仮面ライダー鎧武・鎧武を目指す者と戦いの歌姫達   作:にゃはっふー

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番外編最終回。暴走は止まらない。


番外編仮面ライダーツルギ・手にする力は誰かの力

 とある次元にある、とある寺の地下で、彼らは話し合っていた。

「ということがあったのだ」

「おぬしっ、なぜそれを我々にすら黙っていたっ」

 青年はいま、眼魂同士の言い争いを見ながら、仲間達と共に頭を痛める。

「このことをおいそれと言えば危険なのはわかるだろう」

「確かにその通りだが」

「武蔵、いまはニュートンを攻めてる時じゃないよ」

 それを青年に言われ、周りの仲間達も同意する。

「異世界の、生まれるはずもなかった仮面ライダーか・・・だからといって放っておけないな、俺達も出向けないのか」

「少なくとも、それをすれば危険なのは、タケル、おぬしだろう」

 それを言われ、自分の命にリミットがあることに、心を痛める。

「俺はここで祈るしかないのか、その仮面ライダーやアランが、大切なものを守れるって信じて・・・」

 ある石版、モノリスの前でそう呟く青年。

 そんな中で強く祈る。

「信じるよ、会ったこともない人だけど、俺は君を信じる。異世界でも、きっと」

 心はつながっているんだとつぶやき、彼は祈る。

 

 

 

 アランの説明に、弦十郎達は黙り込む。

 エリスと言う科学者は、当初完璧な世界創造のため、人の魂を眼魂に封じ込める。

 その際、悪夢のと言う恐怖で縛り付け、逃げ出したとしても、再び悪夢の檻と言う意識の名の下に、人民を支配する。

 なによりも、人は恐怖に抗うために、生存本能のために、力、魂を強くしようとする。

 エリスはそのエネルギーを使うため、あえて人々を恐怖の檻の中に閉じこめ、効率よく高エネルギーの制御をするシステムを立案した。

「結果、父上の手により、眼魂に魂を封じる暇すら与えず、次元の彼方へと飛ばされた。その際、身体も魂も、器がない状態にされたらしい。詳細は知らないが、これが私の知るエリスと言う学者の最後だ」

