風上家に生まれて   作:新六毛

61 / 92
ミズタマリスト立志伝中 12

背後の気配に振り返ると同時に掛けられた声

肩で大きく息をする、ずぶ濡れのあやかがそこにいた

 

「……よく分かったんだじぇ……」

 

素直な感想だった

 

「もしあやかだったらって、考えたのだ…」

 

そう言ってあやかは優希の隣にしゃがみ込んだ

 

「あやかもウサギさん達がずっと気になってたのだ…」

 

優希は金網の向こうを覗き込むその横顔を見詰めた

 

「子ウサギさん、お母さんと一緒にゆっくりお寝んねするのだ!」

「あやかちゃん、そんな大声だしたら起きちゃうんじぇ」

 

小さく舌を出し、びしょびしょの髪を撫でるあやかの笑顔を見ると、優希も何故か笑いが込み上げてきた

 

「あやかちゃん… さっきはゴメンなんだじぇ……」

「ふぇ…?」

 

今回もあやかは惚けた訳では無く、謝られる理由が分からなかった

 

「……あやかちゃんに… 恥ずかしい所を見られちゃたんだじぇ…」

 

その言葉で、あやかも優希ちゃんの心の内に思いを巡らせた

知恵故障でもその気持ちが分からない訳ではない

否、自分に置き換えれば痛い程良く分かった

何せ、見られたくないものを必死に誤魔化していたのは、寧ろ自分の方なのだから…

そう、だからあやかは…

 

「優希ちゃん… あやかもゴメンなさいなのだ……」

 

全てを晒け出す事にした

 

「じぇ? …あやかちゃんは何も悪くないのじぇ… 悪いのは私だけだじぇ… ご馳走だって結局……」

 

抱いた膝頭に顔を埋める優希ちゃんの肩を叩き、その目の前に左手首を突き出す

そしてその袖元を大きく捲った

 

「……これ… この火傷の跡… まどか姉にされたお仕置きの跡なのだ タバコの火をジュッとなのだ」

 

差し出されたあやかの手首、豆状骨の辺りには、確かに黒く変色し瘡蓋となった傷跡が認められた

 

「……嘘は良くないのじぇ… あんな優しいお姉さんがそんな事をする筈がないのじぇ… 自分の家族を悪く言うもんじゃないのじぇ…」

 

その声には隠さぬ怒気が込められていた

優希には、あやかが己を慰める為に、姉を悪者にしてピエロを演じている様に思えた

それと同時に、自分のその言葉の滑稽さを心の中で自嘲した

 

「嘘じゃないのだ… あやか、いっつもいっつも怒られて… 毎日毎日お仕置きなのだ……」

 

その言葉を呟やくあやかの顔から光が消えていくのを、優希は微かな戦慄と共に覚えた

 

「……おやつなんて貰えないのだ… お部屋ではいつも静かにしないとお仕置きなのだ… 呼ばれるまで… お部屋で良い子に……」

 

寂しい笑顔で続けるあやか

やめてよ… 優希は心の中で叫んだ

 

「ご飯だってホントは… お姉達と同じ物は食べられないのだ… あの日は優希ちゃんのお陰で特別で… でもやっぱりあの後、さやか姉に上に乗られて… ボッコボコ……」

 

優希は信じたくなかった

あやかちゃんの暮らしは… 風上家でのあの一夜は… 自身が望んで叶わず、憧れても決して手に入れる事のできない、"幸せな家庭"の一コマの筈なのだ

お母さんの様に優しい姉… 美しく妹想いな姉… 仲睦まじい三姉妹…

憧れのそれすら幻想であるなど、受け入れたくはなかった

だが、あの夜あの場所で感じた微かな違和感は、あやかちゃんの告白で全て整合される

 

「……嘘だって言うのじぇ……」

「嘘じゃないのだ… ううん… 優希ちゃんには嘘をついていたのだ… あやか、全然可愛がられてないのだ… プリンセスなんかじゃないのだ……」

 

