呉鎮守府より   作:流星彗

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新年会

 

 

 年が明け、鎮守府も正月仕様となる。門松を立て、間宮特製のおせちが並び、餅をつく。三が日という事で艦娘達も訓練や遠征をやめてゆっくりとしている。

 一方で凪は年明けの挨拶や報告も兼ねて東京へと飛び、去年の事を纏めた書類を大本営へと提出した。その後は提督や海軍の者達を集めた新年会に出席。その場にはトラックの東地茂樹や佐世保の湊、ラバウルの深山も出席している。

 

「よ、明けましておめでとうさん」

「明けましておめでとう。今年もよろしく、茂樹」

 

 気さくに手を挙げ、そして一礼する茂樹。続くように綺麗なお辞儀をしながら挨拶する湊に、ぽつりと呟くように挨拶した深山にも返礼した。

 それぞれグラスを手にしており、軽く乾杯して辺りを見回してみる。

 新年会という事で多くの人であふれている。現在の海軍において立場がある人がずらりと並んでいる。末端の人でも招待されれば出席している。人ごみが苦手、人が嫌いな人からすれば、少々苦痛に感じるくらいだ。

 そう、凪や湊、深山である。

 揃って顔をしかめながらパーティに出席しているのだ。

 

「……はぁ、はやく帰りたいもんです」

「淵上さんって一応お嬢様だろう? こういうパーティって結構顔を出すんじゃないのかい?」

「ええ、出しますけど、それでも慣れないですね。こういう場でも美空や淵上と繋がりたい輩が群がることありますし」

「ああ、やっぱりあるんだ、そういうの」

 

 そんな美空の家のトップである美空大将はというと、会場の前方にいるようだった。周りには第三課の者達だけでなく、海軍の上層部の人間と思われる顔ぶれもある。彼女と対立しているらしい西守大将はその反対側にいるようで、同じように人に囲まれながら何かを話しているようだった。

 お互い視線を合わせることなく、それぞれ人を相手にしている様子。あれはお互いの間に城壁が聳えているかのようだ。

 そんな事を思っていると、湊に気づいたらしい青年達がグラスを手に「淵上湊さんですか?」と声をかけてきた。彼らに背を向けていた湊は舌打ちしながら苦い表情を浮かべている。

 とりあえず表面上は何ともない風に見せながら挨拶をすると、適当に聞き流しながら応対していく。

 

「ま、嫌でも相手せざるを得ないのがお嬢様の辛いとこだよな」

「……たいしたもんだよ。僕なら無理だね」

「お前さんはそうだろうな」

 

 軽くグラスを傾けながら苦笑を浮かべる茂樹だが、ちらりと凪へと視線を向けると「そういやさー」と話を切り出した。

 

「なんか最近新しい戦術を試しているんだって?」

「ああ、弾着観測射撃のことか? 今はいい感じに形になっているから、これを上手く習得できるようにするための方法を纏めているところさ」

「淵上さんと協力しながらやっていたって聞いたけど、それマジかい?」

「本当だよ」

「へえ、あの凪がねえ……。やるじゃん、順調にお近づきになっているじゃあないの」

「……なんだい? 海藤と淵上さんはそういう関係なのかい?」

「ねえよ」

 

 誰もがそういう風に見始めているようだが、それを彼女が聞いたらまたあの渋い表情を浮かべてくるだろう。彼女のためにもやめといた方がいい、と凪は嘆息した。

 青年達をあしらった後、不機嫌さを隠しきれない湊がワイングラスを手にすると、ぐいっと一気に飲み干してしまった。「……全く、どこ行っても男はこんなものか」とぶつぶつと呟いている。

 

「シャットアウトしたいんならさ、特定の相手を作ってやればもうそういう事はなくなるんじゃね?」

「おい、茂樹」

 

 やめとけって言ったろうが、と表情で文句を言うが、まあまあ、と茂樹は手を挙げる。「要は弾除けさ」と指を立てる。

 