「危機的状況による、能力強化。それを無理矢理強いるとは」

 弦十郎の言葉を聞きながら、それならばと、マムは頷く。

「ならエリスと言う学者が、複数の聖遺物を使用したのにも納得できます」

「複数の聖遺物デスかっ!?」

 切歌の驚きに頷き、モニターの武器を移す。

「一つは鏡、神獣鏡。斧のような方手斧、鎌はおそらくデスサイズ。俗に言う死神の鎌ですね」

 ジョーカーとネクロムが吹き飛ぶ際のエネルギー量を計測すると、オペレーター達が戦慄する。

「これは、絶唱時の聖遺物のエネルギー量っ!?」

「待機状態でそれならば、彼女が歌を紡ぐ際、その効果はイガリマと同義、魂を肉体から切り離すと推測されるでしょう」

 イガリマの絶唱は魂の両断だが、この聖遺物は肉体と魂を切り離すらしい。

 そして盾のほうはわからないが、かなり強力な聖遺物と判断される。

 それらはいまエリスが使用している装者を操って使用しているらしい。

「操られている装者は、ローブでわからないか」

「ただ、魂を切り離す技術と言い、我々の技術に通ずるものがあるのがおかしい」

 アランはそう怪訝に言う中、もう一つの話をする。

「もう一つの話、森の封印だが」

 紘汰の言葉に、マムは頷く。

「櫻井了子並び、遺跡内の資料を合わせた結果、太古の人は、森の侵攻があったようです」

「・・・」

 紘汰は黙り込む。この世界はすでに森の侵略があったと言う事実に驚いていた。

 マムは続ける。その際に、森が次元を通過し、根を張る特性を知ったある学者は、鏡の世界と言う、疑似空間を作りだし、その世界に全て飛び込めたらしい。

 神獣鏡はその際に、完全聖遺物としての機能を失った。なぜならば、

「最後の欠片は、その鏡の世界に封じられ、森が二度とこの世界に出れないようにしたという説が書かれています」

「となると、敵は鏡の世界で神獣鏡を完全聖遺物へと修復し、この世界に森の驚異を持って世界を作り替える気かっ!?」

 それにテーブルを粉々に砕く紘汰。

「ふざけるなッ、この世界でヘルヘイムの争いを再現させてたまるかよッ」

「まだ色々謎があるが、いまはそれを阻止するのが先決か」

 翔太郎もそう言い、弦十郎は頷く。

「鏡の世界、その森へはどういくかだが」

「俺が教えてやるよ」

「!」

 全員が声がした方を見る。そこにいるのは紛れもない、森の意志。翼とクリスはかなり憎々しく睨みながら、全員が黙り込む。

「蛇か」

「この世界の果実はもう腐っているからな、いまさら出されても困る」

 そんなことを言い、響に守られる未来が腐っているとつぶやき、ああと頷く。

「本来は世界に根をはるはずが、疑似世界に根をはった所為で、残量思念を養分にかろうじて保っている、文字通り腐った果実だ。異次元空間のもの食って、意志まで持ちやがってる」

「意志ですってっ!?」

「まさかっ」

 マリアと翼の言葉に、うれしそうに笑う。アラン達も構えながら、同じ思考にたどり着く。

「その養分に、エリスが関わっているのか」

「ああ、彼女は養分になり、果実と同化した。困ったものだよ、疑似禁断の果実と言えばいいのか、パチもん過ぎて逆に凄いよ」

 勝手にポットを使い、コーヒーを淹れ始める蛇に、周りは嫌な顔をする。

 コーヒーを飲みながら、ふうとため息を吐く。

「しかも、この世界で、もっとも聖遺物との適合率の高い子を見つけだして、無理矢理他の聖遺物と調整あわせしたりしてるんだよなこれが」

「なんですって」

 マムが驚きながら、そのとき、

「!?」

 なぜかマリアを見続けている。その前に出る剣に、怖い怖いと笑う。

「なんでマリアを見たデス」

「答えて」

「その答えは森で奴と戦えば嫌でも分かる。勝てなければ、疑似果実がこの世界を飲み込むだろうぜ」

 そう言い残し、紘汰は静かに何かを察する。それは森の位置が分かったのだろうか、それに満足して蛇が消える。

 

 

 

 今回の戦いに、装者達は参加しない。相手はインベスのため、毒による攻撃を考えての配慮であり、全員が納得できないと言うが、弦十郎達の言葉に渋々納得する。

 元リディアン学院の立ち入り禁止区域で、紘汰と舞が森への入り口を作り、三人が森の中に入り、エリスと対峙する作戦になり、僅かな準備中。

 剣は肉体を休ませていた。

 先の戦いで、かなり負担がかかり、いまそれを秘密にしている。

(だが戦える・・・)

 握りしめる拳。剣は静かに時を過ごしていると、部屋の扉が叩かれた。

「剣さん、いますか?」

「響か」

 響が部屋に入り、様子を見に来た。

「剣さん、すいません、手を貸せずに、剣さん達だけに任せてしまって・・・」

 そう言う響。少しだけいつもの元気がない。

「そういうときこそ平気へっちゃらだろ? 気にするな、なにより森の戦いは俺の戦いだし、響達がいるんだから負けないさ」

「私たち、応援とか、見てることしかできないんですが」

 力無く笑うが、それに剣は、

「十分。それだけで負ける要素がなくなるよ」

 そう言ってザクロギアを取り出す。それを見て響は、

「ザクロギア」

「こいつはガングニール、お前の繋ぐ力、守りたいと思う力が込められたロックシードだ。これがあれば、俺は必ず、エリスから装者を守る」

「剣さん・・・」

「信じろ響、俺はお前のアームドギア。繋ぐ手を守る力だ」

 そう告げれば、身体から痛みも疲れが無くなる。

 そう、自分はいつだって誰かの力を使う代理品だ。

 だが、だからといって劣るわけではない。

「はい、信じて帰りを待ちます。剣さんっ」

 その元気の笑顔を見て、

「応ッ、任せろ」

 

