超次元ゲイムネプテューヌ 光の量子を操りし者(凍結)   作:熾天 冥夢

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冥夢「今回は…はい、とうとう悠斗が壊れます。モードとなっていますが、怒りには三つのモードがあり、今回はその一つが出てきます(サブタイトルでネタバレしてるのは見逃してください)。そして、オリジナルテクニックも…?長くなりましたが、第八話、始まります」


第八話 悠斗の怒り“ルナティックモード”

「実はブランととはある計画を進めていましたの」

 

そう言いながらベールは巧みにPCを操作して俺達に画面に映し出された物を見る。これが“とある計画”なのだろう…

 

「その計画って何だ?」

 

「ルウィーでは人工衛星を使ってのサービスを行われていましたの。悠ちゃん以外はご存知ですわよね?」

 

「確か…“お寺ビュー”だっけ?」

 

…“何その実用性のなさそうなビュー”って思ったが自重する。

 

「十年前に終わったやつよね?」

 

「えぇ。実はあの人工衛星はまだ稼働していて、地上の写真データを送ることが出来るのですわ、但し低解像度を解析して高解像度にするソフトウェアをリーンボックスの研究所が開発しましたの」

 

えーっと、さっきのが解りにくかった人に説明すると、144pと低解像度だったのがソフトウェアで1440pという超高解像度になったって事だ。え?1440pを知らない人から見ればどうなるのかって?…1080pみたいになったって事だ、うん。というか、ネプテューヌが話に着いていけるのが不思議で堪らないのだが…

 

まぁ、それを使ったらロムとラムの居場所が特定できる…それ何処の衛星ロキ?衛星オーディン?え?今それを考えるなって?はい、自重します。

 

でも、使ったら使ったで世界中の情報はルウィーとリーンボックスで独占できるという事。何だか監視されてるようで嫌だな…

 

「え~!?そんな事したら私達見られ過ぎて困るじゃん!」

 

…まぁ、これが普通の反応だろう。“常に監視されてる”のは誰だって嫌だしな…でも、ベールは予想外な答えを返した。

 

「いいえ、私達はそのデータを皆で共有しようと思っていたのですわ」

 

「えっ!?」

 

そう。世界中の情報はルウィーとリーンボックスで独占してもおかしくないのに、ベールはそれを“共有する”と言ったのだ。それを聞いたネプテューヌは驚いていて、俺も声には出さなかったが少し驚いていた。

 

「ブランが言い出したのですよ?友好条約を結んだんだから、四つの国で等しく利用するべきだと」

 

「ブラン…」

 

ちゃんとネプテューヌ達の事も考えてくれている…その事に凄く嬉しく感じる…やはり、仲間の事を考えるっていいな…そう考えていると、PCから音が鳴り響く。どうやら解析が終わったようだ。

 

「解析が終わりましたわ、これで誘拐犯の居場所が…?ここは…」

 

俺達がPCを覗き込むと、誘拐犯の居場所は思いもよらないところにいた。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

「まさかここにいるとはな…」

 

データ解析の結果、誘拐されたロムとラムはテーマパークの建設中のアトラクションの中にいた。…意外と近かったな…

 

「よ~し!今すぐ殴り込みだ!!」

 

「お待ちになって」

 

「ねぷ?」

 

ネプテューヌは意気込んで乗り込もうとするが、ベールに止められる。それもそうだ。敵に対して何も武器を持たず特攻するような物だ。そう考えているとベールは真剣な表情で口を開いた。

 

「今は人質の救出が最優先ですわ、まずは…私が身代わりとなります」

 

「なっ!?」

 

ベールの言葉に思わず目を見開いた。確かにそれならロムとラムの安全は確保できる。だが代償としてベールの身に危険が及んでしまう。流石に止めようとしたが、安心させるかのようにベールは優しく微笑みかけた。

 

「あくまでロムちゃんとラムちゃんを救出出来るまでですわ、私も二人が無事に救出されたら隙を見て逃げますので」

 

「それなら俺でもいいんじゃないか?あの時は一方的にやられたが」

 

ベールの言う通りなのだが、それが“上手くいけば”の話だ。もし失敗したら…ロムやラムだけでなく、ベールにまで危険に晒される事態となる。

 

ベールは女神だから俺よりは絶対に強い。でも、この前のノワールのように危機的な状況に陥るかもしれない。だからベールにこんな事をさせたくない。下手をすれば、大怪我では済まない事態になるのかもしれないから。まぁ、綺麗事を並べているが、女神と言う事を除けば“普通の女性”だから無茶をさせたくないってのが本当の理由だ。

