仮面ライダー鎧武・鎧武を目指す者と戦いの歌姫達 作:にゃはっふー
それでは物語をどうぞ。
「聖遺物を手に入れるデス」
「・・・」
無言で頷く剣。こうして彼らはいま私立リディアン学院へと忍び込む。
「デスけど、剣は凄いですね。料理もできて、洗濯もできて、修理もできて、隠密もできるなんてデス」
「うん、なんでもできる」
向こうで色々な物を直したり、少ない食材で料理したり、切歌の提案でこの学園に忍び込む際も、彼が誘導していた。
いま剣はフードをつけたパーカーで顔を隠している。そして眼鏡をつけて、ベルトも服で覆い隠している。
「お揃いデス」
無言で頷く中、いまこの学園は学園祭で、一般人もまた参加している。
そんな中、装者達を探す剣達だが、怪しまれないように出店の物を買いながら、出歩いている。
「このリンゴ飴おいしいデス~」
「うんそうだね切ちゃん・・・」
そう言いながら、二人していつの間にか、剣の両手を握っている。真ん中に剣がいて、なんだか不思議だなと思う。
(いつの間にか、こういう風に接するのが当たり前になっちゃった)
当たり前だが、剣は何か言わなければ動かないのだ。こうして引っ張らなければいけないので、必然的に両手を取る二人。
(・・・だけどこの人は・・・)
偽善者。自分が知る、何も背負わず、誰かを救うと言っていた人だ。
だけど、
『痛みがあるからとかないからだとか、そんなもん知らないッ。争いたくないって思いに、そんなものは関係ないッ』
はっきりそう言い、自分達ですら守ると言い張った偽善者。
調はそう思うが、握りしめるこの手は嫌じゃないのも事実だった。
そしてリンゴ飴を食べ終えた二人は、今度はベビーカステラを買うことにして、出店で買っている。
そのときだけ、二人から手を放す剣。
「?」
意志的に放された手、そう言えば、なにか忘れている。
自分達は大切なことを忘れてた。
「調~これもおいしいデ~ス~」
「あっ、私も食べる」
そう、その後ろで、
「ありがとうございました」
「・・・」
その言葉を聞いて、調は青ざめた。
「デス?」
「切ちゃん」
「なんデス調~装者達見つけたデス?」
「私たち、ここまでのお店、お金、払った?」
「・・・・・・・・・・・デス?」
一瞬、調が何を言っているか分からなかった。
切歌は思い出す。いままで出店で食べ物を手に入れて、すぐに辺りを見渡していたために、忘れていた。
お金を払っていない。だけど、文句などがない。
そしていま、ありがとうございましたと、
「・・・」
いま懐に何かをしまって、無言の剣を見る二人。
「・・・・・・・・・・・・調」
「・・・・・・・・・切ちゃん」
二人は知らず知らず、剣におごってもらっていたと、いま知った。
その後はもう買い食いはしないと心に誓い、全てが終わったら謝ると心に誓う二人はいま、装者達を発見する。
気配を消す剣に、なぜそんなに隠密に長けているか疑問に思いながら、彼の指示でうまく隠れて、イベント会場と化したホールへとこそこそ現れた。
剣の視線でガングニール、天羽々斬、イチイバルの装者である三人組を発見する。
「だから、なんでそう隠密が得意デス?」
「いまはそれよりも」
イベントの盛り上がり中、欲しいものがてにはいる。そう司会者が言っている。
ならばと、二人はいま舞台で歌い終え、優勝者になるクリスに向かい、宣戦布告する。
「剣さん・・・」
響は驚く、いま二人が現れたことにも驚くが、パーカーで顔を隠しているが、それは紛れもない剣であり、三人も気づく。
剣はなにも言わず、黙ったまま様子を見守る。
この場で暴れることはできず、裏の事情を知らない司会者は舞台へ二人を上げた。
その様子に兄のように見守る剣。そして二人のライブが始まる。
