仮面ライダー鎧武・鎧武を目指す者と戦いの歌姫達 作:にゃはっふー
オリ主は異物として、物語に関わり、異物として接する。いま彼の置かれている現状。
残るライダーの力は四つ、それを得たときの破滅。
それでは、交差する物語を楽しんでください。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
黄昏れる、それしかなかった。
「おーい剣っ、テメェさんざん心配かけたんだから、審判やれ審判っ」
「剣、お前は運動するなっ」
「剣さん、海水冷たいですよ~」
「剣、泳げない?」
「けど、操られてるとき、海鮮取ってたじゃないデスか」
「そう言えばそうね・・・」
未来達はその際の行動に驚きながら、剣は心から思う。
(えっ、女の子しかいないビーチに男一人ってなに?)
ここにいるのは装者並び、セレナ、未来もいて、はたから見れば美少女の集まりの中、その輪の中に無理矢理投げ込まれる男性一人。
しかも、みんなには言っていないが、いまの自分は記憶力と視覚は普通の人よりも(元々も)高い。(さらに切歌、調、響はその時に見ているが、永遠の秘密と定めた)
友人は女の子の水着はまぶしいと戯言を言っていたが、目のやり場に困るのには同意しながら、剣達はいま、プライベートビーチにいる。
なるべく空を見るようにしている中、エルフナインがうれしそうにやってくる。唯一ホムンクルスのため、男でも女でもない子だ。
「剣さん、疲れてるんですか?」
「いや別に、審判くらいするよ」
「はいっ」
うれしそうにするエルフナインの頭を撫でながらほほえみ、身体の確認をしている。
(五感だけじゃなく、妙なエネルギーみたいなもんもわかるな。電波か何かか? 絶対に知られちゃいけないな)
「おい翼、久しぶりに歌おうなっ。約束だぞ」
「ああわかったよ奏」
そう言いながら、背後からだきついてくる奏もまた、剣には疑問の一つだ。
彼女はどうも、インベスが出てくる要領で表に出られるらしい。戦えそうだが、いまの剣の状態で、自分まで戦闘に参加すればどんなことになるかわからない。というわけで戦闘員の頭数に入っていない。
ベルトはもはや没収しても意味はない。だから弦十郎はある命令を下した。
『白銀剣は今後、装者達と必ず行動を共にすることッ。学業に関してはバイクですぐに司令室に来ることッ。以下のことを破れば覚悟はいいなッ!?』
と説教を受けている。正直響辺りは白銀家の場所を知れば、気が向けば来そうで怖い。ただでさえ、クリスが避難所として使用しているため、女の子が一人暮らしの男の家に来るようになるのは、少し抵抗がある。
恋人なら別にいいが。
(とか思ってるなあの顔・・・)
奏はため息をつきそうな顔で、あーあと思う。
周りの子達を見ながら、自分は天羽奏の偽物じゃないのか?と思うように、色々と考えるようになっていた。
(翼の奴、もう少し剣意識した水着選べばいいのに。もしかして気づいてないのか? 異性の中で、剣が特別な立ち位置って気づいてないのかッ!? 切歌と調はもう決定事項だと思うし・・・響はな、それより先にライバルとか親友とかが頭にかかってるっぽいし、未来は、どう転んでもいいって顔だよな)
けど全員、水着はスタイルにあったものであり、時折剣をちらちら見ている。ほめて欲しいのだろうが、剣はなにも言わない。聞かれればお世辞を言うのに。
(セレナはまあ、姉のって感じだし。マリアは、どうなんだろう? まあ話聞く限り、まともな異性ってこいつしかいないよなこの周り。あと大人ばっかだしな・・・あーやっぱ私、本物じゃないんじゃないか? こんなん、生前考える奴じゃないぞわたしゃ~)
その本人も、響達を女の子として見ているのに手を出そうとしない。いい友達で終わらす気かと殴りたくなる。
家でクリスがシャワーまで使わせているくせに、家計簿つけてるんだよなと思いながら、奏は空を見た。
ビーチバレーにバーベキューと、海水浴の楽しみを満喫する一同。
いまだけは難しい話を忘れ、英気を養うのが目的なのだが、少しだけ気になる。
(みんな無防備というかなんというか・・・)
少しだけ空を見る回数が多い。正直薄着の女の子に慣れていないのに、ただでさえ感覚は人並み以上がより強化されているのだ。
時折みんなの白い肌やらなんやら、妙な感覚だ。
(ちゃんとオイルしてるんだろうか・・・綺麗な肌なのに、やけたらなとか、どうなってる俺の感覚・・・)
最近食べ物は人より多く食べたい(前も人並み以上)とか、眠りたいサボりたい(これは人並みに)とか、綺麗なものやら、もう疑問の答えは知っていた。
(グリード、欲望の怪物)
オーズの力に目覚めてから、いや、他のライダー達、その怪人の特徴も持ち合わせ始めている。下手をすれば、いまならヘルヘイムの果実も食べられそうな気がする。
(・・・色欲?)
