嵐の中、大切な友と別れる様な夢を見た。その友が誰だったか迄は思い出せない。
ゆっくりと意識が現実に戻されていく。
いつの間にか身体は温まっていた。
それでもまだ重い様な気がする身体を起こす。
「よお、目が覚めたか?」
声のする方を振り返る。
そこには白髪混じりの歳もそれなりであろう男性が焚き火にあたりながら座っていた。
「俺は孝一って言うんだ、種族は見ての通り人間。あんたの種族はオーガだよな?名前を聞いてもいいかい?」
「オーガ…?」
何のことだ…?種族?
自分の姿を確認する。皮膚は赤黒く、筋肉は盛り上がりを見せるほどしっかり付いており、頭に2本肩に1本づつ角の様な物が、そして腰から尻尾が生えている。
しかし、その自分の姿を見ても自分が何者なのか思い出せない。
目の前のコウイチという人間が不思議そうな顔をしている。
黙っているのは失礼だろう。
「それが…気が付いたら雪の中で倒れていた事しか覚えてなくて…。」
コウイチが驚いた顔をし、口を開く。
「あんたの事、角の生えた白い恐竜が運んで来たけど知り合いかなんかか?」
「白い…角が生えた…?」
そこまで言いかけ思い出す。
「そう言えば、雪の中で白い二本足の龍に咬まれて運ばれていました…。私はてっきり、貴方が倒してくれたのかと思いました。」
コウイチは口を開き何か言おうとしたが、言い出さずに口を閉じる。
少し考える様に目を伏せた後、口を開く。
「いや、俺じゃないよ。俺は運ばれてきたあんたが目を覚ますまで此処に居ただけだよ。」
(そうか、この人が起こした焚き火で身体が温まったのか…。)
「あの…。目を覚ますまで待って頂きありがとうございました!」
そう言い、深々を頭を下げる。
「ああ、いいよいいよ。俺も考え事をする時間が欲しかったからさ。」
コウイチは続け様に口を開く。
「なあ、あんた…日本って国を知ってるかい?」
「ニホン?……いや、申し訳ないが分からない。」
思い出そうとするが出てこない。
コウイチは、同じ様にゲームして死んだんじゃないのか?日本人じゃないだけか…?海外の人…?など意味の分からない言葉をブツブツと呟いている。
「あの…。」
大丈夫ですか?
そう声をかけようとした時…。
「えっと…じゃあアメリカとかロシア…いや、地球というのは知らないか?」
若干焦る様にコウイチが尋ねてくる。
もう一度記憶を辿るが、やはり分からない。
首を横に振る。
「そっか…。」
そう言うとコウイチは少し残念そうな顔をした。
「実は俺も気が付いたら此処に居たんだ。此処が大雑把では有るが何処か、此処にくる前の記憶も有るんだが、あんたも仲間かと思ったんだ。変な事を聞いてすまなかった。」
なるほど。
考え事とはこの事だったのか…。
「いや、私の方こそ何も分からなくて申し訳ない。」
身体も温まり、動きに支障はない。
「あの…。助けて頂きありがとうございました!」
再度深く礼をして立ち上がる。
これ以上この人に迷惑をかける訳にはいかないだろう。
「ああ、待ってくれ!」
コウイチが引き止める。
「なあ、良かったら一緒に行動しないか?俺も此処に来たばかりでどう行動するべきか迷ってるんだ。それに1人より2人行動の方が生存率は上がると思うんだ。」
なるほど…一理あるし、自分もこれから何処に行くか決めて居なかった。
場所も全く分からないので、コウイチさんと共に行動出来るなら頼もしい事この上ない。
彼の装備はしっかりしているし、その顔からは歴戦の猛者の風格を感じる。
対して自分の装備は爬虫類の鱗か魚の鱗を貼り付けたような装備でとても強そうには見えない。
「コウイチさんが一緒であればとても心強いです。是非ともお願いします!」
「いやいや、思ってるほど強くないと思うよ。」
と、コウイチは照れ臭そうに話した。
「そう言えば名前…分からないんだっけ?」
「はい…。」
「名前が無いのはこれから困るから、とりあえずでも決めた方がいい。」
「雪原だから、ゲンとかどう?」
「それでも良いと思います!それではこれからゲンとして宜しくお願いします!」
「え…?本当に良いの?」
「はい!」
「そう…。」
「それじゃあ、ゲンさんこれから宜しく頼むよ。」
「コウイチさん、此方こそ宜しくお願いします!」
日は高く昇り天候も安定している。
2人は焚き火を消し、ゆっくりと歩き始めた。
これで2人の出会い編は終わりです。
次からいよいよ冒険?が始まります!
出会い編だけで3話になるとは思ってなかったですw
長かった〜w
読みにくかったかもですが、此処まで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m