予め定められた調子の和まない話   作:真神 唯人

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今ある世界だけが、1つじゃ無い。
世界は、整然と横並びに配列されている。

これは、今ある世界の「隣の世界」での話。
もしかしたら、の、「並行世界」での話。


無常という他にない  始まり

ヒーロー協会本部を見降ろしている、二つの影。一人は、白いマントをはためかせる壮年の男。

そしてもう1人は、腰まで伸ばした白い髪の若い女。男は口を開いた。

 

「....カナ。地球がヤバいっていう予言は、動かないか?」

「動かないね。予言の「ヤバい」を担ぐ片方が、ここにいるわけだし。今のままじゃ」

「....そうか。私だけなら、あのまま「表」に戻らなければよかったのだが」

「どのみち、「彼」がいる以上....出てこなきゃ止められないよ」

「....出て来たくは、なかったんだがね」

 

肩を竦めて飄々と目の前の世界を見ている男に、女は呆れた表情を隠さない。

 

呪いのように強く思い、願い、心身ともに負荷をかけて。

ヒトの体に施されているという、リ(・)ミ(・)ッ(・)タ(・)ー(・)を外すことで得られる、「力」。

「変容」とは違うそれは、一見「変容」に似ているモノではあるが。

やはり、異形であり、異能であり、人智を超えし、人の身に余りある「力」であった。

 

人為的に外される者。望んでも外せない者。望まない「力」を得た者。そして。

切望の末に、限界を超える負荷を己にかけてなお、自己を保った事で望んだ「力」を得た者。

理由がどんな事であれ、得られた者は例外無く「代償」を払わされるとはいえ、その力は大きい。

天秤の傾きがどちらに寄るか、「呼称」が変わるだけで。「力」そのものは、平等だ。

ただ、何故そんな事が可能なのかは....未だ解明できてはいない。どれだけ科学が発展しても。

 

....ある者は「神」が与えた、尊き力だと言っていたが。

 

「世界にたった2人だけの「同じ力」を持つ者がいる限り、予言は確定事項だよ」

「....望みはしたが、まさか「同じ」とは思わなかった。不憫なものだ、息子も」

「性質は全然違うのにね。....にしても2人が親子だなんて、意外だったなぁ」

「....カナ。地球は、それ程に逼迫(ひっぱく)しているのか?」

 

男の表情は変わらない。まるで明日の天気を聞くように、女に問いかける。

そして、女のほうも。今日の夕飯の内容を言うかのように、答える。

 

「怪人の口上が、それを表してる。アレは怪人化した時に刷り込まれる、意(・)思(・)表(・)示(・)よ」

「....適当に口走っているのかと思っていたよ。全部がそうなのか?」

「ううん。自己の欲望によるものもあるし、一概には言えないけどね」

「....地球が壊れかねない「力」、か。そんな大層なモノとはな」

「知らなければよかったと思ってる?」

 

女の問いかけに、男はフッと笑って否定した。知らなければ、そこで終わっている。

知ったからこそ、戻ってきたのだ。全てを欺いてでも、挑まねばならないものがあるから。

非道と修羅への道行き。案内人はこの女。逃げられない陰府(よみ)へと降る道中は

夥しい(おびただしい)までの、人と怪人との血に塗れて、どこまでもどす黒く。

 

「....カナ。案内を頼むよ。」

「うん、グンマ。....いいえ、<ブラスト>」

 

未だ正体不明の、ヒーロー協会の切り札。S級1位の、最強のヒーロー。

虚像ではない、現実に存在しながら一切の関連を絶っていた男が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虚像とさえ言われた男が....沈黙を破り、動き出すまで。

地球の命運を、人々の命運を、そして「あの男」の定めを動かすまで。

カウントダウン開始まで....あと、少し。

 




....勢い余って書きました。
ブラストファンの皆様、すみません。
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