それもまた静かに見守る中で、時間だけが過ぎた。
そのあとは巡る巡る状況が動く。
まず優勝者発表を待っている間に、マリアから襲撃者の指示が来たため、現在装者から逃走している三人。
剣は二人の手を握りしめ、走っていた。
「急がないとって、剣、そっちは出口違うデスよっ」
「もうすぐ荷物運びでその道は渋滞する、大回りだがこちらが最速だ」
「デス!?」
剣が喋ったことにも驚くが、イベントの流れすら把握している剣にも驚く二人。
確かに、オブジェなどを持った女子生徒がちらほら見かける中、装者達の追跡を振り切る三人。
だが、剣はまた方向転換する。
その先に、クリスが現れた。
「って、またかッ。お前意識あるだろッ、どうして私たちの行動が分かるッ!?」
「・・・」
「無視するな剣ィィィィィィィィィィィィイイッ」
途中からなにか違う気がするように、クリスが激昂しながら追ってくる。
どうやら装者の行動がわかるようで、剣は逃げる。
だが、剣に引っ張られる二人は気づく。
「剣ダメ、そっちは壁だよっ、行き止まり」
「問題ない」
調がそう言うが、剣はそう切り捨て、周りを見渡す。
そこに人がいないのを確認して、
「デスっ!?」
「!?」
二人を担ぎ上げる剣。それに驚き、つい剣にしがみつく。少し頬を紅くするが、剣は気にせず、跳んだ。
「デデスッ!?」
「嘘っ!?」
二階ほどの高さがある壁を、二人を担ぎながら跳ぶ剣。
状況を整理しよう。自分達はいま同時お姫様だっこと思われる状態だと、目の前の調と確認する切歌。
その状態で剣にしがみついていて、その状態で剣は、跳んだだけで、壁の上に着地する。
「って変身せずにそんなに飛べるデスっ!? 人間デスか剣ッ」
「剣テメェやっぱ意識あるだろッ」
「やはり剣かッ、この程度どうさもないということかッ」
「っていうか、当たり前なんデスかこの状況ッ」
装者の反応から、剣の身体能力ならば問題ないようだ。切歌達は驚きながら、眼下にいる装者達を見る。
「このまま逃がすかッ、剣ッ、意識あるなら戻ってこいッ」
「剣さんッ」
クリスと響の叫びを聞きながら、紅い眼光で装者を見る。
「渡さないッ、彼はもう私たちの仲間っ」
「調ちゃん」
「そうデス、剣はもう私たちの仲間デスっ」
そう宣言する二人に、クリスは睨みながら叫ぶ。
「ざっけるなよッ、操っておきながら、剣の意志無視してなに言ってやがるッ」
それに言葉がつまりかけたが、それでも、
「彼は守るって言ってくれたッ」
「言わせてるんだろッ」
「それでも、私たちの力、仲間っ」
調はそう言って、剣にだきつく。切歌もまたそれを放すかと言う意志で剣にだきつく。
その状況下、剣は壁の上でバランスを取りながら、辺りに気配を巡らせて警戒していた。
翼だけ、剣はハンドルに手を置いているのに気づく。いつでも戦えると言う体制だった。
「剣さん・・・」
響はそんな剣を見ている。だが、なにか変だと思う。
「意識あるんですか剣さん」
「剣に話しかけないでっ」
調がそう叫び、響に睨む。それでも響は剣を見る。
剣はなにも言わず、その眼光は紅く、無表情であった。
「そんなに言うのなら」
「勝負デスっ」
そう二人は叫び、決着は別の場所にする宣言をして、彼らは去る。
「なにを考えているのッ!!?」
マリアは叫び、いまは決闘の場所。あのルナアタックの現場であり、立ち入り禁止区域と化している廃墟にいる。
襲撃者はノイズを使い撃破、いま自分達と合流するために現れたマリア達に怒られていた。
「ですけど、ネフィリムに聖遺物を与えるためデス」
「私だけで聖遺物を手に入れる、だから」
「だからって勝手な行動を許されると思うのですか?」
マムの一言に、剣は前に出ている。
