コウガネの動きはずっと見ていた、奴が関わっている可能性がない・・・」
そんな中、苛立ちを隠さず、クリスが前に出る。
「それよりも、彼奴のことだ。いま彼奴はどうなってるんだよっ」
「おそらくザクロギアによって、精神を押さえられてる。いまは洗脳状態だろう」
それに弦十郎達は顔をゆがめ、剣の戦いを見る舞。
「やっぱり、剣が使う武器は、フェムシンムの武器・・・ううん」
「オーバーロード・・・なんで剣がその力を使えるんだ」
「オーバーロード・・・ヘルヘイムの力を取り込んだもの達か」
弦十郎に頷く紘汰。それにしばらく考え込む。
「弦十郎さん、いまここにいる人達に、ヘルヘイム、果実の戦いを砕いて説明したい、いいか?」
それに頷く弦十郎達。
その様子を見ながら、舞と手を繋ぎ、そして、
「なら語ろう、果実の戦い。異世界の争いを」
部屋が変わった。
「にゃっ!?」
響が突然のことに驚き、舌を噛むほど驚いた。
見たこともないビル、タワーがあり、ストリートダンスがはやり、普通の人達が歩く、普通の町だ。
そしてダンスチームが別のチームと何か言い争い、なにかを取り出す。
「ロックシード?」
クリスの問いかけに、具現化されていないがインベスが現れ、紘汰が説明する。
「これが俺達の地球、沢芽市だよ」
インベスゲーム、ストリートダンス達の中、そのとき、場面がかわる。
それは、
「紘汰さん?」
響が疑問と共に言う、それは金髪のオットアイじゃない、日本人の紘汰。人間としての紘汰と舞が、クラックを通り、そして、インベスに襲われている。
そして紘汰は戦極ドライバーを使い、鎧武に変身。戦いの中、自分達が知る舞が現れ、彼にロックシードの使い方を教え、インベスを倒させた。
「私は、果実の力で過去に飛んだ。けど、未来を変えることはできなかった」
「それでも選択したのは、俺だよ舞」
その様子を悲しげに見つめる紘汰達に、響達は最初分からなかった。
その後、
「「「バナナっ!?」」」
「違う、バロンだッ」
仮面ライダーバロン。
「変身」
仮面ライダー龍玄。そして続いて黒影、グリドン、ブラボーが現れる。
次に現れるのは斬月が現れ、戦いが激化する。
そんな中、黒影の男が、ヘルヘイムの果実を手に取る。
「・・・まさか」
緒川がその様子に、戦慄する。
インベスはフェムシンムの民が変わり果てた姿であり、その原因がヘルヘイムの果実なのは知っている。そしていま、その果実を、
「ダメッ」
近くにいる響が手を伸ばす。だがこれは映像。その人は果実を口にする。
「!?」
目の前で怪物へと変わり果てる。そして知らされる真実。
戦極ドライバーを使う自分達は、実験体扱いであり、ゲネシスドライバーを使う戦士達が四人現れる。
それからは次々と明かされる真実。
彼らはヘルヘイムの驚異から世界を守るため、大多数の人類を犠牲に、世界を守る覚悟を示していた。
そしてインベスの中には、すでに果実を口にした、この世界の人間がいることを伝えた。
『すでにお前は犠牲によって救われている、まだわからないか』
男の言葉に、映像の紘汰は絶句していた。ここにいる全員がそうだ。
葛葉紘汰が最初に倒したインベスは、
「・・・紘汰さんの・・・」
「・・・友人だよ」
悲しそうにそう呟く。
犠牲の上での救世を掲げるもの達に、それでも抗うことを選択する紘汰。
その中に、もう一人抗う者もいた。
赤いコートを羽織った男。時には共に戦い、時には戦う戦士。
シーンは次々と変わる。何度も悩み、犠牲のある救世が正しいか問い、考える紘汰。
犠牲をしてでも、人類を守ると言う使命を背負った貴虎という男。
誰もを犠牲にしてでも、守るものを守ろうとした光実。
そして、弱さを憎み、弱者を憎み続けた戒斗。
そんな中現れるのは、フェムシンムの民。その王であった。
彼らは多くの犠牲の上で、世界を救世したはずだが、自分こそが素晴らしい、選ばれた存在と言い、争い滅びる。
紘汰達の世界の戦いにも、彼らは現れ、その武器を振るう。それは剣が使用した武器と酷似、いや、同じものだった。
戦いの中、代わり出すもの達。
極アームズを手に取る紘汰、その後、姉の目の前で果実を食らい、人では無くなったと自覚し、姉に伝える紘汰。
戦いの中、ヘルヘイムの毒に蝕む身体。それすらも自らの力へと換え、超越者になる戦士、戒斗。
多くのもの達が死んだ。多くのもの達が自分が助かるために犠牲にしようとした。
多くのもの達が、己の信じる正義のために戦い、挑み、死に、生きる光景。
そして、二人は対峙する。
「これには、彼奴もいるべきだな」
そう呟く紘汰。小さな少年が現れる。
その姿は紛れもなく、
「剣・・・さん・・・」
剣もまた、その戦いを見る。
何度もぶつかり合い、思いをぶつける二人の戦い。