そう思い、目の前の少女達を見るが、そんな気はないのにほっとする。
(響達にんな感情持った日には死を選ぼう・・・)
そんな感じで、まあ水着の彼女たちを見ると、あの記憶がよぎるが、けして知られてはいけないと心から思うのである。
そうして着替え終えた面々は、足りないものを買い出しに出るため、剣、切歌、調、翼とコンビニに出かける。剣は買いたい物があるとか言って名乗り出たが、荷物持ちにつき合うため、残りはジャンケンで決まった。
コンビニに入り、剣はアイスでも買うかのと思う。最近無性にアイスを食べる回数が増えている。
「剣はアイス買うデス? 私も欲しいデス」
「自腹だが、どうするか」
「二人とも、みんな待ってるんだよ」
「そうだぞ、まず頼まれたものはっと」
買い物を済ませ、外に出て早速食べ出す剣。そして彼らが歩き出すとき、警報が鳴り響く。
「これは」
ノイズなど、災害を知らせる警報に、周りはパニックになりかけるが、剣はすでに動いて、民間人、近くにいる子供やお年寄り達を避難させる。
翼達も避難誘導を手伝いつつ、隙を見て先に動く。
「剣っ!?」
「その先って、まさか」
「そのまさかだ先に行くッ」
背後から待ってと言う声が聞こえるが、危険地帯。そう、響達のもとへと急ぐ。
近くの森へと走る。なぜ砂浜ではなく、こっちなのか、走りながら疑問に思う。
だが、戦いを求める感覚がここへと向かわせた。
それとともに、黒いエネルギーを感じて、対面する。
「マリアッ!?」
マリアが暴走状態であり、ノイズやよく見る青い機械人形と戦っていたが、面白くないと言い、その場から去る機械人形。それでもマリアは戦い、こちらと目が合う。
「逃げてください剣さんっ」
未来からそう言われたが、マリアが我を忘れ、こちらに来るのを、止める。
そう思ったとき、もう動いていた。
「変身ッ」
『キバ・エンペラー・狭間の王ッ、黄金の旋律ッ』
「乱入させてもらうッ」
駆け出す黄金の鎧は、暴走するマリアと交差する。
その目は紅く、だが、ステンドガラスのように思われる模様が出ている。
「はっ」
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
獣のようなマリアとの肉体戦だが、本来いまのマリアはアガートラームは剣での攻撃であり、剣はマリアを見ながら、どう止めるか考え、覚悟する。
「はっ」
肩を足場に飛び、木の枝に足を引っかけ、コウモリのように木の枝にぶら下がり、上半身だけでマリアと戦い、そして隙を見て、マリアへと飛び乗る。
「ぐっ」
「悪い」
そして飛び乗った勢いのまま、足と身体の反動でマリアを投げ飛ばし、そのまま体制を整える。
マリアは吹き飛び、それを見ながら構える。
『ウェイクアップ・フィーバー』
辺りが暗闇、満月の夜へかわり、キバこと剣は構える。
足かせが消え、紅き光りが足へと纏われ、それと共に駆けた。
体制の整っていないマリアへと技を決め、暴走を解除させる剣。
他のもの達も剣やマリアに近づくが、
「エルフナイン、マリアは」
「大丈夫です、問題ありません」
ここにいるのは非戦闘員とマリアだけのようで、セレナがマリアを見ている。
奏はどうやら、ローズギアで暴れているようであり、すぐに響達と共に駆けつけた。
その様子を見ながら、変身を解除する。
だが、それと共に身体に異変が起きた。
雷鳴のように身体にエネルギーが駆け抜け、紫の炎がわき上がり、セルメダルと砂がこぼれ落ち、身体からヘルヘイムの木々が生える。
身体に浮かぶのはステンドガラスの模様。視界が色が無くなり、響が近づく。
「剣さんっ」
その響を見て、剣は響を見て、すぐに気を取り戻す。
「だ、大丈夫・・・もう」
だがそれでも、身体が優れない。
でも彼は立ち上がり、いまは落ち着きを取り戻すために行動する。
(ついにキバか・・・)
ファンガイアの力を手に入れた剣、夕暮れの中で黄昏れていた。
そんな剣の視界に、ボールを持っているエルフナインがいる。
「どうしたエルフナイン」
「あっ、剣さん」
どうやらエルフナインはうまくボールを打てないらしく、その練習するらしい。
それにつき合いながら、エルフナインの様子を見る。
「あの・・・」
エルフナインは心配そうにこちらを見上げている。その顔はいまにも泣きそうだった。その顔はおそらく、響達にもさせているのだろうと感じる。
「身体は平気なんですよね」
「問題ないさ、エルフナイン」
その頭をわしわしと撫でながら、剣は思う。
「エルフナイン」
「は、はひぃっ」
突然呼ばれ驚くが、剣が言うことは一つ。
「俺の問題をどうにかできないことを、気にするな。まあ無駄だけどな」
そう言いながら、エルフナインは顔を伏せて、ボールを見る。
「僕はなにもできません。剣さんの身体に、どんな異変が起きているかわかりません・・・なにも、貴方のためになにもできない」
