鉄也のヒーローアカデミア 磁場鉄也:オリジン 作:そうちゃん
『いいかいマグネージ?もうすぐ目標がそっちに向かうよ。』
『は、はい!』
『緊張しなくても大丈夫。君の個性なら落ち着けば成功するよ。自身をもって。』
『フゥー…わかりました。』
『ヨシ、それじゃあ合図するからそれに合わせて君は目標を…いくよ。3・2・1来たぞ!!』
「クソ!しつこいな!」
無線で通信していたマスターハンドの合図とともに路地の角から大金の入ったバッグを背負った強盗が出てきた。
「そこまでだ!おとなしく捕まれ!」
「チッ⁉先回りしてか!あ?スーツを着た子供?あのマスターハンド事務所も人出不足か?」
「マグネージ。お前を捕まえるヒーローだ!」
「ヒーロー気取りか。・・・子供だからって容赦しねぇぞ!」
強盗が走り出すと同時に鉄也は個性を発動させ砂鉄を集める。すると強盗が右手を鉄也に向けはじめた。
「吹き飛べヒーロー気取りが!」
すると強盗の右手から『ボシュン!』と何かの塊が放出された。少し驚くもそれを砂鉄で防ぐ。
(マスターハンドさんの言ってた通りこいつの個性は...)
初見で自身の個性をあっさりと防がれた強盗はそれに驚き鉄也はその隙を逃す筈もなく拘束しようと砂鉄を操る。しかし砂鉄が強盗を捉えようとした瞬間強盗がその場から消えた。いや、正確には個性の反動を利用し高速移動して砂鉄を避けたのだ。
「こいつ!爆豪みたいな使い方を⁉︎」
「舐めるなよ!今度こそ吹き飛べ!」
隙を突いた筈が逆に隙を突かれるかたちになってしまった。しかし雄英体育祭3位は伊達ではない、砂鉄とコスチュームを反発させ危なげながらも避けてみせた。
「こいつ二度も俺の個性を⁉︎」
「お前の個性は割れてんだよ。掌から空気の砲弾を発射する個性だろ?けど連発はできない。それに似たような個性の奴とは戦ったこともある。お前なんかの個性は俺には通用しないよ(今のは少し危なかった...)」
「舐めやがって!」
自身の個性が通用しないと知って焦ったのか両腕を突き出し個性を
「はっ⁉︎」
予想外の攻撃に流石に声に出る程驚いてしまった。結果として先程と同じくコスチュームと砂鉄を反発させ回避は出来たが加減を少し誤り壁にぶつかってしまった。
「なんだ?俺の個性は割れててお前に通用しないんじゃねぇのかよ。マグネージさんよ?」
(くそっ、聞いてたのと違うぞ!)
「オラァ!行くぞヒーロー!」
「...フゥー」
(大丈夫。避けれない速さじゃないし防げない威力でも無い。落ち着け...)
深呼吸で気を落ち着かせ改めて強盗に集中し直す。自分の個性が通用すると思ったのか個性を連発し攻撃してくる。しかし鉄也はそれを交わし防ぎ相手の個性に完全に対応していた。すると焦りからか攻撃が大雑把になりその隙を逃さず相手の裏を取り反撃にでる。今まで束ねていた砂鉄をレール状にいくつも展開してその間に球体状に変化させた砂鉄を大量に設置する
「レールガン!」ガガガガガ!
「ガハっ⁉︎」
1つではたいしたダメージは与えられないがそれを全身に何度も受ければかなりのダメージになる。強盗も膝をつき明らかにダメージを負っていながらも右手を両腕を突き出し反撃を試みる。しかしダメージを負い動作が遅くなりダメージを受けていない鉄也が出遅れる筈も無く...
