予め定められた調子の和まない話   作:真神 唯人

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今ある世界だけが、1つじゃ無い。
世界は、整然と横並びに配列されている。

これは、今ある世界の「隣の世界」での話。
もしかしたら、の、「並行世界」での話。


間違う事無き信念を 揺るがなき力へ

そう言えば、どこぞの武闘家が言っていたな。

至極、全うで当然で、さもありなんな事を。

 

確かにその通りで、ヒーローが命をかけて闘って。

負けて人々を守り切れぬまま、死んでしまっても。

 

怪人を前にしての人の生き死には、さして変わりは

無いのだと。死ぬ者は死に、生きる者は生き残ると。

そしてそれは、どんな形であれど"強い者"だけだと。

 

運が強い者、力が強い者、それから。

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「...."ラクリマ"。行けるか?」

「いいよ、行こう。"ブラスト"」

 

 

世界は今日も、ヒト為らざる者「怪人」との闘いに始まる。

 

力無く倒れゆく者、か弱く泣き崩れる者、力及ばず尽きる者。

あまりにも非情にして、無慈悲に。命と存在が刈られてゆく。

 

人に有るまじき力や能力を持つヒーロー達でさえ

「怪人」より弱ければ、刈られる側の対象なのだ。

 

人が決めたランクも、強さの基準も、意味は無く

測れぬ強さと未知なる力の前では知識にさえ劣る。

 

何のために、ヒーローたらんとするのか。

何のために、目の前の敵に立ち向かうのか。

 

自分がそこまでする意味はあるのか?。

自分じゃなくてもいいのではないか?。

 

自分の力量を知る者ほど囚われやすい、その意識は。

 

常に付きまとう「ソレ」は、時に力を削ぐほど強力な呪縛と

化して、迷いという隙を生み、己を不利へと追い込むけれど。

 

 

「だからといって、今、闘わない選択肢は無い!!」

 

 

壊されていく機械の体は、生きて帰れば造り直しが利く。

だが目の前の怪人達は、これまでにないタイプの強さだ。

このままでは、斃されて終わってしまう。ならば。

 

「....先生、俺は帰れないかもしれません」

 

自爆モードを起動させようとしたところで、目の前に突然

現れた、人影が二つ。見ればどうやら、男女のようだった。

 

「自爆して、それで終わる気か?」

「....な、んだ...と」

「機械だから、それしかないというのなら仕方ない」

「ヒトの身であればこそ、リミッターは存在するけど」

 

機械だからこその強さもまた、確かに存在するとその女は言った。

だから、生きて帰れと。そして、強くなって立ち上がってくれと。

 

「取り敢えずアレ、なんとかしようか」

「そっちの怪人は任せたぞ、"ラクリマ"」

 

そう言うと、白いマントを翻して、地を蹴り男は拳を繰り出した。

....先生と同タイプの強さを持つ者が、他にも存在する事に驚く。

 

左目の所に白い涙の形を施した黒い仮面を被り、長くて緩い巻き髪の

黒い異装束の女は地面に這いつくばる俺の前に立ち、右手を突き出す。

 

「?!。グッ....ナ、ナンダ、何ガ....ッ!!」

 

怪人の足元が白くなり始め、固まっていく。

やがてその現象は頭部にまで及び、そして。

 

「Putre est in statuam salis」

 

何語か分からない言葉を発すると、怪人の全身にヒビが走り砕けた。

一体何が起こったのか、全く分からない。だが、少なくとも彼らは。

 

 

 

「先生、俺は今日、今まで見た事のないヒーローに会いました」

「....へえ?。そいつ、強かったか?」

「はい。1人は、先生と同タイプで。一撃で、怪人を斃します」

「....俺と同じかよ。他にもいたんだな。もう1人いんのか」

「はい。女性で、どういう仕組みかは不明の特殊能力者でした」

「協会には、いないよな。別のとこのヤツらかもしんねぇな」

「....女性は仮面を被っていたのですが、どこかで会ったような」

「?。白髪?。知り合いで白髪っつったら1人しかいねーじゃん」

「はい。高い確率でカナと酷似してはいるのですが....」

「無い無い。カナがヒーローとか無いって。超弱えーぞアイツは」

「俺もそう思います。何より雰囲気が、カナと真逆でしたから」

「まあそんだけ強けりゃ、どっかで会うさ。楽しみだぜ」

 

 

 

「やっほー、遊びにきたよ....って、いたたたたた!何するですか!」

「な?。あり得ねえーだろ、ジェノス」

「....そうですね。俺の勘違いです、きっと」

「?。何の話?。てか、痛い!離して!」

 

 

 

 

 

 

 

真実を巧妙に隠して、時は進む。確実に、「予言」を果たす為に。

それぞれの「思惑」と、「思い」と、「現実」を交差しながら。

 

お前はその時、何を選択するのか。

お前の中の、目覚めるモノが選ぶのか。それとも。

 

 

 

 

 

 

 

 




それだけが、真実じゃない。迷いは常に在る。
だからこそ、見い出せ。己の中の答えを。

お前が、ヒーローであるならば。
きっと、辿りつける。

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