「仲のいい誰かに頼めばいいさね。そうすりゃ少なくとも君とくっついていい思いをする輩はいなくなるんじゃねえか」

「仲のいい誰かと簡単に言いますがね、あたしはそういうのいないんですけど」

「……クラスメイトとか」

「はっ、アカデミー時代からあたしはぼっちでしたんでね。残念ながらいませんね」

「……それはそれは」

 

 とりあえず、と挙げてみた深山もその返しには肩を竦めるしかない。となると彼女にとって仲のいい知り合いというとここにいる三人ぐらいしかいないようだ。自然と茂樹と深山の視線は凪に向けられる。

 

「狙ったか? お前ら」

「まさか、そんな。でも俺としてはいい案だとは思うぜ? 一時しのぎとはいえ、これ以上言い寄られるのは回避できるわけだし」

「…………検討しておきましょう」

(却下しないんかい)

 

 凪的には何を馬鹿な事を、とか言いながら拒否するものと思っていたのだが、意外だった。それだけ言い寄られるのには辟易していたのだろうか、と思いながら紅茶を口に含む。

 そうしているとステージに音楽隊が集まっており、これから彼らによる演奏が行われる事となる。司会が演奏していく曲をいくつか紹介し、メドレー形式で演奏されると伝えられる。

 人々の視線がステージに向けられると、音楽隊による演奏が始まった。

 音楽はいいものだ。

 時に安らぎを与え、時に士気を高めてくれる。

 凪だけでなく、周りの人々も音楽隊が奏でる音に耳を澄まし、溢れくる音の奔流に身を任せている。

 しばらく聞き惚れていた凪の肩をそっと叩いてくる人がいた。誰だろうと振り返ってみると、そこには美空大将がいた。声を上げようとするが、美空大将は口に人差し指を当てて後ろへと首をしゃくった。

 会場の隅に移動すると、「明けましておめでとう、海藤」とまずは新年の挨拶をしてきた。

 

「明けましておめでとうございます、美空大将殿。……よろしいのですか?」

「なに、構わん。こういう時でないとしばらくは話も出来そうになかったのでな。年末に何やら私に話があったそうじゃないか。今ならそれを聞ける。何用だった?」

 

 わざわざ話す機会を設けてくれたことに感謝し、凪は大淀の事について話した。音楽隊が奏でる音の波の中、静かに話を聞き終えた美空大将はなるほど、と頷く。

 

「大淀か。貴様のところだけでなく、過去にも少なからず戦力になりたいと望む大淀はいた。しかし大淀はあくまでも各鎮守府においての副官という立場。提督の業務を補佐し、艦娘らの状態をチェックする役割を担わせていた」

「だから戦う力はあまり与えていなかった、と?」

「そうだ。いずれは、という意味で艤装までは作ったがな。……そもそもの始まりは艦娘の事をしっかりと見てやれる誰かが必要だった」

 

 艦娘を作ったはいいが、不明な点が多い存在だ。大本営や第三課との繋がりを持ち、艦娘の変化を提督だけでなくもう一つの目で確認し、変化を把握できるだけの存在。

 それは人間ではなく同じ艦娘にその役割を担わせた方がいいだろう、と考えたのだ。ではその艦娘を誰がするのか、となると候補に挙がったのが最後の連合艦隊旗艦、軽巡大淀だった。

 連合艦隊旗艦として機能できるように改装された設備、新型の偵察機を装備できるという能力。これらを踏まえて艦娘として作る際には高い事務能力にも上手く目覚めさせることが出来た。そのためそちらにパラメータを振り、戦う力にはあまり振られる事はなかったという。

 そうして生まれた大淀は計画通り、艦娘の黎明期における提督らにとってなくてはならない存在となった。各鎮守府で副官として見事に役割を果たし、提督らを支えてきた。それは今もなお変わることはない。

 

「……だが、情勢は変わりつつあるのも確かだな。大淀もまた戦力に加える時が来たのかもしれない」

 