 

 

 三人は構える、紘汰と舞が左右に立ち、入り口の準備を待つ。

 周りには装甲車などで、臨時司令室を作った弦十郎達が見守る中、未来までいる中で、三人の戦士達はバイクのエンジンを暖める。

「んじゃ、俺は入り口や、森が来ないようにここで踏ん張る。中の戦いは任せたぜ」

「任せな」

「ああ」

「頼みますよ紘汰さん」

 そして、

 

『ジョーカー』『ギア・オレンジ』『イエッサー』

 

「「「変身」」」

 

 三人の仮面ライダーが入り口の出現と共に駆け出す。

 その後ろ姿を見るしかできない装者達は静かに見守った。

 

 

 

 森の中のインベスは少なく、いないに等しい。

 外部からの連絡で、聖遺物の反応を追い、一つの遺跡を見つけだす。

「どうやら、インベスは向こうの味方らしいな」

「全て叩ききるッ」

「ああっ」

 バイクに乗ったままインベスの群れを倒し、遺跡の中へと進入する。

 そのまま奧まで進めば、光線の雨が降り注ぐが、

「想定内」

 そう言って、三人はバイクから飛び降り、それを見た。

 一人のローブの装者、操られた歌姫を見つけだす。

「エリス」

「やはり来ましたねアラン王子、森の戦士、もう一人は・・・」

「ただの、悲しい涙を拭くハンカチさ」

 そう言いながら、仲間も何言ってるんだろうと思う中、鏡を見る。

 完璧な鏡、完全聖遺物と姿を取り戻そうとしている神獣鏡があった。

「あとは修復が完了次第、果実の私がこの子を使い、王を越え、神へと進化する」

 そう宣言すれば、腐りかけの巨大な果実が現れる。それを見ながら、全員が構えた。

「ふざけるなッ、この世界に果実は必要ないッ」

「俺の依頼はこの世界における、ライダーの災いの除去だ。悪いがその子を助け出して、お前の野望をうち砕く」

「お前が私の世界の者であろうがなかろうが、美しい世界を汚すと言うのなら、容赦しないッ」

「さあ、お前の罪を数えろッ」

「心の叫びを聞けッ」

「テメェの野望ッ、乱入させてもらうぜッ」

 

『プリズン魂』『囚われ歌姫、悪夢の監獄』

 

 姿を現すエリスに対して、果実も纏いながら、それは仮面ライダーとは言えない怪物だった。

「ならば貴様達を糧にするのみッ」

 

 

 

 無数のインベスの群れをなぎ払いながら戦う戦士達。紘汰のおかげでモニターに映る光景を見ながら、弦十郎は難しい顔をしてその様子を見る。

「なぜオレンジギアしか使わない剣くんっ」

 確かに攻撃と防御はオレンジの方が強い、乱戦に対しても確かに強力だ。

 だがザクロシャインの死角も含めた乱射は、乱戦には有効だのはずだが、と、

「ロックシード変えるデスっ」

 ザクロギアにかえて、エリスへと斬りかかるが、その様子に疑問が解けた。

「まさか剣くんっ」

 

 

 

 ガングニールピースを振るいながら、エリスだけに斬りかかる剣。

「その子を返してもらおうッ」

「この子は死にかけをもらった、私がいなければ死んでいたのだ。この身体も魂も、すでに私の所有物だッ」

「ふざけるなッ」

 だがインベスが前に出て、剣は舌打ちしながら、ギアロックシードをかえる。

 

『ギア・オレンジ』『オレンジギアアームズ。聖剣無双』

 

 その姿で近くのインベスをなぎ払ったあと、

 

