「「うわああぁぁああ⁉︎」」
重力に引かれ絶賛落下中な俺とシンク。
「ユーリ!ユーリ!落ちてる!ねぇどうしよう⁉︎落ちてるよ!」
「分かってるよ!一々騒ぐな!こんな時はなぁ…。」
「こ、こんな時は?」
「シンク!」
「はいっ。」
「お前と出会ってからまだ2年程しか経ってないが、お前やベッキーのおかげで俺は救われて、凄く楽しい時間を過ごせた。短い人生だったが幸せだったと言えるよ、ありがとう。」
「ユーリ…。って、何でもう諦めモードなの⁉︎」
「バカ野郎!こんなもん地面に激突してデッドエンドだろうが!ってもう地面目の前じゃねぇか、くっ!」
強く目を瞑り歯を食いしばり、来るであろう衝撃に対して身構える。
しかし、衝撃は一切来なかった。
ゆっくりと目を開けると俺とシンクは、ピンク色の不思議な物体に覆われていた。
俺たちを覆っていた物体が花の様に開く。
その中で俺とシンクは背中合わせに座っていた。
「おぉ、どうやら助かったっぽいなシンク。シンク?」
呼び掛けても返事のないシンクを見るとぼーっとしている様だ。
そしてその視線の先には1人の少女が立っていた。
「耳と尻尾…?」
ピンク色の髪にお姫様の様な上品なドレス、そして何よりも目を惹いたのは犬の様な耳と尻尾。
そう、まるで爺ちゃんが語っていた物語の登場人物の様だった。
「はじめまして、召喚に応えて下さった勇者様でいらっしゃいますね?」
「勇者…?」
「私、勇者様を召喚させて頂きました、ここビスコッティ共和国フィリアンノ領の領主を務めさせて頂いております。ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティと申します。」
「あ、はい。シンク・イズミと言います。」
「勇者シンク様…ですよね、存じ上げております!」
周辺地域の姫様に勇者シンクねぇ…。
つか一緒に落ちてきたってのにこいつ絶対今俺の事忘れてるだろ。
目の前の姫様に至っては見えてすらいないのか。
そんな事を考えていると、短剣を咥えた犬が俺とシンクの荷物と一緒に降りてきて姫様の元へと向かう。
「タツマキー!勇者様のお出迎え、大義でありました!」
「あ、えっと、あの…。」
「勇者様におかれましては、召喚に応えて頂き、ここフロニャルドにお越し「フロニャルドだって⁉︎」
「おわぁ!びっくりしたぁ…。」
「びっくりしましたぁ…。」
「ユーリ、いたんだ。」
「バカ野郎一緒に落ちてきただろうが!そんな事より姫様、今フロニャルドって言いました?」
「え?あ、はい。ここはフロニャルドですが…?」
「どうしたの、ユーリ?」
「前に何度か話しただろ?爺ちゃんが聞かせてくれた話。」
「ああ、そう言えばそれの世界もフロニャルドだっけ?」
「ああ!本当にあったんだ…。」
「ふふ、嬉しそうだね、ユーリ。」
「おう!」
本当にあったんだ。
爺ちゃんが呼ばれて、魔物と呼ばれる怪物達と戦った物語の世界。
いつか行ってみたいと憧れた異世界。
感激だ。
完全にシンクのオマケだが本当に来れるなんて。
「あの、すみません。続きを話させて頂いても構わないでしょうか?」
「あ…。ごめんなさい!どうぞ!」
「はい、それでは。コホンッ!勇者様、私達の話を聞いて力をお貸し頂くことは可能でしょうか?」
「えーと、取り敢えず話を聞かせてくれたら嬉しいです。」
「あと、そちらの…。」
「ユーリです、風巻悠莉。」
「ユーリ様もお力添えを頂ければと思います。」
そこまで話したところで遠くの方からドーンと言う音と共に花火が上がる。
それを見た姫様は慌て始めた。
「いけない、もう始まっちゃってる!」
「始まってる?」
「一体何が…?」
「我がビスコッティは今、隣国と戦をしています‼︎」