予め定められた調子の和まない話   作:真神 唯人

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今ある世界だけが、1つじゃ無い。
世界は、整然と横並びに配列されている。

これは、今ある世界の「隣の世界」での話。
もしかしたら、の、「並行世界」での話。


壊れゆく時を 外連に惑わぬ者

お前は、忘れてなどないんだな。何を、だと?。

 

それはな、自分より強い者が現れれば失せてしまいがちな事。

お前が。お前が望む「ヒーロー」たらんとする根源が何かを、だ。

 

....それでいい。それでこそ、「ヒーロー」だ。

 

ただ強いだけでは、望んでも為れない存在であり象徴なのだと。

単に闘える者というだけでは無いのだと云う事は知られていない。

 

闘いに享楽めいたモノを見るあの男は、「ヒーロー」について

建前と及ばぬ力の差を蔑んでいた。己が強いが故にな。

 

「あながち、間違ってはいない。「()()()()()()()()()()()()()

 

だが。お前は立っている場所が違うのだ。見ている方向も。

そしてお前の拳は、力は。人を助ける「ヒーロー」とは何か。

 

「人に害為す“悪”を、“怪人”を斃す為の存在(モノ)だ」

 

だから()()()()に、その本質を理解される事は無い。

それが、ヒーローは孤独な存在(モノ)だと言われる所以(ゆえん)なのだ。

 

怪人と闘う事は命のやり取り。己が強さを以っての殺し合い。

負ければ自分と、多くの人々が死ぬ。負ける事と弱い事は死と同義語だ。

 

常に死と隣り合わせの特殊性は、桁外れと言っていい。

 

だからこそ、欲するのは屈する事無き絶対の、強き力だ。

誰にも、何にも負けない絶対にして圧倒的な強さを、だ。

 

だがそれは....足りないから、望むのであって。

 

持ってしまった者は、その力の大きさ故に苛まれる事になる。

お前はいつも言っていただろう?。一撃で終わってしまう度に。

 

「圧倒的な力は、つまらない....。本当にな」

 

だが、望んで得た「力」であり「強さ」だろう?。私も、そしてお前も。

やりたいことをやってるだけなのは、今も変わらないんだ。お前は変わってやしない、今もな。

 

....そう。変わったのは、お前を取り巻く状況と環境だ。

 

あまりにお前はブレ無さ過ぎて、気付くのが遅れただけ。なのにおかしいだろう?。

興味さえ持たないお前に、周囲は置いて行かれたように感じるんだよ。変な話さ。

 

それが、「持つ者」と「足りない者」との間に生じる“溝”だ。

 

私やお前のように行き着いた者にしか辿りつけない。彼らは、()()へ来る事が出来ない。

彼らがお前に追いつきたくとも、そこへ至る為の道を拓く事が出来ないからだ。

 

だがそれは、彼ら自身の所為では無い。道を拓く()は、とても気紛れだからだ。

 

「ヒーロー」の力は、悪を絶ち、怪人の息の根を止めて確実に斃す為のもの。

それ以上でもそれ以下でも無い。そこに在るのは「正義」のみなのだと知れ。

 

「だが....正義の定義なんて、在って無きもの。己が心に問えばいい」

 

その根幹がブレなければ、ヒーローで在れるだろう。

その根源を見失わねば、お前はお前のままでいられるだろう。

 

今のまま、お前自身が揺らがなければ。否。お前は揺るがない、サイタマ。

....皆もお前自身も、そう思って来た。だが、それは....。

 

 

 

 

 

 

「カナ。これは....?」

「出張のお土産。グンマは、どっちも平気?」

「....激甘と激辛とは、極端だな」

「まぁ半分はウケ狙いだからね。どう?」

「....辛いな」

「もうちょっと、それらしい顔してくれないと」

「........」

「こういう時まで"ブラスト"じゃなくていいから」

「....甘いな」

 

「何か違うんだけど」

 

 

 

 




恐れられて 疎ましがられても
ヒトで無しと 忌み嫌われても
ヒトの形をした 人外の化け物と
罵られても お前はお前のままで

それでもなお "英雄"でいられるか?
ヒトには推し量れぬ 更なる孤独を
その胸の内に 澱のように抱えても

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