超次元ゲイムネプテューヌ~異世界からの鋼糸使い~ 作:三代目エリオット
「貴女、さっき工場の社長って言ってなかった?ここ、どうみても食堂よね?」
店に着くなりアイエフはシアンにそう尋ねる。
「ここはシアンの実家の食堂だ。工場はここの隣。シアンなりの配慮だろ?」
「まぁな。話をするなら機械や油まみれの工場なんかよりこっちのほうがいいだろ。適当に好きな所に座ってくれ」
「じゃ、私カウンター席とったー!」
ネプテューヌは開いてるカウンター席に座り、はしゃぐ。
だから、子供かよ。
カウンターの椅子でくるくるを回転しながら遊んでるネプテューヌをスルーし、シアンの方を向く。
「それで早速だが仕事の詳しい話を聞かせてくれ」
「あぁ。単刀直入に言うと紅眞達には、交易路のモンスターをどうにかして欲しいんだ。少し前まではモンスターなんて居ない安全な交易路だったんだが、最近モンスターが出るようになっちまってさ」
「なる程、それで商品の流通が滞ってしまったと?」
「あぁ…その通りだ」
「ビンゴね。良いわその依頼、確かに受けたわ」
「助かる。ただでさえアヴニールの所為でこっちは景気が悪いってのに、それにモンスターまで加わってたまったもんじゃ無かったんだ」
「シアンさん。そのアヴニールって何ですか?」
「何だお前ら、アヴニールも知らないのか?」
コンパの質問に呆れたような顔をする。
「はいです。ラステイションには今日来たばかりなので何も分からないのです」
「そうか、なら仕方ないな。アヴニールってのは実質このラステイションを支配している大企業だ。家電から兵器までなんでも作って、その製品ラインナップの多さと低価格で市場を独占していると言っても過言じゃないんだ。こっちの商品は種類も価格も負けて売れないし……今月に入ってから知り合いの工場も何件潰れたことか……」
そう言い、悔しそうにシアンは顔をしかめた。
「ひ、酷いです。独占禁止法違反です!」
「一年ラステイションから離れていただけで、そんなに変わっちまったのか………女神様には言ったのか?」
「何度も相談しようとしたさ…けど、ブラックハート様の不在が長過ぎたんだ。教会の表向きはブラックハート様を信仰しているように見えるが、中身はアヴニールだらけさ…」
成る程…俺達に対する態度にも納得が行く
「アヴニールはブラックハート様に会わせてくれないどころか、顔すら見せてくれないんだ!」
「アヴニールは悪い会社なんだね。シアンも街の人もそれで困ってるんでしょ?」
「悪いなんてもんじゃない!バケモノみたいな会社さ!」
「…成る程。ラステイションはそういう事情を抱えていたわけね。それなら教会での事も頷けるわ」
事情を聞き、納得したようにアイエフは呟いた
「教会がそんな状況じゃ、女神さんに会う事なんて出来そうに無いですね…」
「ならさ、ラステイションの女神様…えっと、ブラックバード様だっけ?その人の住んでいる所に直接乗り込んで話を訊いて貰おうよ!私達も鍵の欠片の情報が手に入って、シアンもお願いを聞いて貰えて、きっと二倍お得だよ!」
‘名案が浮かんだ!’とでも言いたげにネプテューヌは叫ぶ。
「さすが、ねぷねぷ。良い案だと思うです。さっそく今夜にでもブラックバード様のお部屋に忍びこむです」
「二人ともブラックバード様じゃなくて、ブラックハート様な。勝手に鳥にするな」
「けど、ブラックハート様が普段居る部屋が分からないんじゃ、探してる間に捕まるのが関の山だと思うぞ」
「そう?やってみなきゃ分かんないよ?やらないで後悔するより、やって後悔派の私としてはそれだけじゃちょっと諦めきれないかなぁー」
「今回は諦めときなさいねぷ子。下手に動いて失敗したら尚更ガードが堅くなるだけよ」
「俺も普段ならネプテューヌの意見に賛成なんだが、今回は状況が状況だ。下手な行動はしないほうがいいだろ」
「それに、シアンからの仕事のおかげで鍵の欠片が見つかるかもしれないし、この件はこの仕事が終わってから改めて考えましょ?」
「むー…分かった」
納得できないらしく、ネプテューヌは不満そうに納得する。
「それじゃ、早速行くか」