『ギア・ザクロ』『ザクロギアアームズ。歌姫・ザ・ナイト』

 

 またザクロになり、エリスへと戦う。

 その様子に、後ろで戦うジョーカーは気づいてしまう。

「ったく、手のかかる後輩だっ」

 急いで前に出ようとするが、インベスが邪魔をする。

「まずいッ」

 ジョーカーは焦り、向こうも剣の無意識の行動に気づかれた。

 

 

 

「またインベスかッ」

 

『ギア・オレンジ』『オレンジギアアームズ。聖剣無双』

 

 シンセイバーと白銀刀でインベスを切り、その様子をあざ笑うエリス。

「貴様は矛盾している。彼らを斬ることを後悔しながら、いざとなれば容赦なしか」

「自分の手が汚れるからといって、罪を背負うのをためらう弱者じゃねぇ。俺は覚悟を決めたッ、この代理品の力で、誰かを守る」

 それを聞き、より笑う。

「覚悟? やはり気づいてないのかっ、なら」

 歌い出す装者。その瞬間、鏡を始めとした聖遺物の反応が強くなる。

 

 

 

「・・・うそ」

 エリスの声でなく、その装者の声に聞き覚えがあるマリアは戦慄し、マムもまた、

「このフォニックゲインは・・・」

 高められるエネルギー、その発生源を知る二人は驚きながらその様子を見る。

 なにより、

「いけないッ、剣下がりなさいッ、このままではっ」

 

 

 

 そのマムの声を聞く前に、すでにザクロを取り出していた。

 ザクロへとかわる剣、それに盾を構える。

(絶唱を使われる前に、叩くッ)

 そう心で叫び、ガングニールピースを振るうが、盾が解放される。

「!!?」

 盾が扉のように開き、その中に、蛇の髪の生首のような彫像があった。

 その瞬間、剣は意識が途絶えた。

 

 

 

「あっははははは、愚かなッ」

「ツルギッ」

 石のように変わり果てたそれに、あざ笑うエリス。

「いまの攻撃は」

『あれはアイギスですッ』

 通信機から叫び声が聞こえ、ジョーカーは首を傾げた。

「アイギス? ゲームとかじゃ、すっげぇ盾ってくらいしか」

『神話の中では、その盾にはもう一つの特性を持っています。ある怪物の首を装飾にし、相手を石化させるという特性の聖遺物。魂を石化させる絶唱ですっ』

「魂を石化だとっ!?」

 ネクロム達は戦慄し、石と化した剣にあざ笑う。

「本当に愚かだ。覚悟を決めていると言っておきながら、大きな隙を作っているというのに」

「大きさ隙?」

 ネクロムがその言葉を聞き、それに気づく。

「そうだ、この男はインベス相手には白い鎧を、私に対しては効率のいい紅の鎧で攻めてきた。いや、そう交換しながら戦った」

 そこに大きな隙を与えていた。先の攻撃も絶唱の効果時間を、わざわざザクロへ変わる間の時間与えていた。あのままオレンジで斬りかかっていればいいはずだった。

『あなたの肉体、どこで手に入れたのですかっ!?』

 マムは通信機越しに叫び、それに笑う。

「それに答える前に・・・」

 鎌を振り上げる。すでに絶唱は完全になしていた。

「まずいッ」

 

『ジョーカーマキシマムドライブ』

 

「ライダーキックッ」

 飛び上がるジョーカーだが、その姿が解かれる。装者の無防備の姿に、顔を歪め身体をひねり、それが鏡で防がれる。

 その現れた姿に、マリア達は驚愕した。

『せれ、な・・・』

 マリアの言葉を聞きながら、セレナは無表情の顔、そして声だけは高らかに笑いながら、

「死ね、果実の戦士ッ」

 斧が石像へと斬りかかり、果汁のような血が辺りにまき散らされた。

 

 

 

