仮面ライダー鎧武・鎧武を目指す者と戦いの歌姫達 作:にゃはっふー
病室で眠る剣。それをモニターで見ながら、司令室ではギアドライバーとギアロックシードを見つめる。
「ともかくだ。ブルーローズギアとリンゴギアはこちらで管理。残りは厳重封印する」
「仮面ライダーの力を封じると?」
「・・・」
黙り込む中、弦十郎は何かを言いかけた。
だが、
「彼奴はもう異変が起き始めてるんだな旦那」
その言葉に、司令室は驚く。ザクロギアの錠前が開き、一人の女性が現れる。
「はあ、ここまで力が強まったか・・・」
どうリアクションしていいかわからない女性に対して、口元を臆し、いまにも泣きそうな翼に、弦十郎は驚き、その名前を呼ぶ。
「奏・・・」
「と言っても、幽霊とかんなもんだよ」
苦笑する奏と言う女性に、装者達は驚き説明を聞く。
立花響を守り、死んだ前ガングニール装者、天羽奏。
彼女はいま、ザクロギアの中、精神体として生きている?らしい。
「だからいま剣に起きてることはだいたい把握してるし、どれくらい悪影響を受けているかもわかってる」
その言葉に全員が黙り込み、奏は答える。
「まず私のこと、ザクロギアの聖遺物制御装置でも思ってくれ。彼奴が吸収したガングニールを無意識に制御するのに、たまたま私が生き返ったようなもんだ」
「そうなのか?」
「ああ、生き返ったと言うより、元となったというより、次元をねじ曲げてそういうもんに変えたんだ」
「待って欲しいデスっ、次元をねじ曲げたデスっ!?」
「そんなこと」
「藤尭さん、彼奴がライダーギア使ったときの映像で、カブトムシのような姿の出してくれよ、あれ思いっきりそういう力だから」
「ええっ、はいっ」
そう言われ操作して出された映像。そう言えば弦十郎は解析させていた。その結果がまさに時空間をねじ曲げていた。
「これって、理論上、下手をすれば未来や過去に行けると思います・・・」
その場にいたエルフナインが解析された結果を見て、驚愕していた。
それだけじゃないと奏は言う。
「それだけじゃなく、ライダーの世界にはマジで時間を巻き戻すライダーがいたり、そもそも時間を行き来して歴史を守るライダーがいるんだ。それくらいできる」
「とんでもねぇ世界だな・・・」
クリスの言葉に、奏はまだ難しい顔をする。
「種族にしたってそうだ。人間から新人類みたいな奴が、旧人類を抹殺するのを止めるライダーや、神様のシステムで、絶対に殺せない怪物と戦わなくちゃいけないライダーだの、江戸時代から化け物と戦う、鬼って言う職業のライダーもいる」
江戸時代? もっと昔か?と首を傾げている奏。それに翼は疑問に思う。
「どうして奏がそこまで」
「元々ライダーギアは、ライダーの記憶がつまってるから、わかるんだよ。本当にライダーの力を貸すだけのギアロックシードだったんだが、白銀剣はその先に手を伸ばした、いや、伸ばせた所為でいまの事件なんだよ」
そう言う奏は、その所為で彼はいま仮面ライダーと言う、世界の定められた宿命に組み込まれようとしていると説明する。
「正直、誰も予想してなかったってのは分かる。私も意識があったけど、こうして表に出たりすることはできないはずが、剣の力が強くなりすぎて、この程度のことは、おやすいご用なんだよ」
強すぎる才能、と言ってしまえば終わる話だが、それでは終わらない。
「全てのライダーの力は、元々は敵対する力が元なんだ。つまり彼奴はいま、悪にも善にもなる宿命をに組み込まれようとしてる」
「それを止める方法は」
「ないよ旦那」
奏はすぐに弦十郎にこう答える。いや、
「もう殺すか諦めるしかない」
「奏らしくもないな、諦めるなんて」
「・・・」
その言葉になにも言わず、目を閉じて周りを見る。
まだ救える。まだ助けられる。
装者はそう言う目であり、それに奏は絶望を告げた。
「彼奴は誰かが戦っているのに、力を使えば怪物になるって分かってても、止まると思うか?」
それに弦十郎は理解した。
つまり力を使わなければ、彼は人間、白銀剣で終わる。
だが戦いをやめる選択肢なぞ、彼は選ばない。たとえその先が破滅と知りつつも、止まるはずがない。
だからこそ、
「殺すを選択したのは、白銀剣を人間として物語を終わらせる、そういう決意をした奴らなんだよ」
辛そうに言う奏。それもまた間違っている。
だが、その選択をした者は、むしろ剣をよく知っていた。
生きている限り戦うことをやめようとしない男を止めるには、これしかないと理解したから戦うのだ。
