呉鎮守府より   作:流星彗

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新人

 

 

 3月。それは春の訪れ。

 新しい命が芽吹き始める季節。白く、寒い冬が終わり、少しずつ暖かくなってくる頃。

 呉鎮守府もまた春を迎えるだけでなく、以前と比べると新しい顔を多く迎えていた。

 大本営から全鎮守府に様々なデータが送信された中には、大島が持ち帰ったドイツの艦娘も問題なく日本の建造ドックで生まれる事が出来たため、彼女達も含まれるようになった。

 また同時に駆逐艦浜風のデータと、霧島改二のデータが更新される。これほどまで次々と新しいデータを更新するとは、第三課や美空大将はしっかり休んでいるんだろうか、と気になるところだ。

 そして呉鎮守府もまた変化を迎えている。

 工廠で作業している凪の手元にはいくつもの艦載機があった。それまでは主砲、副砲の調整に勤しんでいたが、これからは艦載機へと手を付けていくことにする。空母の数も増えたことでより高性能な艦載機の開発と調整が必要になってきた。

 そこにあったのは烈風、彗星十二型甲、流星改という現時点において最高とされている艦載機。開発で生み出し、装備させる空母の艦娘に合わせて微調整を重ねていく。工廠の妖精たちも手伝うためにちょこちょこと道具を持って来たり、調整が終わった艦載機を渡す空母のラベルが貼ってある箱へと持って行ったりしている。

 その中で、工廠の入り口に一人の艦娘が現れる。

 

「失礼するわ、提督。ここにいるのでしょう?」

 

 よく通る声だ。なんだなんだ、と妖精たちが入口へと視線を向けるが、凪は作業に集中しているせいか、振り返らずに黙々と烈風をいじっていた。軽く持ち上げてじっと細かいところを確認している凪を見つめるその艦娘は、自分に気づいていないらしい凪に少し苛立ったように「――提督! こちらを向きなさい、提督!」と何度も声をあげる。

 妖精の一人がぺちぺちと凪の足を叩いて呼びかけると、その妖精が道具を渡そうとしているのか、とそちらを見ずに手だけ伸ばして、どうぞと手を開く。ちげーよ! とその手も叩くと、ようやく凪の視線が妖精へと向けられた。俺じゃないよ、あっちだよ! と入口の方を指さすと、そこには腕を組んで苛立つように足で床を何度も叩いている金髪の美人が立っていた。

 気の強さがうかがえる碧眼はじっと凪を睨み付け両肩を露出した、グレーの軍服のようなボディスーツのようなものを着用している。頭には電探と思わしき突起が付いた将校の帽子をかぶり、首元には錨のようなアクセサリーを首輪にして付けている。

 一目見て軍人だ、と思わせるに相応しい身なりといえる。それにしては少々変わった服装ではあるが、軍に関わりのある金髪美人だ、と周囲に認知させるには充分な雰囲気を纏っている。

 

「ようやく気付いたわね。この私が何度も呼びかけているというのに、手を煩わせないでちょうだい」

「やー悪いね、ビスマルク。この通り、作業に集中すると周りが見えなくなる性質でね。で、何か用かな?」

 

 ビスマルク。これが彼女の名前だ。

 ドイツが誇る戦艦ビスマルクの艦娘であり、最近のドイツとの取引によって日本海軍が迎え入れた三人のドイツ艦娘の一人である。美空大将によって日本の建造ドックでも建造できるように調整され、全ての鎮守府で建造可能な艦娘として共有された。これが3月に入った頃のこと。

 ちょうど呉鎮守府の戦力拡張の時期だっため、建造可能になったのならばとりあえず作っておくか、と放り込み、いくつかの失敗と別の艦娘の登場を経てビスマルクが建造されたのだった。ちなみに別の艦娘は同じ戦艦である扶桑や陸奥が含まれた。特に同じ5時間という建造時間だったので、ビスマルク来たか? と思ったら陸奥だった、というのは他の鎮守府でも見られた現象らしい。そんな話を湊や東地から耳にした。