「!? なんだッ!?」

 気が付けば真っ白な世界にいて、剣は辺りを見渡すが、身体が動かない。

 何かに斬られたように、痛みで意識が飛びそうになるのを必死に耐えている。

「これは」

「バカ野郎ッ」

 誰かの声が響き渡り、それに驚く。

「誰だ」

「誰だじゃないッ、お前が隙見せた所為で、いま肉体と魂が切り離されそうになってるんだッ」

 それに驚きながら、身体を動かそうとするが、感覚がないのに気づく。女性の声、謎の声の言うとおり、いまピンチらしい。

「いま私がギリギリでつなぎ止めてるッ、いつものように、絶唱でもなんでもいい、はじき飛ばせッ」

「そんなほいほいできるかよッ、っていうか誰だあんたッ!?」

「ほいほいいつもしてるじゃないかオメェッ。デュランダルやガングニールの時みたいにやれッ。あとは昔の記録ぐらい見ろッ」

 そう言われているが、意識があるが感覚がないのだ。この状況でどうすればいいかわからない。

「くそッ、オレンジとザクロを変えているところを狙われた・・・」

 分かっていた。インベスを倒す時はオレンジ、一番はザクロと分かっていたのに、この体たらく。嫌になりそうになる。

「なんでわかってて隙を作ったんだッ」

「当たり前だろ、ガングニールは響の力、誰かを守り、繋ぐ力だッ。それでインベス切れるかッ」

「それでお前が死にかけてたら、響や翼が迷惑だッ」

「死ななきゃいいだろッ」

「死にかけが何言ってるッ」

 そんなことを言われ、それでも、

「だったら死ねないッ、俺はまだ死ねないッ」

 そう言い、ただ力を込めている。意識だけの力を込めても状況は変わらない。

 意識が削られていくのだけが分かる。それに舌打ちする女性。

「このままじゃ、くそッ。なにもできないのか私はッ」

「勝手に諦めるなッ、俺は諦めないッ。あんたの言うとおり、ここで倒れれば響が悲しむッ、なにより」

 思い出す、操られた装者を思い出す。

「助け出さなきゃいけない子、倒さなきゃいけない敵がいるんだッ。まだだ、まだ俺の意識は、まだ終わってないッ」

 

 

 

「!!?」

 地下で祈っていたとき、青年は顔を上げた。

「そうだ、君はまだ終わってないッ」

「タケル殿っ!?」

 急に叫び出す青年に、坊主の僧侶は驚いているが、それでも叫ぶ。

「届いたッ、君の思い、君の命の叫びッ。まだだ、君の命はまだ燃えているッ」

 

 

 

『君の命はまだ燃えているッ』

「誰だ・・・」

 突然の男性の声に驚き剣。だが、

『まだ君の力が必要だッ、まだ燃えている君の意志、魂はつながっているんだッ』

「俺の魂・・・」

 そのとき、声が聞こえる。

 

 助けて・・・誰か・・・姉さん・・・マム・・・助けて、私の、大切な人達・・・

 

「!!?」

『求められているんだッ、誰かが誰かを、君はその声に手を伸ばしたいんだろッ』

「当たり前だッ、俺が持つ力は他人のものだらけだッ。だからこそ、その力に恥じないためにも、俺はいま膝を折るわけにはいかないッ」

 力を込める。ただ意識だけ、力が、何かが燃える。

『命を燃やせッ、心は、次元も時間も超えて繋がっているッ。なら僕は、ここから君の力へと繋がってみせるッ』

「あんたは・・・」

『命、燃やすぜッ』

「・・・ああ、あんたの力も、使わせてもらうッ。あんたの代わりに、守るッ。それが俺の意志、代理品の意地だッ」

 

 

 

