世界は、整然と横並びに配列されている。
これは、今ある世界の「隣の世界」での話。
もしかしたら、の、「並行世界」での話。
ずっと恐れていた。世界が、人が、お前へと動き出す事を。
たった1人の男へと向かって、渦巻く。今は小さい規模の、波颪(なみおろし)。
思惑と、畏怖と、羨望と、怨嗟と、数多の感情と災厄を引き連れて、更なる風を呼ぶ。
お前の小さな戸惑いはやがて、時と共に肥大し、はっきりとした不信へと変化する。
手のひらを返されるに等しい、その行為を。自分への否定から、肯定への移り変わりを。
「....お前はそれを、受け容れるかな。それとも拒むか?」
無視しても、相手にしなくても、避けても、隠れても、お前は逃げ切れまい。
キレても、傍若無人に振る舞っても、皆が、お前を逃がしてはくれないのだ。
お前はどこまでも自由で、何にも縛られない。自分が思った事を言い、動く。
だが、皆にとって、お前のブレの無さは。その「強さ」は。求め止まぬ「憧景」。
「....お前の行動原理なんか、いやってほど知っているさ」
それは、かつての自分。既に歩いてきた道の後ろで、在った事。
人の、わかりやすい心の移ろい。動かしたのは、自覚無き自分。
けれど、単なる感銘のままでいられるほど、人は強くなど無い。
受け容れがたい「異質」は、いずれ拒まれ、除去しようという行為に変わる。
だから、間違うな。けして、惑うな。お前の中に在る
たとえ周りから人が、いなくなったとしても。「孤独」の意味を、履き違えるな。
「....お前が言った、ある言葉は。昔、私が言ったものと同じだよ」
そういうところだけは、似たもの親子だな。似てないところの方が多いのに。
平凡な日常を、努力と思いの強さだけで、自ら「壊した」ことは「同じ」でも。
望んで壊したのに、実はとても大切で、愛しくて手放したくないものだという事に。
「....お前は、いつ気付くかな。今はまだ、分かるまいが」
どれほどの強大な「力」を得ても。「私たち」は、「人」のままだ。この先も。
「?。グンマ?。どうしたの、ボーっとして」
「....息子の事を、考えていたよ。相変わらずだったから、な」
「ほんとブレないね、2人とも。どうしてだろって思うよ」
「....さて、なぜだろうな。どうしたカナ?。何か変な事、言ったか?」
「ううん。<ブラスト>らしからぬ顔、してたから。ヒーローの顔の前に、ね」
「....やれやれ。こんなにも
なんでまた、「私たち」でなければならないんだろうな。と。
「誰が」決めたんだそんな事、いい迷惑だと、半ば自嘲気味に、肩を竦めてグンマは笑った。
世界を守っているとは思わない。ただ、人を助け怪人を斃す為だけの「力」。
けれど持ってみれば
配分を間違えたんじゃないだろうか、これを持たせた、「誰か」は。
そう言って、グンマは....眼下に広がる「人」の世界を、見つめていた。
その横顔を、私は何とも言えない顔で見ている。
置いてきた「過去」に追いつかれ、動き出すのを。
「あの人」と、横にいる「この人」の、今からが。
軋みながら走り出す。各々の、思いと共に。
....この世界が、人が、それを許さなくても。
....この「星」が、それを拒んで、消そうとしても。
でもその前に。聞けるものなら。「誰か」に。
聞いてみたいの。それほど恐れるのに、どうしてって。
だったらなぜ、「彼ら」に
気紛れ?。実験?。ヒトが享受できないモノを、わざわざ?。
「....それが、何を意味するのか。
....続けられる、かな。