 

「悠ちゃんの言いたい事も解りますわ。ですが私は大丈夫。それに責任を感じているのは悠ちゃんだけではありません。私達もあの場にいながら二人を助ける事が出来なかった私達にも責任はあります。だから悠ちゃんだけが責任を感じる必要はありませんわ」

 

「……」

 

ベールの言葉に俺は思わず黙る。それもそうだ。二人を助けれず責任を感じているのは俺だけではなかった。現にネプギアもユニも凄く悔やんでいた。…どうやら俺はベールに言われるまでずっと焦っていたみたいだ…皆も同じ事を思っているって、少し考えれば解る事なのに…

 

「だから悠ちゃん、こんな時は頼りにして下さいな、そしてロムちゃん達を助け出しましょう?ここにいる皆で…ね?」

 

「…そうだな」

 

そうだ、前世と違って俺は孤独ではないんだ。必ず皆で助け出して、笑顔でブランの下へ戻ろう。

 

「気のせいだといいんだけど、な~んか悠斗とベール二人だけの空間になってない?」

 

「気のせいじゃないけど、折角いい話っぽくなってるんだからアンタは黙ってなさい!」

 

ネプテューヌ、空気読めよ…見事にぶっ壊されたぞ…ベールの大人っぽさの三分の一でも見習えよ…本気で…

 

「ふふ、それでは参りましょうか?ロムちゃんとラムちゃんも私達が助けに来る事を待ち望んでいますわ」

 

「そうね…それじゃあ早速…」

 

「待ってくれ」

 

とっさに俺が声を掛けた事で皆の足が止まる。何故止めたのか不思議に思ったみたいで、皆の視線が俺に集まる。

 

「…?悠ちゃん?どうかなさったのですか?」

 

「俺もベールと一緒に行く」

 

「えっ?」

 

俺の言葉を聞いたベール達は驚き、俺に問いかけた。

 

「何故その様な事を?」

 

「そうだよ!態々(わざわざ)悠斗が危険な目に遭う事をしなくても…」

 

「確かにそうだ。危険?それがどうしたんだ?皆には言ってなかったが、俺は“皆を助けられればこの命が尽きても構わない”という信念なんだ。それに、もう仲間を失いたくないんだ。だから、ベールにだけ任せるという無責任な事はしたくない」

 

「悠ちゃん…」

 

「ロムとラムを助けたいけど、ベールの事も助けたいんだ」

 

「…えっ?」

 

俺の言葉に目をキョトンとさせるベール。だが俺は言葉を続ける。

 

「俺を気にしてくれた時は凄く嬉しかった…俺が孤独ではない事を気付かせてくれた。でも、気付かせてくれたベールが一人で危険な場所に行く。それをただ指を咥えて見ているだけなのはできない」

 

「でもそれは…」

 

「ベールが女神だって事は解っている。俺よりも強い事もな。でも、女神って事を除けばどうなる?ロムとラムと同じ普通の女性になってしまうんだぞ?その女性が危険な場所に行くって事が解っている以上、尚更(なおさら)行かせたくないんだ。そうさせた自分が許せなくなるからな」

 

「…っ!」

 

俺はベールを見据えて言う。俺の正直な思いを、感情を、言葉を彼女に伝える。

 

我儘(わがまま)だって事は解っている。それでも俺はロムとラム、そしてベールに危険な目に遭って欲しくない。だから俺にベールを守らせてくれ」

 

「えっ…あの…その…」

 

顔が赤くなるベール。だが俺は振り返って言葉を続ける。

 

「勿論、ベールだけではない。ここにいる皆も同じだ。皆を守れるのなら俺は人間を辞める覚悟だってある。だから全力で守らせてくれ」

 

「「「「……」」」」

 

俺がそう言うと、ベールと同じで顔が赤くなる。…やっぱ、“守らせてくれ”が原因か?

 

「…皆、顔が赤いが、大丈夫か?」

 

「「「「「え!?だ、大丈夫((です))(よ)(ですわ)!」」」」」

 

皆が手をブンブンと振りながら大丈夫だと声を張り上げていた。けれども顔は赤いまま。本当に大丈夫なのだろうか?

