もしもガルパンの世界に平成ガメラシリーズが存在してたら。
曲を聴きながらどうぞ。ガルパンはいいぞ。
ボコってガメラみたい→ボコ好き=ガメラ好きつまり・・・。という事で妄想してみました。
UA2000オーバー…こんな駄文を読んで下さりありがとうございます。
もしもガルパンの世界に平成ガメラシリーズが存在してたら。
とあるボコ好き専用チャット
無類のボコ好き:今週のボコのアニメ終わっちゃいましたね
ストナーボコシャイン:今週のボコも良かったです!
レッドスター:知り合いに勧められて見はじめた新参なのですが、ボコってかっこいいんですね
西方不敗:お!ボコ初心者発見!ボコの魅力を知ってもらえて何よりです!
ゴルディオンボコッシャー:しかしボコって何でマイナーなんでしょう?こんなにイイのに
GP01ボコランサス:それがボコだから!!
ブロx:ボコって平成ガメラに似てるからじゃないですか?
ボコズキッチン:ガメラって何です?
ボコから始めるボコ生活:確か10年以上前の怪獣映画でしたか。3部作の
ボコすば:私は見たこと無いですね…
無類のボコ好き:私は見たことありますよ!
ゴルディオンボコッシャー:私もです。懐かしいですね。特に3の最終決戦が…
◇ガメラ3 最終決戦
…怪獣の右手が貫かれる。
既に右手だけでなく、腹部をも貫かれて体に大穴が空いてるのがこの亀の怪獣、ガメラの現状。
絶体絶命。
しかしそれでもなお、その眼光に陰りはない。
怪獣は眼光凄まじく相手を睨みつける。
相対する触手の怪獣イリスも同じく、相手を睨みつける。
怪獣同士の睨み合い。 怪獣映画は数あれど、これほどまでに凄みのある睨み合いがあっただろうか。
右手を貫いた怪獣イリスが、己の触手の先から火炎を展開する。
この火炎は元々亀の怪獣が口から吐き出す技。彼が得意とする攻撃法。何故触手の怪獣が使えるのか。
それがこの怪獣の能力。相手のDNA情報さえ手に入れば、相手の能力など己の思うがままに利用する事が可能なのだ。
触手の怪獣は亀の怪獣の右手を触手で貫いている。その右手から亀の怪獣のDNA情報を奪い火炎を展開。
お前が得意とする技で死ね。
そうあざ笑っているかのようであった。
しかし、
亀の怪獣は眼前の火炎になど目もくれていなかった。
見つめるのは右手。触手に貫かれている己の右手。
勝機は。
触手から火炎が放たれる。その刹那。
亀の怪獣は己の右手に火炎を吐いた。
触手に貫かれているのならば、己の右手ごと破壊するまで。
面食らう触手の怪獣。
それはそうだろう。どこの世界に自分で自分を攻撃する奴がいるのか。
だが。 触手から火炎が放たれる。
火炎は亀の怪獣の右手に当たる。そう、破壊されている右手に。
これで詰みだ。
誰が?
触手の怪獣が。
己の目を、触手の怪獣は疑った。
亀の怪獣の右手が、炎を纏って復活しているのだ。
亀の怪獣は周囲の熱エネルギーを操作・吸収する能力がある。それは熱さえあれば己の傷を完治する事が出来るほどのものである。
触手の怪獣はそれを知らなかったのか? あるいは己の勝利に目がくらみ失念していたのか?
今となってはもう分からない。
何故なら。
触手の怪獣は全てを滅却させる炎の拳に腹部を貫かれ、爆発。 立っているのは亀の怪獣のみ。
…しかしその身は満身創痍。炎を纏って復活した右手は既に無く、腹部に空いた大穴はいまだ癒えていない。
この状態で、彼は戦いに往かねばならない。
敵は触手の怪獣だけではなかったのだ。 おびただしい数に増えた彼の宿敵が待っている。
あちらはあまりに多勢。こちらはあまりにも無勢。
彼は勝てるのか? いや、相手になるのか?
