三度の食事縛りプレイ   作:みんみん

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負けられない戦い

 ウバメの森を抜けてコガネシティに到着した。

 トレーナーカードの提示で無料になるポケモンセンターの回復システムを利用し、やきさかなとそうざいを回復させた俺は、早速地下通路へ行った。

 ボールベルトのふたつめのモンスターボールを展開し、そうざいを出す。

 

「御守り小判を探すのを手伝ってくれ」

「ナゾ〜!」

 

 2人で地下通路を探し回り、ようやく御守り小判を見つける。

 

「これでなんとかなるだろうな……。出来れば、アサギの灯台でジェントルマンのカーネルと対戦したいんだが……予備知識では、まだまだレベルが足りないんだよな」

「ナゾ〜」

「とりあえずさ、そこらのトレーナーとバトルしようか」

「ナゾ!」

 

 地下通路でウロウロしていた短パン小僧に声をかける———前に、ちょいとチートを使おうと思う。

 実は、神様転生した俺にも転生特典がついていたのだ。

 それは、『強さ』がわかるという能力。ポケモンの強さやトレーナー自身の強さ、頭の強さまでわかってしまうすんばらしい能力だ。

 調べた結果、レベルの低いコラッタ2体を持っていることがわかった。

 

「あのー、バトルしませんか?」

「お! やり甲斐のありそうなトレーナーだな。受けて立つぞ!」

 

 では早速……って、俺の方が歳上だボケェ! 仕切り直しだ!

 

「やるぞ! ルールは2体対2体、道具の重複はなし、これでいいなぁ!?」

「うん!」

「賞金はぁ!?」

「2万円で!」

「よっしゃキタァーーー!!!」

 

 俺もアイツも2万円も持ってないんだけどな♪

 

「バトル開始ぃーーー!!!」

 

 怒った所為でめちゃくちゃ熱が入っちまった。まあいい! 勝つぞ!

 

「行けぇぇぇええやきさかなぁ!! 生のまま気張るぞぉ!!!」

「なにその前口上……行くぞコラッタ!」

 

 お互いに戦闘体勢に入る。

 

「コラッタ、でんこうせっか!」

「お前は生の生きた魚だ、イキのいい魚なんだ、はねる!」

 

 やきさかなは、こう言った方が効果があがる。

 やきさかなは思いっきり尾を地に打ち付け、はねた!

 一瞬前までやきさかながいた場所を何かが通過し、その正体であるコラッタは勢いを殺せずに壁に突っ込む。

 

「海の中で……たいあたり!」

「コ……イ……キ、ン、グ!」

 

 距離を取り、尾から水を後ろに発射し、その反動で一気にコラッタに突っ込む。

 既にそれは体当たりの域を超えて、アクアジェットの域に入っている気がするが、コイキングは通常アクアジェットを覚えない為これは体当たりである。

 

「コラッタ戦闘不能ぅ! 次のポケモン出せやゴラァ!」

 

 言いながらやきさかなをモンスターボールに戻し、次のモンスターボールを手に取る。

 そして、お互いにとって負けられない戦いの為にモンスターボールを地に叩きつける。

 

「行っけぇぇぇええそうざいぃ! お前は野に生える草だ!」

「だからなにその前口上……頑張るぞ、コラッタ2号!」

 

 最初から作戦は決まっている。

 

「そうざい! 花粉を出せ! 毒の粉痺れ粉眠り粉3連発だぁ!」

「くっ……! 耐えろコラッタ! 起きるんだ! 負けられない戦いなんだ!!」

「ざまぁ……はなびらのまい!!」

 

 そうざいが気合いで覚えた花びらの舞がコラッタを襲い、一撃で戦闘不能に追い込む。

 

「勝者は俺って訳だ、賞金出せや。あ、ちなみにやきさかなもそうざいも御守り小判持ってたから、2かける2で4倍だな。2万かける4は……80000円!」

「うっ……!」

 

 負けるとは思っていなかったんだろう、短パン小僧は唇を噛み締めている。

 その理由を知りながらも、俺は知らん顔をして呼びかける。

 

「どうしたんだ? こっちも時間がないんだ。早くしてくれよ」

「じ、実は……」

「ん?」

「実は、そんなにお金持ってなくて……」

「はぁぁ。まあ、しょうがねえな。じゃあオマケして、2万円でいいよ。お前が言ったんだし、そんくらいは持ってるだろ?」

「そ、それが持ってなくて……」

「んあ? お前が言ったんだろうが。有り金は?」

 

 短パン小僧は、ポケットから350円を出す。

 

「おい、お前が2万円つったんだろうが。それなのに350円? なら言うなよ」

「ご、ごめんなさい……」

 

 ま、俺は0円なんだがな♪

 

「とりあえず、その350円で我慢してやるか」

「で、でも……」

「なんだ?」

「お母さんに、この350円でミックスオレ買ってこいって言われたんです」

 

 う、嘘だろ!? なんでお前勝負受けたんだよ!?

 

「す、すみません……。今回は、勘弁して下———」

「何言ってんの、ケンタ!」

「ひっ! 母ちゃん!」

「自分で2万円って言ったくせに、お金がないから許してくれですって? 信じられないわ、約束を破るなんて!」

 

 カンカンに怒った、何処かで見たことのあるような女性が、エプロンのポケットを探りながらずんずん近付いてくる。なるほど、短パン小僧のお母さんか。

 

「アンタの所為で、私は80000円も払う羽目になったのよ! いい加減にしてよね! 何回めだと思ってるのよ!」

 

 あ、初犯じゃないのね。

 短パン小僧母は、こちらを振り返り、財布から80000円を出して渡してくる。

 

「すみません、うちの息子が……。あとできつく叱っておきますので、ご勘弁下さい」

「いえいえ、大丈夫です。2、3日の飯代は確保できたので」

「へ?」

「あ、なんでもないっす」

「そ、そう……」

「じゃ、失礼しまーす!」

 

 すたこらさっさ!

 さっさと飯買いに行かなきゃな!




・解説
「チート」
神様転生にはチートがつきもの。

「たいあたり」
陸上では、尾の先から勢いよく水を発射し、その反動で相手に体当たりする。既にたいあたりではなくなっている気がするが、コイキングはアクアジェットを覚えないのでこれはたいあたりである。まる。

「御守り小判2つ」
2かける2で4倍になる。

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