「させるか!」
次は逃げられないよう相手を覆うように全方位から砂鉄を操り強盗を捕らえにかかる。
〜〜〜
「流石マグネージ!いくつか危ない所もあったけど結果良ければ全て良し。お疲れ様!」
「ちょっとマスターハンド!相手の個性聞いてたのと違ったんですけど!連射出来るなんて聞いてないですよ!危うく吹き飛ばされる所でしたよ!」
「あれは君を試したのさ。まぁ結果として怪我なく捕らえられたんだしさ。それに本当に危なくなったら助けに行くから安心しなさい!」
「いやいや、結果論でしょそれは...」
鉄也がマスターハンドの事務所に来てから早くも3日がたった。主にパトロールやマスターハンドの強盗や敵の確保手伝い、鉄也の個性の鍛錬だった。この3日マスターハンドと過ごし最初は「プロヒーローの仕事を生で見れるなんて!」と張り切っていたが鉄也の中でマスターハンドのイメージは変わりつつあった。
(結構適当な所とかあるけど敵制圧とか指示力とかはすごいからなんか複雑なんだよな)
鉄也の思っていたヒーロー像とは思っていたよりも違いマスターハンドは悪く言うと少し能天気な所がある。先程のようにアドリブを入れて来たりサイドキック達に結構間違いを指摘されている。しかしサイドキック達への支持、個性の使い方や戦い方。鉄也への指導などは的確なのでそのギャップさがなんだか鉄也の心をモヤモヤさせる。
「ヨシ、それじゃあ後のことは君達に任せるから僕達は運動場に行ってくるよ。じゃ行こうか鉄也くん。」
「はい。」
マスターハンドに連れられ来たのは事務所から歩いて数分のところにあるマスターハンド事務所の運動場だ。ここではマスターハンドやそのサイドキック達が個性の鍛錬などをしている場所だ。ここで鉄也は職場体験に来て毎日マスターハンドに個性の練習を見てもらっている。
「今日の強盗との戦いを見てるとだいぶ君の苦手分野は結構克服出来てるみたいだね。」
「自分でも思ってたより上手くできてビックリしました。」
「これも僕の指導があっての成果だね。」
〜3日前〜
職場体験初日はヒーローの公務についての軽い説明とパトロールで終わりその後マスターハンドに運動場へと連れてこられた。
「ヨシ、手紙でも書いた通り、君を指名した理由に君の個性についての話をしたよね。」
「はい。けどあれってどう言う今なんですか?」
「ズバリ!君の個性は砂鉄を操りながらだと自分が動けない。何故なら砂鉄の操作に集中し過ぎで体を動かすと集中が切れてしまう。違うかい?」
「そ、その通りです。けどどうして分かったんですか?。」
「君と僕の個性は少し似ているからね。僕の個性『念手』って言って簡単に言うと『手』が6個出てきてそれを操れるのさ。まぁ百聞は一見にしかず!説明するより見せる方が分かりやすいかな。」
するとマスターハンドの周りに薄黄緑の『手』が現れた。
「とまぁこんな感じ。君と僕の個性の共通点は『体から離れているものを操る』って言う点さ。そして学生の頃僕も君と同じで念手を操るのに気を取られ過ぎて棒立ちになっちゃったからね。」
「『体から離れているものを操る』か。」
(成る程、確かに尾白や常闇。障子とかは体から生えてるor出て来てるものだから簡単に操れるのか。)
「じゃあマスターハンドさんはどうやって動けなくなるのを克服したんですか?」
「ん〜答えを教えるのは簡単だけどそれじゃ君の為にならないしなぁ。...例えば砂鉄で何か物を取る時、具体的に何を考えて物を取る?」
「『何を考えて』?...砂鉄を集めて、集めた砂鉄を操って物を取る。です。」
「じゃあ普通に手で取るときは?」
「普通に手で取る時ですか?。...その『物』を取る事。ですかね?」
「今鉄也君が答えた『砂鉄』で物を取る時と『手』で物を取る時。何か違いはわからない?」
「違い...『砂鉄を集める』『砂鉄で物を取る』って工程ですか?」
「ん〜違うな。鉄也君は砂鉄で物を取る時『砂鉄を操る』って考えて取るんだよね?」
「はい。」
「じゃあ手で物を取るときは『手を動かす』って考える?」
「いやいや、手で物を取るときに『手を動かす』なんて考えないですよ。」
「分からない?」
「?」
「要するに、手は体の一部で動かし方の感覚を赤ん坊の頃から知っている。けど砂鉄は体の一部ではないし砂鉄を操れるようになったのは個性が発現してから。鉄也君は砂鉄を集めて操ってる時『砂鉄を操っている』って認識でしょ?」
「はい。」
「それじゃダメなんだよ。」
「...え?」
「砂鉄も『身体の一部』だと思って動かすんだ。手、足、何でもいい。君は『砂鉄を操っている』んじゃなくて砂鉄を『身体の一部』を動かすように!」
「そんな事何ですか⁉︎」
「その『そんな事』ってのが大事なんだ。って事で君には今から手は使わずに砂鉄を手としてこの職場体験中は過ごしてもらおうかな。あ、お店の中とかはダメだからね。そこらへんは臨機応変に。」
「手の代わりに砂鉄で生活ですか…。」
「どう?できそう?」
「プロヒーロー目指すからこの位はやってみせますよ。」
「最初はかなり大変だけどこれも君の能力上昇の為!けど君は体育祭で既にある程度の克服は出来てるからあの時の感覚を忘れずにね。頑張って行こう!」
「はい!」
〜〜現在〜〜
(今じゃ砂鉄の束が6本の状態でもある程度にはうごける様になったけどまさか意識を変えるだけでこうも変わるなんて思わなかったな。)
「よし、今日の仕事はここまでかな。どうする鉄也君。また運動場に行く?」
