俺とアイドル達のラブコメ集   作:諸越ありふみ

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どうも、作者のありふみです。


一話目なのに前回の話を見てくださった皆様、お気に入り登録等してくださった皆様、ありがとうございます!作者として励みになりますっ!


今回は島村卯月編第二話になります。この作品における島村卯月としての人格が明らかに……?


では、ごゆるりとどうぞ!


《島村卯月》彼女の在り方

ーーあの中庭での一幕から1ヶ月。島村は瞬く間にクラスの人気者になっていた。

そりゃそうだろう、あんなに良い笑顔を振り撒いて皆と会話し、積極的に行動し、そして完璧に実現させる。彼女は確実にクラスのリーダーとして頭角を現していた。

 

「……凄いな……」

 

凄い。純粋に凄い。まるで、最初からこの教室の住人で

あったかのような錯覚を覚えるほどに、クラスの中に溶け込んでいる。この圧倒的な社交性の高さは、間違いなく彼女の誇るべき才能であろう。爪の垢を煎じて飲みたいくらいだ。

 

「あぁ、本当に可愛いよな……」

 

「……そしてお前は見てて悲しいよな、鷺沢」

 

「どういう事だよ!?」

 

話しかけて来た男、鷺沢に俺は呆れるような目線を移すと、鷺沢はあからさまに顔を背ける。しかしすぐさまこちらへ向き直り、関わるのも面倒なニヤケ面をそいつは浮かべ始めた。

 

だからその髪を指でくるくるとする仕草を止めろ。お前はギャルか。

 

「んで何だ?お前も転校生に魅了された人間か~?」

 

トントンと軽く肩を叩いてくる。正直うざったい。

 

「んだよ魅了って……お前も?」

 

「あぁ、そうだ。俺もあの少女に心を奪われちまったのさ……」

 

「そうか。まぁ、頑張れよ」

 

「さっきから冷たくないですかね……」

 

「多分気のせいだ。あとお前は姉の影響を受け過ぎ」

 

ねーちゃんは関係ねぇだろぉ?!と鷺沢が叫ぶのを尻目に俺は机に突っ伏した。そして現実から逃げるかのように目を閉じる。……ついでにイヤホンを装着し、雑音をもシャットアウトしておく。

 

ーーそれにしても魅了……か。確かにあの笑顔を言葉にするのには、最も適切な表現だな。悪い意味ではない。

少なくともーー俺は、あの見ている人全てをポジティブにする笑顔に惹かれているのだから。今、まさにその仕草を振り撒いている少女にーー。

 

ーーあれ、意外と俺も魅了されてる……のか?

 

 

 

 

 

 

「えへへ……また来ちゃいました」

 

「おう、全然構わねぇよ」

 

そんな会話があった日の昼休み。俺はあの中庭で再び島村と出会った。どうやら彼女は『この中庭にまた来る』という話を覚えてくれていたらしい。結構な頻度でいらっしゃる。

 

彼女はクラスの超人気者となっているため、教室ではほとんど話さない、というか話せない。軽い人だかりが出来てるし。そんな知らない会話のオンパレードに突っ込んでいけるほど、俺は勇気を持ち合わせてない。

 

「おっ、今日は珍しいもん入ってるな」

 

「はい!ちょっと中華料理にチャレンジしてみました!」

 

「へぇ……綺麗に出来てるな。本当に何でも出来るんじゃないか?」

 

「えへへ……ありがとうございます」

 

照れているのか、そう言って頬を赤く仄かに染める島村。……可愛い。

こんな感じで、来るたびに彼女の弁当の中身を見て感想を述べられるくらいにはこの場所で会っている。……そしてそのレベルが着実に伸びている島村を見て、俺は驚いた。

 

ーー彼女はいわゆる、『努力の天才』だったのだ。

 

何事にも全力で取り組み、努力を積み重ね、成功へと導く。まさしく努力の天才。普段の、明るくて人懐っこい性格もここから生まれてきているのだろうか。

 