 

「にしても、凄い覚悟だね…私達を守れるなら人間を辞める覚悟まであるって…普通はそういう考えにいかないよ?」

 

「…まぁ、それが俺の信念な訳で」

 

「でも、何で悠斗はこう恥ずかしいセリフをポンポン言えるのかしら…」

 

「“助けたい”とか“守らせてくれ”とかか?」

 

「まぁ、大体の原因はそれね…」

 

と言いながらジト目で見るノワール、それとネプテューヌ、苦笑いするネプギアとユニ、顔が一番赤いベール…

 

 

 

 

 

Q.この状況を3文字で説明せよ

 

A.カオス 

 

 

 

 

 

 

「ゆ、悠ちゃん、もし一緒に行くのでしたら、私からの条件を飲んでくれますか?」

 

「条件?」

 

「絶対に私から離れない事、それと決して無茶な事はしない事…これを約束して下さるのであれば、一緒に来ても構いませんわ」

 

「…できるだけ善処する…」

 

もし、ロムとラムが目の前にいたら正直、冷静になれるか解らない。現在進行形で俺の目と髪色と口調が変わっている訳だし。

 

「それでは救出作戦開始ですわ!」

 

ベールの号令の下、ロムとラムの救出作戦が決行された。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

「やだ!?止めて!止めてってばぁ!!」

 

「うぅ…気持ち悪い…止めて…」

 

ロムとラムの悲鳴が響き渡る倉庫の中、二人はトリック(変態)の舌に弄ばれていた。嫌がる二人にトリックはにやける。だがそれも長くは続かなかった。ドアが勢いよく開き、誰かが中へ入って来たからだ。

 

「「お姉ちゃん…?」」

 

ドアから現れたシルエットを見て呟くが、それは自分達の姉ではなく、別の人物であった。

 

「そこまでですわ!」

 

「ロム!ラム!大丈夫か!?」

 

「ベールお姉ちゃん…お兄ちゃん…」

 

二人を救出する為に来たベールと悠斗の2人だった。

 

「その子たちを解放しなさい、私が身代わりになりますわ!」

 

身代わりになるとトリックに宣言するベール。普通だったら(なび)いていただろう。そう、普通だったら(・・・・・・・)。それを決定付けるかのような答えが返ってくる。

 

「…はぁ?俺紳士だし、守備範囲は幼女だけだし、それにでかい胸は興味ないし」

 

「…は?」

 

トリックの言葉を聞いた悠斗は目が点になって()頓狂(とんきょう)な声を出してしまう。当のトリックは物凄くキリッとした表情で平然と言ってのけているのだが、それを聞いたベールは噛み付くように言った。

 

「なっ!?大きい胸のどこがいけないですの!!」

 

「…垂れる未来しか見えない」

 

「……」

 

うわぁ…発動させたよこいつ…大きな胸の人には発動させてはいけない『禁句「垂れる未来しか見えない」』というスペルカードを…え?色々混ぜ込んでカオスだって?…うん、いつもの事だから気にしてはいけない。

 

「ベール、突っ込むところそこじゃない。そしてお前、失礼にも程があるだろ」

 

突っ込みと混ぜ込みのオンパレード。何かズレた話に持っていき、ベールに失礼な言葉を発言したトリック…正直頭が痛くなる…そう思っていると、突如笑い声が聞こえてきて、目を向けると…

 

「フフ、フフフフフフフフ…」

 

案・の・定。ベールが黒いオーラを出しながら笑っていた。怨念が籠もってるんじゃないかねあれ…

 

「どうやら貴方…私を本気で怒らせてしまったようですわね…」

 

「落ち着け…ベール…」

 

落ち着くように言うが、もう時既に遅し。ベールの身体が光り出し、周りからはフォトンに似た粒子と共にパーツの様なものが浮かぶ。ベールの着ていた服が消え、代わりに粒子を纏い、その粒子がレオタード形へと変化する。

 

だがそれだけではない。彼女の金色の髪が緑色に変わり、ポニーテールに纏められる。そして何処からともなく現れた槍を持ち、リーンボックスの女神“グリーンハート”に姿を変えた。

 

「なっ!?女神だったのか!!」

 

「さて…俺も変身するか。皆には見せていないが。出でよ『モタブの写本』」

 

悠斗は写本を呼び出し、召喚体勢に入る。だが、普通の召喚ではなかった。

 

「紅蓮纏いし炎の竜、ヴォル・ドラゴン、召喚融合」

 

そう、転生寸前に“召喚融合”なる物を教えて貰っていたのだ。それをここで実践している訳である。

 

そして、写本からホログラム状にヴォル・ドラゴンが映し出され、そのヴォル・ドラゴンと悠斗が合体し、光が放たれる。

 