 昔は大淀一人がいなくとも、他の艦娘達という戦力がいたから戦いは問題なかった。しかし深海側も力をつけている今、大淀もまた新たな軽巡枠として力を得る時だろう。

 少しでも戦う者がいた方がいいのだから、各鎮守府に一人は必ずいる大淀もまた緊急事態に対応出来るようにするのがいいだろう、と判断する。

 

「大淀の調整はこちらでしておく。完成したデータは工廠で大淀にアップデートする事で対応できるだろう。そこからは貴様が好きに育てるといい」

「承知しました。……お手を煩わせることになり、申し訳ありません」

「構わん。これもまた必要な事だろうからな。他に気になる事や変わった事はないか?」

 

 変わった事、といえば最近変わってきているのが湊だろう。でもこれは別に改めて言う事ではない。他に何があったのかというと、あの猫やセーラー少女妖精だろうか。

 しかしこれも別に言う事はないだろう。妖精が一人二人増えたところで対して違いはない。害があるようなところはないようだし、放っておいても問題はなかった。

 なので凪は特にはない、と答える。

 

「……そういえば海藤。貴様、実家に帰る予定はあるのか?」

「はい。明日、帰る予定です」

「そうか。では、貴様の父に新年の挨拶と、後で使いをよこすから土産を渡しておいてくれ」

「お知り合いなのですか?」

「昔のな」

 

 ふっと笑う美空大将の雰囲気は、とても柔らかいものだった。

 

 それからはまだしばらくパーティが続き、いくつかのプログラムが消化されていく。美空大将も元の場所へと帰っていき、また偉い人と話をしながら過ごしていた。

 凪も茂樹達と共に飲み明かしていき、新年会は終わりを迎えた。

 終わったからといってすぐ帰るわけではなく、東京で一泊する事となる。

 一夜明けて茂樹達とは一旦別れる事になる。彼らの実家はこの関東にあるので、それぞれの列車で帰郷する事になった。そして湊と凪もまた関西へと向かう列車に乗り、帰郷する。

 途中の別の駅で軽く挨拶をして別れ、凪は実家へと足を進めた。

 その造りは和風なもの。庭があり、見た目はちょっとした屋敷風。代々海軍をしていただけあって格式があるように見えるが、金持ちというわけでもないので屋敷の規模としては下の方だろう。

 横開きの扉を開けて「ただいま」と声をかければ、「おぉ、よぉ帰ってきたねえ」と母親が出迎えてくれた。

 

「お帰り、凪。お父さん、凪が帰ってきたで」

 

 居間へと向かえば、着物を着こなしていた父親、海藤迅が静かに酒を呑んでいた。凪に気づくと「……お帰り」と言ってくれる。「ただいま」と返しながら手にしている鞄からいくつかの包を出していく。

 

「これが呉土産で、こっちが新年会の土産」

「おお、そうか。後でありがたくいただいとくわ」

「それと親父、美空大将から明けましておめでとうという言葉と共に、個人的な土産も受け取っておいた」

「さよかい。……ああ、久々に食う事になりそうやな。懐かしい」

 

 中身を確認すれば、ちょっとしたお菓子だったようだが、迅は目を細めて微笑を浮かべている。やはり昔の知り合いだったのだろうか。そう思っていると「あいつが第三課に居た時からの知り合いや」と凪の疑問に答えるように話し出した。

 

「俺が提督やってた頃に色々と艦娘の事とか話し合っててな。あいつ、今でもそういう方面で力振るっとるやろ?」

「せやな。改二とか新艦娘とか、色々やっとる」

「大将になってもそういうとこは変わらんのお。……ま、息子喪ってから変わりはしたようやがな」

「……美空星司?」

「そうそう、そんな名やったな。その頃は俺はもう海軍辞めとったから、実際どんな感じなんかは話を聞いただけやったんやが、美空と会って雰囲気が変わったことはわかっとった。そして、それからの美空の動きもな。それまで知っていたあいつとは明らかに違っとった。何か目的をもって大将の地位を得ようとしているとな」

 