「なぁ、島村」

 

だからこそ、その努力の天才に俺は思わず聞きたくなった。

 

「はい?どうかしましたか?」

 

「……お前は、何故そこまで努力して頑張れるんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

ーー沈黙。

ただただ、無音の空間がこの庭を支配した。

 

……やってしまった。俺は即座にそう思う。島村は少しうつむき、垂れた前髪で表情を伺う事が出来ない。しかし、何となくだが事情を察することは出来る。

 

これはーー彼女にとって、触れてはいけない話題。

 

そう気付いた俺は、慌てて言葉を掛けようして……彼女はゆっくりと頭を上げた。

しかし……その顔はまるで覚悟を決めたかのように、決意に満ちていた。……何故だ?

当然の出来事に動揺しまくっている俺に、島村ははにかんだ笑顔を向けつつ、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

ーーそれは、まるで自分の中で答えを探し、見つけ出していくかのように。

 

「……その、最初はただ皆に褒めて欲しかったんです。私に何かの特技なんて、無かったですから。でも……だんだん私が上手に出来るようになると、皆褒めてくれなくなって……それが当たり前みたいになって……。それでまた、私は別の事を努力して……褒めてもらって……それの繰り返しで。そしたら、私は気付けば『努力をするのが当たり前の子』になっちゃいました、えへへ……」

 

頭を少し掻きながらそれでも、と彼女は話を続けた。

 

「……私は、何かを努力してる間が楽しくて、それで後悔はした事ないんです。だから、努力するのが私は好きなんです。それが例え、結果が伴わなくても」

 

時折チラチラとこちらに目線を合わせ、反応を伺う島村。その様子は可愛らしい小動物のようで……いやいや、最後まで真面目に聞こう。

 

「……なので何故そこまで努力が出来るのか、と聞かれたら私はこう答えます」

 

ーー私にとって、努力とは楽しむ事なんです!

 

「……」

 

「えへ……ごめんなさい、つい熱くなっちゃって……こんな事、他人に言うのなんて初めてで……」

 

「……」

 

「あっ、怒っちゃいましたか!?本当にごめんなさい……」

 

「……い、いやスマン。別に怒ってる訳じゃねぇよ。ただ、少し意外だっただけだ」

 

そうーーさっきまで俺は、島村卯月という一人の女性に魅了されていただけだーー。

顔つきの良さとか、その優しい性格とか、そういう誰でも取り繕えるものではなく、彼女のポリシーに。その在り方に。そして、その心に。

それを知ってしまったからこそ、あの笑顔がより輝いて見える。とても眩しい。

 

「へへ……そうですか!私もそんな風に言われて、初めて考えて自分に気付きました!佐城くんのおかげですね!」

 

「……そうか?」

 

「はいっ!本当にありがとうございますっ!」

 

全く……この子は本当に、本当にいい笑顔するよな。きっと今回の件で、彼女の心は大きく成長を遂げたのだろう。努力が出来る人間として、価値が更に上昇した訳だ。

 

ーーならば、俺も前に進んでみよう。落ち着け深呼吸だ……ふぅ……。よし、行ける。俺も頑張ってみせる。

 

「どういたしまして。そう言えば島村、お前今週の土曜日空いてるか?」

 

「えっと……はい、特に用事はありませんけど……?」

 

「……なら良ければでいい、その日一緒にどこか出掛けないか?」

 

「はいっ……えぇっ!?」

 

ーー俺も、気付いたんだよ。お前のおかげで本当に大切な事をな。まぁ、そのためにはまずきちんとした舞台を整えなくちゃ……な?




はい、お読み頂きありがとうございました!


この作品での卯月は『努力の天才』という設定です。頑張ります、が口癖の彼女ですが、それにはこういう訳があるのでは?と想像したり。


あと、主人公はヘタレ属性ではないです。ヒロイン相手にグイグイ行っちゃいます。


という訳で次のお話はデート回です!
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