彼の勝手な行動だろう。二人をかばうようにしていた。
その様子に頭を痛めながら、ドクターは前に出る。
「まあいいではないですか、これはこれで良い案があります」
そう言うドクターに対して、紅い眼光は鋭くなる。
それでも何もできず、ただ時だけが過ぎる。
「納得できないデス・・・」
真夜中、彼女たちは約束通りに現れた。
だが、こちらは約束を守らなかった。いま対峙するのはネフィリムであり、ドクターが戦っている。
ノイズの群れの中、剣は二人と手を繋いでいる。
ドクターはこの戦いにけして彼を出さないように言っている。それに関してもマムは同意していた。
彼はネフィリムを味方と認識していない。
「ネフィリムは我々の作戦において大切である以上、彼はこの戦場に立たせるわけにはいきません」
「・・・」
無言でモニターを見る。いや、ただ目の前にあるからか、それでも見ている気がするのは気のせいか。
そして事態は一変する。
バリッと、響の腕がネフィリムに食われた。
「・・・」
響の悲鳴を聞き、二人は驚き、剣から手を放した。
「・・・」
響が突如黒い力に覆われる。それは暴走だった。マムの説明が聞こえない。
「・・・」
ただ分かったのは、
「・・・」
このままでは響は、
「・・・響」
死んでしまう。それだけで十分だった。
「響ッ」
暴走した響とネフィリムがぶつかる前に、クラックが開く。
そこから飛び出た者は、ネフィリムを吹き飛ばし、響を抑える。
「ガアァァァァァァァァァァァァァァ」
悲鳴のような雄叫びの中、それは、
「変身」
『ザクロギアアームズ。血ノ道、修羅降誕』
紅い戦士の登場に、全ての者が目を丸くした。
「バカなッ、なぜ貴方がここにッ。ネフィリムを攻撃するなッ、変身を解きなさいッ」
ドクターの声なぞ無視して、ネフィリムを切り伏せながら、ノイズに拘束されている翼達を助け出す剣。
「剣・・・」
「お前、正気にもど」
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」
紅い閃光を纏いながら、響以上に咆哮する剣。その足下から草木が生え、朽ちる。
「なんだ!?」
「剣ッ」
だが暴走する響が向かってくる。ネフィリムも後ろから迫るが、
「俺は、オレガ、オレは、俺ハ」
クラックが複数開く。そこからインベスが現れ、ネフィリムに襲いかかる。
「インベスッ!?」
「これはまさか」
響の動きを片腕で止め、叫ぶ。
「ソウ者は、おレがまもルっ!!?」
そう叫び、響を一撃で沈め、ネフィリムへと眼光を睨む。
紅い閃光、血のような光が、グロンバリャムと共に振るわれる。
「やめ、やめろネフィリムを傷付けるなッ」
リングのようなものでコードを入力。剣から放たれる閃光が強くなるが、暴走もよりいっそう強くなる。
「逆効果っ!? そんなあり得ないッ」
インベスはすでに下がらせるが、その様子に翼とクリスは戦慄している。いまは響の側で、戦いを見守るしかなかった。
「どうにってやがるッ、彼奴は正気なのかッ!?」
「あの様子からしてそれはない、これは」
「装者を守るためだよ」
そう言って、一人の男が現れた。
「お前はッ」
「よおドクターウェル、ギアロックシードの調子は、まあまあか」
「お前はッ」
翼達は驚く。気楽にウェルに挨拶した男は、紘汰の力で見せられた、あの戦いに関わる、いや、元凶。
「ヘルヘイムッ」
「それもまた、俺の名前の一つだな、天羽々斬のお嬢ちゃん」
ドクターもそのやりとりを見て、怒りをあらわにして叫ぶ。
「お前達、グルだったのかッ。あの果実は、このためにッ」
「!?」
翼達は訳が分からない顔をしたが、すぐに翼はサガラを睨む。
「お前が彼らに、果実を渡したのかッ!?」