「・・・」
その言葉に、エルフナインの頭を撫でながら、
「そう思われているだけで十分だよ」
「?」
エルフナイン、キャロルの昔話を思い出す。
奇跡の偉業をして、人々に裁かれた男。
誰かを救ってきた、誰かを思っていた男。
なのに世界は彼を恐れ、火あぶりと言う暴挙をする。
それでも、話を聞いて分かる。この男は他人を憎むよりも、まず娘のことを考えていた気がする。
会ったこともない男だ。そんなことはそう思いたい弱い心故と声には出さない。
「俺はキャロルを止めるよ」
「剣さん・・・」
まっすぐ空を見ながら、その一瞬、視界がブレ、モノクロの世界、辺りが雑音へとかわり、欲望の渇きが身体をよぎるが、すぐに消える。
いまのはオーズ、グリードの欲望の渇き。
みんなには黙っているが、怪物達の特徴が時折顔をのぞかせる。
表裏一体の力、それを思っていると、エルフナインはだきついてきた。
「エルフナイン?」
「・・・」
静かにだきつくエルフナインは、少し恥ずかしそうに、
「剣さんはパパみたいです・・・」
「? そうか」
「はい・・・人のために、世界を為に、前を見てます。そんな気がするんです」
それを言われ、苦笑する。それだけは違うとはっきりと伝えないといけない。
「俺は世界のために動いてない。もしもエルフナインがパパと思うのなら、その人も世界のためにがんばっていた訳じゃない」
「えっ」
驚くエルフナインに、静かに思う。もしも同じ立場なら、それならば言う言葉。
「俺ならキャロルの未来のために世界を救い、キャロルがみんなと楽しく笑っている世界のために、行動し続ける。俺が誰かを救うのは、俺の大切な人を救うために繋がるからだからな」
その言葉に、エルフナインは驚いていた。
それを見ながら、心臓の辺りを抑える。
「少し休む、ほどほどにしろよ」
「あっ、はいっ」
エルフナインはビーチバレーの練習を始め、剣は姿を消す。
その場からすぐに離れ、誰もいないことを確認して解放する。
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁあ」
身体から砂、紫の炎、メダルがあふれ出し、雷鳴が身体をかけ、ステンドガラスが浮き出てくる。目に見えないが、他の、取り込んだライダーの力もまた暴れ出す。
「アァァァ・・・」
押さえ込む力、心の中から欲望の渇きが渦巻く。
「・・・」
分かっている。もう人間じゃなくなりかけている。
でも、
「せめて・・・」
目の前の、いや違う。いずれ成る自分達へと告げる。
「あの子を・・・キャロルを救うまでだ・・・」
怪物と化した己を消すのが、俺の始まりの物語。
それが課せられた定められた宿命。
仮面ライダーツルギなぞ存在しない。
まがい物のライダーの辿る未来は、別のライダーか怪物へとかわることしかない。
「それでも」
力を押さえ込み、人に戻る剣。
「それでも俺は、この道を進む」
そしてそれを背にして歩く。それを静かに見ながら、それらは異次元の彼方へと消え、いずれ会う敵を後ろにして歩く。
砂浜で爆発が起き、剣は急いだが、戦いは終わっていた。
ガリィは倒れたあとだった。
「あれがマリアのイグナイトモジュール・・・」
黒い姿のマリアを見ながら、集まったもの達は一安心する。
「・・・」
だが胸騒ぎは消えない。なぜだと思いながら、剣は敵を思い浮かべる。
「まあ、やることはかわらないか」
そう決めて、その輪の中に歩くのであった。
全てが終わったあと、響は表向きでは何事もなかったが、未来の様子などを見て気づく。なにかあったようだが、未来は、
「いまはそっとしておいてください」
そう言われてしまった以上、剣は何も言えない。せめて響が何か言うまではなにもできない。
風呂場でそう思っているとき、
「剣さん」
エルフナインがそう言い入ってきて、剣はん?と思う。
「男の方が剣さんだけですし、こっちでいいと思いまして」
「ああ、エルフナインはどっちでもないし、どっちでもあるんだったな」
「はひぃ、そうなんです・・・」
そう言って、二人で仲良くお風呂タイム。妹か弟かなと思いながら、入る。
そのあとは、翼が散らかす、共有部屋を静かに片づけたり、食事の準備を未来と調と共にしたりと、その日を過ごす。
いまはそんな日々で過ごすだけだったが、
「そういえば剣さん、以外と筋肉ありますよね。服着てるとわかりませんが、お風呂入ってるとき、つい見ちゃいました」
「ああそうだな、まあエルフナインはそんなに必要ないよ」
そんな会話をしながら、日は進む。
その話の中、女子達は、
「剣、なにげに専用主夫力高いわよね。一人暮らししてるからかしら?」
そんな話をしながら、女子達は剣に戦慄するのであった。
作者「というわけで、キャロルは見てますね。ではお読みいただきありがとうございます。」