 

「そう、用件なのだけど、あの大和を何とかしてくれないかしら?」

「というと?」

「どうにも規律というものを知らないのね。あんなのが旗艦というのは私的には受け付けないわ」

「ふむ? まあ、うちの大和はちょっと他の大和とは違うというのはわかっているけどね」

 

 生まれが生まれなのだからしかたがない。

 しかしビスマルクは頭を掻きながら「それで片づけられても私は困るわ!」とずんずんと凪に近づいてくる。

 

「部隊変更か、旗艦変更を要求するわ。あれと付き合っていくことなど無理よ!」

「そうは言われてもね。具体的に何が受け付けないのか、まずそこから聞かせてくれないかな?」

「いいでしょう。では聞かせてあげるわ」

 

 そして彼女は語る。大和との話を。

 

 それは第二水上打撃部隊のことである。

 戦力拡張に従って艦娘を増やした結果、凪はそれに合わせて艦娘達の編成を変える事にした。既存の艦娘と新たな艦娘を組み合わせていき、その第二水上打撃部隊は以下の編成となった。

 旗艦に大和、以下日向、ビスマルク、鈴谷、木曾、村雨とした。

 新入りはビスマルクだけだが、割と何とかなるんじゃないかと凪は思った。ビスマルクのお堅い性格を多少は和らげるだろうと思われる日向や鈴谷、村雨。少々問題児かもしれない大和に、木曾というもう一人の真面目役。日向も真面目役かもしれないが、一点において崩壊するため、和らげ役として扱った。それに普段はきちんとしているし、大丈夫だろうと思ったのだ。

 が、大和の問題児は凪の予想を少し上回ったらしい。

 

「遅いわね。何をしているの、うちの旗艦は?」

「たまにあることだ。今木曾が連れてきてくれている。もう少し待とうじゃないか」

「日本は時間はきっちりしていると聞いていたけれど、こういうこともあるのかしら?」

「人によるってやつよ。だれもかれもが、きっちりしているわけじゃないし~。ま、まったりいこうじゃん? ずっと気を張り詰めてるのもつかれるでしょ?」

 

 日向と鈴谷がビスマルクをなだめているが、ビスマルクは苛立ちを隠せていない。「ドイツの人って、堅苦しいな~……」と鈴谷が呟いているが、村雨がまあまあ、と鈴谷も落ち着かせている。

 やがて道の向こうから二つの人影が近づいてきた。大和と木曾のようだ。どこか眠そうな表情を浮かべて頭を掻いている大和。そんな大和を睨み、「どうして遅れたのかしら?」とビスマルクが問いかける。

 

「ごめんなさいね。ちょっと昨夜は寝るのが遅かったものでしてね」

「何をしていたのかしら?」

「ただの自主練よ。ちょっと体を動かしたくなったものだからね。それがちょっと熱が入ってしまったもので」

「いつものあれをやったらしい。それで負けたとさ」

「あぁ、いつものか。昨日は何を?」

「ちょっとした模擬戦よ。全く、追いつけそうで追いつけない。だから追いかけ甲斐があるものだけどね。だから自主練に熱が入ったともいえる。あんまり寝てないのよね」

「……いつもの?」

 

 ビスマルクは最近入ったばかりなので、大和の「いつもの」を知らない。どういうことかを鈴谷が説明すると、「……長門と?」と訝しげな表情を浮かべる。

 

「秘書艦とそんなことをしているの?」

「何か問題が? 秘書艦といえども、長門も一人の艦娘。共に研鑽を重ねる同胞ですよ。ならば、ライバルと認識するのも自然の流れ。そしてライバルを越えたいと願うのも自然の流れ。私はそれに則って行動している。それに熱が入ってしまっただけですよ。……ま、お前たちを待たせてしまったことは申し訳なく思いますけども」

「……だからといって、身だしなみをきちんとしないのはどうなのかしら?」

 