話は終わり、いまのザクロギアでは戦えないからと、ザクロ、オレンジ、特にライダーギアは厳重に封印された。ベルトも別の場所に封印というなの厳重保存された。
「・・・ははっ」
キャロルは笑う。笑いをこらえきれずに笑う。
いま奇跡によって人生を狂わされている男に、同情しながら笑う。
「そのまま奇跡に壊されるか、俺が壊すか・・・見物だな・・・」
そうつぶやき、また目を閉じた。
暗闇の中だった。
それは見たこともない怪物達だった。
だが分かる。
ああ、あれらは『俺』だと。
そして『俺』と戦う仮面ライダー達に倒される。
それもまた『俺』でありながら、『俺』は『俺』に倒された。
そんな破滅が待っている先を見る。
だが、
「響ッ!?」
機械人形、ミカとの戦闘で大怪我を負う響。
「これで終わりか? おもしろくないぞ~」
そう言いながら、空高くその身を吹き飛ばされた響だが、
『デンオー・超クライマックス・俺達ッ、超ッ参上ッ』
そう鳴り響き、剣が現れ、響を助け出す。
未来は驚愕しながら、二人に近づき、シンフォギアが消えていく響は、薄れゆく意識の中で、涙目でこちらを見ていたが、
「気にするな」
未来が駆け寄り、上着をかけながら剣を見る。彼女も泣きそうだった。
彼女も剣の置かれている状況は知っていたため、そのベルトを見る。
ガングニールピースを通して使うギアロックシードを、ギアドライバーにつけているからか知らないが、彼はいま、危険な力を使っていた。
「お前なんだぞ~」
「まずいっ、撤退するぞっ」
柱の影から、青い人形。ガリィが出てくるが、ミカは知らないのか、赤いクリスタルを楽しそうにこちらに放ち、向かってくる。
「とりあえず潰しておくぞ~」
「言うこと聞けっ」
剣はそれを見ず、ギアへ手を置く。未来はそれを見て手を伸ばすが、遅い。
『アギト・シャイニング・輝きの目覚め、取り戻せ運命ッ』
ベルトからS字の武器が現れ、クリスタルを砕き、それを手に取る。
展開されたそれを槍のように振るい、それは分かれ、双剣としてミカを深々と切り裂いた。
「痛いぞッ!?」
水の襲いかかってくるが、それをシャイニングカリバーで切り裂き。それと共に投げ捨て構える。
空中にアギトのマークが浮かび上がり、それにガリィはまずいと察して薬瓶を取り出し、ミカを捕まえて逃げる。
その前にアギトのライダーキックを放つ剣だが、それは、
「逃がした」
手応えがあったが浅く、剣は二人を見る。
「響は」
「剣さんっ、いまは」
「俺は平気だよ、未来」
そう言った瞬間、身体がノイズのようにブレ、膝をついた。
身体を通し、意識もまた視界がおかしくなる。
世界中を見渡すように感覚が鋭くなり、雑音まで拾う聴覚。
人の力を越えた何かを得ているかのように、足下から草木が生え枯れ果てた。
身体から砂がこぼれ落ちる。その様子を見ながらも、響のために意識を手放さない。まだ敵が来る恐れがあるからだ。
だから彼は意識を手放したのは、仲間達が来てからだ。
「お願いデスっ、絶唱でギアドライバーを切らせてくださいッ」
「ダメだと言っているッ、その身体でそんなことさせると思うかっ!?」
響は倒れ、ガングニール使用不可になり、仮面ライダーツルギの力、その元であるドライバーは虚空へ消えて、剣のもとへと移動したらしい。
だからこそ破壊する。だが、いま現在どんな手を使っても壊れることはなかった。
切歌はそれに落ち込み、二つのモニターを見る。
病室で眠る二人。剣の身体の異変だった。
「あの砂はなんだ・・・草木はヘルヘイムなのはわかるが」
「わかりません、砂としかわからないです・・・」
苦しげに言う中、このまま侵攻が進んでいるのがわかる。
剣の身体、スキャンの結果が出てくる。それは、人ではない細胞があった。
「超人類の力、仮面ライダーの一部か・・・すでに進行が始まっていると言うことか」
弦十郎はどうすればいいと考えるが、すでに選択肢は出ている。
殺すか諦めるか、ライダー達、最もこの事態を知るもの達はそれしかないと言っていた。だが、
「そんなことさせるかよっ」
クリスは叫び、翼を頷く。マリア達もまた見るながら、モニターでセレナの看護を受けつつ、様子を見るナスターシャ教授も頷く。
『ともかく、彼にこれ以上戦わせてはいけません。イグナイトモジュール計画を急がねば・・・』
「わかりました、こちらはこちらで全力を注ぎます」