その答えは彼の背中が語っている。
何度倒れても、どんなに劣勢であろうとも、それでも立ち上がり、果敢に突き進む。
それがガメラだ。
…この戦いに彼が勝てたなら、もういちど教えてくれるだろう。
空へ飛んで往く彼こそが、世界と未来の、究極の守り手であると。
◇
「また懐かしい単語が出たわね・・・」
久々にボコ好き専用チャットを覗いてみたが、まさかボコから怪獣映画の話題になるとは思わなかった。
「そういえば・・・」
確か、あの映画のシリーズは皆で見に行ったかしら。
夫とまほとみほ、家族全員で。
例えばこんなしぽりん
『もういちど教えてほしい』
10数年前
『お母さま・・・何でまた怪獣映画を?』
『戦車が出てくるかもしれないわ。ガメラ2では格好よく出てきたでしょう?まほ』
『・・・確かに格好良かったですけど。あの映画のせいでみほが地下鉄にトラウマを・・・』
『おかあさん!映画館には戦車で行くんだよね?!間違っても地下鉄でなんて行かないよね!?』
『地下鉄のアナウンスを聞くだけで、あの単眼宇宙生物が襲って来る!って怯えるんですが・・・』
『安心なさい、今回は車で行くわ。帰りには近くの花火大会を見に行く予定です。とても綺麗ですよ』
『何故でしょう。少しも安心できません』
私は映画が好きだ。特に戦車が出る映画が。
西住流たる者、戦車の研鑽を怠ることはあってはならない。
どこに西住流戦車道の為になるひらめきが転がっているか分からないのだ。
『何を弱気な事を言うのです、まほ。いいですか。母が子供の頃はもっと怖い映画を見たことがあります。ゴジラ対ヘドラといって・・・』
『母さん、それはやめて』
◇
「…思いかえせば、家族全員で映画を見に行ったのはあれで最後だったわね」
夫は仕事が忙しくなって家にあまり帰れなくなり、まほは戦車道の訓練が本格化。みほは映画が苦手になった。
「そして今は…。 映画を見に行くどころか家から娘がいなくなる始末…ね」
―――西住流は何があっても前へ進む流派。強きこと、勝つことを尊ぶのが伝統。 犠牲なくして、大きな勝利を得ることは出来ない。
・・・しかし。
愛娘が家からいなくなる。 その犠牲で、一体どれほどの勝利を手に入れてきたのだろうか。
「勝利とは、もっと嬉しいモノではなかったかしら…」
あの子がいなくなってから手に入れた勝利の味は、何故かちっとも嬉しくはなかった。
◇
西住しほ。お前は母である前に西住流戦車道の家元だ。
お前が西住流に反する事をしでかせば、西住の名は地に落ちる。
西住流家元、西住しほ。お前は間違ってなどいない。
お前は母ではない。お前は母などではない。
お前は一人前の、西住流だ。
「・・・・・・」
夜空の星を数えながら、自分が何なのかを確認する。
ちょうどみほが家を出て行ってから始めた、私の日課。
実家からは星がよく見える。とても綺麗だ。心が落ち着く。・・・始めた理由は、たったそれだけ。
「今夜は、映画でも見ましょうか」
戦車が出る映画にしよう。
一人きりで。
◇
《怖いか?》
《・・・はい》
《いざとなったら、逃げればいい》
《は・・・?》
《ガメラですら敵わなかった相手だ。逃げても、誰も文句は言いやせん。まあ、そのくらいの気持ちでいこうや》
《・・・はい!》
「いつ見ても戦車乗りの鑑だわ。この方たち」
どんなに強大な敵が相手でも、人々を守る為に戦車に乗って戦う。
西住流も負けてられないわ。 本当に格好いいこと。
「そして何より、ガメラが格好いいのよね」
私が今見ている映画ガメラ2は平成ガメラ3部作の2作目にあたる。