 急いできたからなのか、艦娘としての服装が少し崩れてしまっているし、髪も寝癖がついてしまっている。それを指摘された大和は「……別に? 気にするようなものでもないでしょう」と手を振る。

 

「軍人が身だしなみを整えないというのはどうなのかしら?」

「お堅いわね、ビスマルク。私たちは軍属ではあるけれど兵器であり、軍人ではない。それにここに身内はいても他人はいない。そう身だしなみなぞに気を配り続けるものではないでしょう」

「我らの旗艦がそうずぼらになられても困るわね。部下である私たちが低く見られるわ。それに服装の乱れは心の乱れという言葉もある。もう少しまともに出来ないのかしら? それでも日本が誇る戦艦大和なの?」

「確かに私は戦艦大和の艦娘、という兵器。兵器に見てくれなど意味はないでしょうに。兵器はどれだけ性能を上げ、敵を倒せるかにかかっている。……さすがはドイツの戦艦。ドイツらしい思考を持っているようですね。でも、それを大っぴらに持ち込まないでくれます? 新人さん」

 

 じっとビスマルクを見つめながら大和はそう返す。新人さん、という言葉にビスマルクが反応したように眉を動かす。

 

「ここは日本、そして呉鎮守府。ドイツではない。私たちには私たちなりのやり方があります。新人であるビスマルクが、自分の思想を押し付けないでほしいものですが?」

「…………」

「どうしてもと言うならば、力を示してもらいましょう。そんな怒気をまき散らすものではない。私にとってはそんなものは涼しい風でしかないけれど、そんなに溜めこむものでもない。発散する機会を与えましょう。文句があるならば、演習で聞く形でどうです?」

「いいわ。それが、日本式ならば。あなたの挑発に乗ってあげましょう」

 

 そこまで話し終えると、凪は「まって?」と手を軽く挙げる。

 

「君ら、やりあったの??」

「ええ、やりあったわ」

「…………後で報告書提出させるか」

 

 予定にない大和とビスマルクという組み合わせでの演習。本来ならば今日はビスマルクの弾着観測射撃の訓練だったはずだが、どうしてこうなったのか。燃費でいえば大和もかなり食うが、ビスマルクもなかなか食っていく。水雷戦隊が増えたことで遠征効率が前に比べて更に上がり、呉鎮守府の資源は余裕が持てるようになっている。

 だからといって余計な出費を重ねていいわけではない。抑えられるものは抑えておきたいのが凪の考えだった。

 

「それで、結果は?」

「…………負けたわ」

「でしょうね」

「な、なによ! そんな、わかってたみたいな表情を浮かべて!」

「いや、うん……練度的に勝てるビジョンが見えないもんでね。で? 今のところ君がそこまで受け付けないとキレるまでのことは起きていないように感じるのだけど」

 

 凪の感覚的にはそこまで拒否反応を起こすまでのことではない、としか感じていない。規律に厳しい真面目な性格をしているビスマルク的にはそうではないのかもしれないが、まさか負けた腹いせってわけでもないだろうし、と考えている。

 

「……目が、気に食わないわ」

「目?」

「そう。何か別のものを見据えているかのような目。自分を兵器と語り、旗艦としての心構えもなく、そんな立ち振る舞いを見られようとも何とも思わないような不敵な目。それでいて私を見下すかのような目、雰囲気。……日本の大和の艦娘というのはああいうものだったの、と失望しているわ」

「あー……まあ、あれは他の大和とは違うから、と一応フォローしておく。そして、君の語った印象も、それ故の生まれた性格、個性だとも言っておくよ」

「個性で片づけていいものなのかしら? あれを旗艦にしておけば、うちの部隊はまともにやっていけるとでも?」

「補佐の日向がいる。突出しすぎるのを諌める日向、そして木曾がいるからね。個性が強すぎてもいけない。そのあたりのバランスはとったつもりだよ。……そして、君もいる。そうやってぶつかり合い、研鑽を重ねるならばそれでいい。いきなり演習をしたというのは驚いたが、それを大いに咎めることはしない。そうやって切磋琢磨すれば、君はより成長するだろう。大和のことを知るだけではない。演習によって少しでも得られたものはあったんじゃないのかい?」

