Fate/Storia Immortale   作:H-R-ホライズン

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という事で、おはこんばちわH-Rです。
兎に角こう言うの無いなぁ、と思いつつ書いてまして。主人公がインフレしやすいのは癖なんだきっと


赤い不死身の少年の話

「くはぁ…」

ペットボトルに入ったサイダーを飲み干し、生き返る、という表情を青年が見せる。薄い茶色の短髪で男性と見受けられるが、整った顔立ちは女性と見間違えそうだ。

「中々良い飲みっぷりだな、兄ちゃん!まるでずっと何も飲んでなかったかのようだな」

その言葉に青年は目を逸らす。

「まぁ、そうだな。そんなもんかな」

そう言いながらペットボトルをゴミ箱に投げる。ペットボトルは縁に当たって入った。

「ナイスコントロール」

「どうも」

軽く手を挙げて、彼は店を立ち去った。

ここはスノーフィールド。自然に囲まれた異質な街。元々は先住民が暮らしていたが、後に開拓され、穴のように存在する街。

青年は此処に来たばかりだ。何時もはスノーフィールドではなくニューヨークで暮らしている。このスノーフィールドという地を知り、ほぼ間を置かずにこの街へ来た。

「ったく、酒の存在もマルティージョの存在も無いくせに俺だけ知ってると思ってたらこれか。全くツイてない」

青年は落胆の表情を抱え、緑の帽子を被った。

「ま、負けても、()()()も何も失うモノなんてないし。やるだけやるか」

ガチャ、という音を立てながら、青年は背中の箱を肩にかけ直す。

青年は、特殊なこの世の住民であった。

時は彼が幼い時に遡る。

鳴り響くサイレンの音に、少年は意識を漆黒から現実に戻される。体に走る激痛を無視し、首を回して何事かと周りを見渡した。

「っ…?」

紅い。兎に角紅かった。それもどろどろとした色水にしては可笑しなとろみがあり、つんと鉄のような臭いと味がする。

「な、何だろ、これ」

少年の声は震えている。彼は気付いていた。彼はその紅い液体を目にした事がある。些細な怪我でしか見ていない為、この量は初めてなのだが。

これは、血である。二人の人間(両親)が車の前方事押し潰されて撒き散らした、まごう事無き僅かに肉が混ざった血液である。それを認めた瞬間また、少年の意識は途絶えた。悲鳴を上げる暇すら無かった。

 

次に目覚めたのは病院内。ベッドに寝かされ、折れた骨はギプスで固定されていた。

飛びかけた記憶を探ろうとして、吐き気に襲われる。あの時の余りの惨さに、少年は耐えれなかった。しかし、両親が、家族が居なくなったというのに、少年は絶望も落胆も見せていない。あるのは僅かな悲しみだけである。

それ以外は、まるで他人事のような雰囲気を醸し出していた。

手を握り、開き、自分である事を再度認識する。鏡で、何も変わって無い事を確認する。

薄い茶色の髪は、相変わらずだ。しかし、彼はまるで今まで自分が自分で無かったような気分を抱いていた。

過去を振り返るように目を細め、少年はきっと顔を険しくさせた。

「やれば…出来る」

少年は、確信もった重たい声で、そう呟いた。

「努力すれば、ひとり暮らしだって、かれの仕事だって、何だってできる。いつかあの血にもきっと慣れる。だから、だいじょうぶ」

しっかりとした声で、少年は覚悟を決めた。

不意に、棚を見遣る。其処には親戚が置いたらしい花束と、一本の瓶。何故か酒瓶であった。

『君が覚悟を決めた時、正しく君は君に成れるだろう。色々と矛盾してしまうが…まぁいい

–––・––––より』

そんな手紙が酒瓶の下に敷かれていた。宛名を見て、少年は固まってしまう。

「いったい、この悪魔は…」

そこから先、何も言えなかった。その酒瓶は、こっそりと持ち続ける事にした。

「退院おめでとうございます、––––さん!」

キャスターにそう言われ、少年は薄っすらと笑みを浮かべた。

「ありがとうございます。皆さんのおかげで、ぼくはこれからも生きていけると感じています。皆さん、本当にありがとうございます」

本当に感極まったと少年は頭を下げた。

「いえいえそんなそんな、私達は––––さんの為に勝手に色々しただけです。これから、頑張って下さいね」

「はい!」

少年は明るく答えた。

それ以降、この悲惨な話はここでお終いという事に成っていた。彼がその様子を語るでもなく、誰かが彼を呼ぶ訳でなく、静かに、この話は物語としての終わりを告げ、少年は日常に戻った。だから誰も、彼の今後は知っていない。

 

数年後、ニューヨーク。

未だ場所によっては、1930年代のマフィア達が蠢く世界に名を轟かせる都市。そこに少年はいた。片手にナイフを持ち、路地裏に佇んでいる。

「やぁ、お兄さん、此処って君らのファミリーの事務所かい?」

「あ?何だ坊主。新しく入りてぇのか?」

「そうだなぁ–––」

一瞬、彼の手がブレる。何か見間違いだと、男は軽く流した。

「う、え––––あれ?」

激痛が走り、その激痛の先に目をやる。そこには拳銃が握られた手がある筈だが、無い。どくどくと手首が血を垂れ流している。

「あ、あ、あがぁっ?!」

叫び声を上げさせるよりも早く、少年はナイフを男の首に突き立てる。

「–––ちょいと、ボスを殺しに来た」

 

ピチャ、ピチャという音を上げ、少年は事務室を去る。

そこはバケツでもひっくり返したかのように、赤く血塗られていた。

「初めてにしちゃ、上出来、か…?」

少年は平然と、血の臭いが充満する部屋を抜ける。

鏡を見据え、隅から隅まで真っ赤な事を認めた血塗れの少年は、満足げに笑った。

瞳に憎悪ともつかない暗い深淵を湛えたまま。

「これで、俺も完全な殺し屋、だな!」

 

ふと自分を思い返し、何故こうなったんだか、と苦笑を漏らす青年。青年は改めて、再確認するかのように呟いた。

「俺は、フィーロ。フィーロ・プロシェンツォ。それと同時に––––」

声は雑踏に掻き消されていった。

 

スノーフィールド内のホテルを探し回り、最も堅実でまともなホテル––––つまり普通––––に泊まる事に決めたフィーロは、そのホテルの部屋にて、これから如何するか考えていた。

そこで、フィーロはある事に気が付いた。

「あ、しまった」

スノーフィールドと聞いて直ぐきた為、これからこの地で起こる出来事に参加する為に必要な準備、をする為のものや事を調べ忘れていた。フィーロはその特性上、この世の魔術師とは根本的な何かが違っており、協会とも、はぐれ魔術師とも関わりなかった。

その為、彼のとある能力も一部は生まれつきとは言え独学である。故に、自分でキチンと調べなければならかったのだが、興奮の余り忘れていたのだ。

「まぁ何とかなるだろ。既に資格は得てる。ほら、どこぞの…祖国の大統領は言ってたろ、Yes,we canって。それに…()()()()()()

自信有り気に右手を見やる。其処には紋章が浮き出ていた。本来なら赤いはずの、黒い紋章。

「こりゃ、誰も知らないって事なんだろうな。黒。黒か…ま、俺なら当然か」

目を閉じまだその時でないとフィーロは思い、手袋をはめて外へと出て行った。




勘の鋭い方は誰を混ぜたか検討がつきますね。
取り敢えず頑張ります!よろしくお願いします!
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