 こたつを挟んで対面に座ると、迅が空いているグラスにポットに入っていた紅茶を淹れてくれる。凪が来るということであらかじめ用意してあったみたいだ。

 母親が下ごしらえしてあった料理を運んで来てくれる中、迅は昔を思い返すような目をする。

 

「いつの時代も我が身可愛さに立場を守ろうとし、本来の役割を放棄する奴はいるもんさ。小さい綻びはやがて大きな軋みとなり、歪な体制が出来上がる。それに伴って悪意も生まれてくる。そうした穴が本来できるはずやったもんが出来なくなる。割りを食うんは現場に出た奴と、普通にやってきた奴。そして優秀な奴」

「…………」

 

 迅の事か、と凪は思う。

 彼もまた人の悪意によって海軍を辞めさせられた人間だ。

 

「なに、俺はもうあまり気にしとるわけじゃあないけど、美空はそうではないようやな。あいつは今もなお自分に出来る事なら、と歪な体制を変えようとしとる。あいつを動かしたんは俺の一件と美空星司の一件。他にも色々な事が重なって、やらなあかんってなったんやろうな」

「やっぱりそうなんか……。俺をスカウトしたのも?」

「俺の息子ってのは前から知っとったよ。俺が話したことあるし、美空からお前の事について訊かれたこともあるな」

「って事は、公開演習以前から俺は目ぇつけられとったってことか」

「そうなるな」

 

 いつから凪の運命は決められていたのだろう。

 凪にとっては公開演習の時に決められていたものと思っていたが、まさかそれ以前からフラグがあったなんて思いもしなかった。しかしそれを気にしても仕方がない。

 グラスを傾けながら「提督、どうなんよ?」と切り出す。

 

「最初は不本意やったんやろ? 今は、どうや?」

「悪くはないと思ってるよ。色々考える事ややる事があって、毎日充実してる」

「さよかい。それなら良かった。昔と比べて変わっとるやろうが、何か教えられることは教えるで?」

 

 料理を頂きながらゆっくりと二人は話をする。母親も一緒に卓を囲んでいるが、口を挟まずに穏やかに二人を見守っていた。

 昔ならば考えられない。

 この親子が提督について話をする事なんて。

 迅が現役の頃とどう変わったのか、から始まった会話は料理を食べ終えても続き、最近の事についても話題に上がってくる。

 

「大淀か。……確かに俺ん時は完全に事務方面での仕事が主で、それが当たり前になっていく流れやったな。あの娘は艦娘というより、本当の意味での人間の秘書って感じやったわ。それ、今も変わらんかったか」

「いるのが当たり前。その仕事をするのが当たり前。……そうなったら簡単には変わらんよな」

「だが、永遠に変わらんもんはない。状況が変われば自ずと変わらんといかん。いい機会やったと考えるべきやな。大淀もまた艦娘。それも最後の連合艦隊旗艦。それ相応の力を発揮できるよう、美空も調整するやろう。……が、一つ気に留めておく事がある」

「というと?」

「大淀の件もそうやが、当たり前であるからこそ、見落とす事や気が向かない事があるっちゅうことを忘れんなや」

「……深海側の変化とか、か」

 

 深海勢力における提督の存在。

 いつからいるのかはわからない。もしかすると深海棲艦が生まれた時から存在していたのかもしれない。

 だが、それは存在している。

 その存在によって深海勢力はこの数年で変化が生まれてきているようだった。

 ならばその戦術も変化するだろう。

 

「俺が現役の頃はあいつらは正しく獣のようやった。自分の領域に入ってきたもんは何だろうと沈める。艦娘やろうと輸送船やろうと、な。侵せば出る、ほんで食らいついてくる。そこに思考はなく、本能のままに暴れる獣」

 