「「「「!?」」」」

 

突然の光に四人(一人?)は驚く。それを尻目に光が収まり、そこにいたのは…

 

「悠斗、“ヴォル・ドラゴン形態”に変身完了」

 

頭に一本の角、背中に翼、腰に尻尾が生え、手が鱗を纏った黒い爪に変化し、足も鱗を纏った黒い爪に変化した。体の所々にも鱗を纏っていて、元の姿から著しく変化した悠斗がいた。

 

「お兄ちゃんの姿が…変わった…?」

 

「悠ちゃん…!?その姿は…!?」

 

「ん?これか?以前ヴォル・ドラゴンってエネミーと対峙してな、その時に力を授けて貰ったんだ。それと俺を融合して、この姿になったって訳だ」

 

「ヴォル・ドラゴン…という事は、貴様がフォトンとか言う、自然に漂うエネルギーを扱える人間って事か。まさかお前だとは思っていなかったがな」

 

「知っていたのか、まぁいい。お前はここで倒して、ロムとラムを解放させる。火炎弾(プチフレア)!」

 

火炎弾(プチフレア)”と唱えると、悠斗は右手から30cm大の大きさの火の玉を出し、それをトリックに向かって射出する。

 

「ぐがあああぁぁぁっ!?」

 

射出されたプチフレアはかなりな速度で、反撃の予知も与えずトリックに直撃する。それだけでなく直撃した瞬間に爆発した為多段ヒットとなり、トリックに更なるダメージが与えられる。

 

だが、それだけでは終わらない。

 

「悠ちゃんばかりにいいとこ取りはさせませんわ!レイニーナトナピュラ!」

 

「ぐぁぁぁぁっ!?」

 

超高速による槍の連続突き、それがトリックの胴体に降り注ぐ。一撃は軽いがそれが蓄積される事によって大きなダメージとなる。それによってトリックは堪らず苦悶の表情を浮かべて叫んだ。

 

「この間にロムとラムを…!」

 

ベールが攻撃をしている間、トリックに小さな隙が生じた。悠斗はその隙を見逃さず全速力でロムとラムがいる場所に走り出す。だが…

 

「ぬうあああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

「なっ!?」

 

一歩遅かった。吹き飛ばされたトリックが咄嗟に伸ばした舌でロムとラムを連れ去った。

 

「ちぃっ!」

 

悠斗はそれを見ながら舌打ちをする。それもそうだ。ロムとラムが一瞬の間に連れ去られたのだから。

 

そして…悠斗の身体に変化が訪れた。それは、光のなくなった青目が赤く変色したのだ。

 

「ふう、余裕でしたわ…あれ?ロムちゃんとラムちゃんは?」

 

気付いた時にはもう遅かった。ロムとラムは既に連れ去られていた。

 

「あの変態に連れ去られた。そして悪いな、ベール…約束、守れそうにない」

 

「えっ!?それってどういうことですの!?」

 

「フフフ…俺の目を見てくれ、また変化してしまっているだろう…?ハハハ…これは第三段階にまで進んでしまった証だ。それを決定付けるかのように言葉の所々に狂気染みた笑いが混ざっているだろう…?俺が壊れるのを見せる訳にはいかない。だからごめんな、約束を破ってしまって…」

 

そう言った瞬間、悠斗はトリックが吹っ飛ばされた方向に向かって飛び上がった。

 

「“壊れるのを見せる訳にはいかない”…!?という事はもう直ぐで悠ちゃんが悠ちゃんではなくなってしまうって事!?早く悠ちゃんを止めなくては!」

 

ベールは慌てて、飛んで行った悠斗を追いかけた。

 

同時刻に下っ端ことリンダがノワール達によって吹っ飛ばされたのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

    ☆    ☆    ☆       

 

 

 

 

 

物音一つしない、シーンと静まり返った場所。廃置場なのだろうか?物音しない筈なのに、その場所からガラガラと物音が鳴る。その正体はトリックであった。先程悠斗とベールの攻撃によって吹き飛ばされたのだ。

 

しかし、そんな彼の表情は清々しく見えた。かなりの痛い目を見たというのに。何故清々しくなっているのか?その理由はただ一つ。ロムとラムを手中に収めたからだ。

 

「幼女は命に代えても守る!紳士のジャスティス!!ん?幼女は何処?」

 

だが、その手にはロムとラムがいない。一体何処へ行ってしまったのかと周りをキョロキョロと見渡しながら探すトリック。

 

そして見つけた、“見つけてしまった”。ロムとラムがフェンスをよじ登り逃げ出そうとするところを。それを見たトリックは口元が吊り上がり、舌なめずりをする。

 

「この生きの良さ!全く幼女は最高だぜ!!ん~レロレロレロレロ!」

 

「「ひうっ!?」」

 

 

 

―――ドッゴォォォン!!!

