二人のセッター   作:鬼城

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今回は試合ですね。

試合描写はとても難しいので読みづらかったらすみません。


EP2 戦い方

練習試合

 

Aチーム16対Bチーム13

 

最初の五点ぐらいまでは私たちのチームであるAチームがリードをとっていたのだが、相手は部長のいるチーム。完全にこちら側のペースに持っていく前に対策をとられ、そのままBチームへとペースを持って行かれてしまった。

なんとか、嵐山先輩を軸について行ってはいるがこれは時間の問題だろう。このままいけば間違いなく負けるーー。

 

「すいません、部長。少し時間を貰ってもいいですか?」

「どうぞ。でも、私たちは負けないからね?」

「それは…どうでしょうか。それはタイムアウトの使い方次第だと思います」

「ふふ、まぁ、良く考えなさい」

「はい!」

 

部長に許可を取ってタイムアウトをとらせてもらうとすぐさまチームの皆を集めて円になる。

うう……やっぱり、動くのやめると汗が気になる…なんて思いながら私は同じチームの先輩方にある提案をした。

 

「すみません。少し、やってみたいことがあるんです」

「ん?なになに?」

「これは、チームの力が必要になってくるんですが…」

「大丈夫!なんでも言って!!だって今はコートの中、君がこのチームの司令塔だからさ!」

「じゃあ……あのーー」

 

説明をし終えると殆どの先輩は説明は分かったけどよく意味が分からないといった感じの顔を浮かべていた。

やっぱり、やってみるのが一番かな。

 

「とりあえず、その通りに一度動いて貰えば大体のことはつかめると思うんで…」

「うん、分かった!やってみよう!」

 

おぉ、嵐山先輩…いい人だ!

 

「終わった?じゃあ始めましょう」

「はい!お待たせしました。佐藤部長」

 

円から元のポジションに散らばった後、佐藤部長の声に感謝の意を込めて挑戦的な態度を取ってみる。たとえ、練習試合でも負ける気はないのですよ〜。

 

最初は向こうからのサーブ。同級生である比嘉さんが打つようでとても緊張しているのがネットの反対からでも分かった。 ちなみに、今回の新入部員は四人。そのうちの三人ともいまはBチームにいる。そして前からバレーをしていたらしい。

 

「ふぅ……」

 

比嘉さんのサーブボールを先輩がレシーブする。そのボールはセッターがいるはずの場所、つまり私の方へ飛んでくる。しかしーー

 

「え!?……そっちにはセッターが…いないんじゃ…」

 

そんな声がコートの中で響いた。

相手チームそして味方のチームでさえも私の姿は認識されていないらしい。本当に悲しい。泣きそうになってくる。っていうより、泣きたい。

 

「本当…精神削れるよ。でも…」

 

目の前には私がタイムアウトの時、言った事を信じて既にアタックモーションに入っている嵐山先輩の姿が見えた。そこに、トスを合わせる。

 

『信じて飛んでくれる人がいるから』

 

バンーー。

ブロッカーさえも反応出来ていないそのボールは相手コートの中央に心地よく決まった。

 

試合結果

Aチーム 25

Bチーム 23

 

◆◇◆◇◇

 

「おっ!女子は試合を始めるみたいだね」

「そうですね」

 

丁度、休憩時間。及川さんが女子の方を見てそう話しかけてくる。興味なさそうに言葉を返したが、なんと雛がでてきているので見たいという気持ちもあった。

 

「あれー?雛ちゃんが出てるじゃん。飛雄ちゃん、見なくてもいいのかなぁ?」

「あーもう!見ますよ!」

「よろしい。素直な子は嫌いじゃないよ!」

「………」

「ちょっとー、反応してよ!どうしよう岩ちゃん。これが反抗期ってやつなのかな?」

「及川、うるせぇ」

 

岩泉さんにも反抗期されて及川さんは目に見えて分かるほどにガクリと項垂れているとそこにボールが飛んでくる。何発目だよ、おい。

 

「…っ…またぁ!?」

「あぁ、すまん。そこで変な風に落ち込まれたから腹が立った」

「あぁ、すまん。じゃ…な、い、よ!!何回目!?ねぇ、俺の天才頭脳に当てたの何回目!?」

「……はぁ?いつお前が天才になったんだよ」

「ちょっ……いつも天才的だったでしょ!?」

 

どこかの漫才だな。と思いながら、女子の試合に集中する。雛は、天才だ。俺が勝てるかも分からないほどに遠くにいる。だからこそ、こういった雛の実力が観れる試合は貴重だ。

 

「…あの子、全て計算して合わせてる」

「分かるんですか?及川さん」

 

