世界は、整然と横並びに配列されている。
これは、今ある世界の「隣の世界」での話。
もしかしたら、の、「並行世界」での話。
遥かなる高み。人の来れぬ場所で、白い髪が揺れる。
深い慈愛と悲哀が混じり合ったようなその眼差しが見つめる方向は。
密やかに加速しながら全てを巻き込み、滅びへと進みゆく一方通行。
誰もが今日明日の自分を想像など出来ぬまま、ひたすら歩く。
それは、ヒトとして生きるという意味に於いては正しいのだ。
誰もが、明日自分がどうしているかなど知ることはないまま
ひたすら、日常という名の
確かにそうだろう。弱き者は強き者に虐げられ、刈られてゆくばかり。
それを現実にしているのは、「怪人」というヒトにあらぬモノ達だ。
「強いことは楽しい、か....」
楽に生きられ、刺激を得られる楽しみもあり、自由でいられる、か。
「それは、
一理はある。ある、が....全てのヒトは
生きとし生ける者全てに、ソレは在るのだと知らないから言える。
そこに、持てる者の驕りが生じるのは仕方ないというものだろう。
「....
己が力に驕れる者は、いずれ「真実」をその身に刻まれ悟る事になる。
ヒトどうしなら勝てる強さなど「怪人」の前では何の役にも立たない。
勝てる怪人もいるだろう。だが命のやり取りはそこまで甘くなど無い。
「強いだけの武闘家、じゃないだけに惜しいかな」
あの強さとヒーローたる資質が揃えば、もしかしたら
末席に留まらない力を以ってS級ヒーローの1人に、なっただろうか。
....否。ヒーローたる存在に為るには、絶対的に足りないものがある。
尤も。その気もそのつもりも無い者に、教える道理は無い。
強さを持つ
人々の希望であり圧倒的な力であり象徴であり、と多岐に亘る。
それほど望まれる「ヒーロー」を何故、見下すのか?。
そんなこと簡単だ、自分よりも弱いからに決まってる。
「キミ、忘れてるんじゃないの?」
初めから強い者など1人もいない。
みんな、最初は弱かった。キミも。
強かったと自負していてもそれは。
そして今は地上最強の貴方も、少し前までは。
世の中の理不尽に抗い、弱かった己を鍛え上げ強くなった貴方は。
その反動で、ちょっと感情希薄になりかけていたけれど。
今日も白いマントを翻し、その"神宿りし拳"を怪人に向けて振るう。
どうやら一撃で斃してしまったらしく、聞こえるのはいつものアレ。
「....ただの
予言なんか、覆して。当たり前に、前を見て生きていく世界に。
ヒーローになる道を望み選んだ貴方なら、きっと気付けると。
未来はまだ、決まって無い。波のように選択肢が広がったから。
狭まった筈の選択肢を抉じ開けたから、歪みを伴うけれど。
「お土産でーす。お茶淹れますねー」
「サンキュ、出張お疲れさん」
「わーお、サイタマさんから労われるなんて♪」
「お優しい先生に失礼な事を言うんじゃない」
「何か恥ずかしいから、やめれ」
「こっちが甘い系、こっちが辛い系でーす」
「カナ、聞いてるのか」
「だからやめれっての。食うのに集中!!」
「はい!先生!!」
強さに甘んじない かの男は その
内に在る強さで 数多のヒーローを
降す者として 存在している
けれど その軽さに惑わされるな
けして その微笑に乗せられるな
そして 羅刹を隠せし かの男よ
叶うならば その身に隠せし 修羅に
永劫 目覚めるること なかれ