何時の間にか吹き始めた夜風に横殴りとなる雨

嵐の様相を呈し始めた

 

「でもあやかはお姉達が大好きなのだ! それも嘘じゃないのだ!」

 

その言葉を発した時のあやかの目には、再び光が籠っており、優希を少しだけ安心させた

 

「……でもあやかは時々… どうしても天国のお母さんに会いたくなるのだ……」

 

気が付くと優希はあやかの肩を抱いていた

何も考えてはいなかった

考えたくなかった

ただそうしたくてそうしたのだ

降り頻る雨の音に混じり、遠雷が轟いた

優希は動かなかった

あやかも動かなかった

 

『ゴボォッ!』

 

どの位そうしていただろう、不意に魔物の叫びの様な怪音がそこに響いた

二人は同時にその音がした方に顔を向ける

 

「「!?」」

 

二人の視線の先で、真っ白い姿の魍魎が、大地の底から這い出てくるのがはっきりと見えた

 

「うひぃっ!?」

「じぇっ!?」

 

別の意味で今一度互いを抱き合う二人

緊張と恐怖に、一瞬にして身が強ばる

 

「「…………」」

 

暗がりに目を奪われる事数瞬、壊れた知能でもやがてそれが、地獄からやって来た魔物のおぞましい姿などではなく、排水溝から噴き出す激しい水飛沫である事が分かった

 

「うわぁ……」

 

それでもそれはそれで物珍しくも勇壮な光景であり、その手の物が大好きなあやかは思わず感嘆の声を漏らす

降り頻る雨を飲み込み処理するそれが、その勢いに耐えきれず、遂に限界を越えてあやかばりのリバースを見せた

その原理だけはあやかにも理解できた

 

「まずいんだじぇ…」

「!?」

 

ただ傍らの優希ちゃんが緊張を孕んだ声でそう呟いた為、あやかのわくわくを契機に発動する狂騒モードの突入は、寸での所で回避された

冷静になれば確かに、雨水が排水溝から溢れ噴き出すという異常な事態は、本能に近い部分であやかにも単純な危機感を覚えさせた

 

「ワルプルギスの夜だじぇ…」

 

だがそれ以上に、何かを機敏に感じ取ったかの様な優希ちゃんの口振りが、あやかに更なる緊張を強いた

 

「悪いブスの夜? なんなのだそれ!?」

 

優希ちゃんの横顔は溢れ出る雨水の噴水を捉えて離さない

そこには今までの彼女からは感じた事の無い、悲壮感とも使命感ともつかない、重い十字架を背負う修道者の様な影があった

 

「ワルプルギスだじぇ… 子供の頃、魔法使いのお婆さんに聞いた事があるんだじぇ……」

 

ゴクリと唾を飲んであやかが反芻する

 

「ま、魔法使い!?」

 

その上擦った声に反応してか、優希ちゃんは漸く顔を此方に向け、小さくコクリと頷いた

 

「破壊をもたらし、人の悲鳴と絶望を食らう夜の嵐… 悪い魔女が生み出した魔物とも、魔女そのものとも言われてるのじぇ… どうやら私達がその標的にされたようだじぇ……」

「な、な、な、なんなのだそれ~!?」

 

あやかの驚愕は無理もなかった

幾ら非日常に憧れているとは言え、余りに話が飛躍し過ぎている

なんで大雨が急に悪いブスの魔女になり、初対面にも関わらず狙われる破目にならねばならぬのか!?