 ジョーカーとネクロムは押されていた。

 一斬りで魂と肉体を分断する斧、真っ正面にいる者の魂を石化させる盾、そして多数方面からの光線をよけながらの戦い。

「そのうえ、装者に攻撃できないか」

「攻撃すればいい、元々私が手を加えなければ死んでいた者だ」

「ふざけたことをっ、それでもまだ生きているものだッ」

「変わりましたねアラン王子。ですがもう終わりです」

 そう宣言したとき、それは光を放つ。

「!?」

 石像となり、亀裂を走らせた戦士から、光があふれている。

「なんだとっ!?」

「・・・これは」

 その光景を見ながら、ジョーカーは、いや、Wは察する。それは紘汰、鎧武もわかった奇跡だった。

「代理品か、お前はそう言うのならそれでもいいさ」

 だがなと付け加えながら、

「それでも立っているのは、お前がお前だからだ。誇れ、そして使え、これが、仮面ライダーの力だッ」

 何かの光が彼に集まる。その光景を見ながら、エリスは何かを察して光線を一斉に発射する。

 だが、それは立ち上がった。

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」

 全てガングニールピースでなぎ払い、立ち上がるそれは光を纏っている。

「貴様・・・!?」

 

 

 

「・・・タケル?」

 そうネクロムが呟くと、ふたつの英雄眼魂が飛び出す。

 

『グリム』『サンゾウ』『ムサシ』『エジソン』『ニュートン』『ロビンフット』『ベートーベン』『ビリーザキット』『ベンケイ』『ゴエモン』『ヒミコ』『リョウマ』『ノブナガ』『ツカンカーメン』『フーディーニ』

 

 そう響き渡り、パーカー達が現れる。赤い刀のパーカーが代表して叫ぶ。

「使え、繋がる力ッ。お前の持つ、繋がる力を」

「借りるぜ響ッ」

 そして17の光が、ガングニールピースへと集まり、ギアロックシードへとかわる。

 

『セットアップ』『ギア・メモリーライダーズ』

 

 そのとき、音色が響く、それは歌のようであり、光をあふれ出しながら、剣は叫ぶ。

「ライダーの力、乱入させてもらうぜッ」

 

 

 

「なんだその力ッ、くっ」

 盾を構え、魂を石化させる絶唱を使うが、その前にギアロックシードを使う剣。

 

『ダブル・サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム・奇跡の風、二人で一つッ』

 

 その音と共に姿を変えて飛翔する剣。その姿はWの姿であった。

 ガングニールピースの引き金を三回押し、力を発動させながら両足を突き向けた。

「『ゴールデンエクストリーム』」

 そのまま盾へと、黄金の風を纏い砕く剣。それに戦慄するが、一人だけまあまあだと、ジョーカーは呟く。

 

『ヒビキ・アームド・響く鬼ッ、烈火装甲ッ』

 

 また姿が変わり、ガングニールピースの他に、別の武器、装甲声刃(アームドセイバー)と言う武器で交互に斬りかかる。

「貴様、インベスッ」

 インベスが迫るが、それに気にかけない。

「俺達を忘れるなッ」

「はあぁぁぁぁぁ」

 二人が飛び出て、それにジョーカーは叫ぶ。

「お前のわがままつき合ってやるッ、貫き通せッ」

「はいッ」

 炎を飛ばし、牽制するが、エリスはまだ余裕に叫ぶ。

「まだだ、下手な攻撃はこの身体を壊すだけで、私はまだ終わらないッ」

「その前にその身体の子、返してもらうぞ」

 

『ウィザード・インフィニティードラゴンゴールド・絶望の希望ッ、神秘の指輪ッ』

 

 姿がドラゴンの一体のかした者へとかわり、剣は飛翔して、トリガーを一回引く。

 

『エンゲージ』

 

 その音と共に、そこに飛び込む。

 

 

 

 幻覚なのかわかっている。

 

 だけどその中で姉と母として慕う人達がそれに食われる。

 

 または火で焼かれる。または瓦礫に埋もれ、または銃弾で死ぬ光景。

 

 もう見たくない、だから手を伸ばし続ける。

 

 何度屈指かけたか分からない。だけど、助けたいと思う心が強く、手を伸ばす。

 

「姉さん・・・マム・・・」

 

