俺とアイドル達のラブコメ集   作:諸越ありふみ

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お久し振りです。ありふみです。

今回は前話で言ってた通り、デート回になります!

それではどうぞ~


《島村卯月》休日デート

……そして、土曜日。俺は朝早くから約束の集合場所、近所の駅前にやって来ていた。

 

携帯の電波時計に目を落とすと、8時を少し過ぎたくらいの数字が見える。そして、ふとお節介な妹を思い出し、少しため息をついた。

 

それは……まぁ、昨日の出来事である。あろうことか俺は、妹に出発の準備をする所を見られてしまったのである。

 

当然妹は可愛らしく首をひねり、一言。

 

 

『……にぃ……お出掛け……?』

 

『あ、あぁ……』

 

『……』

 

『……何だよ』

 

『……はい』

 

『え』

 

『……頑張って……ね……?』

 

『いや、ちょ』

 

 

「……はぁ」

 

そこで妹に(強引に)手渡されたのは……一冊の小さめの本だった。

 

タイトルはその名も『カップル必見!行かねばソンするお店特集!』とかいうもの。何だこれ。あの無口な妹はこんなのが好きなのか?

というか何故、あの妹はお兄ちゃんが女の子とお出掛けすると分かったんでしょう……テレパシー?それとも兄妹愛か?……違うな。

 

「お、おはようございます……」

 

そんな中、ぎこちない声が聞こえ顔を上げると……少し顔を赤く染めた島村が立っていた。

 

……普段(当たり前だが)制服姿なので、とても新鮮味があるな……っと、挨拶を返しておかないと。

 

「おう、おはよう」

 

「はい……もしかして、待っちゃいました?」

 

「いや、そんなに待ってないぞ」

 

島村はいつもの制服ではなく、白を基調としたワンピースを身に纏っていた。その漂う雰囲気からか、どこぞの良いとこお嬢様かのようだな。完璧に着こなしている。

 

「あと……」

 

「? どうしました?」

 

「……何でもねぇ。行くか」

 

「……? それじゃ、どこに行きましょうか?」

 

「うーん……ならとりあえず、一旦デカイ街に出るか」

 

プランが無いわけではないが、まずは街に出なければ始まらない。

 

そう考えた俺は、彼女に中心街に出る事を提案。そしてしっかりと頷くのを確認して、足を踏み出したのだった。

 

 

 

 

話は変わるが、今日は生憎の曇天だった。それも朝の天気予報によれば、昼頃からどしゃ降り。更には明日の朝にかけてまで続くというからなおびっくりである。

 

何故今日という日を選んでしまったのか……。数日前の俺に声を大にして言いたい。週間天気予報くらいは覚えておけ、と。

 

はぁ……と俺はため息をこぼす。

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

そのため息は一緒に電車に乗っている島村にも聞こえたらしく、隣から声が。振り向くと不安そうな瞳が俺を捉えていた。

 

「あー……大丈夫だ。ただ、ちょっと天気でな……」

 

「今日は曇りですからね……」

 

「そうそう。どうして俺はこんな日を選んだんだろうな、ってさ」

 

「あっ、別に佐城くんは悪くないですよ! それに良いじゃないですか、こんな天気に外出なんて滅多にないですし……良い経験ですし!」

 

「そのフォローが心に深く刺さるから止めてくれ……」

 

「あうぅ……」

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

あの後、少し電車を乗り継ぎ、無事目的の駅に着いたんだが……恐れていた事態が起きてしまった。

 

そう、大いなる自然のからの恵み、雨である。

 

島村が電車の中で「あっ、雨降りだしましたね」と言ってたのは覚えているが……まさかここまで降ってしまうとは。言葉にするなら豪雨のレベル。駅の中で立ち往生とか、洒落になってない。

 

……さて、どうするか。当初のプランは決行不可能、しかもこの雨の中では場所の移動すらままならない。だからといって、今から帰るのもな……。

 

「佐城くん」

 