 

 

 

「いってぇ!!!」

 

何処からともなく現れたハンマーにより、舌が打ち付けられトリックは痛みに声をあげた。

 

「てめぇ…私の大事な妹たちに何しやがる、許さねえぞ…この変態が!!」

 

そのハンマーを打ち付けた正体は、怒りの表情で満ちたブランであった。

 

「変態!?それは褒め言葉だ!」

 

「そうかよ…なら褒め殺しにしてやるぜ!!」

 

そう言ってトリックを一睨みした後、ブランの身体が光り出す。普段着ている服がフォトンに似た粒子になり、レオタード形に変化する。背中にウィングプロセッサが装着され、髪の色も茶色からシアン色に変化した。

 

それだけでなく、ハンマーが巨大な斧に変わって大きく振り回して構える。ルウィーの女神“ホワイトハート”に姿を変えた。

 

「覚悟しやがれ!!このド変態!!」

 

ブランの掛け声と共に戦闘が始まった。巨大な斧を構えたブランは突撃し、トリックはその舌を刃物状に変えてブランに襲いかかる。だがブランも負けていない。ブランは華麗に避けてトリックに技を叩き込む。

 

 

 

…罵倒も込みで…

 

 

 

「この超絶変態!!」

 

「げひぃ!?」

 

「激重変態!!」

 

「んぐあ!?」

 

「テンツェリントロンペ!!」

 

「うぐあぁぁぁっ!?」

 

巨大な斧を何度も打ち付け、最後に大きな回転して強烈な一撃をトリックに叩き込む。罵倒も込みで(・・・・・・)。怒涛の連続攻撃に加え、必殺技まで放ったのだ。ダメージは目で見る程明らかだった。しかし、それに激情したトリックはカッと目を見開く。そして、ブランの方に鋭い視線を向けると、力いっぱいその鋭利な舌を飛ばしたのだ。

 

「せめて貴様に…一矢報いてやるわぁぁぁあ!!」

 

まさかの不意打ちがブランに襲いかかる。だが、それを紙一重で回避した。そこから直ぐさま反撃に出ようとしたが、できなかった。それは何故か?理由は回避した後の舌の行方を見てしまったからである。そう、その舌の先にはロムとラムがいたのだ。

 

「っ!ロム!ラム!!」

 

「あ…ああ…」

 

「い…いや…」

 

全速力で飛び立ち駆けつけるブラン。だが間に合わなかった…

 

 

 

―――ドゴオオオオオォォォォォン!!!!!

 

 

 

大きな音が鳴り、砂埃が巻き起こる。“二人を守れなかった”…ブランがそう思った時…

 

「…………」

 

何も言わず現れたのは…

 

「悠斗…なのか…?」

 

悠斗であった。しかし今の悠斗は角も翼も尻尾も生えていて、手足身体の所々に鱗を纏っている状態の“ヴォル・ドラゴン形態”になっていて、元の悠斗とは著しく変わった悠斗だった。しかしブランには一つ疑問があった。…悠斗の姿が変わっているのもそうだが、悠斗自身トリックの攻撃を“受けていない”のだ。ロムとラムに攻撃が当たる寸前で幾ら悠斗のスピードでも間に合わない筈。それでも悠斗達は無事なのだ。それは何故か?話は数分前に遡る…

 

 

 

 

 

「くそっ!ロム…ラム…」

 

悠斗はヴォル・ドラゴンと融合した事で生えてきた翼で吹っ飛ばされた怪物を追っている。だがかなり吹き飛ばされた様だ。

 

「お願いだ…間に合ってくれ…」

 

そのまま飛びながら暫くすると、廃置場に辿り着く。すると、悠斗の目には怪物と女神化したブランが戦っている光景が映し出された。連続攻撃と必殺技と思われる技を繰り出すブラン、だが次の瞬間、ブランに向かって鋭利な舌が襲いかかり、ブランは回避したが…その先にはロムとラムがいた。

 

「させるか!!超火炎弾(メガフレア)!!!」

 