それを見るしかなかった。
戦いの中、二人の思いと思いがぶつかる。
そんな中、戒斗があの剣を振り上げるとき、
『まだだッ』
剣は叫ぶ、それはまだ、鎧武が諦めてないと戒斗に叫ぶように、
鎧武は剣を防ぎ、折り、その刃で戒斗を貫いた。
一人だけ気づいた。戦いの中、鎧武紘汰はまだ、力つきてないことに。
その声はむなしく響き渡り、そして戒斗を倒した紘汰は、オーバーロードとしていまに至る。
「・・・これが異世界、世界創造を決める、果実の争いか」
ため息混じりに息を吐く。誰も彼もが、大切な何かのため、または己のために戦う光景に、全員が黙り込む。
「戦いの中、彼がフェムシンム、オーバーロードの武器を使う可能性が出てきたな」
「ああ、ザクロギアはどうやら、それらを武器にするみたいだな。動きが戒斗に似ている・・・」
話し合いを終えたあと、装者達は複雑そうに紘汰を見る。
彼が背負い、いまだ背負うものの重さ。それを知った。
そして、
剣はそれを知り、何を思い、何を願ったか。
それを考えながら、静かにしていた。
「帰ったわマム」
マリア達は拠点にしている場所へと帰還。それに車いすに座る女性は出迎える。
「彼が仮面ライダーツルギね」
その鎧姿のまま、静かに黙り込む剣。
その左右から調と切歌が現れる。
「マム、この人はこのままでいいんデスか?」
操りながらなのは、彼女たちはいささか納得できないが、マムと呼ばれた人は首を振る。
「彼の力は今後必要です。ですが、彼の意志は聞いたはずです。いますぐに行動しなければいけないいま、こうするしかできません」
「そーですよっ」
奧から出てくる男に、切歌達は険しい顔になる。
「ドクター、ノイズを放った件、いったいなにを考えているの?」
「これは失敬、彼はまだ調整しなければいけないので、早めに帰還して欲しかったのですよっ」
オーバーなリアクションを取り、剣に近づくが、二人が前に出る。
「この人に何する気デスかっ」
「手を出さないで」
それにやれやれと肩をすかし、剣を見ながら、マムは言う。
「ドクター、彼に使用した、ギアロックシードなる聖遺物。これはいったいなんなですか?」
「それは、トッッップシックレットッ。特別な方からの、ギフトっ、ということにしておいてください」
「彼の聖遺物は遺物過ぎます。できれば詳細を話して欲しいのですが・・・」
これ以上は追求しない気か、マムはなにも言わず、切歌と調は左右から剣の腕にひがみ付く。
「ともかく、その姿は目立ちますから、開いているザクロを閉じて置いてください。それだけで装甲だけは解除されますっ」
そう言って、奧へと引っ込むドクターに、調達は不機嫌になる。
「調、切歌、いい加減にしなさい」
マリアからそう言われたが、それでも納得できない。
「力が必要なのはわかるんデスけど、無理矢理仲間にするのは納得できないデス」
「私も・・・私たちだけで、世界を救えないの?」
そう言う二人に対して、マリアは言う。
「彼の強さは見たでしょ、もう私たちは引き替えせない以上、できる限りのことはするわ。彼にも、全てが終わったら謝罪する。それが巻き込んだ私たちの責任よ」
その言葉に黙り込む。剣の強さ、それにはいたいほど分かる。
簡単に、いや、勝てるかどうかわからない。
それもいま、ザクロの力を使う彼には。
「とりあえず、ザクロを閉じればいいんデスよね? どんな顔してるんデスかね~」
わくわくしながら、ザクロを閉じる切歌。装甲だけが消え、姿を見せる。
それに二人は凍り付く。
「この人・・・」
「お兄さん・・・」
二人の様子にマリアも驚く。
「どうしたの」
「この人、前にお饅頭とかの人デスっ」
「あのときのお兄さん、お兄さんが仮面ライダーだったんだ・・・」
だけどと首を傾げる。
装甲は消え、安物のファッションの男性高校生。
だが、その瞳は紅く、ベルトも外れない。
「とりあえず、お世話するデスっ」
「うんっ、せめてお世話するっ」
二人はそう言いながら、基地の案内デスと言って、手を引っ張り、奧へと連れて行く。
無言のままの剣に、マリアも内心は複雑だった。
無理矢理言うことを聞かせる。これが正しいか悩んでいると、
「マム?」
なぜかマムが考え込むように、彼の背中を見つめた。
「ザクロ、ですか・・・」
「?」
疑問に思うマリアに対して、マムは少し考えて、
「いえ、ザクロは神話の中でも、数多く出てくる果実ですから」
そんなことを呟きながら、次の作戦へと進み出す。
操られたオリ主。すぐに切歌と調と仲良くなる。
いまだ力は紅い光になっての光速移動に、オーバーロード達の武器の使用。
まだ強いよ、ストリームもなにもしていません。
それではここで、お読みいただきありがとうございます。