『マリア姉さん、無理しないでね』
「わかっているわセレナ」
暗闇の中、剣は仮面ライダーの歴史を見ていた。
ある者達、大切な者を守れなかったり、守ったり、譲れないものの為に争う親友。
この戦いの中でわかった。やはり自分は代理品である。
俺は結局、まがい物ライダーか。
そう思いながらも、また破滅から声が聞こえる。それに呆れながら、歩く。
「止まれ」
ある男、仮面ライダーがそれを止める。後ろの光が強すぎるため分からないが、力強い男性であるとしかわからない。
「この先は破滅だ、自己満足以外、得られるどころか」
「知ったことじゃない」
そんなことは知っている。何も得ないどころは失うことを。
「それでも、俺は代理品云々関係無しに、守ると決めた歌姫達がいるッ」
邪魔をするなら戦うと言わんばかりに、ベルトを取り出し、腰に巻き付ける。
「止まってたまるかッ、彼奴らが傷付くくらいなら、俺はそれよりも前に出るッ」
そう言い、ライダーギアを取り出し、セットする。
「愚か者が」
そう言い、その背中を見ながら、若者は破滅へと歩む。
「二人一緒なら・・・」
切歌と調が、お互いの首元に薬を差し込もうとする。装者の適合率を上げる薬だ。
有害な薬であり、それを持ち出した。
いま基地は襲われている。ローズストライクとリンゴの遠隔操作で死亡者だけは出ていないが、このままでは危険だった。
だから、彼女達は戦うと決めた。はずだった。
それを拳で壊す男が現れるまでは、誰も気づくことはない。
虚空から突初現れた剣は、生身の身体だった。
「剣っ!?」
「どうしてデスっ!?」
「・・・悪いな、俺が戦う」
すでにギアがセットされている。それを見て、青ざめる切歌と調。
戦いの中で、アルカノイズを睨む。
「やめて剣っ、これ以上戦わないでっ」
「私達は平気デス、デスか」
『オーズ・スーパータトバ・タトバタトバタトバスーパータトバッ』
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」
瞬間、空間移動して、ノイズを爪で切り裂く剣。その様子にミカは嫌な顔をする。
「彼奴嫌いだぞっ、せっかく身体直ったのに」
そう言いながら、それを無視して、現れた切歌や調に目を向けた瞬間、オーズに成った剣は爪を振るい襲いかかる。
だがそれを防ぐ糸があった。
それでも攻撃は止められなかったが、よけられてしまう。
「下がれミカッ、そいつは俺が壊すッ」
「わかったぞ」
キャロルはそう言い、竪琴のような聖遺物を見せる。
だがそれを無視して、ノイズ殲滅へと移動した剣。それを睨む。
「俺は眼中に無しか奇跡がッ」
吐き捨てながら、ここの戦局の指示に戻り、戦うキャロル。
戦いの中、メダガブリューを取り出し、全て壊す。
「アァァァァァ・・・」
身体からメダルがあふれながら戦う剣。切歌と調を見つける。
二人ともシンフォギアが無く、剣は急いでメダジャリバーも取り出し、身体からあふれ出るセルメダルを使い、迫るノイズを、
「セイッハッ」
吹き飛び粉々になるノイズ、二人も飛ばされないように地面にしがみつく。
「二人とも、無事か」
「無事じゃないデスっ」
「剣は戦わないでッ、このままじゃ剣は」
二人はそう言い、二人を担いで別の場所に移動し、ノイズを払い、二人を見る。
「気にするな、もうやめたようなもんだ」
「「ッ!?」」
息を詰まらせ、二人は剣を捕まえる。
「やめて剣、お願いだからやめてッ」
「剣が怪物になるなんて変デスっ、やめて・・・」
ノイズが迫る中、剣はそれを見たが、それを切り裂く新たな剣と弓を見る。
「もういい戦うな剣・・・」
天羽々斬を纏う翼は悲しそうに見つめながら、呟く。
「あとは任せろ・・・頼むから、戦わないでくれ・・・」
クリスはそう言いながら、その二人を見ながら、
「・・・二人を安全な場所に連れて行く」
そう言って二人を担ぎ、別の場所に移動する。
途中で裸に気づく二人は真っ赤になり、思い返せば思いっきり見た剣は、別の意味で安全な場所に置いた二人を置いて、戦場を見る。
「待つデス剣っ」
「は、裸見たの許すよっ、けど向かったら許さないよッ」
そう言う二人、だが、
「なら責任取るよ」
そんな無責任だなと思いながら、すぐに黒い柱のようなエネルギーが立ち上がる場所へと移動した。
「・・・来たか奇跡」
女性だが、声を聞く限りキャロルがそこにいて、剣は知らないが、何かの力を使う二人を見る。