 だからこそ脅威だった。

 突如現れ、瞬く間に数多の海を奴らの領域として勢力を広げていった。だが艦娘の登場と当時の海軍の努力により、何とか制海権を奪還していく事に成功した。

 どう戦えばいいのか、という戦術も確立していけば反撃の手段も構築できた。

 そうなれば奴らは獲物と化す。

 いつしか一部の者達は艦娘を猟犬とし、どれだけ深海棲艦を沈められたか、を競う狩りへと変化していく。

 時の流れは残酷だ。

 一時は脅威だった存在相手に慢心が生まれ、地位を獲得するための獲物として見るようになる。

 対して知性なき獣にして人の獲物だったはずのそれらは、いつしか知性を獲得する。

 変化を遂げた彼らは群れた獣ではなく、軍といっていいだろう。

 深海提督を得て統率された軍、と。

 

「最近じゃあ新たな個体も出とるって聞いてるな。それくらい奴らも変わったっちゅうことやろう」

「姫、鬼級の出現か……。そして深海提督」

「深海提督?」

 

 大和の事は隠し、それらしき存在がいるかもしれない、という事だけ話した。

 美空大将にも話していない深海提督の存在。迅はどういう反応をするだろう、と思っていると、

 

「ほぉ……それが獣が変わった原因か」

 

 と、特に存在を否定する事はなかった。むしろ納得したように頷いている。

 

「群れを統率する誰かがいるんやないかとは思ってたよ。昔やったらル級だったり、ヲ級だったりやろうな。一体誰が奴らを生み出してるかは見当もつかんかったが、なるほど、最近はその深海提督って奴か」

 

 となると、と迅は少し思考する。

 最近の大きな戦いはなかったか、と聞かれると南方における戦いについて凪は話した。今までの深海棲艦だけでなく、陸上基地である飛行場姫という新たな存在も生まれた事も。それらを踏まえて、迅はこの先どういう可能性があるかを話す。

 

「――俺やったら実験する」

「実験?」

「陸上基地という新たなものを作り上げた深海提督。だが、そいつは前回の戦いで負けたんやろ? 深海側も海軍と同じように作った艦のデータを共有してるんやったら、別の深海提督はその陸上基地のデータを入手して、じゃあいきなり大きな戦いに投入する、ってことにはならへん。まずどういうものなんかを把握するために試すやろう」

「……確かに。ということはいずれどこかでまた陸上基地の深海棲艦が出てくる、と」

「その戦いは恐らくは小規模やろうな。本番はその次、と俺なら考える。……ま、俺の場合や。その深海提督とやらが何を考えているかは知らん。が、可能性として挙げておくわ」

 

 あり得ないという事はないだろう。

 飛行場姫、という誕生は深海側にも大きな影響を与える。南方提督は敗れたが、飛行場姫というデータは残るのだから。

 凪としてもまた別の形で出てくるだろう、という事は想定している。だからこそこちらもまたそれらを早急に撃破できるだけの力を磨いているのだ。

 だが迅の語った想定される未来、というのは気になるところだ。

 

「本番って、何があり得る?」

「さぁな。今の情勢を詳しく知っとるわけじゃあらへんからな。知るというのは大事な事や。攻略する敵がどういうものなのか、どういう戦力を持っているのか、どういう思考をしているのかとか……何でもええ。その情報を知っているだけでも結構変わる。……その点においては人類は難しいな。奴らは海から来る。どんな新たな顔を作ってきているのか、対峙してみないとわからんというのは辛いとこやろう。……が、敵はそうじゃない」

「死に出しが出来るとか、そういうのか」

「その気になればな。消耗品としてこっちにぶつけてくるだけで、こっちの戦力が割り出される。もしかするとさっき言った実験の件でされるかもしれんで? そうなったら次の本番、気を付けんと多く持ってかれるかもな。……ま、その本番がどこでやるのか、本当にそのプランで来るのかはわからんけどな。ははは」

 

 今はただ、備えるしか出来ない。

 敵の動きが読めないならば、どういう手で来ようとも対処できるようにするしかない。

 これからの方針が改めて固まると同時に、迅が語った可能性を心に留めておくことにし、凪はこの久しぶりの家族団欒の時間を過ごしていった。

 

 


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