「ちょッ、旦那!?新入りとか聞いてないんスけど!しかもよりによってこんなガキとか!!」
ありえないと言わんばかりに、ベルを指差し怒鳴るザップ。
突然謎の秘密結社に入れられ、早々に拒絶された所為か、彼女も訳がわからないままに、泣きそうな顔になる。
「う、えぇ……ガキでごめんなさ……」
「謝らなくていいよ、アイツは脳ミソが類人猿なだけだから」
「聞こえてんだよオイ」
再び睨み合う二人。先程から二人の仲は__いや、正確には普段からなのだが、今回はより一層__かなりと言っていいほどに悪い。
不安そうにするベルに、レオナルドは「大丈夫だ……ですよ、あの二人はいつもあんな感じだから」と話し掛ける。
少々納得のいっていない様子だったが、ベルはそれに頷いた。
「たった今、決まった事だ。突然で済まない」
クラウスが詫び、話を元に戻した。視線はクラウスら二人に集まる。
「ああ、急で悪い。クラウスがどうしてもこちらで引き取りたいって言ってるんだ」
スティーブンが軽く説明を加え、言い直した。
違和感を覚えたレオナルドは、手を挙げ、質問をする。
「引き取りたいって?保護者はどうしたんですか?」
「それが……彼女が記憶喪失らしくて、身元がハッキリしないんだ。
偶然ライブラに……と言うか、僕に接触してきたスパイの可能性も多いにある訳だし、
本来なら危険だから要注意しなくちゃいけないんだけどね」
スティーブンが答える。今度は、考えている事を出来るだけ詳しく伝えた。
そこまで話すと、続けてクラウスが言った。
「彼女はまだ幼く、この街で一人にするのも危険だと判断した。
聞くところによると、
いざというとき、役に立つかも知れない」
すると次は、得体の知れない"ガキ"に興味が湧いたのか、身を乗り出してザップが口を開いた。
「PSIって、あの?協会とかあるヤツっすよね?」
「ああ、
「え、お怪我は無いんですか……!?そんな小さい子がどうやって車なんかを……」
「あーあー、いちいち大袈裟だな、
苦笑いして答えるスティーブンに、思わずレオナルドが聞いた。
さっきまでの興味は失せたのか、乗り気になる彼に呆れて面倒臭そうにザップが言う。
「車と言っても、異界のデカブツだけどね。最初は黙っていたんだけど、どうやら
「……さっき少しだけニュースに取り上げられてたけど、もしかしてその事かしら」
チェインがポツリと、ふと思い出して呟く。
そんなことをテレビで言っていたかも知れないが、場所が場所だけあって、そこまで大きな事故とも言えない。レオナルドやザップは気にしてもいないし、とっくに忘れていた。
そして、クラウスがベルに体を向ける。
突然だったので、それに慌ててベルも体ごとクラウスの方を向いた。
「改めて……」
「?」
一呼吸入れてベルを見据えると、やや口角を上げ微笑んだ。
「ようこそライブラへ。歓迎しよう、ベル」
「……。」
その微笑みに、その言葉に、全ての不安が取り除かれた様な安心感を覚えた。
「よろしく、お願いします」