 

「に、逃げるのだ!」

 

当然の主張であった

 

「あやかちゃんは逃げるのじぇ!」

「な、なんで!? 優希ちゃんも逃げるのだ!」

 

一人この場に残ると宣言する優希ちゃんは、あやかの問いには直ぐに答えず、ゆっくりと首を反らして背後のウサギ小屋を見遣った

 

「逃げられないんだじぇ… この子達を私達から奪うのが… 絶望させるのが… 奴の目的ないんだじぇ……」

「!?」

 

あやかも大きく目を見開く

確かに刻々と溝から溢れ出す雨水は、降り頻るそれとも相俟って、徐々に裏庭の全てを隙間無く覆い始めていた

軈て洪水の如き濁流がウサギ小屋の敷居を越えて流れ込み、あのか弱い母子の命を飲み込む…

その地獄絵図があやかの脳裏にも浮かんだのだ

 

「私は戦うんだじぇ… やってみるんだじぇ!」

「ゆ、優希ちゃん!?」

 

健常者の目にそれがどう映るかは定かではない

だが、少なくとも彼女ら知恵故障の目には、ワルプルギスなる災禍が確かに見えていた

 

「あやかも戦うのだ! ウサギさん達を守るのだ!」

 

優希ちゃんは大きく頷くと、あやかに背中を向けて走り出した

そして裏庭の片隅、夏は向日葵を咲かせていた花壇の一角、そこに突き立てられ放置されたそれに手を伸ばし引き抜いた

 

「こんな時に"お母さん"が側に居ないだなんて… ううん… もうお母さんが居なくたって… 一人でも負けない私を見せるのじぇ!」

 

闇にぼんやり浮かぶ、黄色の塗料に染め上げられたそれ…

母の形見より、一回り小さなそのスコップを胸に当て、優希は宵嵐の暗天を仰ぎ見る

 

「ミズタマリストとして鍛え上げてきた腕は… 我慢の日々は… 今日この夜の為にだじぇ… お母さん、見てるのじぇ…! ワルプルギスの夜、一戦目だじぇ!!」

 

夜の闇に共鳴するかの様な叫びを響かせ、優希は走り出した

 

「えいっ! だじぇ!」

 

駆け抜け様、掛け声と共に右手で大地を撫でる

あやかの目にはそう見えた

 

「たぁぁぁぁぁっ! だじぇ!」

 

そのまま裏庭と敷地外の道路を隔てるブロック塀まで、右手で大地に弧を描く

ちょうど雨水を吐き出す排水溝とウサギ小屋を切り裂く様に…

 

「!?」

 

あやかには彼女が何をしているのかが分からなかった

遊んでいる様にさえ見えた

 

「とりぁぁぁぁっ! だじぇ!」

 

再び優希ちゃんが駆け戻り、同じ様に大地を手で撫でる

跳ね上げる水飛沫があやかの側にも落ちる

 

「!!」

 

あやかはその時、彼女の撫でる手の後に、白い線が引かれているのに気付いた

 

「はぁはぁ… やっぱり今一つ使い辛いんだじぇ…」

 

一呼吸置いた優希ちゃんは、今度はワルプルギスの本体とも言える氾水の溝へと駆け出した

あやかは無意識にして吸い込まれる様に、優希ちゃんが大地に描いた白線に顔を近付ける

 

「こ、これ!? 水路? 雨水が流れてるのだ!?」

 

そして驚きの声を上げた

ほんの一撫でだった筈の大地には、何時の間にか狭くも深い溝が穿かれ、そこに大量の雨水が流れ込んで、敷地の外側、ブロック塀の隙間へと誘導されていた

 

「す、凄いのだ!」

 

あやかは興奮により狂騒モードに突入した

まるで魔法

あやかの目に、優希ちゃんは魔法使いに映った

なるほど魔法使いの弟子に違いない

それ以外に説明がつかない

魔法の力で誘水路を一瞬のうちに穿ち、押し寄せる氾流を食い止めようと言うのだ

あやかの思考は、完全に憧れの非日常の世界へとトリップした

 

「とやっ! ほっ! じぇじぇ!」

 

優希ちゃんがしゃがみながらバックステップを繰り返す

あやかはもう見失わなかった

彼女は所々に生まれた深い水溜まりに溝を穿ち、それらの中身を集めて、先程の誘水路に導こうと言うのだ

 

「くっ… ちょっと深いんだじぇ… 手遅れなのかだじぇ…?」

 

その後ろ姿が苦戦を訴えていた

あやかの助けを求めていた

その声が確かに聞こえた

 