悠斗は瞬時に右手を掲げ、超火炎弾(メガフレア)を唱える。するとその右手には5m大の巨大な火球が生み出され、それを怪物に向かって落とす。だた、それだけでなく、落とした超火炎弾(メガフレア)と一緒に自分もロムとラムのいる場所に降下する。

 

「…………」

 

だが、着地した悠斗は何も言わない。

 

「悠斗…なのか…?」

 

「ぬうっ!?また貴様か!!」

 

「お、お兄ちゃん?」

 

「そ、その格好…」

 

「大丈夫だから…怖かったでしょ?」

 

「「こ、怖かったよ…」」

 

「大丈夫。あいつは私が倒すから…でも、私が大丈夫じゃないな…ははは…」

 

「お…お兄ちゃん…?」

 

「ロム…ラム…できれば、目を瞑って、耳を塞いで貰えると助かるな。ちょっと、今からの私を見て欲しくないから…聞いて欲しくないから…」

 

「「う…うん…」」

 

悠斗の言葉を聞いたロムとラムは目を瞑り、耳を塞ぐ。だが、その瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ドクンッ…

 

鼓動が鳴り響く。

 

…あいつはロムとラムを殺そうとした?

 

―――ドクンッ…

 

再度鼓動が鳴り響く。

 

…また仲間を失うの?

 

―――ドクンッ…

 

鼓動が早くなっていく。

 

…あの怪物に?

 

―――ドクンッ…

 

どんどんと早くなっていく。

 

…許さない…

 

―――ドクンッ…ドクンッ…ドクンッ…!ドクンッ…!!ドクンッ…!!!ドクンッ…!!!!ドクンッ…!!!!!

 

鼓動が最高スピードに達する。

 

許さない許さない許さない許さない許さない許サない許さナい許さなイ許サナい許さナイ許サナイ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユルサナイッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ…フフフフフ…アハハ…」

 

悠斗は更に狂気染みた笑いを浮かべ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハハハハ!!!!!アッハハハハハハハハハハ!!!!!殺シテアゲルッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

悠斗が、壊れた。その証に両目は完全に紅く染まっていて、口元はおかしいくらいにまで吊り上り、そして悠斗の身体は全て黒く変化し禍々しい姿になり、ブチギレた時よりも十倍もの量の殺気が放出される。

 

 

 

 

 

「殺さなきゃ…私の仲間を奪う奴は…殺さなきゃ!!!!アハハハハッ!!!!」

 

「ゆ…悠斗…?」

 

「ひっ…ひぃいいいいいいっ!?」

 

尋常ではなく、恐ろしいまでの殺気、禍々しくなった姿の悠斗を見て戦慄し、ガタガタと震え出し狂気に似た叫び声を上げた。無理もない。目の前にいるのは完全に狂ってしまった人間なのだから。

 

「ほら…出てきて、“双小剣(ツインダガー)”『ノクスネシス』ッ!!!」

 

悠斗は両手を交差させ掲げると、その手には黒と紫が象徴とした、ダガーと呼ぶには少し長い双剣を呼び出した。

 

「シンフォニック…ドライブッ!!!!」

 

そのまま、“シンフォニックドライブ”と呼ばれる強烈な二段蹴りをトリックに浴びせる。壊れた事で力が増したのか、二段目の蹴りで仰向けになる様にトリックが倒れる。

 

それを…悠斗が見逃す筈がなかった…悠斗は、倒れたトリックに馬乗りになり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、刺した。所謂(いわゆる)“メッタ刺し”という行為だ。

 

「あぎゃあああああぁぁぁぁぁっ!?」

 

何度も身体を刺され、叫び声を上げるトリック、だが、悠斗のメッタ刺しは止まらなかった…

 

悠斗side out

 

ブランside

 

今、私ブランはあの怪物と同じで戦慄している。何故かというと…

 

「殺さなきゃ…私の仲間を奪う奴は…殺さなきゃ!!!!アハハハハッ!!!!」

 

そう、悠斗が完全に狂っているからだ。悠斗が本気でキレた時よりも更に強い殺気も放っている。本当に彼から出ているのか!?この殺気は悠斗が本気でキレた時よりも危険だ。止めなくては…!だが、できなかった。身体が震えてしまっていてできないのだ。

 

「ほら…出てきて、“双小剣(ツインダガー)”『ノクスネシス』ッ!!!」

 

そう思っている内に、悠斗の手から黒と紫が象徴とされた双剣が出てくる。あれで何をするんだ!?嫌な予感しかしない…

 