 だがネフィリムがまた姉達へと迫る。

「だめッ」

「セイッハアァァァァァァァァァァァァァァァ」

 その絶望の世界に、誰かが乱入した。

「こいつが恐怖の世界の核かッ、なら破壊するッ」

 

『ディケイド・コンプリート・救済の破壊ッ、ただの通りすがりッ』

 

『ファイナルアタックライド・ディディディケイド』

 

 二つの剣で、赤い門のような光を通るたび、別の場所に出る戦士。その中でネフィリムを切り刻む。

 絶望の世界が崩れていく、姿がまたかわる。剣はセレナを抱き上げて、

「あなたは」

「借り物の力で戦う、ただのわがままな奴だ」

 そう言って、入ってきた出口へと飛び上がり、彼女を助け出す。

 

 

 

『ガアァァァァァァァァァァァァッ!!?』

 腐りかけた巨大な果実が現れ、それに取り込まれるエリス。

 その前に剣がセレナを持ち、この世界へと帰還した。

「ツルギッ」

「この子を頼みます、俺はあれを倒すッ」

「わかった」

 ジョーカーはそう言い、ネクロムは一瞬躊躇したが、敵が多い中、出口に向かう護衛が必要かと納得して頷く。

 腐った果実へと向かう剣は、

「こいつで決めるッ」

 

『ガイム・極アームズ・フルーツ戦国ッ、無双武者ッ』

 

 無数の武器を取り出すと、ツタがそれを取り、果実へと斬りつける。

 剣はガングニールピースを構え、切り伏せた。

「!?」

 手応えがあまりに弱く、困惑する。

「まさか」

 気づいたとき、世界が壊れ始め出す。

 

 

 

「まずい、世界が壊れ始めたッ」

 外では紘汰達が焦る中、出口からジョーカー達が現れる。

「セレナッ」

 マリアがセレナに近づき、ジョーカー達は入り口を見た。

 亀裂が走り、砕け壊れ始めている世界。疑似世界が壊れ始めている。

「くっ、入り口を支えるしかないッ」

「わかったッ」

 セレナをマリアに任せ、装者達はセレナを見る。

 僅かに意識があり、マリアは涙をためてセレナを見ている。

 その唇が、

 

「にげ、て・・・」

 

 その瞬間、セレナから眼魂が出てきて、光弾が入り口を破壊した。

「!!?」

 全員が驚き、それに構えるが、そこから声が響く。

『あっははははは、念のために仕込んでいて正解だったッ』

「貴様、エリスッ」

 眼魔の姿で現れたエリス。果実を思わせるそれに、全員が驚く。

「俺達にも見えるっ」

「なら私らでも」

「戦えるッ」

 装者三人が前に出る前に、手当たり次第に攻撃を放とうとするエリス。

 だが、

 響は気づく。

 歌はまだ終わっていない。

 

『カブト・ハイパー・天の道ッ、創造を司るッ』

 

 突如現れるそれは、ガングニールピースを握る剣だった。

「セイッハッ」

 全ての攻撃を斬り、それはエリスに剣を向ける。

『バカなッ、貴様はなんでもありかッ!?』

「これは俺の力じゃないッ、歴代の仮面ライダーに、響、装者達の力。借り物だからこそこ、俺は守り、貫くッ」

 

『ゴースト・ムゲンタマシー・無限の感情ッ、繋がる命ッ』

 

 ネクロムは驚く。それは彼の友人の姿だった。

「繋がったこの力、借りたこの力で、俺は大切な者全てを守る。貸して、信じて、繋がる心があれば、俺は強者すら越えた極みにたどり着くッ」

 

『イノチダイカイガン・ヨロコビストリーム』

 

「セイッハァァァァァァァァァァァァッ」

 無限を象る斬撃を放ち、エリスを切り続ける。

 その勢いのまま、二つの武器、ナギナタ状態のガンガンセイバーとガングニールピースで斬りながら、トドメを刺す。

「これで終わりだッ」

 