「よしなのだ!」

 

大きく気合いを入れると、あやかも花壇に向けて駆け出す

そしてやはりそこに放置されていたスコップを手に取る

 

「たるとるはにかるとぅるるるる~…」

 

そしてそれを頭上に掲げてから、何事が呪文の様な物を呟やき、その場でくるくると身体を回転させた

その瞬間、彼女の脳裏で己の身体が目映い光に包まれた

そしてその光が消え去ると共に、白と菜の花色を基調とした、フリルの付いたワンピース…

魔法少女戦隊の様なそれを纏った己が現れた…

あくまでイメージの中で…

 

「優希ちゃん、後ろなのだ!」

 

卑怯にも優希ちゃんの背後を狙う悪いブス

寸での所でその鼻先に楔を打つ…

あくまでそんな脳内妄想で…

あやかは優希ちゃんの様にスコップで大地を撫でた

 

「じぇじぇ!?」

 

背後の気配に振り向いた優希は驚きの声を上げる

不意に現れたあやかの存在と、そのスコップ捌きに…

 

「もう何も怖くないのだ!」

 

優希ちゃんを一人で戦わせたりしない

自分もウサギさんを守るのだ

そんな強い意思で、あやかは次々と大地にスコップを叩き突ける

その耳には、聞いた事もない女性の歌声が、確かに響いていた

 

「あ、あやかちゃん!? その技は!?」

 

優希には分かった

否、ミズタマリスト優希だからこそ分かった

あやかのその卓越したスコップ技量

乱雑に無鉄砲に打ち突けてるかの様に見えて、その一掻き一掻きに全く無駄が無く、完全に水の動線… その心を読み切ったが如く、水自身が行きたい方向に進ませながら、それでいてその意思を完璧にコントロールする…

柔よく剛を制す

まさにそんな諺の体現に見えた

そしてそれが、決して素人が見様見真似で成し得る物では無い事も理解していた

それどころか…

どう見てもその技量は己の届かぬ遥か高みに…

次元のまるで違う…

そう、この感覚は何処かで……

 

「あやかちゃん… あやかちゃんは… いったい…?」

 

気が付くと優希は震えていた

恐怖の所以では無い

上手く言葉にできない、それ以外の感情に因って…

 

「優希ちゃん、前なのだ!」

「!?」

 

その叫びに我に返る

視線を戻せば、かの排水溝から白い魍魎がいよいよ大きく本体をさらけ出していた

身体の自由を奪われ、苦しみのたうつ様にも見えた

知恵故障eyesにはそう映った

 

「負けられなのじぇ…」

 

その言葉の半分は背後に向けられた

 

「行くのじぇあやかちゃん! とどめだじぇ!」

「うん!!」

 

二人は同時に駆け出した

そしてそれぞれ手にしたスコップを高々と掲げる

まるで魍魎に引導を突き付けるかの様に…

 

「とりゃぁぁぁぁじぇぇぇぇっ!!」

「くらえぇぇぇぇのだぁぁぁっ!!」

 

二人はスコップを並べて突き立てる

そしてそのまま一直線にブロック塀まで深く広い溝を穿つ!

 

「どりゃぁっじぇ!!」

「ほいなっのだっ!!」

 

掛け声と共に、スコップの土塊を高々と天に舞い上げる

豪雨と共に泥と化したそれが辺りに降り注ぐ

 

『ヴォォォォォッッッ!!』

 

魔物の咆哮

溝の中を滑る氾流の奏でる音は、そんな苦悶の叫びにも聞こえた

 

「うわっ!?」

「きゃっ!!」

 

ブロック塀の隙間に身を叩き突けた魍魎は、大きなスプラッシュとなって二人を吹き飛ばした

文字通り最後の足掻きであった

 

「優希ちゃん!? 大丈夫なのだ!?」

「……あやかちゃん! やったじぇ! 勝ったのじぇ!!」

 

二人の目の前を、白い流れが進んで行く

ブロック塀の隙間から、敷地外の道路へとこんこんと流れ落ちて行く

見る間に裏庭の水溜まりが痩せていく

 