「シンフォニック…ドライブッ!!!!」

 

悠斗が二段の強烈な蹴りを放つ。あまりにもダメージが大きいのか、あの怪物が仰向けになる様に倒れた。そして、次の瞬間…

 

 

 

 

 

悠斗が怪物をメッタ刺しにしていた。

 

 

 

 

 

怪物から悠斗に刺されて剣が抜かれる度に血が噴き出す。その返り血を浴びて、血のような色になる悠斗…もう…彼を止められる者はいない…どうすればいいんだ…

 

ブランside out

 

三人称side

 

「アハハッ!アハハハハッ!!ねぇ、どうしたの?さっきまでの威勢は何処に行ったの?まぁいいや、こうやって刺してるの、楽しいしねぇッ!!!!アハハハハハハハッ!!!!!」

 

もう、悠斗を止める者はいないのか?そう思われた時…

 

「ブラン!ねぷっ!?あれは!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「悠ちゃんが…」

 

「悠斗さんが…悠斗さんではなくなってる…あれが…悠斗さんの言っていた“壊れる”って事…」

 

「あの優しかった悠斗さんが…」

 

ネプテューヌ達が駆けつけた。だが、目の前の光景に全員が驚き、戦慄する。ほぼ全身が返り血を浴びて血だらけで、もう悠斗が悠斗ではなくなってしまっている状態にさえなっていたから。

 

そして、悠斗がメッタ刺しを始めた五分後、急に悠斗の手が止まる。

 

「アハハッ!!!アハハハ……もう飽きちゃった。つまんない。だから一思いに殺してあげるッ!!!」

 

「死んじゃえ壊れちゃえ消えちゃえ滅びちゃえッ!!!融合テクニック『ナイトメア・デスフレア』!!!!!」

 

悠斗は飛び上がり、超火炎弾(メガフレア)よりも遥かに大きい“20mもの”巨大な黒紫の球体をトリックに落とす。そして、その黒紫の球体が直撃した瞬間…

 

 

 

 

 

―――――ドガアアアアアアアァァァァァァァァン!!!!!

 

 

 

 

 

20mをも越える大爆発が起こる。そして数秒の後、爆風が小さくなり、最終的には煙もなくなる。そこにいたのは、壊れた悠斗ただ一人であり、爆心地は巨大なクレーターができていた。

 

「アハハッ!殺した!私が殺したんだ!アハハッ!アハハハハハ…ははは…は…」

 

また、狂気に取り憑かれたような笑いをする悠斗。だが、どんどん笑い声が小さくなる。

 

「…………」

 

そして、段々と元の悠斗に戻っていく。しかしその目には、涙が浮かんでいた。

 

「…また…壊れちゃった…あはは…前世では壊れた事によって、友達を失ったのに…バカだなぁ…私は…また大切な人を失う結果になっちゃうなぁ…ははっ…」

 

膝をつきながら、崩れ落ちる悠斗。その悠斗に向かって、皆が駆けつける。

 

「「「「「「「「悠斗((さん))((お兄ちゃん))(悠ちゃん)!」」」」」」」」

 

「皆…ごめんね…壊れちゃって…嫌になっちゃったでしょ?幻滅したでしょ?」

 

悠斗がそう言った瞬間、皆が悠斗を抱きしめる。

 

「え…?何で…?私の事嫌いになっちゃったんでしょ?」

 

「そんな事ないよ…悠斗…よかった…」

 

「いつもの優しい悠斗なのよね…?」

 

「今までの殺気が嘘のように消えて…」

 

「私の知っている悠ちゃんに戻って…よかったですわ…」

 

「「悠斗さん…いつもの悠斗さんに戻ってよかったです…」」

 

「「お兄ちゃん…怖かったよぉ…」」

 

「嫌いになってないの…?あんな事したのに…?」

 

「ならないよ!でもまさか、悠斗の壊れた姿を見るとは思ってなかったけど…」

 

「いつもの優しい悠斗に戻っただけで充分よ…!」

 

「そう…でも本当にごめんね、あんな姿を見せちゃって」

 

「もう謝るのはなしですわ、そろそろ教会に戻りましょう?ね?」

 

「…そうだね」

 

悠斗達は立ち上がり、そのまま教会に戻った。

 

 

 

 

 

誘拐事件も無事に(?)解決し、その日はもう遅かったのでルウィーの教会に泊まる事になった。その翌日、悠斗はブランに呼び出され、

 