不意に、及川さんがそんな事を呟いた。

マジメスイッチでも入ったのか、いつになく真剣な顔で試合を見ており、その目には雛が映っている。やはり、同じセッターだから俺と同じように思うことがあるんだろう。

 

「……怖くなるよね。本当に。あんな天才がいると…」

「…はい。ですけど…俺はあいつを越します。必ず」

「ふぅん。二人揃って、君たちはムカつくね」

「なんでですか」

「いや、こっちの話〜」

 

そういって手をヒラヒラとさせると及川さんは女子のコートへもう一度、目を移す。今の得点は始まったばかりなので5対5と同点だ。そして、サーブが始まったところで

 

「おい、お前ら休憩は終わりだ。早く練習に戻れ」

 

とコーチから声が掛かる。それに渋々従って俺は試合から目を離した。

 

◆◇◆◇◇

 

「ちょ…さっきの何!?」

 

佐藤部長が私の肩を揺らしながらそう聞いてくる。ちょ…やめ…。試合が終わったあとだからかドッと疲れが出てきた途端にコレだ。あー、頭がー。となっても私はオカシクナイ。

 

「ぶちょー、やめてあげなよ」

「え? あっ…ごめん桐原」

「いや、大丈夫です」

 

そりゃ、こうなるよね。なにせ…目の前からセッターが消えたのだから。レシーブミス?とか思われた時にそこから勝手にトスが上がる。それにブロッカーも不意をつかれてブロックすることが出来ないし…

 

「それで?アレはなんだったの?」

「アレは……ミスディレクション的な?」

「ミス…ディレクション?」

「そうですね、例えば…先輩私の目を見てくれませんか?」

「うん」

 

ジーっと目を見てくる先輩。それで何秒間見つめ合いしばらくたって違う方向へ一瞬視線をズラす。すると、それにつられて先輩もその方向をほんの一瞬見る。そう、その一瞬で私がやるべきことは終わった。

 

「え?」

「どうかしましたか?部長?」

「いや……桐原が手に持ってたボール、どこに…」

「あぁ、それですか。それは部長の後ろにありますよ?」

 

私の言葉を聞いて、バッと後ろを振り向き言われた通り後ろにあったボールを部長は見つめる。

その顔はとても驚いていた。それも、そうか…だって部長にはボールが消えたように感じたはずだしね。

 

「これが、ミスディレクションです。視線または注意力や推理力を誘導することでおこる現象」

「じゃあ、ボールが消えたのは…」

「はい、部長が私の視線につられて視線を動かした時にボールを先輩の後ろへ転がしただけです。それも、きっと部長の死角であるところを狙って」

「じゃあ、これと同じようなことを桐原はしているというの?」

「私のは…まぁ、そうですね。多分似たようなものなんだと思います」

 

バレーはほとんどの時間ボールを見ている。それがセッターが消えたと錯覚させてしまった。あと、影が薄くないと出来ないので、少しミスディレクションとは違ってくる。

 

「部長は…いや、ほとんどの選手がバレーの時、ボールをよく見ますよね?上手くレシーブした場合、ボールがそっち側にいったからセッターが…誰かが…きっといると無意識に思ってしまう」

「確かに……」

 

馬鹿な人だとしても、誰もいないところにボールを返さない。誰もいないところにボールを返すやつは……バレーやめたほうがいいよ☆となるわけだ。

 

「でも…そこに誰もいなかったとしたらどうなります?」

「レシーブミスだと思う…」

「それです。そこで先輩方の注意力を下げる。そうすると、私は普段から影が薄いですから…余計に認識されなくなります。だから、トスが急に上がったということになるんです」

「それでも…」

「そう、それでもボールが消えるわけではないからブロッカーが反応することはできます。反応()できるんです。でも、肝心のボールはまだ、トスもされていない。それにより、混乱状態を引き起こします。だから、行動に移すのが遅れた」

 

たったコレだけのこと。さっきの試合中にしたことは。もっとやろうと思えば違うことだってできる。でも、中学生相手ならコレだけでも勝つことなら可能だ。

 

「そう…なのね。誰もいないからレシーブミスだと思う、確かにもしここで誰かがレシーブを上げたとしてもギリギリになっていいトスは上げることができない。ボールが落ちるかそれとも驚異ではないトスとアタックを受けるか。どのみち私たちのチームに利があった」

「その利が……注意力を落とした」

 

部長の言葉に続いて、一年生の比嘉さんが声を出す。その声は震えていて……同時に私を見るその目は睨んでいるようにしか見えなかった。え?どして?




自分的になんか…ダメなので、直すかもです。

もし、直したらきちんと報告させていただきます!
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