二人のセッター   作:鬼城

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今回はバレーとはあまり関係のない日常?物語です。




EP3 すれ違い

「あんたがいるから!!」

 

知ってる。もう、聞き飽きた。

 

「先輩にも媚び売っちゃって!」

 

それも聞き飽きた。

 

「なにか言ってみなさいよ!」

 

このパターンも知ってる。もう…『飽きた』。この会話に私の意見は必要ない。だから、今もなお聞こえてくる自分を罵倒する声を聞きながらこんなことを考えていた。

『あぁ、なんでこんなことになったのだろう』と。

 

◆◇◆◇◇

 

「なー、…… 今日は何時に女バレは終わるんだ?」

「んーー、男バレと同じくらいの時間かなぁ」

 

部活に行く途中、急に飛ちゃんに質問されたのでそれにすんなり答える。最近は眠たすぎて上の空ということが多い私だが飛ちゃんが目を覚ましてくれたのでこうして部活へ遅れずに行くことが出来ていた。まさに、飛ちゃんさまさまだ。さまさま〜。

 

「ふっ………」

「おい、今…笑っただろ!」

「マサカー。私の席に来た時に何もないところで転んだことを思い出して笑ってた訳じゃないよ」

「ワザとやってるだろ!素直に言えよ!!」

「ぷぷ〜……影山くんは最高です」

「ひ〜な〜?覚悟は?」

 

出来てるわけないじゃないですか。

少しの恥ずかしさからか顔を赤くして怒ってくる飛ちゃんから逃げていると二つの体育館が見えてくる。そこで、いったん急停止して私は飛ちゃんがいる方へ振り返った。

 

「じゃ!今日もがんばろ〜!」

「あぁ」

 

この会話を最後にそれぞれの体育館へと分かれる。いつもなら、このまま体育館へついて終わりなのだが…今日はそうではないようで、体育館の扉の前に同級生三人が立っていた。その顔は私を敵と見なしているように見える。もちろん、なにかした覚えはない。

 

「ちょっと……来いよ」

「なんで?…私、部活したいんだけど」

「いいから」

 

そう言って手を掴んで引っ張っていく比嘉さん他二人。やめろ、離せ。って言っても言うことを聞いてくれなさそうなので大人しくついていくことにした。やっぱり面倒ごとはさけなきゃね。

 

「あの〜こんな人気のない場所連れてきてなんの話かな?」

「……ちっ」

 

何故に舌打ち!?

 

「桐原自身の方がよく分かってるんじゃない?」

「いや…言ってくれないと分からないんだけど…」

「……桐原さぁ、最近調子乗り過ぎ」

「調子に乗りすぎとは?」

「いくら、バレーが上手いからってふざけてんの?」

 

そう言って三人して私を囲むように移動する。しゅ…集団リンチってやつ。少し、ビクビクしながら三人の行動を伺う。私はセッターだからいろんな事を観察しないといけない。という日頃のクセが出てきたのだろう。

 

「ねぇ、知ってた?私がセッター志望だったこと」

「知ってた」

「!?……なら、なんで!!」

「だって、先輩が決めることでしょ。比嘉さんはセッターよりミドルブロッカーの方が向いてました。それだけの事だよ」

「なっ…!?」

 

そんな驚いた顔をしてもねぇ。

それに、比嘉さんが元セッターっていうのは見ていたらすぐに分かった。アンダーでボールをとるよりもオーバーでボールをとる方が上手かったというのとミドルブロッカーをやっている割にはアタックに慣れていない感じがあったから。

 

「はは…やっぱり、私、桐原のことうざくてうざくて仕方がないわ」

「………」

「なんで、なんで、なんで、なんで!!…………」

 

悲鳴にも似た声を出しながら私の色んな所を殴ってくる比嘉さん。他の二人はその様子をただ、ただ、面白そうに見ているだけ。

 

「…いっ」

 

痛い。

その感覚だけが自分の思考を奪う。それでも、ただ殴られ続ける私はかなりのドMだな。とか考えながら私は殴るのが止まるのを待った。ここで、問題を起こしたら大会どころじゃなくなる。それだけの理由で…必死に耐える。

 

「あんたなんか…いなければよかったのよ」

 

冷たく響いたその言葉は私の脳に強く刻まれた。

 

◆◇◆◇◇

 

「ランランララーン♪」

 

鼻歌をしながら体育館に向かう途中。「及川くーん!」という声が聞こえては手を振るの繰り返しでなんとなくルンルン気分だった俺の耳に嫌な言葉が聞こえた。

 

『あんたなんか…いなければよかったのよ』

 

という存在を否定する言葉。それに少しだけさっきまでの良い気分が下がり「はぁ…」とため息をついた。

 

「俺…こういうの嫌いなんだよね」

 

頑張るんだ及川 徹!!などと自分を励ましながらさっきの声が聞こえた方へと歩き出す。チラッと見ただけでは分からないだろう。そんな建物の影にうまく隠れている女子四人組。その内の一人は三人に囲まれるようになっていた。