「悠斗…二人を助けてくれてありがとう…それとあの時、酷い事を言ってごめんなさい…」

 

とお礼と謝罪を受けた。

 

「大丈夫だよ。寧ろ皆を戦慄させちゃったから、こちらこそごめんね」

 

「あの時の記憶があるんだ…」

 

「鮮明にね…」

 

「あの時の悠斗は、“悠斗に似た何か”みたいになってたわよね…」

 

「そこまで…でも、記憶が鮮明に残ってるから、周りから見るとそうなるかもね。…物凄い他人事みたいに聞こえるけど」

 

「もうあれは、私の知っている悠ちゃんじゃありませんわ…」

 

「そこまでいってたんだ…」

 

悠斗と女神メンバーが“壊れた悠斗”の事を話していると、応接室のドアが開き、ロムがニコニコ笑顔で走り寄って来たのだ。

 

「お姉ちゃん、悠斗お兄ちゃん…!」

 

「…えっ?」

 

ロムの言った言葉に一瞬だが思考停止してしまった。昨日までお兄ちゃん呼びだったけど、名前が入っている…?思わず真顔でロムに聞き返した。

 

「ロム?今何て言ったの?」

 

「えっと…“悠斗”お兄ちゃん」

 

「まさかの名前呼び!?」

 

▼おめでとう!お兄ちゃん呼びから“名前入りの”お兄ちゃん呼びに進化した!

 

何故に…?昨日だって壊れてたし…いや、呼んでくれて嬉しいけど…寧ろそう呼んでいて下さい。

 

「嫌…だった…?」

 

「ううん、そんな事ないよ。でも、どうして?昨日の私は見せられる物でも、聞かせられる物ではなかったし…」

 

「耳を塞いでいても、お兄ちゃんの変わった声を聞いちゃってとても怖かったけど、それでもお兄ちゃんからは優しい雰囲気がなくなってなくて、私達を守ってくれて…凄く嬉しかったの…その時に“やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃん”なんだって…だからこれからも悠斗お兄ちゃんって呼びたい。ラムちゃんもそう思ってるから…」

 

「ラムも?」

 

「(コクコク)」

 

「あはは、ありがとね」

 

感謝の気持ちを述べながら、ロムとラムを撫でる。その時のロムとラムは物凄く嬉しそうにしてたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

その後、何故倒れたのか理由を知った悠斗は、ブランにO☆HA☆NA☆SHIをした。




冥夢「今更ですが、名前を変えました。このままの名前で通していくので、よろしくお願いします。それは兎も角として…はい、もう文字数には突っ込みません。それに、私も暴走してしまいましたので(壊れた悠斗の描写)…これからの話では自重しますが、自重しない時がくるかもしれません。因みに、ナイトメア・デスフレア直撃時にトリックがいませんでしたが、まだ死んではいません。これだけは言っておきます。それでは、今回で描写された“ルナティックモード”とオリジナルテクニックの紹介をどうぞ」

“ルナティックモード”:仲間を殺されそうになると発動する悠斗の3つの怒りの一つ。段階に分けられており、第一段階で銀髪が黒髪に、目が光のなくなった青目、赤目になり、口調が変化する。第二段階で両目が赤く染まる。第3段階で狂気の含んだ笑みが混ざる。第四段階で身体全体が黒く染まる。最終段階で目が完全に紅く染まり、口元がおかしいくらいにまで吊り上り、狂った笑いが常に起こる。所謂狂化形態である。

火炎弾(プチフレア):“ヴォル・ドラゴン形態”に移行する事で使用可能のオリジナルテクニック。右手に30cm台の火球を生み出して、高速で射出する。“フレア”となっている為、直撃した後に爆発するという、“二段攻撃”が可能。

超火炎弾(メガフレア):“ヴォル・ドラゴン形態”に移行する事で使用可能のオリジナルテクニック。右手を掲げ、超火炎弾(メガフレア)と唱えると、悠斗の上に5m大の巨大な火球が生み出され、相手に向かって落とす。火炎弾(プチフレア)と同じで直撃後に爆発もあるが、その威力は火炎弾(プチフレア)の比ではない。

ナイトメア・デスフレア:“ヴォル・ドラゴン形態”、“ルナティックモード”と同時移行時のみ使用可能のオリジナルテクニック。その名の通り、闇の力と狂気の力を使い20m大の球体を相手に向かって落とす。その威力は、火炎弾(プチフレア)超火炎弾(メガフレア)を“余裕で”上回る。

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