「ん?」

 

「私、あそこに行きたいです!」

 

そう言って彼女が指差したのは、一軒のドーナツチェーン店だ。駅からほんの目と鼻の先にある、ちょっとこじんまりとした店舗である。

 

「私、実はあそこの新メニューが食べたいんですよ! この前お友達が話してて! 前々から食べたかったんですよね~」

 

「お前……」

 

「さぁ、早く行きましょう!」

 

矢継ぎ早に言葉を紡ぐ島村に手を引かれ、ドーナツ店に向かって走り出す。その時の島村の顔が何故真っ赤だったのかは、俺は分からない。

 

でも。

 

「……ありがとな」

 

これが彼女なりの気遣いだという事だけは、確かに分かったのだった。

 

 

 

 

「ふぅ……美味しかったですね」

 

「そうだな、昼食にドーナツとかもたまには良いかもな」

 

ふふっ、と微笑む島村。やはりその笑顔はいつ見ても眩しいな……。本当に、俺には到底真似出来そうにない。

 

「あっ、そうだ……その……さ、佐城くんの事、下の名前で呼んでも……良いですか?」

 

「へ……?」

 

「あっ、嫌なら別にいいんですよ?! 私のわがままですし……」

 

見るからにシュンとする島村。そんなに顔されたら断れねぇじゃんか……いや元々断る気は無いが。そもそも。

 

「別にいいぞ……ただし」

 

頭に?を浮かべる彼女に俺は告げる。そもそも……。

 

「俺も……『卯月』って呼んでいいか?」

 

……俺もまったく同じ事考えてたからな。なーんて。

 

それを聞いた彼女は、少しの間分かりやすく固まり……そして、これまた分かりやすく赤くなる。……本当に分かりやすい子だな。

 

「……はいっ」

 

「……ん、ありがとう卯月」

 

「えへへ……」

 

「んじゃ、俺も呼んでもらってもいいか? あ、無理そうなら後からでもいいぞ」

 

「いえっ……島村卯月、頑張りますっ」

 

あれ、何故に名前呼ぶだけなのに頑張る必要があるのか……。ってか卯月さん、それ空のグラスだから! 氷すら入ってないから! 何も入ってないグラスを飲もうとするの止めてくれ!

 

因みにだが、俺の下の名前は雪斗である。読みはユキトな。

 

「ふぅ……ゆ、『雪斗』くん」

 

「……っ」

 

「うぅ、恥ずかしいですよぅ……」

 

これは……呼ぶ方も恥ずかしいとは思うが、呼ばれた方も相当恥ずかしいぞ……。まさか名前を呼ばれるだけでここまでとは……。

 

そこでふと、恥ずかしさのあまり辺りを見渡すと、見事に視線を集めている事に気付き……何だか居たたまれない。特に、男連中からの嫉妬と迷惑がこもった視線が凄まじい。……泣きそう。

 

結局、その場で俺に出来たのは島村……卯月を連れて一刻も早く、この場から離れる事だけだった。ごめんなさい。

 

 

 

 

あの後の話だが、てんで雨は止まず。なので俺の提案で、これまた再び駅の近くの本屋に行く事になり、本を数冊購入した。

 

しかし、状況は更に悪化。あろうことか雷も発生し始める始末。そして結局『早く家へ帰らなければ』という事でお流れになってしまったのだった。全面的に俺が悪い。

 

あ、でも帰る途中、卯月の『雪斗さん、また今度晴れの時に行きましょうね』には少し救われたな……。

 

……明日から天気予報は欠かさず見よう。そう決意した、とある休日の昼下がりだった。

 

 

 




はい、見て頂きありがとうございます。

これにて一旦卯月編は終了です。まだまだ書く予定ありますが……不完全燃焼ですし。あと、皆様も事前の天気確認は大切に。

次のキャラですが……特に決まってないです。このキャラ書いて欲しい、等のコメント待ってます。それ以外のコメントも気軽にどうぞー、

ではでは~
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