「やったのだ!? やったのだぁ!!」

 

そのあやかの叫びに呼応するかの様に、生ぬるい一陣の風がその場を吹き抜けた

夜と嵐の終わりを告げる風だった

あれ程激しかった雨が立ち所に勢いを失い、ポツリポツリと余韻の様な大粒の雫を何滴か振り撒いて、そして完全に沈黙した

 

「魔女は去ったのじぇ…」

 

何時の間にか遥か東の空が白く滲んでいた

それに逐われる様に、魍魎は溶ける様にその身体を排水溝の奥へと沈めた

 

「あやか達が守ったのだ… ウサギさん達を守ったのだ…」

 

あやかが尻を着くその脇に、優希ちゃんが歩み寄り、どかりと腰を下ろした

二人は微笑みを浮かべて、互いを見詰め合う

 

「優希ちゃん凄いのだ あんなに簡単に溝を掘れるだなんて… 本当に魔法使いのお弟子なのだ?」

「ふふ… 昔お世話になったお家のお婆さんだじぇ… 物知りで… 離れに閉じ込め… 一人で住んでて… みんな魔法使いのおババって呼ばれてたのじぇ… 私に砂遊びを教えてくれたのも、そのお婆さんだじぇ…」

 

優希は少しだけ遠い目をして彼方を眺めた

 

「でも私は魔法使いなんかじゃないのじぇ… 本当の魔法使いは… 暁のアクアビーナスは… あやかちゃんの事だったんだじぇ!」

 

あやかはびっくりして首を振る

 

「あやかはビーナスなんかじゃないのだ! プリンセス… でもないけど… 普通の人の、普通の風上あやかなのだ! それで良いのだ! それになりたいのだ!」

 

そう言って、何故か少しだけ胸を張った

 

「ふふふっ」

「ふへへへっ」

 

朝の訪れを告げる小鳥の様な笑い声が裏庭に響いた

 

「私… ずっと昔… 子供の頃… あやかちゃんに会った事があるんだじぇ……」

「うひょっ!? ほんとなのだ!? どこでなのだ!? あやか、全然覚えてないのだ!」

 

目を丸めて身を乗り出すあやかの鼻頭を、優希は軽くつついた

 

「……やっぱりあやかちゃんは"天才"なんだじぇ……」

「……? へへっ… 実は良く言われるのだ」

 

調子に乗ったあやかが後頭部を掻く

 

「少し冷えてきたんだじぇ… 私は朝まであそこで休むのじぇ…」

 

優希ちゃんはそう言って今度はウサギ小屋の奥の一角、用具置き場を指さした

 

「うわぁおー! 藁のお布団なのだ! あやかも一緒に休憩なのだ!」

 

そこにはウサギ達の寝床に使う藁の束

家に帰り辛い優希ちゃんはそこを仮の宿にと決めたのだろう

だがひたすら能天気であり、心地好い疲労と近付き始めた睡魔に絆されつつあったあやかにとってそれは、親友と訪れた南国リゾートの如き最大限の誘惑に過ぎなかった

濡れた服を乱雑に脱ぎ捨てると、一足先にその天然のベッドに飛び込む

 

「あやかちゃん、お家に帰らなくて怒られないのじぇ?」

「大丈夫なのだ! ちゃんと予約してきたのだ!」

「……予約?」

 

優希も藁の布団に潜り込む

予想以上の保温性と互いの体温が、忽ち二人を微睡みの世界に誘う

 

(姉妹って… こんな風なものなのかな…?)

 

優希は重そうな瞼を支えるあやかを間近に見て、心にそう呟いた

 

「あやかちゃん……… ありがとうなのじぇ……」

「……ん?」

 

耳元の優希ちゃんの声に、あやかは何とか意識を覚醒させたが、傍らの彼女は既に微かな寝息を立てていた

 

「おやすみなさいなのだ……」

 

あやかもそう宣言して、親友の後を追った

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。