第1章
未だ慣れない仕事を終え、職場近くの本屋に立ち寄った草野梨花は気がつくと駅のホームに立っていた。あれ、と思う間も無く、後ろから何かに突き飛ばされ、鈍い痛みが全身を襲い、遠くから甲高い警笛の音と近づいてくる強い明かりに晒された。襲い来る痛みに備えるようにぎゅっと目を瞑った直後、冷たい誰かの腕に抱えられ、ホームへ押し上げられていた。
訳も分からず目を開けると、線路の上には自分よりも少し若い、全身びしょ濡れになっている男が微笑みを浮かべてたっていた。男が口を開いた直後、ホームに到着した電車に轢かれ、肉片と化したのをその目に焼き付けながら、草野梨花は意識を失った。
咄嗟の出来事にもかかわらず、身命を賭して彼女を救った彼の行動は正に英雄的であり、素晴らしいものであった。
第2章
未だ慣れない仕事を終え、職場近くの本屋に立ち寄った草野梨花は気がつくと交差点に立っていた。あれ、と思う間も無く遠くから低いクラクションの音と近づいてくる強い明かりに晒された。襲い来る痛みに備えるように彼女はぎゅっと目を瞑った。
草野英孝は気がつくとどこかの交差点の側にいた。自身が溺れた事も、電車に吹き飛ばされ肉片となった事も覚えている。これはどういう事かと困惑していると近くでクラクションの音が聞こえてきた。
まさかと思い其方を見ると、交差点の中央に立つ女性とそれに迫り来るトラックの姿があった。このままでは彼女はあのトラックに轢かれてしまう。彼は反射的に飛び出し、竦んで動けない彼女を突き飛ばし、ヘッドライトの明かりに飲み込まれた。
草野梨花は誰かに押し飛ばされる衝撃で思わず目を開けた。先程まで自分が立っていた場所には見覚えのない、でも何処か懐かしい男が両手を突き出したし姿勢でいた。1日中晴れていたにしては全身が濡れている男にヘッドライトの明かりが近づき、クラクションの音と何かを轢き潰し、砕く音と共に彼女の意識は遠のいた。
咄嗟の出来事にもかかわらず、身命を賭して彼女を救った彼の行動はやはり英雄的であり、素晴らしいものであった。
第3章
未だ慣れない仕事を終え、職場近くの本屋に立ち寄った草野梨花は気がつくと海の只中に放り出されていた。遠くでは大きな船が真っ二つに折れ、深い水底にゆっくりと沈んでいる。パニックに陥り、近くにいる男と同じように大きめの板にしがみつこうとするも足が攣り、その場で暴れるしか出来なかった。昔もこんな事があった気がすると思いながら、彼女の意識は遠のいた。
草野英孝は気がつくと海の只中で木の板にしがみついていた。遠くでは大きな船が真っ二つに折れ、深い水底にゆっくりと沈んでおり、近くにはあの女性がバシャバシャと足掻いていた。足を攣ったのだろうと思いつけば、しがみついていた木の板をもって彼女へと近づいた。彼女のもとへたどり着いた時には彼女に意識はなく、木の板に身体を預けさせると男と女の重量は耐えきれないのか木の板は沈みかけていた。一体何が起こっているのか、男には分からないが、大切な妹を死なせる訳にはいかないと、木の板から自ら手を離し、水底へと沈んでいった。
溺れる苦しさを知りながらも尚、彼女を救った彼の行動は英雄的であり、素晴らしいものである。
この話は
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