 

 凪の言葉にビスマルクはまだ小さな怒りを抱えた表情のまま沈黙する。そして、思い返してみる。確かに負けはしたが、大和の実力を推し量れた。彼女の戦い方は自分にとっては新鮮なものとして受け止められるものではある。

 いや、あれは艦娘としても異質なのではないだろうか。

 艦娘としての艤装の一種である赤い和傘。電探の機能としても使われているそれを艤装化したと思われるその和傘を閉じ、まるで槍のように振り回してきたのだから。それはありなのか? と困惑する間もなく、大破判定を受けて負けてしまった。

 あんな戦い方は納得がいかない、というのも、怒りの要素の一つになっている。

 

「あー……最近なんかしていると思ったら」

 

 と、大和のことをきいた凪が苦笑を浮かべながら目をそらす。恐らく大湊の一件による影響だろう。艤装を人の武器のように扱った技術を模して、大和なりに自分に当てはめたのだろう。

 さすがに電探を武器にするとは思わなかったが、その外観は和傘だ。和傘を武器にしてみた話もないわけではない。隠し刀というものがあるくらいなのだから。

 

「君の意見は分かった。が、君達を異動させるつもりはないよ」

「…………そう」

「まだ組んでから数日。君にとっては悪い面ばかり映ったかもしれないが、それが大和の全てではない。……確かに俺にとっても扱いが難しい娘ではあるよ。でも、戦果は挙げられるだけの力を持っているのも確か。日常の中では気に食わない点が多いだろうけど、実戦の中じゃそうでもないかもしれないよ?」

「その実戦はいつになるのかしら?」

「さてね。近海は相変わらず静かなもの。奴らが動いた時、その機会は巡ってくる。それまでは今日のような研鑽を続けるといい。その時間の中で、もっと交流してみようか。判断を下すのはそれからでも遅くはない」

 

 そう言いながら、工廠にある冷蔵庫からいくつかの缶を取り出してビスマルクに渡してやる。それは建造によって生み出された妖精たちによるレーションである。艦娘の基礎能力を底上げしてくれるものであり、一緒にお茶のペットボトルも手渡してやりつつそれでも食って落ち着けと言ってやる。

 日本のレーション? と怪訝な表情を浮かべるビスマルクを尻目に、凪は工廠に備え付けてある電話をとって「大淀、大和を見かけたら演習についての報告書を提出するように言っておいて」と伝える。

 だが、「失礼しますよ」と工廠の入り口から声が聞こえる。見れば、噂の人物である大和が立っていた。大淀に「こっちに来たわ」と伝えていると、

 

「私を呼びました?」

「ああ、呼んだというか、君のことについて話をしていたというか」

「そう。噂されるほどになりましたか、私も。って、なぜビス子がここに?」

「あー、君のことでね……ってビス子?」

「待ちなさい。何かしら、その呼び方」

「勝者の特権というものかしら。今日は色々と私に突っかかってきたじゃない? 結構な怒気をぶつけながら。それがあまりにも涼しくて、可愛らしいものでしたからね。親しみを込めて、ビス子と呼ぼうかと」

「喧嘩売っているのかしら? このビスマルクに対して」

「あら、またやるんですか? いいですよ。私としてはそうして戦う機会が巡ってくるのは喜ばしいもの。これもまた経験となり、私を強くさせる。相手してあげますよ」

「待て待て待て、ここでやるな。ってかもうやったんだから却下する。それと大和、好戦的なのはいいけど、必要以上挑発してしまうと、艦娘同士の関係にひび入るからやめようね? 今度は人間関係について学ぼうか?」

 