『クウガ・アギト・リュウキ・ファイズ・ブレイド・ヒビキ・カブト・デンオー・キバ・ディケイド・ダブル・オーズ・フォーゼ・ウィザード・ガイム・ドライブ・ゴースト』

 

 ガングニールピースを空へと投げ、高く飛ぶ。

 数多の技名が鳴り響くと共に、赤い光のやじりがエリスを捉え、全てのもの達のキックの力が剣へと集まる。

「セイッハァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 その一撃がエリスに悲鳴すら与えず、消し飛ばし、着地もできず、そのまま地面を転がり、変身が解ける剣。

「だっ」

 さすがに疲れ、意識が消えかけた。

「剣さんっ」

 響達が駆け寄るのを見ながら、ギアロックシード。ライダー達のロックシードと、現れた英雄パーカー達を見ながら、

「助かりました・・・」

 そう言って、彼は気絶した。

 

 

 

 その後、異世界戦士事件と言われる事件は、裏で処理されていった。

 マリア・カデンツァヴナ・イブはその後、某国との取引で、アイドルとして活動することは変わらず、彼女はいずれ外国へ飛ぶことになる。

 ナスターシャ教授は病室で動きたくとも動けないこともあり、そこを拠点に弦十郎達、装者達のサポートとして、命尽きるまで協力し、罪を償うことにする。

 暁切歌並び、月読調は早い段階で弦十郎達の管理の下ではあるが、自由のみになる。

 リディアンの途中在学しながら、学生生活をしている。

 セレナ・カデンツァヴナ・イブ、彼女が一番、この事件の問題点だった。

 彼女曰く、気が付けば繰り返される悪夢に囚われていたところを、剣が救出したとしか意識がない。

 年齢も止まっていて、13歳と、切歌達ととにリディアンに通うものの、聖遺物装者としての能力を失っていると、その後判明。これは強制的聖遺物使用による代償と判断される。

 そしてマリアと血の繋がりがある者と知られるわけにはいかないため、本人達の了承のもと、身内がない白銀の名前を借りて、白銀セレナとして、日常を過ごす。

 その後協力者、仮面ライダー二人は元の世界に帰還していった。

 紘汰の話では、先の戦いで時空が歪み、またしばらく連絡取れないと言い、しばらくの別れを弟子にして、弦十郎に弟子を頼み、姿を消す。

 白銀剣、何事もなくとは言わず、三日間寝込む。

 

 

 

「17人の仮面ライダーの力を借りるか、代用品と言いながら、凄まじいな」

「だが、俺の見たところ、完璧とは言えないな。おそらく使えないだろう、強くならなければな」

 蛇とコートのオーバーロードはそう結論付けた。まだ彼は17人のライダー全ての力を使用できない。力が弱く、その反動で寝込んでいる。

「まあ、また気合いだけで絶唱に耐えたり、ライダーの力を使えただけでも凄いと思うがな」

「俺や紘汰を越えると宣言しているんだ、まだまだ弱者だ、彼奴は」

 そう言いながら、果実を踏み、それに見向きもしない。

「お前はまだ倒れることは許されない、それが借り物の力を振るい、戦場に立ったお前の役目だ」

 そう告げて去るオーバーロードに、苦笑する。

「だそうだぜ、今回は仮面ライダーだが、次の演目はどうなんだろうな? まだまだ楽しめそうだ」

 蛇もそう言って、また幕は一度下りるのであった。




というわけで好きかってやってしまいました。セレナ帰還、そして剣を助けたのは誰でしょう?(わかるか。
っていうか寝込んでるのならセレナの件、剣くん知りませんね。
剣はついに平成ライダーの力を手に入れましたが、普段は使いたくても使えません。
もう考えない、ライダーの力も何もかも、使えるものは全て使い切る。
こんな作者で申し訳ございません、ですがこれからもよろしくお願いします。
それでは、お読みいただきありがとうございます。
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