「・・・二人を守らないとな」
「偽善が・・・」
苦々しく、暴走しそうな二人の前に立つ剣。
「俺は仮面ライダーツルギ・・・悪いが、乱入させてもらうぜッ」
敵しか自分の歌を聴かない。そんなことを思う中、一人の男が現れた。
「剣・・・」
この身は剣ゆえに、触れたものを切り裂いてしまう。
だが彼はそこにいた。そして側にいてくれる。
「・・・剣」
全てがなくなりそうになるなか、男はそれでも戦っていた。
「セイッハァァァァァァァァァァァァァ」
彼は諦めない。まだ戦い、まだ守ろうとする。その姿にクリスは心が暖かくなる。
「剣・・・」
二人は手を結び、眼前の戦いを見る。
斧と剣を振るう仮面ライダーは剣だと知りながら、その様子に驚く。
身体からメダルをはき出しながら、そのメダルを使い、武器を強化していたからだ。
それを見ながら、あざ笑うキャロル。
「お前はもう人間か奇跡っ? その姿はもう手遅れだなッ」
「それでもいいさ、守れればな」
「なら壊してやるッ、そんな奇跡認めないッ、認めてなるものかッ」
そう言い放ち、糸が身体を捉えるが、
「俺は必ず・・・お前も救うッ」
「!!?」
瞳孔を開き、殺気を放つキャロル。剣はそれでも、引かない。
「その力が、仮面ライダーだッ」
糸を引きちぎり、キャロルへと迫る剣。キャロルは苛々しながら叫ぶ。
「ふざっけるなッ、認めるかお前みたいな奇跡がッ。お前がッ、お前なんかッ、俺が必ず壊すッ。俺はお前を認めないッ」
「どうでもいいッ、必ず、俺がお前を止めるッ」
そのとき、背後から巨大な力を感じ振り返る。
響、翼、クリスがイグナイトモジュールを纏い、その姿を現した。
「剣さんっ」
「響っ、その姿は」
「必殺だッ、お前は下がれっ」
「ここは任せろ剣ッ」
「応ッ、断るッ」
そう言い、ベルトに触れる。
『クウガ・ライジングアルティメット・轟く雷鳴ッ、究極の闇ッ』
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
「それはクウガさんのッ!?」
その手をキャロルにかざした瞬間、キャロルは口を押さえ咳き込む。
「お前」
「自害なんてさせねぇッ、ここで止めるって言ったろキャロルッ」
その姿のまま走り出す。それに続く響達だが、キャロルは剣へと攻撃を続けた。
「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなッ」
戦いの中、剣とつばぜり合いのように目線を合わせ、殺意を向けるキャロルに対してもなお、剣は迷わない。
「俺は守る・・・響のアームドギアだとかじゃなくとも、それが俺の、仮面ライダーツルギと言うあり方だッ」
「ふざけるな奇跡がッ」
お互い離れた瞬間、怒りで我を失っていたキャロル。
それに響達装者の攻撃が決まり、地に倒れ、その場に四人が固まる。
「剣っ」
「話はあとだ」
そう言って、いまだ戦えると言わんばかりに睨むキャロル。
剣を見ながら、響に叫ぶ。
「歌で世界は救えないッ、お前達の歌で、こいつは救えないッ」
それに全員が体を震わせるが、剣は動じない。
「俺は救われてるさ、こいつらの歌でな」
「偽善を言うなッ、お前だけは、お前だけは絶対に壊すッ。世界を滅ぼす歌の前に、俺がお前を滅ぼす歌を歌うッ」
そう言うと共に、ノイズが迫り、剣はクウガの力で爆破させ、その隙に薬瓶を投げるキャロル。
追いかけようとした瞬間、また身体がブレた。
「ちっ・・・」
「剣さんっ」
響が肩を貸すが、身体から紫の炎、砂、セルメダルが放たれ、ライジングの雷まで身体を走り抜けている。
まるで体の中に、ライダー達の力が蓄積されていくような感覚だった。視界も何もかも強化されている。
(これが、怪物の世界か・・・ははっ)
苦笑する中、剣は泣きそうな顔の奏者達を見ながら、意識を手放した。
目覚めた力。クウガ、アギト、電王、オーズ。
すでに目覚めた力。龍騎、響鬼、カブト、ディケイド、W、フォーゼ、ウィザード、鎧武、ゴースト。
目覚めていない力。ファイズ、ブレイド、キバ、ドライブ。
「残り四つ、この力が目覚めたとき、仮面ライダーツルギは、全ての仮面ライダーとして生き、死に。全ての怪人として生き、死ぬ宿命を背負う」
ディケイドはそう呟きながら、すでに戻れない場所へと歩く仮面ライダーを見ながら、静かにその場を去った。
「お読みいただき、ありがとうございますッ。ユウスケですッ」
ありがとうございます。