「少しばかりのプレゼントさ、こうなるとは、俺にも思っていない。やはり面白いなこの世界」
ウェルもまた訳が分からない顔をするが、ネフィリムへと攻撃は止まらない。
「やはり闘争心が鍵か」
ネフィリムへと攻撃している剣に対して、それに笑う。
クリスがサガラへと銃弾を、ためらいもなく撃ちまくるが、別の場所に草木が生えて、その姿を現す。
「おいおい弾の無駄使いだぜ、イチイバルのお嬢ちゃん」
「テメェ」
「それよりも、このままじゃ、ガングニールのお嬢ちゃんが危ないぜ」
「!? どういうこったっ」
それにさあなと仕草だけで返され、クリスは血管が切れそうになる。
「お前が悪意なき悪意と評価されていたらしいが、どうやら違うようだな」
翼は殺気を放ちながらこちらを見る。
「お~怖い怖い。だけどなお嬢ちゃん、向こうの戦い、そろそろ終わるぜ」
そう言ったとき、ハンドルを一回押す剣。
『ファーストギア・ザクロストリーム』
グロンバリャムに紅い閃光がまとわりつき、それで切り刻む。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ウェルの叫び、だが、それを無視して、今度は三回押す。
『サードギア・ザクロフルーツ』
無数の武器が現れる。
その刃を全てネフィリムへと突き刺し、無数の果汁が飛び散る。
一粒一粒、それが宙に浮き、高く跳ぶ剣。
そして紅い閃光と共に、それらが雨と成り、敵を貫いた。
「ネフィリムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ」
ドクターウェルの叫びと共に、自身のエネルギーのためか爆発するネフィリム。
ネフィリムを倒した剣は、いつの間にか変身を解いていた。
「つる」
クリスが駆け寄ろうとしたが、
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
身体から草が生え、紅い閃光も光も消えず、その手には、無くなるはずの武器グロンバリャムが握られている。
「バカなッ、剣はもう変身を解いているんだぞッ」
「あの様子ッ、無職神と最後まで戦った奴と」
「!!?」
そう、駆紋戒斗。自身の力だけでオーバーロードと成った男。彼のように変化している。
「ま、さか・・・そんな」
信じたくないと言う顔で翼は剣を見る。
クリスもまた泣きそうな顔になり、剣を見ていた。
「足リ、なイ・・・」
そう呟くと共にクラックが開き、そこに飛び込む剣。
「ま、待て」
「剣ッ」
剣は彼女たちの言葉を聞かず、森へと逃走する。
その間、ネフィリムの核を持ってウェルが逃走するのに気づくのが後れてしまう。
そして、彼もまたいないことに気づかない。
森を疾駆する紅い獣がいた。
目に付いたインベスを切り伏せ、森を走る戦士に、ヘルヘイムはやれやれと呟く。
「一気に暴走したな、いや、利用は分かるが」
成りかけている者に対して、ヘルヘイムは森を見渡す。
「・・・さて、ついに入り口を開いた。さすがに葛葉紘汰は気づくか」
そして笑う。森を見ながら、彼は走るのを見ながら、そして思う、彼らがこの真実を知ったとき、どういう選択をするのか。
「そして、この世界唯一の果実の戦士は、歌姫と共にどういう答えを得るか」
剣を振るう、眼光がこちらに気づく。
それに怖い怖いと呟きながらその場を去る。
「まだ、歯車は回り始めたばかりだ・・・」
誰も気づかない。突如止められた果実の歯車が、いま新たな歯車を得て、動き始めていることに、いまは誰も気づかない。
オリ主がどうなるか、響についての説明をしないのはどうなのか。
考えることこのうえない物語ですが、これからもよろしくお願いします。
ではここで、お読みいただきありがとうございます。