 二人の間に割って入りながら止めてやる。大和の腕や肩を掴んで前に出ようとするのを引き留めつつ、どうどうと落ち着かせるように背中をたたいてやる。「長門に続いてビスマルクまでライバル認定かい?」と小声で問いかけると、「ビス子はライバルってラインじゃないですね。今はただの新人でしかないですよ」と返ってくる。

 

「じゃあ新人いじめはやめておきなって」

「新人を相手にするのってこういうものだと知りましたが」

「それはちょいと間違った印象じゃないかな? 情報源を変えようか。もう少し新人には優しくしてあげなさい」

「ふむ……しかたないですね。わかりました。あなたをこれ以上困らせるのも私的には望ましくないので、やり方を変えましょう」

 

 ようやく落ち着いてくれたので、やれやれと息をつく。長門との関係から好戦的なのはわかっていたが、それがビスマルクにも発揮されるとは。悩みの種がまた一つ増えてしまったと頭を掻く。

 ビスマルクも凪の後ろでじっと大和を睨みつけているが、大和が落ち着いたのならば、こっちから仕掛けることもないだろう、と矛を収めてくれたようだ。ビスマルクとしても、提督である凪を必要以上に困らせる理由はない。大和が気に入らないのは変わらないが、ひとまずは様子を見るのだ、と先ほど決めたばかりだ。売られた喧嘩は買う性質だが、相手が引くならこちらも引くだけのこと。

 そして、「で、何の用でここに?」と凪は思い出したように訊いてみる。ああ、と大和も頷き、その手に艤装を顕現させた。

 

「修理と補強を頼もうかと思いまして」

 

 と、和傘の電探を渡してきた。

 無理な使い方をしたのか、和傘の部分が欠けていたり、電探の部品がへし折れていたりしている。

 

「…………修理はまあ、いいとして、補強って何かな?」

「もう少し強度を上げてくれます?」

「あのね? これ、電探だよ? 強度を上げろって言われても」

「だったら和傘部分の領域拡張しつつ補強でどうでしょう。この辺りまで伸ばすとか」

「それじゃあ電探としての機能損なわれない?」

「他が索敵するでしょう」

「…………」

 

 本気かお前? だったり、だめだこいつ、だったりした意味合いを含んだ眼差しで大和を見つめていると、「……なるほど。提督も苦労しているのね」とビスマルクがどこか納得したように呟いた。

 そんな中で大和が自分が考えている和傘の改造プランを凪に伝え続けている。

 出来上がりが今の小さな和傘から大きな和傘になるのは変わらないが、強度を上げるとなると、傘の素材から変えていかないといけなくなるだろう。

 出来ないことはないかもしれないが、ちょっと素材を購入しなければならないかもしれない。それに凪にも出来る事と出来ない事がある。本当に無理なら無理と却下する。

 とりあえず要望だけは聞いておき、それが終わると演習についての報告書を提出するように指示して、二人を見送った。去っていく二人は若干距離が離れたまま歩いていたが、何やらまた口論になりそうな雰囲気のままだった。聞こえた限りでは「ところで、入渠したわりには服装に乱れが見られるようだけど?」とか、「そんな細かいこと気にするのね」とか聞こえてきたが、やっぱりビスマルクはきっちりしていないと気が済まない性質らしい。

 凪としても、別に見えていなければ多少は許容するのだが、そういう空気はビスマルクには合わないか、と推察する。必要以上に風紀が乱れるならば注意はするが、締め付けすぎるのもどうかと思う人なのだ。

 こういうのが気になる人は本当に気になるんだろうが、この1年はそれでやってきて大きな問題は起きていないからなー……と考えつつ、どうしたものかと頭を掻きながら席に戻る。

 ビスマルクでこれなら、もしかすると他の新人でも何か起きているかもしれない。

 一息ついて立ち上がり、ちょっと見てくるかと首にタオルを巻きながら「ちょっと出てくるよ」と工廠妖精に声をかけて工廠を後にするのだった。

 


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