 

「うーん。これがイジメってやつだよねぇ」

 

イジメられている子は明らかに中央にいる女子だろう。しかし、その顔は隠れてよく見えない。が……俺は全ての女子の味方なのだから助けなきゃね☆という気持ちでテクテクと女子四人組に向かって歩いていく。

 

「ねぇ。なにしてるの?」

「…!?」

 

着いて、声をかけるとイジメをしている女子三人の動きが止まった。まるで、ロボットのようなので笑えてくる。あっ…やばいかも。

 

「…ふぅー。俺、こういうの関心しないなぁ。女の子はさ…優しいに限ると思うよ!こんなことしてたら可愛い顔が勿体無い」

「え?…あぁー。えっと、、」

「(ど、どうする?」

「(どうしようもなにも一旦離れるしか…」

 

ボソボソと話して内容が決まったのか女子三人はぺこりとお辞儀して去っていった。それを見届けてから今度はイジメられていた女子の様子を見る。そこにいたのは…

色んな箇所に傷をつくって所々青アザができているそんなボロボロな姿をした子だった。

 

「ねぇ、君…大丈夫?」

「………」

「おーい!」

 

反応がないので顔を覗くようにして呼んでみる。ん?…て、あれ?

 

「雛ちゃん!?」

「…おい、かわ…せん、ぱ、い?」

「ちょ…大丈夫なの!?」

「ええ…大丈夫、です。少し…痛いだけ、で」

 

口も少し切っているのだろう。血を流しながら彼女は笑った。その姿にどこか尊敬を覚え同時に腹が立つ。

(くそ……俺がもう少し、早く来ていれば…)

 

「おい、かわせ、んぱい。おね、がいが…」

「ん?何?」

「このことは…内緒に…おねが、い…ケホッ、します」

「……いや、でも」

「………」

「はぁ…分かった。女の子の願いは聞いてあげなきゃね。でも、これだけは言っておく。頼る時は頼りなさい!」

「ふっ……なんですか、それ」

 

やっと、笑った雛ちゃんを見て少し安心しそして、少し恥ずかしくなって部活に行こうと背を向けて歩き出す。

 

「あの……飛ちゃんは、頼られたら…めいわく、だと、感じると思い、ますか?」

「いや、感じないと思うよ。だって、可愛い幼馴染のお願いだからねっ!」

 

か弱い、不安げな言葉に笑って答えて今度こそ体育館へ向かって歩き出した。

 

◆◇◆◇◇

 

最近は、飛ちゃんに会っていない。いや、会ってはいるけどその先はなにもない。うん、よく分からん。

イジメられ続けてはや二週間が過ぎた。その二週間ほとんど会っていないのだから向こうも心配なのだろう。よく、授業中とかで飛ちゃんと目が合う。しかし、話したりすることはない。理由は簡単、私が一方的に避けているから。

 

「はぁ……」

 

盛大にため息をついてもなにも変わることはない。最近になって、よく考えることは"飛ちゃんと話したい"という事だけ。と言っても話したら余計なことまで話してしまいそうで…怖い。それに…泣いちゃうかもしれないから。

 

「あっ、いた!おい!桐原。ちょっと」

 

最近になって、さらに昼休憩中の呼び出しが多くなった。きっと…『私が及川先輩を振った』っていう嘘の噂が流れ出したからだろう。くそ、誰だ。こんな噂を流したのは…。

まぁ、そんなことより、早く行かないと何されるか分からないので、席を立ち歩き出す。そして、呼んできた三年の先輩の方に行くとさっきとは違ったとても冷たい声で「早くしろよ」と一言。もう、いつものことすぎて慣れてしまった。

 

「あんたさぁ……及川振ったくせに、なに仲良くしてんのよ」

「……仲がいいってわけでは…」

「そういうのいらない。とにかく、今度仲良くしている所見つけたらただじゃおかないから」

 

そう一言いうと先輩は去っていった。それを見送ってから教室に入ろうと振り返るとすぐ目の前に飛ちゃんがいた。飛ちゃんが機嫌が悪そうに此方を睨んでくるのでなんとなく下を向く。でも…下を向くのは後ろめたい事があるからだ。

 

「おい…今の誰だ?」

「三年の先輩だよ…」

「じゃあ、その三年の先輩とお前は何してた?」

「……少し話を」

「なんの?」

「……部活」

「本当のこと話せよ!!」

 

ガチで怒っていらっしゃる!? そりゃ、私も悪いけどさ……。本気で怒ってくる飛ちゃんを前に黙っていると急に腕を引っ張られる。

 

「ちょっと、来い」

「………え?」

 

あっこれ、死んだな。そう思いながら飛ちゃんの後をついていった。




なんの物語かって?
ちゃ、ちゃんとハイキューですよ(震え)
こ、これから…が、がんばるんですよ。
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