戦車が出て活躍してるので、3部作の中では最高傑作だと思う。
「ああ、終わってしまった・・・」
怪獣映画は意外とすぐ終わってしまう。昔の映画だからだろうか。
「まだ見足りないわね。・・・良い日本酒も余ってることだし」
あと一本ぐらいは見れそうだ。
「2を見たのだから、久々に3でも見てみましょうか」
―――家族4人で最後に見た、思い出の映画を。
◇
酒がまわってきたからだろう。きっとそうだ。 この私が映画を見ながら、感情的になるなんて。
「この怪獣って、一体何なの?何しにいくわけ?」
《ガメラは戦うつもりです。最期まで。…独りになっても》
「そんな体で戦う?負けに行くの間違いでしょう?勝てやしないわ。勝たなければ意味が無いのよ」
―――私【西住】がそうであるように。
《ガメラは、独りじゃないわ》
「・・・、・・・何が独りじゃないわ、よ」
―――私とは違うとでも言うのか。
時には朝まで星を数えていた私とは。
去年の戦車道全国大会決勝から、ずっと独りきりの私とは。
「わたしは、・・・わたしは!」
私は、西住しほ。
誰であろうと邪魔者は潰し勝利する。 戦車道西住流家元だ。
◇
第63回戦車道全国大会決勝戦
「まほ。この試合、王者の戦いを見せつけてやりなさい」
「西住流の名にかけて、必ず叩き潰します」
大洗に行ったきりの娘、みほは独りきりではなくなっていた。
引っ込み思案のあの子がまさか戦車道チームを率いて挑んでこようとは。
邪道は、敵は、潰さねばならない。
「…お母様?」
「何かしら」
「…体調が優れないのですか?最近あまり眠っていないと聞いてますが」
「貴女には関係ないでしょう、まほ。私にかまうより、試合に集中なさい」
「…お母様」
―――まだ何かあるのか。さっさと敵を潰しに
「ガメラという映画を覚えていますか」
・・・・・は?
「最近思い出したのですが、私が子供の頃家族みんなで見に行った映画です。
3部作全部見に行って、怖い思いもしましたが感動したのを私は覚えています」
・・・・・何故今その話がでる?
「私は2作目のガメラ2が好きなのですが、知ってますか? みほは3作目のガメラ3が好きなのです」
・・・・・だから、それが何だと
「お母様も、ですよね?
私は覚えていますよ。あの時、みほと一緒にエンディングで泣いていたのを」
・・・・・。
「お母様。私はお母様と同じく西住流そのものであり、貴女の娘です。
そしてみほも、どんなに離れても、貴女の娘なのです。私達は家族です」
―――――私は、
「お母様。この試合が済んだら、奢らせてください」
◇
超重戦車マウスが撃破され、娘の乗るティーガー戦車も撃破された。
黒森峰女学園は敗北し、勝ったのは娘の乗る四号戦車。大洗女子学園。
【私】の娘が、勝った。
「みほ。 貴女は何度倒れても、どんなに劣勢であろうとも、それでも立ち上がり果敢に突き進むのね」
―――貴女はまるで、あの亀の怪獣みたい。
・・・私も負けてられないわね。
貴女の家族として。
貴女の母親として。
「出来ることなら、貴女が大洗で何を感じて何を学んできたのか、一度教えてほしいわ」
そして、また家族みんなで一緒に映画を見ましょう。
10数年前
・・・怪獣映画は終わった。
エンディングテーマも、じき流れ終わる。私はこの時間が好きだ。寂しく感じるけれど、隣には家族がいる。
家族と、映画の内容を話すのが何よりの楽しみなのだ。
みほなんて、涙で顔がくしゃくしゃになっているし。
『おかあさん。…ガメラはあの後どうなっちゃったの? 教えておかあさん』
『もちろんガメラは勝つわ。…だって、』
『ガメラはヒーローですもの』