「あ、丁度見てもらいたい技があって…」
「見てもらいたい技?」
「はい、この前マスターハンドさんが拳銃について少し話してくれたじゃないですか?その時に思い付いて実践で使えるか見てもらいたくて。」
「全然いいよ。そういう『技』っていうのはヒーローをやっていく上で大事だからね。」
「はい。お願いします!」
〜〜次の日〜〜
「おはようございます。」
朝、マスターハンド事務所に顔を出すと何故か事務所内がいつもよりも少し騒がしい。
「あ、おはよう鉄也君。ちょっと悪いけどそこで座って待っててくれ。」
「?、分かりました。」
マスターハンドの指示通り座って待つ事数10分。用が片付いたのかマスターハンドが鉄也の元にやって来た。
「いや〜ごめんね。急に予定変更があってさ、それでバタバタしちゃってたんだよね。」
「予定変更?」
「そう。いま保須にステインが出没してるのは知ってる?それで保須市の知り合いのヒーローから応援で来てくれてって頼まれてね。って事でこれから鉄也君と俺で保須に向かうよ。」
(保須って飯田のいるところか。)「分かりました。」
最近世間を騒がせている敵『ステイン』。ステインは少なくとも現れた町で3人のヒーローに手をかけている。未だに保須市での被害はインゲニウムだけだ。ステインはあと2人のヒーローと接触するまではまだ保須市にいる可能性が高くマスターハンドと鉄也は保須市へと向かう。保須市に着くとプロヒーローや警察とよくすれ違う。すれ違う回数の多さがいかにステインを警戒してるかが素人の鉄也でも分かる。
「緊張しなくても大丈夫だよ。ステインに会ったら相手は僕がするしこんなにプロヒーローもいるんだ。いくらステインと言えどもプロヒーローに囲まれれば逃げられないさ。」
「そうですけどステインがいる街に自分もいるってなるとやっぱりどうしても。」
「まぁそれは仕方ないね。けどもしも君一人でステインと対峙したら絶対に逃げるんだよ?君の個性なら逃げれるとは思うけど絶対に捕まえようとは考えない事。」
「はい。流石に自分もステインと戦おうとは思ってないですよ。」
「今までプロヒーローが何人もステインに再起不能にされているからね。それだけは絶対に守ってよ。」
「分かりました。」
「それじゃパトロール行こっか。」
ステインの警戒にヒーローや警察が多いせいか街にはチンピラ一人も居ず何事も無くパトロールをしてから約30分が経っていた。
「保須市って結構栄えてるんですね。もう少し静かめの街にだと思ってました。」
「いつもこの時間ならもっと人はいるんだけどね。けど流石にステインのせいもあって人は少ない方だよ。」
「このまま何も起きないといいんですけどね。」
「鉄也君そういうのはフラグって言うんじゃないの?」
「いやいやまさか。そういうのは漫画とかだけ「ドッオオオオオォォン!」
「「⁉︎」」
「え…?嘘でしょ?」
「行くよマグネージ!」
「え⁉︎は、はい!」
さっきまでの雰囲気とは一変しあたりは騒然としている。マスターハンドも先程まではと笑いながら話していたのに今まで見たことのない顔付きになっている。恐らくこれがプロヒーローマスターハンドとしての本当の顔なのだろう。鉄也も頭を切り替え爆発源へと向かう。
「何だよこれ…。」
現場に着くとそこはまるで戦場のようだった。車からは火が上がり辺りには人の叫び声が響き渡っている。その元凶たる
「...あ、あれは脳無⁉︎」
(何での脳無が保須市に⁉︎てことは
USJでの記憶が蘇りその時脳無から受けた傷が痛たむ様な気がした。
「マグネージ!君は辺りの市民の誘導。負傷者が居たら安静な所へ移動させて重傷なら救護を呼ぶ事。それと
「は、はい!」
「大丈夫。落ち着いていけば君ならいけるさ。これでも僕は君の力を買ってるんだからさ。」
「分かりました!」
マスターハンドは脳無の所へ。鉄也は周辺の住民の避難誘導へと向かった。
〜〜
「落ち着いて避難してください!」
避難誘導を始めてどれくらい経ったかは忙しくて分からない。感覚的には既に1時間以上は過ぎた様な気がするが携帯を見ると10分程しか経っていなかった。始めての街中で敵と遭遇し避難誘導と慣れないことの連続で精神的に疲れてきた。
(ここら辺はこんなもんかな。)
周りを見渡すと1人30前後の男性が逃げ遅れているのを見つけた。男性が鉄也に気付き早歩きでこちらへ向かってきた。鉄也も男性の元へ向かっていると男性と反対の路地から脳無が出てきた。しかもその脳無はその男性をまるで標的を見つけたかの様に見つめている。
「マジかよ⁉︎」
個性を発動しレールを創り最高速度で男性を抱えその場から離れた。鉄也が男性を抱え離れた瞬間脳無は男性がいた所へ身体ごと砲弾の様に突っ込んできた。
(あと一瞬遅かったら危なかった。)
男性を下ろし、1人で歩けることを確認し避難させた。脳無は地面へめり込んだ身体を起こし次は鉄也をじっとみつめる。
「オア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ァァァ、!」
まるで自分の獲物を奪われ怒っていると思わせるような叫び声を上げる。
(こいつをこのまま野放しにすれば更に被害が増える。それにあの様子だと逃してもらいそうにも無い。)
「‥すみませんマスターハンドさん。約束破ります。」
この時鉄也は初めて職場体験で1人で
いよいよ職場体験編です!